「繭子」さんって名前の人はどうしてこう、文章が面白いのか。

私の知る「繭子」さん(n=2)はリズミカルな、喋るような、それでいて的を射ている文章を書く。

 

 

この本を通してずっと著者は、「何者かになりたい」「ここではないどこかへ行きたい」と連呼する。

何者かになりたい人って多いよね、と最近どこかで話題にしたのだが、あなたはあなたであって何者かではないし、「私です、どうも」で良いのではないのか…と思っているので、この気持ちはイマイチ分からない。

 

しかし実際に読むと、あぁそんな頃もあったなぁ、と何となく理解できたような気がする。要するに私もミーハーなんである。

 

恥をしのんで言えば、「何者か」というよりは「ここではないどこかへある日突然ワープしていたらいいのに」と望むようなところが、私にもあった。それは占い師になる前、というか占いだけでやっていくようになる寸前まで、そんな感じであった。もちろんそんなことが不可能なのは分かっているから「今のここ」を毎日地べたを這いまわるように生きるのだが、要するに、自分の肩書が定まらないのである。宙ぶらりんで、社会の歯車にはまるでもなく、と言って何かを成し遂げているでもなく、さらに言えば独身で子供がいるわけでもなく、誰かのために生きる必要がなくただただ自己中心的にその日をやり過ごしてネットニュースとTwitter(現X)を往復する生産性のない日々。今、自分が死んでも誰も気付かないような日々。だが、占い師を本業にしてからそういうことは思わなくなった。正確に言えば、そういう暇がなくなった。

しかしこの著者の繭子さんは大変にお忙しい方である。なのに「何者かになりたい」と心の中で叫びながら、何者かになれる自分を夢見て、日々をたくましく生きていた。

 

 

さくらももこのエッセイのようなリズム感と、東野圭吾のエッセイのようなくすりと笑えるユーモア。そして著者ならではの、愛情の細やかさ。

小学生のようでもあり、おばあちゃんのような慈愛に満ちてもいて、それでいながら欲求に対して純粋な姿勢を保ち続け、その傍らご家族に対してとても細やかな視線を送り続けていることがよく分かる筆致である。どういうことなのだ。どうしてこのような人の書くものが、賞を得られないのだろうか。

 

本の中で彼女は、インタビューを通して「小説家に共通する項目」を見出している。

しかしそこに、絶対に忘れてはならないものを彼女は見落としているのではないか。

それは、誰よりも純粋で汚れていない部分があること。

これは部分的で良いのだろうが、それが人より多ければ多いほど、小説家へ開かれる扉が広くなるように思う。

さくらももこで言うなら息子が「海でもない、空でもない色」と称したパライバトルマリンの色の表現に感動するところとか。

東野圭吾で言えば、やたらとイケメンな、気の利いたセリフをさらっと登場人物に言わせるところとか。

理想をそのまま理想としてとっておくことは、やはり作家や何かを目指す人には大事なところなのではないかと思う。特にクリエイター系の仕事は、そこがなくなると急にカネのにおいがしてくるので、こちらが純粋に楽しめなくなってしまう。売れてきたバンドマンがやたらとライブグッズを作りまくるのと同じである。もちろん商業として成立しない以上は生活が危ぶまれるのでそれはいいのだ。しかし、純粋な部分が多い人たちほどそれが見えると「やらされてるんです、お商売だから」という感じがしてしまうので、どうしても一歩引いてしまう。

 

著者に関して言えば、「小説家になりたい」のは「小説を世に出したい」のがゴールでなかったので、それで今までは作家になれなかったのではないかと思う。要するに、手段と目的を間違えているという、アレ。

こんなに細やかな愛情を持ちながらそれを小説に反映させていなかったのではないだろうか。

だが、インタビュー仕事だと相手に対する愛情しかないから、それが良かったのではないか。そしてそこから得られた反省や希望や諸々の何かをそのままぶつけたから、このエッセイは良かったのではないか。元はと言えばnote記事だから、読まれることを想定しているにせよ、ほとんど商業的ではなく本人の純度が高い文章なのだ。

 

 

そして何だかんだと言いながらも自己肯定感が高いところと、あまりにも低いところのコントラストが面白い。つるんと綺麗なだけでは、小説は書けないだろう。凸と凹が激しいほど、作品は作りやすいのではないか。社会の中でそれをつるんとさせることが難しく、そのひずみや凸凹を何かで昇華しなければ生きていきづらいであろう。

自己肯定感の高さはきっとお父様に似たのではないかと思わせる。男性は大体自己肯定感が高い人が多いが、何しろ文中に出てくるお父様のお茶目な自己肯定感の高さは、世のこじらせた人たちが多少見習ってもバチは当たらんだろうというレベルである。何しろハートつき。この辺りは是非本書を手に取って読んでいただきたい。

お母様からの余るほどの愛情もきっと、彼女を優しい人間にした要因だろう。お母様のファンアート。これに涙しない読者はいないだろう。これも、ぜひとも本書を手に取って読んでいただきたいところである。親子関係に悩む人は、この辺りを読んでほしい。解決にはならないかもしれないが、親子関係に悩む人が欲しいそれが、ここにはあるかもしれない。そうした可能性を思わせる部分である。

そしてこうした細かな描写は、その事をじっと観察して取りこぼさなかった著者の客観性と感性によるものである。それを育ててくれたのは、この素敵なご両親なのだ。

 

 

「中学校のころ居場所がなかった」子から、大人になって色々と送られてくるときに「救ってくれたから」と言われたという。しかしその時何をしたのか、著者は覚えていない。それは記憶していないというより、当たり前の日々であって「救った」などという大げさなものではないからだ。その、「当たり前」の中に入れてくれたということ自体が「居場所がなかった子」には救いになったのだろうが、そうした恩着せがましさのかけらもないところや、友達だから友達として接していたという、周りがどうではなく、自分がそうだという確固たる信念のようなものは、彼女の美点である。それなのに「何者かになりたい」というのはどういうことかと思うが、結局のところ自己顕示欲ではなく承認欲求だった、と書かれている。彼女には自己顕示欲のような積極性はないのだ。だから、目にしたものに影響されてなりたいものが変わるのだ。黒柳徹子、歌手、女優、作家。

しかもその承認してほしいという欲求は結局、自分が自分に承認されたいというだけだったと結論づけている。ほとんどの人がそうなのかもしれない。これだけお母様から重たい愛情をもらっていて承認されていないわけがないのだ。だけど多分、ご本人がそれを認めたがらないのは、そうしてしまうと何者かになる必要がなくなり、つまり目的や目標がなくなり、平穏が訪れ、やることがなくなり、命を燃やす必要がなくなってしまうからかもしれない。そうしたヒリつくことを味わう幸せもあって良いのだと、その当時の彼女や承認欲求を得たい人たちは思えないのかもしれない。

 

 

今頃になって星の話を持ち出そう。

「なりたい」という欲求はHN7で見る。発芽しているものであればそれはネイタルチャートにおいてセプタイルになっているのであり、ある意味ではかなわないものを追いかけ続けることになる。だが、追いかけ続けるというのはある意味で夢のある話で、簡単に叶う夢は夢ではなくて予定なのだ。予定ならただの土星だし、そうするとタスクだけが残る。夢自体は海王星だから、そこに至るプロセスが分かってしまうようなものは夢とは言わない。それは目標である。

夢のある話だねぇ、というとき、どこかにどんでん返しやシンデレラストーリーや、要するにある日突然何かが起こったり、急に大物から選ばれる何かを思い描かないだろうか。だからこそ、いい歳して夢を追いかけ続ける人は周りからバカにされやすい。お前はいつまで土星を使わないんだと、常識にハマらないんだと、社会に迎合しないんだと言われるのである。だけどまぁ、そんなものは個人の自由だから、夢を追いたいなら好きにしたら良いのだ。家族のような経済的損失を与えられる立場ならいざ知らず、そうではない他人からあれこれ言われる筋合いはない。追いかけ続けた結果が、アインシュタインなのだ。彼は水星と冥王星がセプタイルになっていたと記憶している。なぜ?を徹底的に追いかけたらああなったのだ。でも、きっと彼は死ぬまで満足することはなかっただろう。まだまだ、追いかけ続けたいこの世の不思議がたくさんあっただろう。それを解明したいと考え、追いかけ続けて一生を終えたのではないだろうか。だから、夢を追いかけ続けることは何も悪いことではないどころか、建設的なことなのだ。この本の帯にはこう書いてある。「キヨシ、なんでそんなに夢みがちなの!?」。その夢を見続けた結果、今がある。そしてまだ先もだいぶある。彼女が二人のお子さんを育てていくうちにもしかしたらまた、新しい夢を見つけるかもしれない。

新しい愛情の形を見つけるかもしれない。お母様のファンアートに新作が出るかもしれない。

誰にも頼まれていないのに小説を書いていた日も、一方的に世界を閉じてしまった人を見送るしかなかった日も、全ては夢につながって、そうしてHN7から8へ、さらには9へ進んでいく。それは誰の星でもそうなっている。その形が各々で違うだけだ。

 

 

生まれた年は分かるものの、誕生日が分からなかったので著者の星は見ていない。しかし、きっとHN7がすごくにぎやかで、8には冥王星が関与していて…土星もきっとあるな、などと想像している。もしかしたら、7か8のどちらかには火星とMCのアスペクトがあるかもしれない。それでいながらきっと、水星と天王星辺りもあるに違いない。この愛情の細やかさは月と金星だろうか。ネイタルではディセンダントと金星が重なっているかもなぁ、などと考える。お父様の「自由を奪わない人を相手にすると良い」というアドバイスを「確かに!」と思ったのなら、アングルのどこかに水瓶座かな、などと考える。

 

 

最後にご本人がご本人にインタビューするという記事の見出しが最高に良い。

「人生の意味は後付けでしかない」。

 

で、そのインタビュー記事にご本人の近影があるのだが…

何が「BNW」なんだ、しっかり可愛らしいじゃんか。ちぇっ。

 

 

 

 

 

 

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