『インディ･ジョーンズ５』の脚本家デヴィッド・コープの降板は吉か凶か？

製作が進められている『インディ･ジョーンズ５』はスティーヴン・スピルバーグが監督を降板して製作として参加、『LOGAN／ローガン』『フォードvsフェラーリ』のジェームズ・マンゴールド監督がメガホンを取ることが決まっているが、実はもう１人降板した人物がいる。スピルバーグ降板と同時に脚本家のデヴィッド・コープも降りていた。

実はコープは自身の監督作で忙しくなるため一度抜けている。その後、『ハン・ソロ／スター・ウォーズ・ストーリー』のジョナサン・カスダン、『ライフ・イットセルフ　未来に続く物語』のダン・フォーゲルマンが脚本、草案の企画で参加していたが、最終的にコープが復帰し、脚本を仕上げていたはずだった。

デヴィッド・コープはハリウッド業界では引っ張りだこの売れっ子脚本家。『ジュラシック・パーク』『ミッション：インポッシブル』『スパイダーマン』（サム・ライミ版）『宇宙戦争』といった数々のヒット作を手掛けてきた。その一方で、『ロスト・ワールド／ジュラシック・パーク』『エージェント：ライアン』（リライト手直し）、『インフェルノ』『ザ・マミー／呪われた砂漠の王女』など売れっ子としての手腕を疑いたくなるダメ映画の脚本も少なくない。ちなみにラジー賞脚本賞では『ミッション：インポッシブル』と『ロスト・ワールド／ジュラシック・パーク』でノミネートされている。前作『インディ･ジョーンズ　クリスタル･スカルの王国』の脚本もコープが執筆しているが、ご存知のとおり同作はラジー賞続編賞にも輝いた珍作として評価は芳しくない。しかし彼を擁護するならば、異次元人（ただの宇宙人）アイデアはジョージ・ルーカスに入れろと言われ、核爆発冷蔵庫脱出案はスピルバーグによるものなので、むしろコープは２人に振り回された被害者なのかもしれない（笑）。

監督就任が正式発表された今年５月下旬の段階で製作の進捗状況について聞かれたマンゴールド監督は「脚本執筆はまだ始まったばかり」とコメントしている。ほとんど完成していたはずのコープ案はやはり「なかったこと」にされていたようだ。今回の降板についてコープは「メガホンを取るジェームズが（新しいインディ･ジョーンズの物語を）描くべきなんだ。スティーヴンが降板した時、ジェームズに任せるべきと思った」と語っている。スピルバーグの代わりにメガホンを取る条件としてマンゴールド側が「ストーリーの練り直し」を要求したのかもしれない。プロデューサーのフランク・マーシャルはマンゴールドについて「彼は本当に素晴らしい監督だし、シリーズへの愛も感じる。まさに適任だと思った」と信頼度100％（？）のコメントを寄せているし（当たり前だがプロデューサーは前向きな発言しかしない）、マンゴールドの演出力も新作が公開されるたびに高く評価されているので、『インディ･ジョーンズ』の世界観にそぐわないトンチンカンな物語にはしないはずだ（そう願っている）。少なくとも「監督するからには自分の考えたストーリーでやることが条件」とライアン・ジョンソン監督がスタジオに要求して作った『スター・ウォーズ／最後のジェダイ』で結果的に『SW』シークエルをガタガタにしてしまった失敗はディズニーもルーカスフィルムも避けたいだろうから、脚本づくりは慎重になっているはず（そう願っている）。