[A] Across The Universe -17ページ目

償い / 矢口 敦子

社会派ミステリーとでも言えばよいのだろうか。
初めて読む作家だが、高村薫をやや丸くした雰囲気を感じる。

設定も重い。
テーマも重い。
物語に一貫して流れている重さは、現代の「陰」の部分を誇張して描かれているからだ。

脳外科医ながら家庭を顧みなかった結果が家庭崩壊を招き、ホームレスへと転落していく主人公。

いわゆる学習の面ではトップクラスだが、心にゆがみを持つ15歳の少年。

とあるベッドタウンで起きた、火事と思われた殺人事件は、ホームレスの周囲を巻き込みながら思わぬ方向に展開して行く。



「人の心を殺すこと」は罪なのか。
そして、その償いとは。

答えは提示されない。


そもそも心は殺されてしまうものなのか。
それとも、心を殺されてしまうような人がいる現代社会を憂いているのか。

著者の投げかける問い自体が重過ぎて、考えあぐねている。



償い (幻冬舎文庫)
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矢口 敦子
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おすすめ度の平均: 3.0
2 終わり方に・・・
4 帯の言葉にまどわされるな
3 気になる
2 前半に布石をあちこち置いてあるが
2 逆説変則的な優性論では、ないのか?


イニシエーション・ラブ / 乾くるみ

噂どおりの小説だった。

噂に乗せられて期待すると、大抵ロクなことはないのだが、今回は違った。

気持ちが良いほど思いっきり騙された。
出来の悪い日記のような恋愛小説を読まされていると思ったら大間違いだった。

別にトリックがあるわけではなく、勝手に読者が騙される。
叙述ミステリーの面白さ。

最後の2行で驚く、と聞いていたので警戒しながら読んでいたのだが、
まさしく「最後の2行」で?????


悔しいが、もう一度読み直さざるを得なかった。

読み直すと浮かび上がってくる新たなストーリー。

最後のたった2行で、出来の悪い恋愛小説が一気にミステリーとなる。
本格派ではないが、これだからミステリーはやめられない。

すごいなぁ、よく出来てるなぁ。



ひとつだけ騙されなかったこと。
女性が書く文体にしては違和感があるな、と思いつつ読んでいたが、調べて見ると、案の定「乾くるみ」は男性だった。


イニシエーション・ラブ (文春文庫 い 66-1)
乾 くるみ
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4 なるほど
4 ユニークな本
3 全く気づきませんでした
4 王道にはなり得ないけど。。
4 ☆初めて読み返した小説


3つの真実 / 野口嘉則

やはり野口さんは語りがうまい。

仕事バリバリの男が人生のバランスを取り戻して行く話。

彼のブログを以前から読んでいるが、彼の人柄がにじみ出てくるようだ。
だから、「鏡の法則」の時も素直に感動できたし、今回のこの本も良くないわけがない。

はっきり言って、成功法則を読みこなしている人であれば、出てくる内容は目新しいものではないはずだ。
しかし、そこは野口さんの力量で素晴らしい物語に仕上がっている。
神田さんの「成功者の告白」をファンタジックに仕上げるとこうなるのかもしれない。

「鏡の法則」を読まれた方々がこの本を読んで、さらに真実を知るようになれば、社会はもっともっと柔らかく、生きやすくなると思う。

この本を読んだのも実は必然。
老人がいうように「すべての人間にメッセージは届けられるのじゃ。必要なときに最善なタイミングでな」

この老人の言葉は、森信三先生の
「人は一生のうち、出会うべ. き人には必ず出会う。一瞬遅すぎず、早すぎず」
を意識されているのかもしれないが、大好きな言葉だ。




3つの真実 人生を変える“愛と幸せと豊かさの秘密”
野口嘉則
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5 シークレットを超えている
5 あえて言うなら
5 多くの方に読んで頂きたい本です。
4 待望の第二弾は・・・
5 人生の岐路でたまたま手にとった本


朝EXPO

朝EXPO。

「朝の時間をデザインする」というテーマで、今週丸の内界隈で早朝に開催されているイベント。

ジョギングしたり、フィットネスしたり、落語を聴いたり出来るようですが、国際フォーラム広場では「朝ごはん」の屋台が展開中。


旅行のホテルや旅館でしか朝ご飯は食べないけど、ちょっと気になるので昨日と今日は出社前に「朝ごはん」をいただいてみた。


昨日は「高菜ご飯とだご汁」
asa
去年阿蘇に行ったときに食べられなかったんだよな「だご汁」。
ご飯の上に乗っている「ごぼう」が少し甘かったかな。
でもおいしくいただきました。



今日はこらーげんたっぷり「鳥がゆ」。
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薄味でウマウマ。
おなかにも優しくて、朝ごはんにはちょうど良い。


朝ごはん食べて、今週はヘルシーな週になりそうだ。

といいつつ、朝は抜いたほうが体調が良いような気はしているのですが。

モリー先生との火曜日 / ミッチ・アルボム

1979年、マサチューセッツ州の大学では卒業式が行われていた。
芝生の上には教授と生徒。

モリーとミッチ。

非常に信頼しあっていた師弟だったが、卒業後は連絡をとることがなかった。


ミッチはジャーナリストとして成功していた。
1994年、ABCテレビの「ナイトライン」を見ていたミッチはそこにモリーが映っているのを見て驚く。
それも、余命数年の筋萎縮性側索硬化症(通称ALS)患者として。

ミッチは車を飛ばして、久しぶりに会いに行く。
残り少ない、毎週火曜のモリーの講義が始まった。

人生、生活、社会。
死が隣にありながら、淡々と会話を重ねて行く彼らの周りの時間は静かに流れる。
静かな強さをたたえて。

私がモリー先生に対して抱く感想は、その柔らかな口調や振る舞いからは想像出来ない「強さ」である。
何者にも惑わされない信念である。
強い信念さえあれば、迷い、嘆き、悲しむことはない。



「死ぬっていうのはね、悲しいことの一つにすぎないんだよ。不幸な生き方をするのはまた別なことだ。ここへ来る人の中には不幸な人がずいぶんいる」



普及版 モリー先生との火曜日
ミッチ・アルボム
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おすすめ度の平均: 5.0
5 現代社会の垢を落としてくれる名作
5 定価950円のこの重さ・・・
4 素敵な話だと思う。でも人工呼吸器をつけた豊かな生という選択もあったはず。
5 人は皆死ぬ
5 素敵なことば


T-SQUARE SUPER BAND @ 日比谷野音

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しばらく聞いてなかったけど、去年の東京Jazzで久しぶりにスクエアを聞いて、青春時代を思い出し、今年は20年ぶりにライブへ行ってきた。

なんとスクエアも30周年!
サザンと同じキャリアだった。

私の中高時代はフュージョン全盛期で、チェッカーズや中森明菜を聞きながら、スクエアやカシオペアを聞いていた。

ただし、スクエアはジャズ好きからはナンパと言われていたけど…

伊藤たけしが一度脱退してから全く聞かなくなってしまっていた。
今は復帰してマックのCMで見て驚いたけど。

そんな彼らも30年。
自分もあれから30年。

歴代のメンバーが集合して、なんと総勢15人のビッグバンド。
ドラムスだけで4台。
ギターが2人、ベースが3人、キーボード3人、サックス2人、パーカッション1人。

古い曲から今の曲までたっぷり2時間30分。

フュージョンであれだけ踊って、拳を振り上げるのはスクエアだけだろうな。

初秋にコオロギの声を聞きながら、都会のオアシスでのライブは最高だった。

ラストホープ / 福島幸徳

神の手を持つ脳外科医、と言われる福島先生。
TVで何度かご覧になったことがある人も多いだろう。

とにかく福島先生は手術の数が多い。
今でも年間400例。
日本の大規模な総合病院でも年間手術数は多くて200か300。
主な活動拠点はアメリカながら、年に数度は日本で手術も行う。
数日の滞在期間中でも、連日朝から晩まで何例もの手術をこなす。
すべては「患者さんのため」

福島先生は、患者に「私がやるんだから大丈夫」と言って患者を励ます。
これは患者にとって何より心強い。
医療訴訟の多くなっている現在、リスクをこれでもかと列挙する医者はいても「任せておけ!」と言ってくれる医者はほとんどいない。
たったその一言で、精神的に患者はどれだけ救われるかわからないのに・・・

福島先生が常に口にする言葉は二つ。
一つが「一発全治」
もう一つが「すべてを患者さんのために」

あるとき、手術前に福島先生が激怒した。
女性の患者さんの髪の剃り跡から所々出血していた。
女性が、術後に鏡を見た時、自分の頭の剃り跡を見て悲しむであろうと考えてのことだった。


本では、福島先生自ら名医の探し方を伝授してくれている。
そして、福島先生が信頼する日本の脳外科医もリストアップされている。

医療とはきれいごとではない。

きれいごとではないが、医者がどちら側の味方かによって医療は大きく異なる。


そもそも「神の手」ってなんでしょう?
医者が「ゴッド・ハンド」と言われる場合には「なんでも治してしまう手」を意味してるんでしょうね。
なんでも治せる医者はいるんでしょうか?
非常に残念ですが、いません。
私自身も、この世のすべての病気を治しているわけではありません。
だから、私の手は「神の手」ではないんです。
神の手を持っていないからこそ、手術のときに祈るんです。
「神様、どうかこの人を救ってください」
「どうか、私にこの人を救う力を貸してください」とね。




ラストホープ 福島孝徳 「神の手」と呼ばれる世界TOPの脳外科医
福島 孝徳
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おすすめ度の平均: 4.5
3 患者にとってはスーパースター、医学界にとっては異端児
5 患者を最優先するお医者様、ビジネス書としても最高です!
5 ただの「すごい脳外科の話し」におさまらない、素晴らしい本。
5 これはすごい!努力家にして天才。
5 今からでも、福島さんのお嫁さんになりたい!


七蔵@新橋

新橋は実はあまり好んで行く場所ではない。
あの猥雑な雰囲気がどうにも好きになれず、飲みに行くのもあえて新橋は避けてしまう。

しかし、うまいものにありつけるとなると話は別。

新橋駅前ビルという、本当に駅前にある古ーいビルの中にそのうどん屋はあった。

ビルの中も「新橋」を濃縮したような雰囲気。
その2階には老若男女が列をなしていた店が「七蔵」。

ランチメニューはシンプル。
稲庭うどんのつけ麺、大中小。
300円プラスしてどんぶりを付けることもできる。

稲庭うどんの「中」と、マグロづけ丼を頼んでみた。
これは、見た目だけですでに合格。


七蔵


この透き通るような麺のツヤツヤ感に加えて、食感はシコシコ。
付けダレは、ごまの風味。
このごま風味もくどくなく、甘くなく絶妙。
麺を食べ終わった後は、この付けダレにお湯を入れてごま風味のスープにしていただく。

新橋で働いている人は幸せである。



後日、夜に自慢のローストビーフを食べてみた。
これがまた柔らかくて絶品だ。
いままで食べてきたローストビーフは「ニセモノ」だったのではないか。

夜も最強のうどん屋だった。

月刊致知創刊30周年

今月9月で月刊致知はなんと創刊30周年。
13日はオークラ記念講演会と、パーティーに出席してきた。

なんと参加者は1300人を超えるそうで、講演会は別室でモニター鑑賞の方もいらっしゃった。
13:30から16:45までが講演会。
鍵山秀三郎先生、渡部昇一先生、藤尾秀昭社長、それぞれ素晴らしい内容で手帳が真っ黒になった。

渡部昇一先生の「人間の心は自然科学では捉えられない」という話が印象的だった。
人間の心は人それぞれであって、普遍的なものではなく、枠に当てはめることはできない。
どういうことかと言うと、何か事件が起きるたびに、犯人の幼少時や生活環境等を取り上げるが、あれはナンセンスだということ。
貧しくても大成する人はいるし、裕福で親の愛をたっぷり受けてもドロップアウトする奴もいる。
では、何が原因か。
先生がおっしゃるに、「すべては本人の心の問題」なのである、と。
本人の心が磨かれていないがために、挫折するのだと。
だから、心を磨くためには「致知」を読みましょう、と言う締めだった。


18:30からは場所を移してパーティー。
まずは何を置いても、先生たちにご挨拶。

稲盛和夫氏、渡部昇一氏、鍵山秀三郎氏、北尾吉孝氏、米長邦夫氏。
すごい方々と名刺交換、握手。
一人で行ったので誰とも話さず一人で淡々と飲んで食べるだけだったが、お目にかかれただけでも行った甲斐があった。

次のパーティーは5年後。
それまでには鍛錬を積んで、誰かを招待したい。


ちち

おじいちゃん戦争のことを教えて / 中条高徳

月刊致知の読者にはおなじみの中条先生のご著書。

この本が出来上がるきっかけは、NYに転勤で引っ越した中条先生の孫娘さんの学校の宿題だった。
孫娘の景子さんが先生から出された課題は、戦争体験者の話を聞いてレポートすること。
景子さんの願いを聞いて中条先生が、当時の体験を文章にしたものがこの本である。

中条先生は、いわゆる自虐史観の対極に立場を置かれる。

自虐史観。
戦後生まれの私たちは自虐史観に彩られた教育を受けてきたと言われる。
自分のことを思うに、そういった面も確かにあったのかもしれないとは思う。
しかし、それ以前に私たちは教育として近代日本の歩みをまったく教えてもらっていない。
考える材料を提示してもらわなかった。

戦争があった。
日本は中国を侵略して真珠湾を攻撃し、原爆を落とされた。
悪いことをした日本は反省しなければならない。
義務教育の頃は、単純にそう思ってきた。

自分で興味を持って戦争に至る経緯、戦況に関する書物等を読むと、まったく違った事実が浮かび上がってくる。
戦争とは国益と国益の衝突である。
絶対正義と絶対悪のせめぎ合いではない。

戦争など絶対に繰り返して欲しくないと固く思う。
でも、あの戦争をいろいろ調べるうちにやはり我が国だけが悪かったわけではない、と思う。
かといって、戦争に至る過程において選択に過ちがなかったとも思わない。
複雑になるが・・・

これからの若者が正しい事実を教わって、未来永劫この国が誤った選択をすることのないように願う。
そのきっかけとして読むには最高の本だと思う。




おじいちゃん戦争のことを教えて―孫娘からの質問状
中条 高徳
致知出版社
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おすすめ度の平均: 4.5
5 歴史と日本人の心を、とても解り易い言葉で丁寧にが、凄い!!
4 さきの大戦について考える
5 5★「誇り」がつまった伝記本
5 戦時中の日本を知るために
5 とても大事なモノに気づかされました