- 小西 聖子
- トラウマの心理学―心の傷と向きあう方法
NHKライブラリーから出版されており、
内容も、心理学の専門家にありがちな、
偏ったお堅い書き方ではなく、
ある程度、読書になれている方については、
容易に読める内容です。
この本の中で、心に響いた内容を一部抜粋して、
このブログに掲載させていただきます。
第6章 被害にあったとき
突然家族を失ったとき
より
【しかし、気の毒だからと言って情報から遠ざけたり、周りが勝手に判断したりすることは、よくないことです。「事実を知ること」は、遺族にとって権利でもあり、回復にとっても重要なことだからです。必要なことを判断することは自分自身の自立感の回復にも役立ちます。】
【「覗き見の高揚感」トラウマティックなできごとの現場にはいつもただよっています。】
【普段から、おしゃべり好きの人や、興奮しやすい人は、こういう直後の援助には自分は向いていないと思ってください。】
性暴力の被害にあったとき
より
【途中から、苦痛が消えてしまって記憶がないという人もいます。どの場合もその人にとってはその選択しかなかったということがほとんどです。】
【大事なことは、警察に通報するかどうか、検査をするかどうか、みんな基本的には被害を受けた本人が決めることであるということです。本人もどうしていいかわからない場合も多いと思いますが、でもそういうときは決定を後に伸ばしてでも本人の意向を尊重してください。どうしてもそれはおかしいと思えるときはよく話し合います。本人によかれと思って説明なく独断専行することはやめましょう。】
心理教育
より
【被害を受けたときにどんな感情が起こってくるか、どんな事象が起こってくるか、きちんと情報が得られれば、それだけで、かなり安定する被害者もいます。】
具合が悪くなるのは当然だと知る
より
【まず大事なことは、そういうことがあったあと、心身の具合が悪くなるのは当然だということを知ることです。そんなことは当たり前じゃないかと言われそうですが、ほとんどの人がそう思っていません。からだの具合が悪くなったり、生活ができなくなったり、いつまでもそういうことが続くのは、自分が弱いからだと思っている人がたくさんいます。】
【仕事ができなくなるのも普通のことです。集中力がなくなったり、興味や関心を失ったりして、今までよりずっと能力が下がったように感じられます。】
【ショックを受けた人は落ち込んだり不安になったりしていますが、そういうときに、自分が落ち込んだり不安になっていると知ることは実は難しいことです。ですから、自責的になったり、からだがうまく動かなかったり、不安のあまりドキドキするようなことがあるのだ、ということを具体的に知ってもらうことも大事です。】
【悲しいという感情は安定しないと出てきません。】
助けを求める
より
【人と会いたくない人は半数を超えています。わかってくれる人と話をすることが必要です。】
日常生活を保つ
より
【被害の直後の生活というのは想像を絶するものです。ほとんど食べていない人もいれば、ほとんど寝ていない人もいます。 ~中略~ 時たま思い出したように食べるだけであったりします。 ~中略~ 決して、普通の生活が保たれているわけではありません。】
薬の助け
より
【PTSDの治療は、基本的には精神療法で行われるもので、薬はそれと併用される、というふうに考えてください。でも、一時的にでも症状を楽にするものというのは非常に大事です。楽になれば、それで何かできることが増えます。】
自分を責めない
より
【罪悪感というものはどうしても起こってくるものだということを知ること、不合理なことをいっていても、それを頭ごなしに否定したりしないこと、でもあなたが悪いのではない、ということをゆっくり話していくこと、その三つが必要です。】
話を聞くこと
より
【話したいように話してもらう、話せるだけ話してもらう。感情を受け止める。良い感情や自分が自分が持ちそうな感情だけではなく、すべての感情を受け止めることが大事です。】
【話を聞いて感情を受け入れるといったときに、 ~中略~ そういうような聞き方では本当は聞いていないということは、すぐ、被害者にはわかってしまいます。被害を受けた人はとても敏感です。】
【このような感情こそ受け入れられる必要があります。誰かを殺したいと思うほど強い怒りがあること。そのような怒りが出てくるには、それなりの経緯があったにちがいありません。その怒りに関しては、たくさん話すことがあるはずです。自分が死にたいと思うことに関しても、なぜ死にたいのか、どういうふうにして死にたいのか、それがどういう意味があるのか、どういうふうに助けてほしいのか、本人に言葉にしてもらう必要のあることはたくさんあります。そういうことをしっかり聞く必要があります。
でも、これはなかなか難しいことです。】
第7章 子どもの心の傷
子どもの犯罪被害
より
【当事者にとっては「事件後」は長く続く現実なのだということを忘れないでほしいと思います。 ~中略~ 事件のケアとはちょっとやるとすっきり治る頭痛薬みたいなものだと思うおそれがあります。 ~中略~ それぞれのニーズを意識して、重層的にすすめていかなければならないものなのです。】
【とりあえず被害を受けた子どもに対して、周り中の人たちが事件がなかったようにふるまうとう対応が、一番多かったのではないかと思います。けれども、子どもの受けるショックは予想外に大きく、長い後にまで影響することがあることが、米国における研究からわかってきて、子どものケアの必要性が叫ばれるようになりました。そして今や日本でも、子どもの心の傷とその回復は現実的な問題になっているわけです。】
【子どもはケロッとしているように見えることも多いのです。泣きわめいたりするよりは、むしろしっかりして冷静なように見えることが多いと思います。】
【特に小学生くらいまでの子どもは、さまざまな状態を言葉で表現することができません。大人のように、苦しい、不安だ、腹が立つ、と言葉では言えないのです。でもそのような感情がないわけではなく、子どもも大人と同じように不安や恐怖を持ったり、事件が自分のせいではないかと考えたりします。たとえば、事件が起こったのは、自分がケンカをしたからではないか、と子どもは真剣に考えることがあります。】
他にも、山のように、
私自身の心に響いた文章が沢山ありますが、
打ち疲れたので・・・il||li _| ̄|○ il||li
このへんにしておきます。
読む方も、すごく疲れると思います。