清瀬市議会議員  石川秀樹のブログ -4ページ目

あえて諫言したき事あり

 20代の半ばに4年ほど勤めた会社でのこと。その会社は今では一部上場企業になっているが、当時は教育の分野での伸び盛りのベンチャー企業だった。毎年20%で売り上げが伸びていたが組織の成熟が追い付かず、人の入れ替わりが激しかった。何をするにも人が足りないので、一人2役3役でマーケティングからイベントの企画運営までこなし、自分が3か月後にどんな仕事をしているのか想像もつかないほど目まぐるしく仕事の内容が変わった。

 

 その会社で私は、一回りほど年上の上司に仕えた。

 頭の回転が速く、前例に囚われず、良いアイデアが浮かぶとすぐに実行した。そのアイデアのいくつかは会社の柱となる事業に発展したものもある。私が入社したときは部長だったが、のちに副社長にまで昇った。最初は私の上に課長がいたが、上司と折り合いが悪く二人続けて退社してからは、課長は空席のままになった。私は平社員の身分のまま課長の仕事も兼ねることになった。

 その上司はルーティンの仕事に興味がなく、次に同じ仕事があるときはたいてい私に丸投げされてきた。何しろ会社にいることが少なく、相談する時間がないので、その上司の思考回路を必死でつかみ、上司ならどう判断するか考え、「この件はこの方向で進めますからね」と伝えると、たいていは了承された。宣伝の部署も兼ねていたので、雑誌や駅看板の広告などはたいていは私が判断した。20代の平社員だったが、毎年1億円くらいは自分の判断で使いみちを決めた。大企業にいたらおそらく10年くらいかけて覚える仕事を4年間で学ぶことができた。年に800時間程度残業したが、充実していた。その会社と上司には本当に感謝している。

 

 しかしこの上司の評判は必ずしも芳しくなかった。思い付きのアイデアを部下に振ってくることがあり、「来月は毎週土曜日にイベントをやるから出社してくれ」といった要求がしょっちゅうあった。面白いアイデアが浮かぶと、アドレナリンが一気に分泌されるのか、自分で自分に酔って興奮して大声になった。そんなときは上司に話を合わせ、機嫌をとっていれば、上司は大満足だった。しかし思い付きのアイデアのすべてが成功するはずもない。冷静だけが取り柄の私が、そんなときに話の腰を折るような言い方をすると、上司は露骨に不機嫌な表情になり、職場に沈黙が流れた。

 組織改編があり、上司は副社長となって、私の上には新しい部長と課長がきた。二人とも人格者だったが、私は「副社長派」だと見做されていたのか、どこかよそよそしい態度であった。別にそのことが原因ではないが、私は4年間勤めた会社を辞めた。その後に聞いたところでは、元の上司であった副社長はある日急に退社したという。その後自分の会社を立ち上げ、社員が100人を超える規模になったときもあったようだが、しばらくしてその会社の売却を方々に打診していたと聞いた。

 人は誰でも楽しいことを考えているときは笑顔で、周囲を明るくさせる。プラス思考の人はそれだけで人から好かれ、幸運がついてくる。しかしすべてのアイデアが実現するものでもない。危惧を感じたときにはあえて諫言しなければならないときもある。指摘されたからといってそのリーダーの価値が下がるわけではない。ガハハと笑って、また別のアイデアを考えればいいだけなのだから。

 

骨髄ドナーを支援する制度があります

 水泳の池江選手が白血病であることを公表したニュースにはショックを受けました。同時に多くの人々が、骨髄ドナーを希望し登録が増加していることには心が温まりました。治療方法の進化で白血病も治る病気になってきました。しかしながら有力な治療方法のひとつである骨髄移植は、ドナーなくしては実現しない治療です。

 ドナー登録者数は累計で50万人近くに増えています。そして移植を希望する患者数約3000人の約95%に適合するドナーが見つかっています。しかしながら骨髄移植の件数は毎年その半分以下の1200人台で推移しています。

 ドナーは見つかったのに、移植がなかなか実現しない理由の一つに、ドナーの休業補償の問題があります。

 

 

 骨髄の移植手術には、平均して4日間の入院と、その前後に3~4回程度の通院が必要になります。ドナー登録は18歳~54歳と定められているので、働いている世代が大半です。最低7日間は仕事を休む必要がありますが、非正規雇用が増えているので、仕事を休むことで雇用が揺らぐ不安を感じる人もいるでしょう。

 そうした不安を解消するため、経済的に骨髄ドナーを支援する自治体が増えています。ドナー本人に日額2万円、事業所に日額1万円、それを7日間なので3万円×7日間=21万円を補償する制度です。清瀬市では一昨年に、骨髄バンクを支援する東京の会からの陳情が議会に出され、全会一致で採択、昨年度から制度化されています。

 ドナーのもう一つの不安は、移植による後遺症等の不安があります。つまり、移植手術は本当に安全なのか、移植後の後遺症などはないのかという不安ですが、これは、大丈夫です。

 じつは私自身ドナー登録していて、8年前に骨髄提供をしました。後遺症などのデータは完全に情報公開され、コーディネーターや医師との面談を重ねるうちに、何の不安もなく移植手術に臨むことができました。もちろん今も後遺症などなく、背中の腰骨に刺した針の穴の跡も消えています。

 患者さんにとってはドナーが見つかったときは生きる希望が湧き、それがドナー側の都合で取り消されたときは、突き落とされたような気持ちになるでしょう。1件でも多く、骨髄移植が行われるように、この骨髄ドナー支援事業を活用していただきたいと願います。

https://www.city.kiyose.lg.jp/s040/030/020/100/020/20180420160036.html

 

 

 

女性議員比率都内1位



今日の読売新聞多摩版で、選挙結果の分析が載っていた。
改選前は20名中7名が女性議員であったが、今回は9名に増え、占有率45%で23区も含め都内で1位の比率になった。5年前は議長・副議長ともに女性であった時期もあり、清瀬市議会ではそれほど違和感はない。過去3回は女性候補者は全員当選しているので、立候補するまでは大変だが、選挙そのものは女性は強いとの結果が出ている。

新人割合は逆に東久留米市に次いで低い割合(20名中2名)で、新旧交代が進まなかった。
年代構成でも、70歳代の割合が3人で高いが、40代以下の割合も7名いるので、全体的にはそれほど極端に高齢化しているわけではない。ちなみに当選者20名の平均年齢は55.25歳。

私が初当選した20年前の選挙では26名中10人が新人で、新旧交代が進み、議会の雰囲気ががらっと変わった。そのときの平均年齢49.26歳に比べるとやはり6歳高くなり、それ以上に当選回数の平均値が、20年前の選挙時点では2.65回の若い議会であったのが、今回は3.95回となり、ベテランの占める割合が高い議会となった。私は議会改革の必要性を訴えているが、ベテラン議員が増えるほど議会運営は前例踏襲で保守的になる傾向があるので要注意である。


選挙の翌日



市役所で当選証書をいただいて自宅に戻ると睡魔に襲われ、横になったらそのまま2時間も寝てしまいました。
夕方になって久しぶりに近所の公園を散歩したところ、いつものカワセミくんが、人間を警戒することなく目の前をすぅ~っと通り抜けていきました。
選挙後は心身の回復にいつも3ヶ月ほどかかりますが、リハビリには散歩とサイクリングがいちばん自分に合っているので、GWには荒川沿いを走ってみようと思っています。
1984票で第2位で当選することができました。ありがとうございました。正直なところ、ホッとしています。

ドレスの色は何色? 



「青と黒」「白と金」のどちらに見えるかで話題になったドレスの色の論争。
私は絶対に「白と金」に見えるし、それ以外に正解はあり得ないと思っていました。「青と黒」に見えるなんて信じられないし、そう見える人は嘘をついて私を騙しているのかとさえ思いました。確信を持って、「白と金」が正解であると思っていました。
ところが正解は「青と黒」。光の加減と、背景との関係の「錯覚」で白と金に見える人もいるそうです。

これは目の錯覚の話でしたが、人はしょせん、自分の見たいものしか見ない、信じたいものしか信じない傾向があります。

議会の議論も似たようなところがあります。どんな社会がより良い社会か、どうすれば(どんな政策をとれば)良い社会になるのか、それぞれに違った意見を持っています。
政党のイデオロギーに基づいた主張もあるし、もっと身近な支持者の利害関係に沿った主張もあります。
先のドレスの論争のように、これは100%私のほうが正しい!と思う案件もあります。反対意見を持つ人に対しては、きっと何かの特別な利害関係があってそんな変な主張をしているんじゃないかとか、所属政党のイデオロギーを盲信し、きっと洗脳されているに違いない!とさえ思ってしまうこともあります。
しかし、もしかしたら、そう思い込んでいるのは自分のほうかも知れない…と、もう一人の自分にブレーキをかけてもらうことを忘れないようにしています。
(感覚的な言い方ですが、幽体離脱して斜め45度の高さから自分を第3者の立場で見下ろしてチェックしてみるよう注意しています)

しかし、ブレーキ役を担うのは、幽体離脱した自分ではなく、本来は「議論」そのものではないかと思っています。議会というのは、議論をするところです。自分と違った意見の持ち主が集まって、議論をするからこそ、自分の意見が他者にどう映るのか確認できます。誰もが最初は自分が正しいと思っていたけれど、他の人の意見を聞くうちに、それもそうだなと思ったり、やはり自分のほうが60%は正しいと思うけど、あの人の意見も40%位は分があるかなと考え直す機会を与えてくれるのが議会での議論ではないかと思います。


ところが、清瀬市議会に限らず、全国の地方議会の問題点なのですが、議員どうしの議論、というのがほとんどありません。議事録を読めば盛んに質疑応答している様子がわかりますが、これは議員どうしの議論ではなく、議員対首長(行政職員)の議論です。採決の前に「討論」はありますが、議会の「討論」とは、およそ世間の意味合いの討論とは違い、他者の主張に対する討論ではなく、案件に対する自分の意見のみを発表する場になっているので、賛成討論・反対討論はまるでかみ合っていません。かみ合わない議論をしているために、双方の意見から妥協しながら満足できる修正案をつくりだす能力としくみがいまの地方議会にはありません。

議員どうしが議論して、妥協しながらも市長案とは違う、市民感覚に合った政策をつくる。そんな議会にしていきたいと思っています。

ドレスの色の話から、だいぶ脱線しました。