日本ファミリーオフィス協会 -14ページ目

日経の「スタ★アトピッチJapan」が始まるー審査員を拝命

今日の日経新聞朝刊40面に掲載されているが、日経でベンチャーやアトツギベンチャーを表彰する大規模なプロジェクトを始めた。特に「アトツギベンチャー」という概念は初めてではなかろうか。

 

この発端になったのは、日経の記者が今年の東大「ファミリービジネス」セミナーに参加し、そこで星野リゾート星野代表から、「後継ぎは「立ち上がりのリスクの少ないベンチャー」と考えるべきだ」という話を聞いたことがヒントになったようだ。

 

私もちょうど、日本ファミリーオフィス協会で「ベンチャー振興」を始めようと思っていた矢先だったので、これは良い機会だった。言うまでもなく、これからの日本経済にはベンチャーの果たす役割が最も大きいと考えられるからだ。

 

今年の東大「ファミリービジネス」セミナーでは、私も含めて講師8名中全員が「ベンチャーの重要性」を強調するという、面白い結果となった。そこで、私もベンチャー振興を始めようと考えたのだが、切り口が多すぎて何から始めたらいいか分からない。しかし、星野さんのいう「アトツギベンチャー」は「ファミリービジネス全体」を見た場合に重要な視点だ。

 

というのは、「ファミリービジネス」の業績データを見ると、日本でも諸外国でも一代目(ベンチャー)は強いのだが(弱いベンチャーは潰れてしまって統計には出てこない側面はある)、2代目、3代目となるにつれ悪くなる傾向があるからだ。ここに「アトツギベンチャー」という概念を入れ、何らかの振興策を考えるのも一つの切り口だ。

 

まずは目先の「審査」に注力したい。

中曽根さんの死ー30年前の土光敏夫さんの葬儀で話をした

今日は中曽根さんの死亡で世間は騒がしかったが、この人ほど毀誉褒貶が激しい人も少ないのではないか。田中角栄との親しい間柄で様々な汚職に名前が出てきた。一方で3K赤字と言われた国鉄、公社、コメ問題を一応解決した手腕は称賛されている。その陰に経団連会長をしていた土光敏夫さんの力もあった。

 

私はもちろん、中曽根さんとの接点などあろうはずもないが、一度だけ「1対1」でお話させて頂いたことがある。それが土光敏夫さんの武道館での葬儀の時だった。もう30年ほど前になる。

 

当時、私は経団連の若手で、葬儀のお手伝いといっても役に立つはずもないので、おそらく誰も来ないであろう「超VIPの控室」の担当になった。総務部長からは「どうせ誰もこないだろうから、そこでウロウロしていればいい」と言われ、確かに、その部屋にはSPが不審物がないかチェックに来たくらいだった。

 

ところが、葬儀開始20分ほど前になって、知らぬ間に中曽根さんが隣に立っていて、腰を抜かすほど驚いた。すぐに「役員を呼んできます」と言ったが、中曽根さんは「それには及ばない。君だけでいい」と言われた。それで座って雑談を始めた。背後にはSP二人が立っていた。

 

中曽根さんは「君は土光さんに会ったことがあるか」と聞かれた。「いえありません。でも上司から土光さんに怒鳴られた話は聞いています」と答えた。中曽根さんは「そうなんだよ。でもあれだけ人を怒鳴り散らして、「この人のためなら死んでもいい」と言われた人は他にいないよ」と言われた。

 

私は「なぜですか」と聞くと、「純粋に世の中を良くしようと私心なく思っていて、それを行動に移したからだろうね」。そして「そろそろ弔辞を読みにいかなければならないが、君も土光さんを見習って社会に貢献する人間になってくれ」と言って颯爽とSPと一緒に会場に向かった。

 

多分、わずか5分程度だろうが、この時の会話は一生忘れないだろう。そして、知らず知らずに今の自分の生き方にも通じている。そういう意味で中曽根さんには感謝している。合掌

 

 

最近驚いたことー新原浩朗さんの結婚と「桜を見る会」

世の中は不思議なことが起こるものだ。新原さんの結婚報道も相当驚く事件だった。霞が関の局長では、昨年、ちょっと面識があった文科省の佐野局長の逮捕には驚いたが、今回の事件にも驚きを禁じ得なかった。新原さんには経団連の仕事で20年以上前に知り合い、その後もともに今は安倍首相の補佐官になっている今井尚哉さんを尊敬している仲で、時々お会いしていた。

 

しかし、さすがにプライベートの話はせず、そもそも新原さんが独身であることも知らなかった。そういう雰囲気はあったが。。。いろいろな新原情報も氾濫しているので、これ以上ノーコメントだが、ともかく幸せになってもらいたい。

 

もう一つの「桜を見る会」は、とうとう公になったか、という印象だ。東京に住む多くの人にとっては身近な人がこの会に参加し、SNSにアップしているところを見たことがあるのではないか。私も少なくとも10人はそういう人がいて、誘われたこともある。しかし、「本当に大丈夫か」と思ったので参加はせず。

 

山口県出身者がこの会に行くと相当多くの人に会うようだ。今、必死に自分の投稿を消しているというが、そんなマズイ話だったらそもそも行かなければいいのだ。全く情けない話だ。堂々とアップし続け、「自分にはこういう功績があるので呼ばれました」と言えばいい。もっとも、それができないので削除するのだが。

 

鬱陶しいのはまたモリカケ問題の再現で、テレビでこれに関する堂々巡りが頻繁に取り上げられることだ。今回は安倍さんはどのような説明をするのか分からないが、なかなか説得力のある説明は難しいだろう。やはり正々堂々と生きていきたいなと関係ない人も思ったのではないか。

 

ニューヨークのハーバードクラブでの国際会議報告③-最終日はプリンストン大学へ

「ファミリーオフィス」の国際会議のテーマはファミリービジネスやファミリーガバナンスは必ず入るが(私のいつもの話すネタ)、やはり大半は投資の話だ。特に最近では「インパクト投資」に絞られる。超富裕層はまさに「ベターワールドへの実現のための投資をすべき」というのが欧米人の主流の考え方だからだ。インパクト投資の中でも、時代背景もありESG投資の話がほぼ100%だ。

 

日本でも、昨年あたりからの会合は地球温暖化に絡めたESG投資の話が多くなった。伊藤邦雄先生もESG投資に関する委員長になられたという話を先日伺った。まさに最近の流行だが、欧米では2010年くらいからESG投資の話が主流だったのだ。しかしながら、日本の超富裕層は投資に消極的ということもあって、なかなかESG投資もしなくて証券会社の悩みの種だ。

ちなみに最近でも証券会社のプライベートバンキング部の人から「超富裕層のESG投資について話を聞かせてほしい」と頻繁に言ってくるが、専門家だったら自分で考えてほしいところだ。

 

ということで会合も終了し、最後は皆で夕食懇談会をして二日間の会合は終了した。本来はロンドンのロスチャイルド家のファミリーオフィス代表も参加予定で楽しみにしていたが、急遽欠席になったのは残念だった。

それでも参加者50名程度の国際会議で、ケネディやメイバッハ、ロックフェラーという世界有数の超富裕家族の代表が参加する会合は、「ファミリーオフィス」の会合以外には考えられない。

 

最終日は飛行機が夜便だったので、夕方までは行ったことがなかったプリンストン大学を訪れた。ここも世界有数の名門大学だけあって校舎は素晴らしいの一言だった。「ビューティフル・マインド」などの様々な映画の舞台にもなった。

たまたま経済学部の校舎があったので清滝教授がいたら挨拶だけしようと思ったが、今年はロンドンに行っているということだった。今年のノーベル経済学賞はハーバードとMITの教授になったが、プリンストンでも数名ノーベル経済学賞候補がいるそうだ。清滝教授はまだその中には入っていないようだが、今後を期待したいところだ。

ニューヨークのハーバードクラブでの国際会議報告②-apple共同創業者ジェイ・エリオットとの昼食

先週のニューヨークのハーバードクラブでの「ファミリーオフィス」国際会議では、いろいろなことがありすぎて整理が難しいが、昼食は着席制だった。空席に座ったら隣はappleをジョブズと立ち上げたジェイ・エリオット(著書「スティーブ・ジョブス ウェイ」は読んでいた)だった。エリオットの講演は聞いたが、英語が早く、技術者ゆえの専門用語も多く、理解は難しいものだった。

 

それでも1対1で話すとある程度は分かるもので、IPhoneやIPadの発明秘話を聞いた。もちろん私もIPhoneは持っているので、それを見せながらだ。エリオットは当然ながら何度も日本に来ているようで、東京にも詳しかった。そういう話に持ち込まないとこちらも間が持たない。リップサービスか分からないが、日本や日本企業を(経団連も)褒めていた。

 

さすがにジョブズが唯一「話を聞く価値がある」といった人だけあって、エリオットの迫力や圧力は大変なものだった。冷や汗もので昼食を終え席を立つと、午後の講演開始まで30分あったので館内巡りだ。もう松井はいない。というより、先程ものすごい勢いで次の場所に向かったのだ。周りにいる人々はハーバードクラブのメンバーなので話しかける。

 

私が1992年卒業の者だというと、相手は1980年卒業のジョンだと言ってくる。「どういう人がここのメンバーなんだ」と聞くと、ジョンは「待ってました」とばかり説明を始めた。もちろんハーバードの「卒業生(学位を取った者)」でないと資格がない。日本人だと「ハーバードに留学しました」という人は多いが、大半が学位はなく研究員やサマースクールなどだ。それでは卒業生ではない。

 

卒業だけではクラブのメンバーにはなれず、「審査」があるようだ。ここが曲者で何を見ているか分からないが、実態としてメンバーになっているのは代々ハーバードを卒業している人が多いそうだ。これは想像できた。彼らのいう「レガシー」だ。卒業生でお金があってもメンバーにはなれないということだった。

 

日本でもハーバードクラブオブジャパンがあるが、まず自前のビルがない。事務局もない。卒業していなくても行ったことがあればメンバーになれると、全く異なるものだ。ここはアメリカが羨ましい限りだ。

ニューヨークのハーバードクラブでの国際会議報告①-ケネディ家のファミリーオフィス

先週はニューヨークのハーバードクラブで「ファミリーオフィス」の国際会議が開催され、参加。参加者は欧米のハーバード卒業生中心で「ファミリーオフィス」の関係者だ。日本およびアジアからは私一人だったので、日本およびアジアのファミリーオフィス事情を話したが欧米人は日本への関心は薄いようだ。

 

後は他の参加者の話を注意深く聞く。まずはドイツのメイバッハ・ファミリーの話。いつも驚くのだが、こういう一族は資産は株だけでも桁外れなのに、「お金は大切」と子弟に厳しい金銭教育をしている。さらに大富裕家族に共通なのは、いい「趣味」を持っていることで、現在の当主は「カメラ」がプロ並みのようで写真を見せてくれた。

 

次はケネディ家。ケネディ家のファミリーオフィスの代表としてスティーブ・ケネディスミスが発表をした。ケネディ家の特徴として、一族にいろいろ不幸なことが多すぎたので、多くの家族が福祉や慈善事業に携わっていること。ファミリーオフィスがこのとりまとめをしているそうだ。

スティーブの発表の後に廊下でケネディ家のファミリーオフィスのことを聞いたのだが、さすがに一見さんには口が堅い。異様な雰囲気になりかけたので、「エール大でエドワード(テッド)・ケネディ・ジュニアと同じ学科の同級生だったが、彼は今何をしているのか」などとごかました。テッドもやはり福祉関係の仕事についているようだ。「テッドはエールの時には大統領になると言っていたよ」と言ったら、スティーブ・ケネディスミスは大笑いして会場を去っていった。

 

この後、ハーバードクラブのビルの中を(相当巨大だった)探索していたら、何とそこに松井秀喜氏が球団関係者と思われる日本人に囲まれながら歩いてきた。私もなぜかその集団に入り、記念撮影の場所に着いて皆が写真を撮りだしたので、私も松井氏の了解のもと二人で撮った。ハーバードクラブと松井とは不思議な組合せではあった。

星野リゾート星野代表と長門市での日本商工会議所の大会に行くー星野リゾート「界」が進出

先週は日本商工会議所の山口県の年次大会に星野さんと参加した。地元の商工会議所の幹部から、星野さんをゲストスピーカーとして招きたいという要請を受け、星野さんにお願いし実現した。長門市には「ルネッサ長門」という立派な複合施設があり、当日は600名程度の方々が星野さんの話を聴講された。

 

星野さんが特に強調していたのは、温泉街で長門市のような「面での開発」ができる場所は全国的に見ても珍しいことだ。温泉街は各温泉施設の利害が一致せず、意見がまとまらないのが普通だからだ。私は誰か強力な「まとめ役」がいるのではないかと考え、たまたま懇親会で隣に座っていた「大谷山荘」(プーチン・安倍会談が行われた場所)の大谷社長に聞いてみた。

 

やはり私の予想通り、大谷社長が地域のまとめ役だった。当然、こういう場合、地域で一番大きなホテルのオーナーが反対したら、何も進まない。そして、そういうオーナーは「星野リゾート」という強力なライバルの出現は嫌がるのが普通だ。ところが大谷社長は「地域全体がよくならないと遅かれ早かれ長門の温泉街はなくなる」という長期的な危機感を持っていて、星野さんの進出を後押ししているそうだ。大谷社長もファミリービジネスのオーナーでやはり「長期的視点」で考えているなと感銘を受けた。

 

星野さんが言うように、こういう温泉街は「相当珍しい」のではないか。星野リゾートの「界」は既に大部できていて、来年春開業だが、隣接する川を軽井沢のハルニレテラス的にするような感じだった。その工事も佳境に入っている。大谷山荘の大谷社長が希望するように、星野リゾートの開業にともなって長門市への観光客が増え、地域全体が潤うことを祈るばかりだ。

日本ファミリーオフィス協会で「ベンチャー支援」を始める理由ー経団連三好事務総長の遺言

私が大学を卒業し、経団連に就職した時には事務総長が花村仁八郎(経団連副会長やJAL会長を兼務)で、専務理事が三好正也だった。三好さんは戦後経団連のプロパー1期生で、もともと事務総長に一番近かったが、やはりすぐに事務総長になった。私とは親子ほど年齢が離れていたので、仕事上も話すことはほとんどなかった。

 

ところが人生とは皮肉なもので、私が経団連をやめた後に偶然、三好夫妻に山梨で会ってから薫陶を受けることになった。頻繁に銀座の事務所に伺い、いろいろな人を紹介してもらった。この協会を作る時にも、経団連に40年以上勤めた人だけあって「団体のことには日本一詳しい」ので、いろいろと指導してもらった。

 

三好さんは人生のほとんどを「大企業のために」働いてきたが、不思議なことに経団連を退任した後は「これからの日本は大企業ではなくベンチャーが重要だ」と熱く語っていた。今日の日産などの不祥事、サラリーマン企業の限界を予見していた感じだ。自分でもベンチャー支援をしていたが、不幸にも身内を亡くし、自らも体を壊しベンチャー支援は中途半端に終った。

 

亡くなる直前、最後に三好さんに会った時、「相山君にベンチャー支援を引き継いでほしい。ベンチャーが活性化しない限り、日本の将来は暗い」と言われた。目からは涙が流れていた。私は「何とかやりますよ」と答えたものの、もちろんそんな能力もない。その後も気になっていたものの、今回、三好さんの会社を引き継いだミヨシ・コラボレーションの方で、事務所を銀座から日本橋に移し、そこでベンチャー支援を始めたいということで、この話に乗らせて頂いた。当協会の事務所もそこに移動することになった。

 

もちろんベンチャー(一代目)もファミリービジネスの一類型で、それどころかファミリービジネスの一番の肝になる形態である。当協会でもベンチャーの専門家を役員に迎えるべく、「日本ベンチャー学会」の元会長である伊藤邦雄先生と元副会長である奥村昭博先生に趣旨を説明し、ご快諾を頂いた。今年の東大「ファミリービジネス」セミナーでも講師をお願いしたお二人であり、ベンチャー、ファミリービジネス分野でも第一人者の方々である。

 

最初から大きなこともできないが、まずは勉強会から始め、ゆくゆくは三好さんの遺志を引き継ぎ、政策にも影響を及ぼすような活動をしたいと考えている。

日経ムック「100年企業ー強さの秘密」で言いたかったことー婿養子と大番頭こそ日本発経営

今日の日経夕刊3面にも広告が出ているが、先月、日経ムックから「100年企業ー強さの秘密」というムック本が出た。サブタイトルが「本当はすごい同族経営」だ。この企画を聞いたのは今年3月で、構成や登場人物に関して当初から意見を言わせて頂くなど、全面協力した。常日頃から私が言っている「本当は強い同族企業」と趣旨が一致するからだ。

 

私が寄稿したのは第2章の事業承継の冒頭4ページだ。この中で、日本が世界一の長寿大国になったのは、日本独自の「婿養子と大番頭」の制度にあると主張した。これこそが日本発経営学なのだ。日本人は経営学はアメリカから来たと思っているが、実は日本にも独自の素晴らしい経営手法があるのだ。

 

もう一つ、私の仕事でもある「ファミリーオフィス」に関して、「世界初のファミリーオフィスは三井の大元方」という新説を披露した。さすがに私が一人で主張しても誰も信じてくれないので、三井財閥研究の第一人者である、三井文庫文庫長の由井常彦先生に数回のヒアリングをし、先生のお墨付きを頂き、公表した。

 

一般的には、世界初のファミリーオフィスは「ロックフェラー家」のファミリーオフィス(1882年設立)といわれているが、三井の大元方は1710年設立と170年も早い。「ファミリーオフィス後進国」の日本だが、実は世界初のファミリーオフィスは日本にあったことは誇っていい。

 

昨年9月にサンフランシスコの国際会議で、ロックフェラー家のファミリーオフィス代表のアダム・ロックフェラー(ロックフェラー家5代目)と会ってこの話をしたところ、さすがに知らなかった。この話は今後も様々な国際会議で紹介していくつもりだ。

 

我々日本人は謙虚なのか自虐的なのか、「日本なんかダメで遅れている」と考えがちだ。特に経営学の分野がそうで、ドラッカーやポーターが最高の経営学だと思っている。しかし、日本には外国にも胸を張って紹介できるユニークな「経営学」がある。私は草の根から今後とも世界に発信していこうと考えている。

 

 

 

 

 

 

 

今年の東大「ファミリービジネス」セミナー終了ー来年以降の課題も

今年2年目となった東大での「ファミリービジネス」セミナーは先週終了した。経済学研究科の柳川範之教授を指導教授にしているが、今年は柳川教授が「経済財政諮問会議」の民間議員になったため、半分ほどしか参加できなかったのはやむをえない。むしろ2年目で参加者からいろいろな要望が出てきたことが重要だ。

 

今年は突然、参加費が無料になったため「申し込みだけ」の人も多く、やはり無料の講座はよくないことを実感した。教室が60名教室だったため60名で打ち切りとしたが、最初から40名程度の参加者だった。真剣にここで勉強しようと考えていた方で、気づいた時には締め切りで参加できなかった人も多かったはずだ。

 

講師には「ガバナンス」の分野で一流の方々に来ていただいたが、講師の方々にも失礼な話である。私ですら、自分の講演が無料講演だと知ったらいい気はしない。私も学会や協会の勉強会で講師をすることはあるが、これは参加者は少なくとも「会費」は払っている。全く無料で参加できる講演など、何かの営業がらみのものしかあり得ない。

 

ガバナンスの分野で第一人者の伊藤邦雄先生にも講師として参加頂いたが、参加者がどういう人かわかっていないところでは「おもしろい」話ができない感じがした。先生がよく言われる「これは危ない」という話こそ価値があるのだが、聴衆が誰かわからない中では言えるはずもない。私などでも、超富裕層がらみの多分役に立つ話も、聞き手が誰かわからない場所では絶対に言わない。録音されている可能性もある。

 

ということで、来年からの東大セミナーでは、会費はできるだけ高く設定して人数を絞り、本当に学びたい人だけに来て頂く方針だ。柳川教授もその方向で動いてくれるということだ。いくら一流の講師を招いても「本当にいい情報、役に立つ情報」が聞き出せないと、本からと同じレベルの情報しか得られないことになる。これでは、東大で行う意味もなくなる、とある2年連続参加された方から言われた。

全くその通りのご指摘で、長く続けていくためにも真摯に取り組みたい。