史上最大規模のリチウムがアメリカで発見
史上最大規模のリチウムがアメリカで発見■史上最大規模のリチウムがアメリカで発見 現代の産業にとって、リチウムはバッテリーの製造に欠かせない金属であり、電気自動車やスマートフォン、その他リチウムイオンバッテリーを用いる機器の普及に伴い、枯渇の懸念も叫ばれている。そのリチウムの最大規模の鉱脈がアメリカで発見されたというビッグなニュースだ。 電気自動車やスマートフォンの普及に伴い、リチウムイオンバッテリーの需要は世界的に高まっているが、その枯渇も心配されていた。 この突然の発見に世界は湧いている。 少なくとも、最も重要なパーツであるリチウムイオンバッテリーの原料の問題が大きく解決する可能性が出てきたからである。しかも、アメリカ国内で。 今後の経済発展にどれだけ寄与するか、また世界経済のかじ取りにどれだけの力を発揮するかは、これからの課題であろうと思われる。ーーーーーー(引用)ーーーーーーアメリカで発見されたリチウム鉱脈に4000万トンという史上最大規模のリチウムが埋まっている可能性2023年09月11日 11時18分 gigazine既知の調査により、ネバダ州とオレゴン州にまたがる火山からリチウムを含む多数の金属鉱脈が発見されています。2023年8月30日に発表された論文によると、この火山には推定2000万トンから4000万トンの「世界最大規模」のリチウムが埋まっているようです。ネバダ州とオレゴン州の州境にある火山「マクダーミット・カルデラ」は、約1630万年前から始まった一連の噴火を最後に活動が確認されていません。2017年、とある研究チームの調査により、タッカー峠と呼ばれるカルデラの一角がこれまで発見された中で最大級のリチウム鉱脈である可能性を示す証拠が発見されます。アメリカでリチウム開発を手がけるリチウム・アメリカズとオレゴン州立大学の研究者らが調査を進めたところ、付近から発見された「イライト」という鉱物からなる珍しい粘土岩が既存の粘土岩の2倍以上のリチウム濃度をもっている可能性が浮上。この調査結果は2023年8月30日に報告されました。https://gigazine.net/news/20230911-lithium-deposit-mcdermitt-caldera/ーーーーーー米国でリチウム鉱床を発見、史上最大の埋蔵量の可能性2023年9月11日 6:00テクノロジーサイエンス現代の産業にとって、リチウムはバッテリーの製造に欠かせない金属であり、電気自動車やスマートフォン、その他リチウムイオンバッテリーを用いる機器の普及に伴い、枯渇の懸念も叫ばれている。そんな、重要資源の争奪戦が繰り広げられる中、『Science Advances』誌に掲載された最新の研究では、米国に史上最大の埋蔵量を誇るリチウム鉱床が眠っている可能性が示唆された。調査によると、ネバダ州とオレゴン州の州境にある火山クレーター、マクダーミット・カルデラには、2,000万トンから4,000万トンという途方もない量のリチウムが眠っていると推定されている。これまでで最大のリチウム鉱床は、ボリビアの塩の平原にある約2,300万トンだったため、今回の発見はまさに史上最大の埋蔵量を誇る可能性があるのだ。この研究には関与していない、KUルーヴェン大学とベルギーのテルヴュレンにある中央アフリカ王立博物館の地質学者Anouk Borst氏は、Chemistry Worldに次のように語っている。「彼らの机上の試算を信じるなら、これは非常に重要なリチウム鉱床です。価格、供給の安定性、地政学的な観点から、リチウムの世界的なダイナミクスを変える可能性があります」。リチウムを含む粘土岩の発見リチウムの採掘は塩湖から塩水を汲み上げ、それを蒸発させて得られる炭酸リチウムを精製する方法と鉱石を採掘する方法とが用いられているが、現在は前者が世界の採掘量のおよそ3分の2を占める。しかしこれには大量の水資源が用いられ、環境への影響も懸念されている。今回、米国で見つかったリチウムは粘土岩に含まれているものだ。イライトという鉱物からなる珍しい粘土岩が、1.3%から2.4%のリチウムを含んでいることが明らかになった。これは、イライトよりも一般的な主なリチウム含有粘土鉱物であるマグネシウムスメクタイトに含まれるリチウムのほぼ2倍である。今回リチウムを含むイライトが見つかったカルデラは約1640万年前にマグマが大噴火した後に形成された。カルデラは、ナトリウムとカリウム、リチウム、塩素、ホウ素を豊富に含むアルカリ性マグマの噴出物で満たされていた。やがてカルデラには湖が出来、リチウムが混じった堆積物の層が形成され、現在では深さ約8.5メートルを超える。その結果スメクタイトと呼ばれる粘土が出来た。Lithium Americas Corporationの地質学者であるThomas Benson氏は、「これまでの研究では、イライトはカルデラの深部に至るところに存在し、高温高圧によってスメクタイトがイライトに変化して形成されたと考えられていました」と言う。だが、これは第一段階に過ぎなかった。その後やがて火山活動が再び活発になると、リチウムを含んだ高温の塩水が先述のスメクタイトに入り込み、希土類金属がそこに注入された。結果、スメクタイトは変性し、リチウムを豊富に含む独特のイライトとなったと推定される。「粘土が地表に近いところに保存されているので、それほど多くの岩石を採取する必要がなく、しかもまだ風化していない、というスイートスポットを突いたようです」とBorst氏は語る。Benson氏によれば、同社は2026年に採掘を開始する予定だという。粘土を水で除去し、遠心分離によってリチウムを含む小さな粒を大きな鉱物から分離する。その後、硫酸タンクで粘土を浸出し、リチウムを抽出する。この方法は、環境への影響、経済的にも有効な方法であるとBorst氏は説明する。「エネルギー消費量の非常に少ない方法、あるいは酸をあまり消費しないプロセスでリチウムを抽出できれば、これは経済的に非常に重要なものになります。アメリカは独自のリチウム供給源を持つことになり、産業界は供給不足におびえることが少なくなるでしょう」。Benson氏は、今回のリチウムを多く含むイライトは、火山性堆積物の中でも「ユニーク」なケースだと考えている。「スメクタイトは比較的豊富です。噴火後のさらなるリチウム鉱床の探査は、流出のない湖で熱水変質した湖底堆積物のあるカルデラに焦点を当てるべきでしょう」。論文 Science Advance: Hydrothermal enrichment of lithium in intracaldera illite-bearing claystones参考文献 Chemistry World: Lithium discovery in US volcano could be biggest deposit ever found via Futurism: COLOSSAL CACHE OF LITHIUM FOUND IN US MAY BE WORLD’S LARGEST研究の要旨電気自動車や送電網用蓄電池に使用されるリチウムイオン電池の世界的な普及に向けた持続可能なサプライチェーンの構築には、地域環境への影響を最小限に抑えたリチウム資源の採掘が必要である。火山堆積物リチウム資源は、廃棄物:鉱石ストリップ比が低く、浅く、高トネージ鉱床である傾向があるため、この要件を満たす可能性がある。Thacker峠のMcDermittカルデラ(米国)南部内のイライトを含む中新世ラクストリン堆積物は、非常に高いリチウム品位(最大1重量%のLi)を含み、カルデラ内のスメクタイトに富む粘土石や世界的に知られている他の粘土石リチウム資源(0.4重量%未満)の全岩リチウム濃度の2倍以上である。原位置で測定されたイライト濃度は、フッ素に富むイライト質粘土岩の中で、リチウムの1.3~2.4重量%の範囲である。Thacker Passのイライトのユニークなリチウム濃縮は、これまで確認されていなかった、新生スメクタイトを含む一次堆積物の二次的なリチウムとフッ素を含む熱水変質によるものである。https://texal.jp/2023/09/11/lithium-deposit-discovered-in-the-u-s-possibly-the-largest-reserves-in-history/ーーーーーー■リチウムの将来性 リチウムイオンバッテリーの需要は高まる一方である。おそらく、特に自動車産業においては取り合いになることだろう。ここで、アメリカが世界最大の産地を手に入れたことになる。 アメリカの産業にとってこれほど力強い支援は今までになかったことだ。当分の間、アメリカのバッテリー製造のトップの地位は安泰だろう。 そればかりか、自動車産業やスマートフォン市場でも強い力を発揮することになりそうである。【自然破壊・汚染などの問題】 今のところ、リチウム・アメリカズ社が米国で採掘を進めているのはタッカー峠だけである。 実は今回のリチウム採掘は、アメリカ先住民族・環境保護団体・地元の牧場主たちから激しく反発され、長い法廷闘争が繰り広げられてきている。 リチウムの採掘の工事が開始されたのはようやく今年になってからのことで、2026年までのリチウム生産が予定されている。 またこれに関連し、米国の大手自動車メーカーゼネラルモーターズ社は1月、リチウム・アメリカズ社に6億5000万ドル(約950億円)を出資し、採掘の第一段階におけるリチウムを独占的に入手する権利を手に入れたと発表している。***