モスゴジ 倉田浜干拓地出現 の雑記 その1
こんばんは
今回のモスゴジの製作日記みたいなもんです。
そもそも、サイボットを終えた後はバキシムを造ろうと思っていた、というか芯程度は出来ていたんですが、WFでゴートさんの凄いバキシムを見てひっくり返りまして(笑)
で、改造パンドン。これはラフ程度は造ってました。ただ、サイズが小さかった。実寸27センチくらいになってしまってて、途中で放置…。
で、84スーツ版。スカルピーで製作記事みたいなことやってましたが、顔を修正しだして止まらなくなってしまった。そうなるとスカルピーの意味が無い(笑)
で、モスゴジです。
丁度その頃にダイモスの村上さんと長居で飲んでて
「自分(猫族)は恵まれすぎとる!浅井さんとか丹羽ちゃんとかが周囲におるやろ。俺らの時代は皆独りで頑張ったもんや」
みたいな感じの指摘をしていただきました。
これが結構効きました。
確かにあのサイボットは、お二人にかなりアチコチ「ここがおかしい、あそこがおかしい」とダメだしをして貰ってようやく完成まで持っていけたんです。ただ、それだと確かに意味ないですよね。
で、今回は全部独りでやろうと決めました。
村上さん、御指導ありがとうございました。
で、またまた丁度そんなとき。
鮫順さんがブログでアップされてたモスゴジのスチールを見たんです。
月へ帰る
鮫順さんより許可を経てお借りしてます。
これ。
僕が劇中で最も好きなシーンの顔とほぼ同じ。これは格好良い。
そして、鮫順さんも「この写真は好きだ」と言っておられる。
嬉しかったですね。
で、モスゴジやろうと決めました。
素材はラドールを選択しました。昭和のゴジラの土臭さをだすためです。
ちなみにサイボットはMrクレイの芯に、マジックスカルプを3箱ぐらい使って表面処理をしています。
84は映画自体が特撮ではなく、SFXを目指していました。だから皮膚の感じもあのようにしたのですが、昭和をやる以上はもっとボサボサした素材を使おうと思いました。
僕は昭和と84は根本的に別物だと考えています。どちらも好きですが…。
で、モスゴジを選択したもう一つの理由。
浅井さんの30cm2作目、丹羽先輩の2作目、共にモスゴジなんです。
勿論御二人は現役の超A級原型師でして、素人の僕とは根本的に違いますが、これはもう是非モスゴジを造らんと、と思いました(笑)。
モスゴジ造って奴らに挑む!
その2へ
造形怪物怪獣大全集
ネットも復旧しましたし。
そろそろ宿題も片付けていきます。
モスゴジを作っている間、家から出ていないわけではなく、いろいろ動いてはいました。
過去に拙ブログでは、単語としては取り上げていました「造形怪物怪獣大全集」。
先日、著者の西尾様と遂に対面できました。
西尾様は浅井造型とも結構繋がりが深く(初期のラインナップの選定に関わっておられます)、浅井さんを通じて連絡をとっておりました。
で、是非会いましょうということになったのですが、なかなかスケジュールの御都合がつかず、先延ばしに。
しかし、先月急きょ連絡を頂き、浅井造型旧本社にてそれが叶いました。
僕が「造形怪物怪獣大全集」から受けた影響は多々ありまして、去年の80年代ガレージ、バンダイトイの考察や、ダイモス中井親分のインタビュー等、きっとこの本を読んでいなかったらおこなっていなかったと思います。
ガレージの歴史の考察をやりたいとか以前書いていたのですが、西尾様も拙ブログを読んでくださっていたみたいで、冷や汗ものでした。
造型怪物怪獣大全集は、90年代末期に西尾様が怪獣ガレージの各作家ごとの考察、検証を行ったものです。
Vol.1が井上雅夫氏、以後、大石透(マーメイド)氏、高垣利信氏、トリアーデ(ウエノヌメロ氏)、ハマハヤオ氏と続きます。
原詠人氏は当時構想のみ、浅井氏のも構想はあったようです(後述)。
基本的にコピー配本という形式に加え、口コミでの配布だった為に、そんなに出回っていません。
で、ハマ氏を除く各号は、第2版まであります。
そしてハマ氏の初版の際に、御自身用にそれまでの各号2版+ハマ初版で製本化されています。
僕が所持(というより浅井さんから借りてた)していたのは、ハマハヤオを除く各号の初版でして、今回各号第2版+ハマ初版の製本されたバージョンを西尾様御本人からお借りし、改めてその内容の違いに驚きました。第2版は大幅に内容が増補されており、特に井上さんのVol.1は第2版では2倍近くのボリュームになっています。
で、初見となるビリケンハマハヤオ氏の号には、西尾様の観点からの「ガレージの歴史の総括」に近い文章があります。
これには驚きましたし、嬉しかったです。
で、僕自身バイブルのような本ですし、出来る事なら構想のあった二人(原、浅井)の補完、並びにゼロ年代のガレージの総括も含めた文章を入れ、「完全版」として纏め上げたものを復刊していただきたいとお願いしていたのですが。…結果としてそれは難しいかもしれません。
今回お会いし、その辺りをすっきりさせたかったのですが、皆でお酒飲んで盛り上がっちゃって(汗)
浅井編が「近すぎて書けない」という点に加え、現在西尾様の本職が多忙を極めている点も大きいです。
過去に出た分だけをスキャニング、という案もありましたが、製本されている2版+ハマ初版はバラせないのでスキャンは無理です。
浅井編を僕が担当(僕なら遠慮なしに書きます・笑)する案も出ました。
が、正直、造形怪物怪獣大全集の執筆に加わるのは恐れ多すぎますし、第一西尾様の文体を書物の中で一貫すべきだとも思います。
西尾様御自身は、作家ごとの写真集的なニュアンスも多分に含みつつ編集、執筆されたのだと思います。
しかし、この作品集の本来の価値は 西尾様の手による批評 という点にこそあります。
鋭い切り口で造型物を纏め上げた“書籍版ガレージキット”とでもいうべき逸品です。
あるいは、その点のみを尊重し、書籍化された2版+ハマ初版を、僕が全部入力し直す、というやり方も“あり”なのかもしれません。気が遠くなりそうですが(笑)
長々と書きましたが、結局のところ方向性がまとまっておらず、申し訳ございません。
しかし憧れの著者にお会いできた、という点は凄くうれしかったです。ミーハーな纏めでスミマセン。
ダイモス中井三郎氏インタビュー まとめ
このインタビューは8月に京都のPAO本社で聞き手も話し手もベロベロに酔っ払いながら行ったものでして、今回文字おこしが大変でした。
怪獣のラテックス製可動モデルは、それこそリアルホビーの昔から憧れの怪獣モデルの一つでありました。
多分にヤマダマサミ氏の可動モデルを使った小学館の図鑑等で刷り込みがなされていたからかもしれませんが、「家庭用サイズで」「実物同様の皮を被った」「可動モデル」という存在にはトキメクものがあるのです。
中井氏の作品群の特徴に、その巨大感というものが挙げられます。80、90年代に製作されたものはいずれもみなそのサイズが50cmクラスの巨大なものでした。
サイクロプス、84ゴジラ等、肉感を感じさせるキャラクターにとって、この巨大感と、ラテックスをまとった張りつめたプロポーションは非常に有効に作用していると言えます。
今回、HJ誌に載ったイーマ竜は、村上氏が製作されたラテックス習作であったことを本人からお伺いしました。「ダイモスやる以上、お前もラテやっとけ」との中井氏の言葉で製作したそうです。
その村上氏がPAO時代に発表したミレゴジ。全体のバランス、その巨大感は実物スーツ以上にゴジラらしい造型で、15年前に中井氏が造られた作品群とトータルの雰囲気が非常に似通ったもののように感じられました。
2000年当時、HJEXの写真を見て、あぁダイモス健在だなぁ…と感じた記憶があります。
そんなわけで、80年代に少年時代を過ごした僕には、今回の質問は大変楽しいものでした。
確かにレジンキットが主流であるガレージの世界では異端かもしれませんが、その精神性、製作過程は紛れもなくガレージのそれと同様であると考えます。
現在、ダイモスは村上氏が主宰するガレージメーカーとして精力的に活動しているのは皆様ご存じのとおりです。中井氏も、大戸島サミットで久々の新作を披露されました。80年代に誕生したユニットが、2011年の現在もこのように存続しているのは、なんとも嬉しい事実です。
最後になりましたが、長時間に及ぶ聞き取りに付き合ってくださった中井さん、全面協力してくださった村上さん、ありがとうございました。
ダイモス中井三郎氏作品リスト
中井三郎 製作リスト
●84ゴジラ ラテックス 50cm 85年 ダイモス
スーツ版で製作。
●カネゴン ラテックス 30cm 85年 ダイモス
口のチャックが開閉できたという。
●ジャミラ 25cm ?年 ダイモス
●キングコング 50cm 85年?ダイモス
Bクラブ誌で特集 台座はステンレス製で台座を含めると70cm以上の巨大モデル。
中井氏自宅に現存する。
●ギルマン ラテックス 50cm 85年 ダイモス
洋モンスター初造型作品
●ガイガン ラテックス 70~80cm 85年 ダイモス
京都「ムー帝国」より依頼製作。
●サイクロプス ホームレイテックス ラテックス 50cm 86年 ダイモス
ホームレイテックス製のファーストモデルと、ラテックス製のモデルが存在する。
ホームレイテックス製のモデルは製作後数年で劣化したという。
一方でラテックス製のモデルは健在で、2010 年のダイモス個展でも美しい状態で展示された。
ホームレイテックスは、当時、東急ハンズのスタッフにも詳細が判らず、中井氏の製作は貴重なデータとなった。
[頭部3部作]
●ギルマンヘッド 複合素材 86年位? ダイモス
●シンジェノアヘッド 同上
●エイリアンヘッド 同上
京都「ムー帝国」時代に製作。ギミックを仕込んだモデルが「宇宙船」誌上に発表され、評判を呼んだ。
TVにも出演の依頼があったという。
●ガメラ ソフビキット 35cm 91年 パラダイス
●ディフォルメ ガメラ・ギャオス 91年
飲み会の帰りに電話BOXに忘れ紛失。
●成虫モスラ 翼長150cm 海洋堂アートプラ大賞 出品
受賞作 「現在は海洋堂宮脇氏が持ってるんちゃうか」とのこと。
翼、足、口可動
眼は発光、鳴き声が出る。
成虫モスラは後年、所属する野球チームの劇用に再度同サイズで造り直され、大阪城のイベント等に出品。
●キングギドラ 80cmオーバーサイズ 91年 海洋堂アートプラ大賞参加モデル
ワイヤーにより首と羽が各々独立制御可能な、巨大モデルだった。
●キングギドラ 60cm 9?年 パラダイス(未発売)
●メカキングギドラ 60cm 9?年 パラダイス(未発売)
●キングギドラ 80cm?ラジコンゴジラに合わせたサイズ 9?年 某社ラジコン原型
●機龍 レジンキット 40cm 2004年 ジーンズ工房
●ナメゴン 10cm 2010年 大戸島サミットにて披露
上記以外に、幼少時にスポンジ+針金製のモデルを数多く制作(インタビュー本文参照)。