東大でファミリービジネスのセミナーが始まるー1年目は「地方創生」をテーマに | 日本ファミリーオフィス協会

東大でファミリービジネスのセミナーが始まるー1年目は「地方創生」をテーマに

昨年からほぼ1年がかりのプロジェクトだったが、このほど東大経済学研究科金融教育研究センターとキャピタル・アセット・プランニング(株)との共催という形で、東大の中で「日本経済を支えるファミリービジネスー地方創生の主役」というタイトルでセミナーが開かれることになった。

(http://www.carf.e.u-tokyo.ac.jp/research/family-workshop.html)

東大経済学部の柳川範之教授(「東大教授が教える独学勉強法」など)をアドバイザーに、私がコーディネーター兼全8回の司会として本年4月11日に開講し、7月18日にとりあえず初年度は終了することにしている。

 

従来、日本は「ファミリービジネス」の研究が欧米に比べ20年以上遅れており、私が青井倫一教授にお願いして2011年に明治ビジネススクールで日本で初めての「ファミリービジネス」講座ができた。明治ビジネススクールではすでに昨年、21ものファミリービジネス講座ができ、世界一の講座数となった。私も落合研究科長の授業でご協力をしてきたが、落合教授のご判断であえて広報はしてこなかった。

 

私のクライアントは全て「ファミリービジネスのオーナー」だ。彼らは日本的家族経営を行い、業績も素晴らしいが、日本ではあまりに同族企業のイメージが悪いので「胸を張って」仕事をしていない感じを受けている。これは全国の同族企業経営者がほとんど同じだ。しかし、欧米での先行研究、あるいは日本でも「ファミリービジネスの方が一般企業より業績がいい」ことは証明されている。この事実すら、日本では広まっていない。だから当面の私のミッションは「本当は強いファミリービジネス(同族企業)」ということを日本で広めることだ。そのためには、いい悪いは別にして、東大でファミリービジネスを扱うのが一番早いと判断した。そうアドバイスしてくれる学者、マスコミ関係は複数いた。

 

もちろん、東大でファミリービジネス(同族企業)を今までは扱ったこともないし、自然発生的に東大でこういう講座ができることはおそらく当分ないと考えた。そこで、まずは東大名誉教授でもある「学界のハマコー」こと浜田宏一・内閣官房参与に相談した。浜田教授は、間髪を入れず、

東大でファミリービジネスに関心を持っているのは柳川教授だけだろうから、一緒にやりなさい、ということであった。私もある程度予想はしていたものの、やはり東大で「ファミリービジネス」というと柳川教授しかいない。しかし、この方は超売れっ子で「相当忙しい」のが心配だった。私の見るところ、昼は授業、講演、来客で1分の時間もない。夜は新聞、雑誌の原稿に追われる、という生活だろう。東大の中でもトップクラスの忙しい教授なのだ。

 

昨年の6月ころ、私は恐る恐る柳川教授の研究室を訪ねて事情を説明したところ、意外にもすぐに「やりましょう」とご快諾を頂いた。もちろん、最初は寄附講座で始めるのが大学の常識なので、寄付先のお願い、手配や講師の手配などは全て私がする約束だ。「コーディネーター」といえば聞こえはいいが、要は何でも屋だ。もっとも、このあたりは私も経団連でずっとやってきたことなので、ノウハウはある。何とか、寄附して頂ける知り合いを見つけ、また講師も知名度があり、かつファミリービジネスに関心のある方々をそろえることができた。

 

次回はこのセミナーの内容について説明したい。