パリでのファミリービジネスの国際会議に出席ーガバナンスとインパクト投資がテーマ | 日本ファミリーオフィス協会

パリでのファミリービジネスの国際会議に出席ーガバナンスとインパクト投資がテーマ

今週はパリでのファミリービジネス、ファミリーオフィスの会議に出席した。アジア人は相変わらず私一人なので、日本のファミリービジネス、ファミリーオフィスの現状を説明した。この会議は「フランスファミリーオフィス協会」が主催で、日本にもファミリーオフィスの協会があることに

彼らが驚き、招聘されたわけだ。欧州では他にイタリアにファミリーオフィス協会があるが、活動はほとんどしていないという。

 

今の世界のファミリービジネスを巡る潮流は、やはり「同族企業のガバナンス」の研究だ。同族企業が強いのは「何かいいガバナンスの秘訣がある」というのが彼らの問題意識だ。日本はまだ「同族企業は本当に強いのか」が問題になっていると言うと、あるフランス人は「そんなことは既に欧米でも途上国でも証明されているのだから、その強さの秘訣を調べて一般企業にも活かすべき」という。至極当然で合理的だ。日本はこの分野の国際的な動きにかなり疎いのだ。

 

もっとも、国際的な動きに疎いのはビジネススクールで教えている全ての分野に言えることだ。早稲田大学ビジネススクールの入山准教授がことあるごとに主張していることで、これは真実だ。そもそも日本の教授は国際会議には出ないし、国際的な論文を読むことにも積極的ではない。エール大学名誉教授の浜田宏一氏もこのことをよく指摘する。経済学の世界でもそのようだ。

 

日本以外でも超富裕層のほとんどを「同族企業のオーナー」が占めるのは同じで、彼らの現在の関心は「社会貢献に資する投資」だ。これは数年前から「インパクト投資」として欧米では共通語になっているが、日本ではまだまだのようだ。そもそも日本の超富裕層は投資にも社会貢献にも関心は薄いので、インパクト投資の概念を証券会社が日本に導入しても、それに関する投資信託商品はそれほど売れないだろう。

 

まあ、インパクト投資は放っておいても民間ベースで日本にも紹介されるだろうが、ファミリービジネスのガバナンス研究の遅れは決定的だ。我らが東大の柳川範之教授や早稲田の入山准教授が頑張っているが、まだまだ欧米の方がかなり先行していて、日本では欧米の論文を読むしかない。その議論に参加できるほど日本企業のデータや実態も調査されてはいない。このあたりは私も及ばずながら横から参加しなくてはいけない。今の日本のコーポレートガバナンスの対象は新日鉄や東芝などの一般大企業だが、近い将来、ファミリービジネスのガバナンスが日本でも重要なテーマになることは間違いない。