やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

2000年製作。U-NEXTにて配信中。

 

3つの愛が美しくみっともない様態を見せながら、"ある交差点" で偶然交わり、その瞬間それぞれの運命を変えていく。思うようにいかない現状からの絶望は、過去の悔恨と他者への憎悪を交錯させていく。そこに未来への前進を問う。つまり現状の否定よりも一歩踏み出す勇気に気づくべきだと。その過程における悲観と希望に群像ドラマが内包されている。

 

ネタバレになるからごちゃごちゃ言わない。イニャリトゥ監督のデビュー作でサイコー傑作。こんな事言うとファンから物申されるかもしれぬが、その後の作品は外連味が漂うのよ。でも観ちゃう。そんな魅力がイニャリトゥ監督には確かにある。だから最新作「DIGGER/ディガー」も観る。トム・クルーズ主演という外連味も最高潮だけど。

 

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1980年代のアイルランドで実在していたマグダレン洗濯所。炭鉱商人の経営者ビル(キリアン・マーフィー)はクリスマスが近づく季節に石炭をマグダレン洗濯所に届ける。ビルはそこで目撃した事実に動揺し悩んでしまう。マグダレン洗濯所を管理運営する修道院という禁忌の領域で、不遇な女性の不当労働と人権侵害が横行していた…

 

不都合な真相に見て見ぬふりをする、信じないことでやり過ごす。それは私には無関係な事柄なのだから手を差し伸べる理由が無い。そうやって問題を看過して社会は円滑に成り立つのか。虐げられる弱者は見放していいのか。ビルは疑念を抱く。それは彼の過去と密接に繋がり、この連鎖は誰かが断ち切るべきなのだと思い詰める。

 

惜しむらくは、今作はビルの決断という起承転結の "転" で終幕を迎える。原作はどうであれ、その先に派生する家族の動揺や近隣住民や修道院の冷遇を描いて欲しかった。そこに主題の核心が露わになって面白くなるはずなのだ。

 

倫理観が崩壊する事実になぜ私たちは沈黙してしまうのか。ガチャや自己責任が逃げ口上になっていないか。カウンターカルチャーや社会運動をパヨクなどといった嘲笑の対象にするならば、問題は改善されないどころか我慢が美徳といった理不尽な価値観を肯定させてしまう。するとそこは権力側がほくそ笑む絶望の淵、万人は注視するだけ。この不合理は現在も続いている。

 

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ネット通販会社の倉庫でピッキング作業に従事する主人公・オーロラの日常は、人間性を排除する業務とシェアハウスでの娯楽に乏しい生活のルーティンを繰り返す。そんな日々に生きがいを見失っていくオーロラは転職を試みる。新たな職場の面接の現場で、特色無い己の不甲斐なさ、ゆえに虚飾へと身を投じてしまう愚かさに苦悩する。

 

本当の自分とは?自分探しって必要?アイデンティティーに囚われる状況が自己喪失につながる矛盾にほんのり気付く。ラストのオーロラの表情はそこを巧く描いている。これが私なんだ。そのはず。かもしれない。じゃないかも。これじゃない。そんな煩悶がとめどなくシフトする。

 

では本当ってなんだろう。私たちはその定義は分からないし分からなくていい。分かろうとする過程に "生きる実感" がある。これなんだとつかみ取るものじゃなくて、どう変わっていくのか、グラデーションのような流動性こそ私なんだよね。それが儚くても滑稽であっても受け入れよう。決して無責任や負の概念じゃない。

 

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