ドレスの色は何色?  | 清瀬市議会議員  石川秀樹のブログ

ドレスの色は何色? 



「青と黒」「白と金」のどちらに見えるかで話題になったドレスの色の論争。
私は絶対に「白と金」に見えるし、それ以外に正解はあり得ないと思っていました。「青と黒」に見えるなんて信じられないし、そう見える人は嘘をついて私を騙しているのかとさえ思いました。確信を持って、「白と金」が正解であると思っていました。
ところが正解は「青と黒」。光の加減と、背景との関係の「錯覚」で白と金に見える人もいるそうです。

これは目の錯覚の話でしたが、人はしょせん、自分の見たいものしか見ない、信じたいものしか信じない傾向があります。

議会の議論も似たようなところがあります。どんな社会がより良い社会か、どうすれば(どんな政策をとれば)良い社会になるのか、それぞれに違った意見を持っています。
政党のイデオロギーに基づいた主張もあるし、もっと身近な支持者の利害関係に沿った主張もあります。
先のドレスの論争のように、これは100%私のほうが正しい!と思う案件もあります。反対意見を持つ人に対しては、きっと何かの特別な利害関係があってそんな変な主張をしているんじゃないかとか、所属政党のイデオロギーを盲信し、きっと洗脳されているに違いない!とさえ思ってしまうこともあります。
しかし、もしかしたら、そう思い込んでいるのは自分のほうかも知れない…と、もう一人の自分にブレーキをかけてもらうことを忘れないようにしています。
(感覚的な言い方ですが、幽体離脱して斜め45度の高さから自分を第3者の立場で見下ろしてチェックしてみるよう注意しています)

しかし、ブレーキ役を担うのは、幽体離脱した自分ではなく、本来は「議論」そのものではないかと思っています。議会というのは、議論をするところです。自分と違った意見の持ち主が集まって、議論をするからこそ、自分の意見が他者にどう映るのか確認できます。誰もが最初は自分が正しいと思っていたけれど、他の人の意見を聞くうちに、それもそうだなと思ったり、やはり自分のほうが60%は正しいと思うけど、あの人の意見も40%位は分があるかなと考え直す機会を与えてくれるのが議会での議論ではないかと思います。


ところが、清瀬市議会に限らず、全国の地方議会の問題点なのですが、議員どうしの議論、というのがほとんどありません。議事録を読めば盛んに質疑応答している様子がわかりますが、これは議員どうしの議論ではなく、議員対首長(行政職員)の議論です。採決の前に「討論」はありますが、議会の「討論」とは、およそ世間の意味合いの討論とは違い、他者の主張に対する討論ではなく、案件に対する自分の意見のみを発表する場になっているので、賛成討論・反対討論はまるでかみ合っていません。かみ合わない議論をしているために、双方の意見から妥協しながら満足できる修正案をつくりだす能力としくみがいまの地方議会にはありません。

議員どうしが議論して、妥協しながらも市長案とは違う、市民感覚に合った政策をつくる。そんな議会にしていきたいと思っています。

ドレスの色の話から、だいぶ脱線しました。