【400文字作文】White bed,Red love
あの黄色い葉がぜんぶ落ちたら、俺はもう
ダメかもしれない。と、いつかどこかで聞い
たような台詞を、真っ白な病室の固いベッド
の上で私は彼女に言った。
あの木が葉を落とすのは寒い冬を生き抜く
ためなのよ。と、彼女は少し厳しい表情で微
笑みながら言った。私は彼女のその表情が見
たくてわざとそう言った。
女性が自分の考えを相手に伝えようとする
時の表情が一番美しいと、私は思う。相手の
反応でもなく自分の感情でもなく、自分の思
いを伝えるのだと覚悟している女の表情は、
打算が無く美しい。だが残念なことに女性の
そういう表情を見れるのは、ほとんどが別れ
話をもちかけられた時だ。
黄色い葉が全て落ちてしまった翌日に彼女
は婚姻届を持って私の病室にやってきた。生
き抜くための準備よ、と言う彼女の表情は美
しかった。その表情を思い返しながら私は今、
真っ白な手術室のベッドに寝かされている。
ダメかもしれない。と、いつかどこかで聞い
たような台詞を、真っ白な病室の固いベッド
の上で私は彼女に言った。
あの木が葉を落とすのは寒い冬を生き抜く
ためなのよ。と、彼女は少し厳しい表情で微
笑みながら言った。私は彼女のその表情が見
たくてわざとそう言った。
女性が自分の考えを相手に伝えようとする
時の表情が一番美しいと、私は思う。相手の
反応でもなく自分の感情でもなく、自分の思
いを伝えるのだと覚悟している女の表情は、
打算が無く美しい。だが残念なことに女性の
そういう表情を見れるのは、ほとんどが別れ
話をもちかけられた時だ。
黄色い葉が全て落ちてしまった翌日に彼女
は婚姻届を持って私の病室にやってきた。生
き抜くための準備よ、と言う彼女の表情は美
しかった。その表情を思い返しながら私は今、
真っ白な手術室のベッドに寝かされている。
【400文字作文】The Red Answer
ゴメンね……と、女は本当に申し訳なさそ
うに俺に言った。
「気にしないで。残念だけど仕方無い。」
熱いものに不意に触れた時のように、反射
的に俺は言った。
その後、女は自分のどこを気に入ってくれ
たのかを知りたがってしつこく聞いてきた。
俺は深呼吸し、そんなことを明確に言える
奴は詐欺師か依存症だ。と言いそうになった。
手を軽く挙げさっきからタイミングを伺って
いるウェイターを呼ぶと、お下げいたします。
と従順だが媚びていない声で言った。
その女も下げてコーヒーを持ってきてくれ
と言いたかったがデザートを、と頼んだ。
広くなったテーブルの隅には小さなオイル
キャンドルが置いてあり、小さな火が灯って
いる。湿った丸い炎は小さな花のようだった。
女はまだ答えを待っている。丸い炎からそ
の女の目に視線を移して、忘れてしまった。
と言った。女の目にも小さな赤い火が灯った。
うに俺に言った。
「気にしないで。残念だけど仕方無い。」
熱いものに不意に触れた時のように、反射
的に俺は言った。
その後、女は自分のどこを気に入ってくれ
たのかを知りたがってしつこく聞いてきた。
俺は深呼吸し、そんなことを明確に言える
奴は詐欺師か依存症だ。と言いそうになった。
手を軽く挙げさっきからタイミングを伺って
いるウェイターを呼ぶと、お下げいたします。
と従順だが媚びていない声で言った。
その女も下げてコーヒーを持ってきてくれ
と言いたかったがデザートを、と頼んだ。
広くなったテーブルの隅には小さなオイル
キャンドルが置いてあり、小さな火が灯って
いる。湿った丸い炎は小さな花のようだった。
女はまだ答えを待っている。丸い炎からそ
の女の目に視線を移して、忘れてしまった。
と言った。女の目にも小さな赤い火が灯った。
【400文字作文】逃避者
蛍光灯から下げられたヒモを掴もうとする
老人の手のように、木の枝が露出している。
地獄に堕ちた者が天国にいる奴を引きずり落
とそうとしているようにも見える。暖色系の
枯葉を踏みながら歩くと、スナック菓子を美
味そうに喰う 子供のように可愛らしい音が鳴
るが、湿った土の感触は、その子供の母親の
腹部を踏んでいるみたいだ。
この山に入ってどのくらい経つのだろう。
そう思いながらペットボトルの水を飲んでい
ると視線を感じた。目だけを動かしその視線
の糸を辿ると、茶色の動物が遠くから俺を見
ていた。この距離から、その動物の目など見
えるはずもないのに、その黒く光る瞳にはっ
きりと俺の姿が映っているのがわかった。
右手を拳銃の形にし、左目で照準を合わし
バェンと呟くとそいつは逃げた。俺も、もっ
と深いところへ逃げなくてはいけない。根を
張った木々だけがその場を動けずにいる。
俺はその木の幹に手をかけ、先に進んだ。
老人の手のように、木の枝が露出している。
地獄に堕ちた者が天国にいる奴を引きずり落
とそうとしているようにも見える。暖色系の
枯葉を踏みながら歩くと、スナック菓子を美
味そうに喰う 子供のように可愛らしい音が鳴
るが、湿った土の感触は、その子供の母親の
腹部を踏んでいるみたいだ。
この山に入ってどのくらい経つのだろう。
そう思いながらペットボトルの水を飲んでい
ると視線を感じた。目だけを動かしその視線
の糸を辿ると、茶色の動物が遠くから俺を見
ていた。この距離から、その動物の目など見
えるはずもないのに、その黒く光る瞳にはっ
きりと俺の姿が映っているのがわかった。
右手を拳銃の形にし、左目で照準を合わし
バェンと呟くとそいつは逃げた。俺も、もっ
と深いところへ逃げなくてはいけない。根を
張った木々だけがその場を動けずにいる。
俺はその木の幹に手をかけ、先に進んだ。