少し変わった流水算 | 受験算数はきょうもおもしろい

以前の記事の続きです。

 

流水算の問題は船の出会い算だったりエンジンが止まったりするものが多いのですが、今回取り上げるのはそのどちらでもないパターンの問題です。

 

900m離れた川の2地点を下流から上流へ、船で上ります。2人乗りと3人乗りの船が1そうずつあり、それぞれの速さの比は無人で静水時に4:3です。以下、それぞれの船を「2人乗り」、「3人乗り」とよぶことにします。どちらの船も人が乗ると、子ども1人あたり毎秒0.3m、大人1人あたり毎秒0.5m遅くなります。2人乗りは、子ども2人を乗せて上るのに4分10秒かかり、3人乗りは、無人で上るのに5分かかりました。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、2そう出るときは同時に出発します。(立教女学院2023)
⑴ 川の流れの速さは毎秒何mですか。

 

右矢印速さの比は無人で静水時に4:3」より無人で静水時の速さを「2人乗り」が秒速④m、「3人乗り」が秒速③mとする。

 

900m離れた川」で「2人乗りは、子ども2人を乗せて上るのに4分10秒」(250秒)かかること、「人が乗ると、子ども1人あたり毎秒0.3m」遅くなることから、川の流速を「川」とすると

 (④-川-0.3×2)×250=900

この式を250でわると ④-川-0.6=3.6

だから ④-川=4.2…❶

 

また「3人乗りは、無人で上るのに5分」(300秒)かかるから

 (③-川)×300=900

この式を300でわると ③-川=3…❷

 

❶と❷で川を消去すると ①=1.2

これと❷より 川=3.6-3=毎秒0.6m

 

⑵ 3人乗りで大人3人が上るのに何分何秒かかりますか。

 

右矢印 3人乗り(無人)の上りの速さは 1.2×3-0.6=秒速3m。人が乗ると「大人1人あたり毎秒0.5m遅く」なるから大人3人乗ると 3-0.5×3=秒速1.5m

よって 900÷1.5=600秒=10分0秒

 

⑶ 大人2人と子ども3人が上るのに最速で何分何秒かかりますか。

 

右矢印 2人乗り(無人)の上りの速さは 1.2×4-0.6=秒速4.2m

 

ここに人が乗ると「子ども1人あたり毎秒0.3m、大人1人あたり毎秒0.5m遅く」なる。

 

とすると大人を乗せる方が遅くなる度合いが大きいから(「2そう出るときは同時に出発」するから遅い方の船の速さが少しでも早くなるように)速い方の2人乗りに大人2人が乗るのが最速となる。

このとき遅い方の3人乗りの速さは(子ども3人が乗るから)3-0.3×3=秒速2.1m

 

よって遅い方の3人乗りの到着時間だけ考えればよいから 900÷2.1=³⁰⁰⁰⁄₇秒=428⁴⁄₇秒 より

最速で 7分8⁴⁄₇秒 かかる 

 

⑷ 5人で上るのに、最速で7分53¹³⁄₁₉秒かかりました。このとき、大人と子どもはそれぞれ何人ですか。また、このとき2人乗りは何分何秒で着きましたか。 

 

右矢印 小問⑶より3人乗りの方が必ず遅れて到着するから3人乗りに注目することとなる。

丸ブルー3人乗りについて

 小問⑶の場合(子ども3人乗せて7分8⁴⁄₇秒)とくらべると本問では「5人で上るのに、最速で7分53¹³⁄₁₉秒」かかった。かかる時間の比が

 7分8⁴⁄₇秒:7分53¹³⁄₁₉秒=³⁰⁰⁰⁄₇秒:⁹⁰⁰⁰⁄₁₉秒=⅐:³⁄₁₉=19:21

だから速さの比はこの逆比で21:19

 

とすると(小問⑶の速さは上の比を⅒倍した秒速2.1mだから)本問の速さは秒速1.9m

これは小問⑶より秒速0.2m遅くなっている。

 

ここで子ども1人を大人1人に入れかえると秒速0.2m(=0.5-0.3)遅くなるから(小問⑶では子ども3人だったから)本問では大人1人と子ども2人だったとわかる

丸レッド2人乗りについて

このとき2人乗りには大人2人が乗っている。なぜならもし2人乗りに子どもが1人でも乗っていたとしたらその子どもは3人乗りに乗っている大人1人と入れかえた方が最速となり条件に合わなくなってしまうから。

よってあわせて 大人は3人、子どもは2人 だった。

また2人乗り(大人2人が乗っている)の速さは秒速3.2m(=4.2-0.5×2)だから 900÷3.2=281¼秒=4分41¼秒 で着いた 完了