【400文字作文】腐ったバナナ
いつも忘れてしまう。この時がくることを
いつも忘れて始めてしまう。
約3週間ぶりに彼と会うことにした。もう
無理だということを伝えるために私の部屋に
私が呼んだ。彼が私の部屋を出て行く後ろ姿
をきちんと見ておきたかったから。
彼と同じ時間と同じ雰囲気を過ごし、それ
をキープすることが無理だと感じた決定的な
理由は、彼が歯を磨くときの顔だった。そん
な理由で別れ話を切り出しても彼は納得しな
いだろうし、真面目に話を聞いてくれないか
もしれないと昨夜、部屋へ招いた友人に相談
したけど結局いい別れの理由は見つからな
かった。
だけど、ただ一つ。誰も傷つかない恋愛の
始まりも終わりもない。という求めてもいな
い結論だけが見つかった。
彼との約束の時間まであと45分。 今朝、
友人が食べたバナナの皮が、真っ白な皿の上
で黒くなって倒れていた。
いつも忘れて始めてしまう。
約3週間ぶりに彼と会うことにした。もう
無理だということを伝えるために私の部屋に
私が呼んだ。彼が私の部屋を出て行く後ろ姿
をきちんと見ておきたかったから。
彼と同じ時間と同じ雰囲気を過ごし、それ
をキープすることが無理だと感じた決定的な
理由は、彼が歯を磨くときの顔だった。そん
な理由で別れ話を切り出しても彼は納得しな
いだろうし、真面目に話を聞いてくれないか
もしれないと昨夜、部屋へ招いた友人に相談
したけど結局いい別れの理由は見つからな
かった。
だけど、ただ一つ。誰も傷つかない恋愛の
始まりも終わりもない。という求めてもいな
い結論だけが見つかった。
彼との約束の時間まであと45分。 今朝、
友人が食べたバナナの皮が、真っ白な皿の上
で黒くなって倒れていた。
【400文字作文】回 鍋 人
妻の指示で、朝から宝くじ売り場の長い列
に並んでいる。出勤時間と同じ時間に家を出
た私はファストフード店でホコリのような朝
食を食べ本を読みながら、街に人が増えるの
を待った。人が少ない都会の街は、人が多い
美術館と同じくらい落ち着かない。
妻は宝くじを買うのが目的なのか、当てる
のが目的なのか。そんなことを考えながら右
側にある中華屋を見てみると小さな厨房で、
肩幅の広い男が中華鍋を振っているのが見え
た。獲物を待つ動物みたいに油が沸騰する音
がし、そこに何かが放たれ油がその何かに襲
いかかる音が聞こえた。厨房の男は窮屈そう
に脇を締め、中華鍋を回しながら何度か上下
に振り、今度は油が逃げ惑うような情けない
音がした。そして甜麵醬の香りがその厨房か
ら溢れてきた。
私は何故この 列に並んでいるのかわからな
くなった。甜麵醬の香りは私を誘惑していた
が、私は列を離れることができなかった。
【400文字作文】男とオトコと女
男と男と女が歩いている。
無口だが優しい顔をした男は、男と女のく
だらない会話をなんとなく聞きながらたまに
振り向いて笑顔を見せることで、その会話に
参加していることを男と女に示しているよう
だった。
女と話 しながら歩いている男は前も見ずに
女に話し掛けながら歩いている。女が無表情
になったら、とんでもないことが起きてしま
うとでも思っているのか、必死に話し掛けて
いる。女はたまに、ソンナコトナイヨと言い
ながら前を歩く男の靴の踵を見ながら、サン
プリングマシンのように安定した同じ笑い声
を発していた。
男はオマエモナンカハナセヨと男に言った。
言われた男は、ン?アアと笑顔で応じながら
しゃがんで民家の車庫にいた犬の鼻先に手を
差し出し「オマエモナンカハナセヨ」と犬に
言った。女は弾けるように笑いながら、必死
に話し掛けていた男の顔を初めて、見た。
無口だが優しい顔をした男は、男と女のく
だらない会話をなんとなく聞きながらたまに
振り向いて笑顔を見せることで、その会話に
参加していることを男と女に示しているよう
だった。
女と話 しながら歩いている男は前も見ずに
女に話し掛けながら歩いている。女が無表情
になったら、とんでもないことが起きてしま
うとでも思っているのか、必死に話し掛けて
いる。女はたまに、ソンナコトナイヨと言い
ながら前を歩く男の靴の踵を見ながら、サン
プリングマシンのように安定した同じ笑い声
を発していた。
男はオマエモナンカハナセヨと男に言った。
言われた男は、ン?アアと笑顔で応じながら
しゃがんで民家の車庫にいた犬の鼻先に手を
差し出し「オマエモナンカハナセヨ」と犬に
言った。女は弾けるように笑いながら、必死
に話し掛けていた男の顔を初めて、見た。