日本ファミリーオフィス協会 -16ページ目

今年のハーバード、日本人の学部合格者は3名で30倍ー全体の倍率は20倍

今日は年に一度のハーバード日本同窓会での新入生歓迎会が開かれた。招かれた日本人学部合格者は3名。受験者は100名だったという報告があった。同窓会長の説明では、ハーバード全体での合格率は5%。日本人は3%だったのでやはり低い。私も昔、面接官をしたことがあるが皆できる高校生だ。日本を代表する受験校の成績トップの人材が集まって、合格率3%は相当な難関だ。ハーバードはダメだった高校生も普通に東大には合格する。

 

それでは合格した3人はどういう人材なのだろうか。皆、それぞれ特徴があり、何らかの特技があるのが共通点だ。今年は筑駒、灘、開成出身の合格者はいなかった。そろそろ大学から飽きられたか。海外の大学はいかに将来性のある学生を入れるかが、大学存続のかなめだと考えているので、入学者には相当な注意を払い、数か月かけて選抜する。日本のように1発勝負はない。

 

アイビーリーグの授業料の高さは有名だが、逆に「必要がある学生」には授業料を免除したりしている。日本人の場合は80%免除が多く、だいたい自己負担は100万円だ。日本の大学でも最近はこれくらいする。こういう大規模な奨学金を出せるだけのお金がアイビーリーグの大学にはある。日本でもトップの学生が直接ハーバードを目指すのも頷けるところだ。卒業後はAIがらみの会社に就職し、20歳そこそこで1000万円プレイヤーになるのだから、授業料を全額出したとしても元が取れるわけだ。

 

これでは日本の大学は世界ランクにも表れているように、太刀打ちができない。しかも「外から」学生や教授が来ることもまだまだ少ないので危機感もない。サッカーのワールドカップのように目に見える国際的な競争がないので、世界ランクが落ちても差し迫った不都合もない。彼我の差はますます広がるばかりだろう。

 

ドリームインキュベータの堀紘一会長から「資料の作り方」をご指導頂くー東大講義の打合せ

東大の「日本経済を支えるファミリービジネス」シリーズの5回目で、堀紘一会長に「ファミリービジネスの強みと弱み」というテーマで講演頂く。講演日は6月13日で、そろそろ3週間前になったので、昨日打合せに伺った。具体的には、資料をどうするかだ。

 

そもそも堀会長のような「一講演で数十万」の人がなぜ、ほとんどボランティアの東大での講演に来てくれるのか?もともと堀会長とはハーバード日本同窓会で会ったことがあり(名刺交換程度だが)、たまたま、昨年11月に東芝の西室会長のお別れ会で再開し、私が今こういうことをやっているという説明をさせて頂いた。そこで意外な事実を聞いたのだ。

 

私が大学での「ファミリービジネス」に係わりを持ったのは、旧知の青井倫一教授が慶応から明治のビジネススクールに移るときに「明治でファミリービジネスの講座をつくりましょう」と強引に誘ってからだ。最初はしぶしぶだった青井教授も、やっていくうちにハマってしまい、今では明治ビジネススクールで20以上のファミリービジネス講座がある。(ちなみに、先週のパリ講演でこの話をしたら欧米の大学教授から「ウソだ」と言われた。それほど意外な話だ)その青井教授と堀会長はハーバードで同期だったそうだ。

それで、堀会長は「青井が関係している話だったらやるよ」と言ってくれたのだ。感謝しかない。

 

それはともかく、昨日は「資料」について打合せをした。堀会長はスライドは使わないという。それでは資料「なし」という手もあり、事実、堀会長の一般の講演では資料なしも多いという。しかし、まあ「大学」だから何が資料をつくるか、ということになり、項目を決めていった。結果的に非常にシンプルなものになった。そこで、私は「これを一枚紙にしますよ」と言ったところで、「ダメだ」ということになった。どうなったかは当日のお楽しみである。

 

堀会長が言いたかったのは「見せ方に気をつけろ」ということだ。長年のボストン・コンサルティングなどでの経営コンサルの経験から、「内容的にいいものをクライアントに持っていくのは当然で、ここは他の経営コンサルでもできるだろう。しかし勝負は見せ方の違いだ」という教訓を得ておられるようだ。これには久々に目から鱗だった。普通、資料をつくる時には、内容的なことで何度も直したりして、見せ方までは手が回らないのが通例だ。「ここに時間をかけろ」というご指導だった。

 

堀会長のご趣味は「囲碁」ということで、これからは囲碁でもしながらご指導頂こうと決意した瞬間だった。

 

 

パリでのファミリービジネスの国際会議に出席ーガバナンスとインパクト投資がテーマ

今週はパリでのファミリービジネス、ファミリーオフィスの会議に出席した。アジア人は相変わらず私一人なので、日本のファミリービジネス、ファミリーオフィスの現状を説明した。この会議は「フランスファミリーオフィス協会」が主催で、日本にもファミリーオフィスの協会があることに

彼らが驚き、招聘されたわけだ。欧州では他にイタリアにファミリーオフィス協会があるが、活動はほとんどしていないという。

 

今の世界のファミリービジネスを巡る潮流は、やはり「同族企業のガバナンス」の研究だ。同族企業が強いのは「何かいいガバナンスの秘訣がある」というのが彼らの問題意識だ。日本はまだ「同族企業は本当に強いのか」が問題になっていると言うと、あるフランス人は「そんなことは既に欧米でも途上国でも証明されているのだから、その強さの秘訣を調べて一般企業にも活かすべき」という。至極当然で合理的だ。日本はこの分野の国際的な動きにかなり疎いのだ。

 

もっとも、国際的な動きに疎いのはビジネススクールで教えている全ての分野に言えることだ。早稲田大学ビジネススクールの入山准教授がことあるごとに主張していることで、これは真実だ。そもそも日本の教授は国際会議には出ないし、国際的な論文を読むことにも積極的ではない。エール大学名誉教授の浜田宏一氏もこのことをよく指摘する。経済学の世界でもそのようだ。

 

日本以外でも超富裕層のほとんどを「同族企業のオーナー」が占めるのは同じで、彼らの現在の関心は「社会貢献に資する投資」だ。これは数年前から「インパクト投資」として欧米では共通語になっているが、日本ではまだまだのようだ。そもそも日本の超富裕層は投資にも社会貢献にも関心は薄いので、インパクト投資の概念を証券会社が日本に導入しても、それに関する投資信託商品はそれほど売れないだろう。

 

まあ、インパクト投資は放っておいても民間ベースで日本にも紹介されるだろうが、ファミリービジネスのガバナンス研究の遅れは決定的だ。我らが東大の柳川範之教授や早稲田の入山准教授が頑張っているが、まだまだ欧米の方がかなり先行していて、日本では欧米の論文を読むしかない。その議論に参加できるほど日本企業のデータや実態も調査されてはいない。このあたりは私も及ばずながら横から参加しなくてはいけない。今の日本のコーポレートガバナンスの対象は新日鉄や東芝などの一般大企業だが、近い将来、ファミリービジネスのガバナンスが日本でも重要なテーマになることは間違いない。

 

 

 

 

霞が関官僚のいろいろー柳瀬さんと前川さんの違いはどこから生まれる?

私は1990年8月に経団連から派遣でエール大学経済学大学院に留学したが、ちょうどその時に同学部を去って通産省(当時)に戻る人がいた。昨年から話題の柳瀬唯夫さんだ。当時は私も柳瀬さんも20代後半だったが、中央省庁というのは20代でかなりの選別が終わるようで、柳瀬さんは当時から「事務次官候補」と言われていた。エールで重なっていないので人となりまでは分からないが、同じ学科卒の者として柳瀬さんのことをどう見たらいいのか、なかなか難しいところだ。もちろんある意味「優秀な官僚」であることは間違いない。

 

ここに同じ優秀な官僚として元文部科学省事務次官の前川さんがいる。私は前川さんとは全く面識がないが、前川製作所の御曹司であることは聞いている。生まれながらにして、一生食べていけるだけの財力があった、いわゆるファイナンシャル・フリーダム(経済的自由)状態にあったわけだ。

 

柳瀬さんのご家庭がどうかは知らないが、前川さんのように大企業の御曹司ではないだろう。普通のご家庭のはずだ。柳瀬さんがここでもし自分の記憶に正直に、上からの指示を無視し、全て暴露すれば国全体にとってはいいことかも知れないが、彼自身は経産省を追われ天下りもなく、露頭に迷うことになるかも知れない。合理的に考えると、葛藤はあるのだろうが、やはり上からの指示通りに国会でも答弁せざるを得ないのだ。まさに国会招致の前に官邸が柳瀬さんの証言内容を「調整」していると報道された通りだ。

 

役所の天下りなどいらず、言いたいことを言っている前川さんと、上からの指示通りにそつなく答弁をしている柳瀬さん。この二人の違いは間違いなく「経済的自由の有無」だ。もちろん財務省の佐川さんも柳瀬さんと同じ類型に入る。人間、「経済的自由」がないと「正義に基づき、言いたいことも言えない」ことになるが、日本人のサラリーマンの99%以上が柳瀬、佐川グループに入ると思われる。

 

となると、20年ほど前にロバート・キヨサキの主張した「ファイナンシャル・フリーダム」という概念は、実は人としての生き方、サラリーマンの言動などの全てを決めてしまう、想像以上に大事な概念だと分かる。日本人は「お金は汚いもので、清貧で正義に基づいた生き方をすべき」などと思っている人が未だに多いと思うが、実は「正義を貫く生き方をするにはお金が必要」ということを、霞が関官僚は我々に見せてくれたのではないか。

 

 

 

東大でのファミリービジネスセミナーーやはり星野佳路・星野リゾート代表が人気

またまた、ブログをさぼっていて怒られたので、最近のファミリービジネスをめぐる状況を何回かに分けて報告したい。

 

まず、4月11日から始まった東大でのファミリービジネスセミナーは現在のところ3回終了した。

第1回目は経済産業省から内閣府の地方創生推進事務局に出向している村上敬亮審議官。ずっと地方創生を担当していたが、昨年、加計問題の影響をくらって藤原豊審議官の後任となった。現時点では加計問題の担当審議官として、昨日も国会で答弁をしていたが、あくまでも内閣府での専門は地方創生とファミリービジネスなので、第1回の講師をお願いした。

 

実は、その4月11日も国会に呼ばれており、午後5時すぎに国会中継で村上さんの顔を見たときには「終わった」と思い、本件担当の東大経済学研究科の柳川範之教授と「代替として何をするか」を慌てて打合せをしていた。ところが不死身の村上さんは、午後7時に東大の会場に現れたのでこちらが驚いてしまった。

 

村上さんの話は政府としてファミリービジネスをどう見ているかを示す、興味深い内容だったが、それより驚いたのは「今日はお疲れなので早く終わるだろう」という私の勝手な予想とは裏腹に、時間をかなり延長して熱弁を振るっていたことだ。

 

第2回は4月18日で、新潟の池田弘NSGグループ代表の話だった。この日も新潟の米山知事の辞任の知らせがあり、バタバタした。池田さんは、さすがに長年地方の現場から「地方創生」を訴えている人らしく、実務経験をもとにした迫力のある話をされた。村上審議官は「各県に池田さんが一人ずついれば、地方創生はすぐにでも実現する」などと言っている。本当にそれだけ実力のある方である。

 

第3回は5月9日の星野リゾート代表の星野さん。この方の人気は素晴らしく、申込者のほぼ全員が参加するという大盛況になった。実は今回の企画をいくつかの雑誌で取り上げてもらったが、ファミリービジネスの代表として出版社が第一に取りあげたのが全て星野さんだった。その後、星野さんとお話し、来年以降のご協力のご意向を頂き(もっとも時間が合うかどうかは分からない)、非常に意を強くした。

 

東大でのファミリービジネス講座は今年最初で、「試運転」のような感じで試行錯誤中だが、日本企業の98%までを占める「同族企業」への誤解を解くには、個人的には10年は最低かかると感じているので(これには星野さんも同意されていた)、この講座も10年を目標に続けたい。ちょうど10年後には柳川範之教授も定年なので、一つの節目としたい。

財務省職員の自殺ー60年前の黒沢映画「悪い奴ほどよく眠る」と同じ

今回の財務省近畿財務局の文書「書き換え」事件で、これはまた誰か自殺するぞ、と思っていた。しかも役所のトップではなく、実務をしている人が。。。。これは1960年の黒沢映画「悪い奴ほどよく眠る」の筋書きだ。黒沢はこういう日本の役所や政治の実態に強い憤りを抱き、この映画をつくったようだ。しかし、その60年後も日本は変わらないことに(まさにデジャブだ)、黒沢監督はあの世で強烈に憤っているに違いない。

 

こういう事件が起きて恐いのは、霞が関から優秀な人材がいなくなることだ。先日、財務省の知り合いと雑談したときに、最近は若手が留学後やめてネット起業に転職している、と聞いて驚愕した。私のように50代以上の人は皆、同じ反応だろう。昔は優秀な人は東大法学部に行って大蔵省に就職する、というのが日本の一番の「出世コース」だったのだ。その後は政治家になってもいいし、退官後は金融機関などの天下りがいくらでもあった。一説には、大蔵省で出世すれば生涯賃金8億円だとも言われるが、昔の事務次官に限ってはこれは誇張ではなかった。

しかも一生「個室、車、秘書」付きだ。

 

ところが、今は官僚たたきが続き、昔のような金融機関の「MOF坦」などは過去の遺物となった。ちょっとでも民間企業の人に食事をご馳走してもらうとすぐに「タカリだ」と言われるので、昼飯も割り勘だそうだ。安い月給の中からでは頻繁に会食もできず、これでは民間の情報は集まらない。森友のようにズブズブは絶対ダメだが、民間企業の実態を深く知らないと誤った規制をしてしまう。今回の事件で官僚がますます民間企業人と交流することが少なくなり、日本の行政が「実態」と乖離した規制をするようになるのが心配だ。

 

役所自身も組織改革に猛省すべきなのは言うまでもない。特に、佐川国税庁長官のような人物は最悪だ。自分の態度で確定申告の現場が如何につらい思いをするか、想像できないのだろうか。私は2月下旬に確定申告を済ませたが、その時に「やはり」大声でこういうことを言っている人がいた。税務署職員に対して「あなたね、おたくのトップが書類は捨てたで通っているのに、国民に「書類をつけてください」はないだろう。ふざけるな」。これはおそらく全国の税務署で繰り広げられた光景だろう。こういう人が出世する組織では優秀な若者は去っていく。

 

問題の本質は、事はこの一つの事件では済まされない点だ。日本全体の問題でもある。というのは、日本はこれまで「政治家は三流だが、官僚が一流」なので持っていると言われてきた。当たらずとも遠からずだろう。官僚が国会答弁するこの国ではそれが実態だ。しかし、これで官僚が一流でなくなったら、国会運営もままならなくなり、もともと「決められない国」だったこの国のシステムがますます悪化する。

麻生さんがやめればいい、などという小さな問題ではないのだ。

 

 

 

 

東大でのファミリービジネスセミナーの講師②ー知名度がありファミリービジネスに一家言ある方々

(続き)

 

第5回講師は、ドリームインキュベータの堀紘一会長だ。言わずと知れた「ボストンコンサルティング」の日本代表を長らくされていた方で、私などは昔「朝まで生テレビ」での堀さんの辛口な語りが好きでもあった。この「辛口」というのは実は大変なキーワードで、最近ではファミリービジネスの大学での講座(私も関与している明治が一番多いが)や民間セミナーも開かれるようになったが、一般的には「ファミリービジネス礼賛」が多い。しかし、それではファミリービジネスの実態はつかめない。どんな経営にも長所短所があり、もちろんファミリービジネスも同じだ。「両刃の剣」とよく言うが、ファミリービジネスの経営もそうなのだ。

そこで、堀さんにはファミリービジネスの強みと弱み、特に弱みについて辛口に語って頂きたいと考えている。ハーバードの15年ほど先輩だ。

 

なお、前回、堀会長にお目にかかった時に聞かれたのは「今のファミリービジネスの定義だと、孫さんや柳井さんのところはファミリービジネスになるの」ということだった。実は、全く同じことを第4回講師の佐山さんからも聞かれた。ある意味、そこが今のファミリービジネスの「定義」で一般のイメージと学界のイメージが最も違うところだろう。一般の人がイメージするファミリービジネスは「100年企業(老舗)」だ。ところが現実には老舗はファミリービジネスの1%でしかない。残り99%は一代目(創業者)や二代目の会社だ。

だから、日本企業の97%までがファミリービジネスになるわけだ。

 

第6回講師は、このセミナーの東大との共催者でもあるキャピタル・アセット・プランニングの北山社長だ。北山さんには10年以上前からご指導頂いているが、ともかくバイタリティの固まりのような方だ。一時は無理かと思えた上場を一昨年果たし、株価も業績もまずまず堅調だ。代表的なフィンテック企業であり、柳川教授が「フィンテックの第一人者」であることから、今回共催をお願いした。北山社長の話は、とにかく迫力があり、「ケーススタディ」が得意だが、ほぼそのままのケースを説明されることが多い。今回は秘蔵の自らのケースを話されるので、生々しいというか迫力満点になろう。いろいろなことがバレてしまわないか、個人的には心配でもある。

 

第7回講師は「イノベーション」といえばこの人、関西学院大の玉田俊平太教授だ。玉田さんはたまたまだが、第1回講師の村上さんと経産省入省同期だ。私のハーバードの5年後輩で御年もそのくらい下なのだが、貫禄があり、いつも頭を下げてしまう。確かに一世を風靡し続けている「イノベーションのディレンマ」シリーズの監訳者、第一人者となれば、どうしても私もそういう態度になってしまう。

お話も上手で、講演の時には必ず「おみやげ」を用意されるそうだ。もちろん物ではなく話だ。私も見習って昨年明治の講義でやってみたのだが、、、失敗した。まだまだ修行が足りない感じだ。

玉田さんも人気者で、関西在住なので東京でお話を聞ける機会が少ない関係もあり、是非聞きたいという私の友人も多い。

 

最後の8回目は私である。なぜ最後かというと、「一番条件が悪い時期」だからである。7月18日で熱い、学生はテスト間近、早い夏休みをとる人もいる、、、と何らいい要素はない。こういう悪い日は外部の講師の方に振り分けるわけにはいかない。私が犠牲になるしかないのだ。しかし、最終回では1回から8回目までの「まとめ」というおみやげ(玉田教授ではないが)を用意する。自分が欠席していた時の議事録ももらえるということを売りに、「この回だけは出席して」というつもりだ。(あとであげるようなケチなことはしない。そもそも大学もコピー代が大変だ)

 

以上、1年目の成功を願って、準備をしていきたい。

 

東大でのファミリービジネスセミナーの講師①ー知名度がありファミリービジネスに一家言ある方々

4月から始まる東大でのファミリービジネスセミナー。いくつかの雑誌や日経のオンラインなどで広報する準備を進めている。

ここでは、私がどのような方に講師をお願いしたか、ちょっとだけ説明する。なお、講義内容は私の今の予想であり、具体的には今後講師と詰めていくことになる。

 

まずは、アドバイザーの柳川範之教授。いわずと知れた「フィンテックの第一人者」であり、「独学」の大家、「40歳定年説」の提唱者などなど、

様々なことをされている。「ファミリービジネスのコーポレートガバナンス」にもご造詣が深い。またこのテーマは今はやりで、先週私はロンドンでの「ファミリーオフィス」の国際会議に出てきたが、その席でもファミリービジネスのコーポレートガバナンスはメインテーマでもあった。

教授には第1回の冒頭で総論的な話「ファミリービジネスを東大で研究する意義」などを話して頂こうと考えている。

 

同時にセミナー1年目は(このセミナーはできるだけ長く続けたい)、「地方創生とファミリービジネス」が統一テーマだ。地方創生は、もちろんアベノミクスの一丁目一番地の政策で、霞が関では内閣府が担当だ。たまたまだが、内閣府での責任者が、20年前に私が一緒に知的財産のお仕事をさせて頂いた経産省出身の村上敬亮さんだった。当時からとてもシャープな方で印象に残っている。村上さんからは地方創生とファミリービジネスの総論的な話をして頂くことにした。

 

第2回は、「地方創生とファミリービジネス」と言えば、今やこの人をおいて他の人はいない状況だ。日本ニュービジネス協議会会長の池田弘さんだ。池田さんはアルビレックス新潟のオーナーとして有名だが、新潟を本拠に100近い会社からなる巨大コンソーシアムのトップでもある。地方創生のためにはファミリービジネスの隆盛がいかに必要かを力説頂くことになろう。

 

第3回は、一般の人が「ファミリービジネス(同族企業)」と聞いて思い出すのがこの方ではないか。星野リゾートの星野佳路代表だ。星野さんは日本におられることも少ないので、なかなかお目にかかれない方だ。既に「星野さんの話はめったに聞けないのでこのセミナーに申込みたい」などとおっしゃる私の友人もいる状況だ。星野さんには持論である「可能性の大きいファミリービジネス」について語って頂くことになろう。

 

第4回は、インテグラルの佐山代表だ。一般にはスカイマーク会長として有名だ。ご本人もスカイマークの再生に多くの時間を割かれている。当然、地方が活性化しないとスカイマークの経営もよくならないので、地方創生を真剣に考えられご造詣も深い。要は今のお仕事=地方創生ということで、そのあたりの実態をお話し願うつもりだ。

 

(第5回以降は次回)

 

東大でファミリービジネスのセミナーが始まるー1年目は「地方創生」をテーマに

昨年からほぼ1年がかりのプロジェクトだったが、このほど東大経済学研究科金融教育研究センターとキャピタル・アセット・プランニング(株)との共催という形で、東大の中で「日本経済を支えるファミリービジネスー地方創生の主役」というタイトルでセミナーが開かれることになった。

(http://www.carf.e.u-tokyo.ac.jp/research/family-workshop.html)

東大経済学部の柳川範之教授(「東大教授が教える独学勉強法」など)をアドバイザーに、私がコーディネーター兼全8回の司会として本年4月11日に開講し、7月18日にとりあえず初年度は終了することにしている。

 

従来、日本は「ファミリービジネス」の研究が欧米に比べ20年以上遅れており、私が青井倫一教授にお願いして2011年に明治ビジネススクールで日本で初めての「ファミリービジネス」講座ができた。明治ビジネススクールではすでに昨年、21ものファミリービジネス講座ができ、世界一の講座数となった。私も落合研究科長の授業でご協力をしてきたが、落合教授のご判断であえて広報はしてこなかった。

 

私のクライアントは全て「ファミリービジネスのオーナー」だ。彼らは日本的家族経営を行い、業績も素晴らしいが、日本ではあまりに同族企業のイメージが悪いので「胸を張って」仕事をしていない感じを受けている。これは全国の同族企業経営者がほとんど同じだ。しかし、欧米での先行研究、あるいは日本でも「ファミリービジネスの方が一般企業より業績がいい」ことは証明されている。この事実すら、日本では広まっていない。だから当面の私のミッションは「本当は強いファミリービジネス(同族企業)」ということを日本で広めることだ。そのためには、いい悪いは別にして、東大でファミリービジネスを扱うのが一番早いと判断した。そうアドバイスしてくれる学者、マスコミ関係は複数いた。

 

もちろん、東大でファミリービジネス(同族企業)を今までは扱ったこともないし、自然発生的に東大でこういう講座ができることはおそらく当分ないと考えた。そこで、まずは東大名誉教授でもある「学界のハマコー」こと浜田宏一・内閣官房参与に相談した。浜田教授は、間髪を入れず、

東大でファミリービジネスに関心を持っているのは柳川教授だけだろうから、一緒にやりなさい、ということであった。私もある程度予想はしていたものの、やはり東大で「ファミリービジネス」というと柳川教授しかいない。しかし、この方は超売れっ子で「相当忙しい」のが心配だった。私の見るところ、昼は授業、講演、来客で1分の時間もない。夜は新聞、雑誌の原稿に追われる、という生活だろう。東大の中でもトップクラスの忙しい教授なのだ。

 

昨年の6月ころ、私は恐る恐る柳川教授の研究室を訪ねて事情を説明したところ、意外にもすぐに「やりましょう」とご快諾を頂いた。もちろん、最初は寄附講座で始めるのが大学の常識なので、寄付先のお願い、手配や講師の手配などは全て私がする約束だ。「コーディネーター」といえば聞こえはいいが、要は何でも屋だ。もっとも、このあたりは私も経団連でずっとやってきたことなので、ノウハウはある。何とか、寄附して頂ける知り合いを見つけ、また講師も知名度があり、かつファミリービジネスに関心のある方々をそろえることができた。

 

次回はこのセミナーの内容について説明したい。

 

 

 

スイスでの「ファミリーオフィスフォーラム」に参加‐②欧州ではエージェント(専門経営者)は悪者

チューリッヒでの「ファミリーオフィスフォーラム」は二日間の開催だったが、一番驚いたのは

「エージェンシー問題」について講演したスイスの経営コンサルの方の話だった。

日本では戦後「サラリーマン社長」になることが長らくビジネスマンの目標

だった感じもあるが(現在ではもちろん変わってきてはいるものの)、

欧州ではこの「サラリーマン社長(専門経営者)」は

モラルハザードを起こす象徴として悪者になっているようだ。

 

事業は「オーナーが専門経営者など使わずに自らした方がいい」、

「エージェント=代理人(専門経営者)を使うと、

自分の思う通りに動いてくれずコストがかかり過ぎますよ」

というのが欧米人の共通認識のようだ。

 

もちろん、この経営コンサルの人も話をわかりやすくするために極論を

言っていたことは分かる。しかし、エージェントをスライドでは悪魔で表現しており、

そのことについては誰も彼も違和感なく受け入れていた

(講演後何人かに確認した)のは私にとっては衝撃的だった。日本とは真逆だ。

 

しかし、このことは「ファミリービジネスのイメージは欧米ではよく、日本では悪い」

ことの一つの説明になり得ると感じた。

つまり、日本ではサラリーマン社長(エージェント、専門経営者)になることが尊敬され、

自分で事業を起こすベンチャー経営者(ファミリービジネスの一つ)は未だに尊敬されていない。

これが、欧米では全く逆なのだ。

 

日本では2000年ころにはホリエモンバッシングや村上ファンドバッシングがあった。

しかし、時代は徐々に変わり、最近では孫さんや柳井さんなどの起業家

(これも「一代目」としてファミリービジネスだ)は、まだまだ欧米に比べると足元にも

及ばないが、尊敬を集め出している雰囲気もある。

ここが欧米並みになれば、日本人のファミリービジネスへのイメージ

も大部変わってくることは間違いないと思うのだが。