【天声人語】2006年04月25日

 米軍の海兵隊の沖縄からグアムへの移転を巡って、日本側が約7千億円を負担することで両国政府が合意した。これだけの負担を課すことについて、日本政府は、どれほどの説明を国民にしてきたのか。大きな負担をするという結論が先にあって、それに向けてすりあわせをしていたようにも見える。


【感想】
キーワード:日米関係
 狭い日本国内に馬鹿みたいにでかい米軍基地がある。日本を守るために駐留しているということについては、まぁ納得できる。自衛隊だけではもしものときに心もとないのが正直な感想である。
 だが、たまにニュースになる米兵による犯罪を見ると、本当に日本のためにいたほうがいいのだろうかという疑問もある。
 アメリカにとって、米軍駐留は日本に中流してやっているという色合いが強いのではないか、という気がしてくる。態度がでかい。とても対等とは思えないのだが。そして今回の7000億円の負担。足元を見られているようでいけ好かないのは自分だけだろうか。
 同盟を重視するのはかまわないのだが、米国と仲良くするだけでは、日本人に愛想をつかされかねない。

【天声人語】2006年04月23日

 北海道の有珠山(うすざん)、長崎の雲仙普賢岳、三宅島・雄山。最近30年間に周辺住民に大きな被害をもたらした火山だ。この間(かん)の地震では、何と言っても阪神大震災がある。

 15日に59歳で亡くなった東大大学院教授の広井脩さんの葬儀には、これらの被災地の関係者からたくさんの花がささげられた。祭壇は、広井さんが30年余り歩いてきた道を指し示していた。


【感想】
キーワード:災害対策
 ここ最近地震が多い。世間では防災意識が高まっているが、実際に対策を講じている人はあまりいないという。面倒くさいというよりも、どうせ来ないだろうと高を括る人が多いような気がする。そういう自分もその一人である。
 こういった人が多い中、実際に天災にに見舞われたら被害が大きくなるのも予想がつく。そして、被災者の支援をしようとする人はもっと少ないだろう。実際に体験してみないことには、被災者の苦しみや大変さを本当に知ることは難しい。
 そんな中、災害対策に全力で取り組んだ人はすばらしい。これまでも多くの被災者を救ってきたのだろう。だがしかし、一部の人が救助をするような現状のままではいけない。無関心の人を減らしたり、何もしないでしている人を巻き込むような支援活動の方法も模索したほうがいいのではないだろうか。古きを取り戻すではないが、最先端技術だけに頼ってしまってはならないと思う。

【天声人語】2006年04月21日

 島根県地方でも台風並みの風が吹き、海はしけた。日韓両国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)周辺での海洋調査に向かう予定だった海上保安庁の測量船は、鳥取沖で長く待機した。

 韓国が調査に強く抗議し、日本でも、他国に言われてやめるわけにはいかないなどという反発が起きていた。実際に現場で衝突するようなことにでもなれば、最悪だ。


【感想】
キーワード:冷静
 頭に血が上るということがある。そんなときは視野狭窄に陥り、なかなか周りにことを考えられなくなる。
 竹島問題、それから靖国参拝問題も日韓、日中のどちらもが頭に血を上らせているような気がしてならない。メディアもそれに乗じて騒ぎ立てる。悪循環である。もっと冷静に対処しなければならないはずなのだが、テレビで見る両国の代表の言葉は、とても冷静には聞こえない。
 国民の意にそぐわない発言をすると、自国に不満の矛先が向く。中国、韓国ともに、こと日本との問題となると血気盛んになるように見える。そう考えれば、下手なことは言えない。その点、日本人は扱いやすい。そこまで頭に血を上らせない。冷静といえば聞こえはいいが、単に無関心なのかもしれない。
 冷静さを欠いたとき、深呼吸をする。そうすれば、荒れ狂う心臓も次第に落ち着きを取り戻す。スポーツをやっている人間には常識である。そしてまた、実際にそうなったときにそうすることは難しいことも知っている。
 とりあえず、お互い深呼吸してから話し始めるようにガイドラインでも作ったらどうだろうか。

【天声人語】2006年04月20日

 犯罪の実行を話し合っただけで罪となる「共謀罪」の新設を盛り込んだ組織的犯罪処罰法などの改正案の審議が、衆院でまた始まる運びだという。改正の本来の目的は、国際的なテロ組織やマフィアによる犯罪の未然の防止だ。

【感想】
キーワード:犯罪
 犯罪を未然に防ぐことは難しい。実際に行動を起こさないと捕まえられないからだ。いくら注意していても、必ず穴が開く。被害者になるかもしれない側の対策は万全にはならない。
 事件を未然に防ぎたい。この考えはわかる。しかし、それを実際に適用するとなると話は別だ。本来の対象以外の人たちが被害を受ける可能性がある。やるならきちんとその辺をしっかりとしてもらいたい。
 人はストレス発散のために冗談を言うが、それすらかなわない世の中はすさんだものになる。安全な社会をつくるための法案が、窮屈な社会をつくってしまってはあまりにも笑えない。審議するなら、もっと視野を広げて考えてもらいたいものだ。

【天声人語】2006年04月19日

 作家の宮部みゆきさんは昔、速記者をしていたことがある。いわば自分を消すこの仕事を、ある対談で「忍びの世界」になぞらえていた。「歴史の影に生きるわれら、みたいな(笑)」(『知的〈手仕事〉の達人たち』大日本印刷)。


【感想】
キーワード:世代交代
 人はいつまでも生きてはいられない。今まで培ってきたことを後世に伝えていくために、世代が交代していく。
 なにもこれは人間に限ったことではない。技術も次から次へと世代交代している。
 例えば音楽。レコードがカセットテープになり、CDになり、MDになり、今はコンピュータの中に入っている。どんどん小さくなって、ついには個々が目に見えなくなってしまった。
 例えば車。日々、新製品が生まれている。それはデザイン的な変化であったり、機能的にな変化であったりと様々である。
 記事のようにもともと人が行っていたことが、機械に取って代わられることも多い。そういうとき、人はさびしい気持ちになるらしい。それが特に自分に関係ない仕事であったとしてもだ。なぜだろうか。そのせいで仕事が亡くなってしまうかもしれない人への哀れみか。それとも、すべてが機械任せになるかもしれないという、ある種の恐れから来る感情か。
 技術進歩が絶対的によいものではないということを、無意識的に考えているからだろうか。

【天声人語】2006年04月18日

 松田正隆さんの戯曲を映画化した「紙屋悦子の青春」は、昭和20年の鹿児島を舞台に、特攻で出撃する青年と、その友や知人の娘との交流を描く。タイトルを掲げる冒頭と最後を除いて、音楽が入っていない。


【感想】
キーワード:音楽
 映画やドラマで流れる主題歌や挿入歌は、その場面を盛り上げるための重要な演出だ。ドラマで使われた名も知られていない歌手の曲がヒットするということもよくある。場面と曲の相乗効果が、曲の売り上げを伸ばしているのか。
 曲を聴くと昔の記憶が呼び起こされることがある。「思い出の曲」というやつだ。人は曲と場面を関連付けて覚えることがある。そういう曲はいつ聴いても懐かしい。

 現代人は音楽と密接に関わっている。だが、CDは売れなくなっているという。レンタルで済ませたり、インターネットでダウンロードする人が増加したせいだろう。技術の進歩が業界を揺さぶっている。
 これから先も、音楽は人と密接に関わり続けるだろう。このまま廃れていかないでほしいと願う。

【天声人語】2006年04月17日

 島尾優(まさる)さんは徳島県阿南市の漁師だった。5年前の春、沖合で操業中に漁網の巻き取り機に巻き込まれて亡くなった。45歳だった。


 事故のとき、喜美子さんは小学5年だった。「とても悲しかった」とつづり、「母はショックのあまり、食べ物がのどを通らないほどだった」と書いた。


 どうやって立ち直ったのですか。母親の抄子(しょうこ)さんに尋ねた。寝込んでいた抄子さんのそばで、喜美子さんが「試練はな、乗り越えてこそ完璧(かんぺき)やろ」と言ったそうだ。


【感想】
キーワード:試練
 順風満帆な人生を歩む人はあまりいない。時期も程度も内容も様々だが、誰もが壁にぶつかる。
 自分にとっての試練はいつだったろうか。
 まずは高校1年のとき、1学期の期末試験で赤点を取ったことか。中学まではそれなりに成績はよかったが、これからは違うということを思い知らされた。
 次は受験か。1年浪人した。結果的には自分が思っていたよりもよいところへ行けた。壁を乗り越えたということだろうか。
 そして、就活と卒論。卒論の壁は何とか越えたが、まだ就活の壁が残っている。今までよりも高いが、前は見上げるほど高かった壁が、今では少し低くなった気がする。
 これから先、今よりずっと高い壁が立ちはだかるのだろう。そこにたどり着くためにも、今はただ目の前の壁を越えて進む道を探す。

【天声人語】2006年04月16日

 昨年亡くなった丹下健三さんが設計した東京都庁は、わずか15年で傷みが目立っているという。完成当初は奇抜なデザインで「バブルの塔」とも呼ばれたが、職員がバケツとビニールシートを使って、雨漏りを防いでいるのが現状だ。「見栄え」と使い勝手の両立は、どこでもなかなか難しいようだ。

【感想】
キーワード:見栄え
 奇抜な外見は確かに一見すると目を奪われるものだが、見慣れてくるとどうということも無くなる。それならば見栄えよりも機能性を重視したほうがいいものだが、そうでないものもたくさんある。やはり、それは人は外見にだまされやすいからなのだろう。
 建物のデザインを重視すれば、そうでないものに比べて金がかかる。建設時だけでなく、その後の維持費もよけいにかかってしまう。
 そこを使う人にとっては外見よりも中身のほうが大事だ。計画する側も実際にデザインする側も、利用者のニーズがわかっていない。これらのギャップを埋めるのもプロの仕事だが、なかなか難しいらしい。

【天声人語】2006年04月15日

 金融庁は、消費者金融の大手「アイフル」が複数の店で強引な取り立てをしていたとして、全店での業務の停止命令を出した。高い業績をあげる一方で、強引な取り立てへの苦情が急増していた。

【感想】
キーワード:金
 近頃、消費者金融のCMが多くなった。電車の中でも広告をよく見かける。金を借りる人が増えたのだろうか。そんな疑問を持っていた。
 アイフルが業務停止。今までにない厳しい措置だそうだ。テレビでアイフル社長が、行き過ぎた成果主義が云々と言っているのを見て、はて?と疑問に思った。金貸しが成果主義をやろうとすれば、たくさん貸してとにかく取り立てる、ということが真っ先に思い浮かぶ。製造業のように何を生み出すわけでもない金貸しが成果主義を掲げるとは、と笑いたくもなる。
 話題になったことで金融制度も多少見直されるだろうか。きっちり国に動いてもらいたいところだ。

【天声人語】2006年04月14日

 自民、公明両党の教育基本法改正に関する検討会が、「愛国心」の表現で合意した。「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」とされた。


【感想】
キーワード:漢字
 外人にとって日本は難しいという。その大きな原因となるのは漢字だろう。英語はアルファベットの大文字小文字合わせて52文字程度しかない。一方、日本語はひらがなだけで50文字近くある。そして何より漢字の種類の多さ。そして複雑さである。
 漢字には一つ一つ意味がある。それは見た目をデフォルメしたものだったり、2つ以上の漢字を組み合わせたりとさまざまだが、部分ごとの意味をおさえておけば知らないものでもある程度の意味がわかったりする。
 子供の頃は、この漢字の組み合わせがパズルみたいで面白く、漢和辞典を調べるのが好きだった。今はパソコンに入力して簡単に漢字を調べられてしまう。自分で字を書くことも減った。便利な反面、自分の子供の頃のように感じのパズルの面白さに触れることが減ってしまうのは残念に思う。