【天声人語】2006年04月19日

 作家の宮部みゆきさんは昔、速記者をしていたことがある。いわば自分を消すこの仕事を、ある対談で「忍びの世界」になぞらえていた。「歴史の影に生きるわれら、みたいな(笑)」(『知的〈手仕事〉の達人たち』大日本印刷)。


【感想】
キーワード:世代交代
 人はいつまでも生きてはいられない。今まで培ってきたことを後世に伝えていくために、世代が交代していく。
 なにもこれは人間に限ったことではない。技術も次から次へと世代交代している。
 例えば音楽。レコードがカセットテープになり、CDになり、MDになり、今はコンピュータの中に入っている。どんどん小さくなって、ついには個々が目に見えなくなってしまった。
 例えば車。日々、新製品が生まれている。それはデザイン的な変化であったり、機能的にな変化であったりと様々である。
 記事のようにもともと人が行っていたことが、機械に取って代わられることも多い。そういうとき、人はさびしい気持ちになるらしい。それが特に自分に関係ない仕事であったとしてもだ。なぜだろうか。そのせいで仕事が亡くなってしまうかもしれない人への哀れみか。それとも、すべてが機械任せになるかもしれないという、ある種の恐れから来る感情か。
 技術進歩が絶対的によいものではないということを、無意識的に考えているからだろうか。