清瀬市議会議員  石川秀樹のブログ

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石川秀樹 5分間演説

 

 ○○にお住いの皆さん、私は市議会議員候補の石川秀樹です。政党には属さず完全無所属で立候補しています。この場所をお借りしまして5分程度の短い時間ですが、街頭演説させていただきます。

 清瀬市は様々な課題を抱えていますが、根本的な問題は、財政の問題です。多摩26市中26番目、つねに最下位の財政力です。

 清瀬市は年間約330億円で行政運営が行われています。ひとり当たり43万円程度です。一方で入ってくる市税収入は一人13万円しかありません。残りは国や都からの補助金、それに借金もしています。財政の厳しい自治体に対しては地方交付税で補填する仕組みですが、交付税だけで100%補填されるわけではありません。どうしても清瀬市とほかの街では差がついてしまいます。どんなところに差がつくのか。高齢福祉や生活保護などは格差がつかない仕組みです。格差がつくのは、子どもたちの教育環境の整備などです。学校の体育館で、古くなった跳び箱やマットを買い換えられないとか、学校の図書室で新しい図鑑を買い換えることができないとか、そんなところでほかの街と格差がついています。それ以上に道路や公共施設の維持補修費については、ほかの街より桁違いに少ない予算しか確保できないのが清瀬の現状です。これから公共施設が老朽化していきます。学校の建て替えにも50億円近い費用がかかります。

 

 清瀬市はなぜこれほど財政が厳しいのか。それには3つの理由があります。   ひとつめに南口の病院街からはほとんど税収が入ってきません。昭和の初めに最初の結核療養所が誘致されてから、南口は病院街として発展してきました。結核が治る病気になってからは、結核病院が一般の病院、福祉施設、高校や大学に姿を変えていきました。私が卒業した清瀬高校も、日本社会事業大学も、結核の療養所だった敷地に建てられたものです。ただしこうした施設からは税収がほとんど入ってきません。

 清瀬が財政が厳しい理由の2つ目は、北口に広がっている生産緑地、農地の存在です。ホウレンソウやニンジンの生産高は都内で1位ですから、清瀬が誇るべき農地ですが、税収という点では、生産緑地からは1平方メートル当たり1円という税収しか入ってきません。

 そして清瀬の財政が厳しい理由の3つ目は、市の周辺に広がっている団地の存在です。旭が丘団地や台田団地、南口の松山や竹丘の都営住宅など、清瀬は公的な団地の比率が都内で1番高い自治体です。団地の高齢化率は50%を超えています。私の親の世代は税金を納める側から福祉サービスを利用する側に変わっています。福祉の予算は年々増え、清瀬市では全体の予算の半分以上が福祉の予算になっています。福祉が充実するわけですから歓迎するべきことですが、問題は、その財源をどうやって確保するのか、財政の問題がいちばんの課題です。

 

 私は20年以上、行革を訴えてきました。公務員がやってきた仕事のうち、民間に任せられるものは民間にやってもらう。例えば清瀬市では、ごみの収集について、以前は燃えるごみも燃えないごみも、公務員である市の職員の方々が車に乗り込んで収集の作業をされていました。これを民間に切り替えたところ、大幅な人件費を削減し、その費用を福祉や教育に充てることができました。今年度の予算のなかでも、粗大ごみの電話での受付の仕事を民間に委託します。これまでは市の正規職員の方3名がおこなってきたこの仕事を民間に切り替えると、1000万円近い費用を削減できます。行革は決して福祉や教育の切り捨てではないことをご理解下さい。

 もちろん市民の方にも負担を求めてきました。ごみ袋の値上げの際には多くのお叱りもいただきました。しかし清瀬のごみ袋の値段は他の街の半分でした。ほかの街の水準に合わせたところ2倍になったわけです。いまでもごみの直接の収集経費は、ごみ袋の2.3倍かかっています。ごみ袋の年間の売り上げは2億円ですが、収集経費は4億5000万円かかっています。もしごみ袋を値下げすると、その分を税金で穴埋めすることになるので、ほかの施策に影響が出てきます。

 市民のみなさんに負担をお願する以上、行政も議会も、身を切る改革をしなければ納得していただけないと思います。私は市議会議員の数はもう少し減らしても大丈夫だと考えています。議員定数の削減を訴えています。

 

 私はいかなる政党・団体からの支援を受けずに「完全無所属」で立候補しています。支援を受ければ、しがらみができてしまい改革に腰がひけてしまうからです。労働組合の支援を受けることができれば選挙はやりやすくなります。しかし公務員人件費の削減などは、口が裂けても言えなくなってしまいます。政党や団体の支援を受けないからこそ、しがらみ抜きで既得権の見直しを訴えることができます。

 私は選挙事務所を構えていませんし、名前の連呼を繰り返す選挙カーも使っていません。選挙は政策を選んでいたくものと考えていますので、名前の連呼だけでは政策は伝わらない、だから選挙カーではなくハンドマイクひとつで、住宅街と駅前をこまめに回って街頭演説を繰り返しています。

 こうした姿勢を評価していただき、これまで6回当選させていただきました。

ハンドマイクだけで政策を訴え、当選することができれば、お金がなくても、組織がなくても、普通の人が市議会議員になることができます。私はこれまでの選挙文化を変えていきたいと思っています。

 お約束の5分が過ぎましたので、この場所での選挙演説はこれくらいで終わらせたいと思います。市議会議員候補の石川秀樹です。ご協力、ご清聴ありがとうございました。

 

完全無所属

 

 私はいかなる政党・団体からの支援を受けずに「完全無所属」で立候補しています。支援を受ければ、しがらみができてしまい改革に腰がひけてしまうからです。労働組合の支援を受けることができれば選挙はやりやすくなります。しかし公務員人件費の削減などは、口が裂けても言えなくなってしまいます。政党や団体の支援を受けないからこそ、しがらみ抜きで既得権の見直しを訴えることができます。
 

 私は選挙事務所も構えていませんし、名前の連呼を繰り返す選挙カーも使っていません。選挙は政策を選んでいたくものと考えていますので、名前の連呼だけでは政策は伝わらない、だから選挙カーではなくハンドマイクひとつで、住宅街と駅前をこまめに回って街頭演説を繰り返しています。

 こうした姿勢を評価していただき、これまで6回続けて当選させていただきました。

 ハンドマイクだけで政策を訴え、当選することができれば、お金がなくても、組織がなくても、普通の人が市議会議員になることができます。私はこれまでの選挙文化を変えていきたいと思っています。

告示前日の静寂

 

 準備がはかどり、告示の前々日には、ほぼすべての作業が終わった。ポスター貼りの依頼も、選挙ビラの4000枚の証紙貼りの体制も整った。選挙はがき2000枚もあとは郵便局に持参するだけである。この日の駅頭での演説は午前で切り上げ、どうしても自分で手配りしたかった地域に政策チラシ200枚ほどをポスティングし、午後4時に帰宅すると、やることがなくなった。前々日にここまで準備が整ったのは初めてだ。

 私は選挙カーを使わず駅頭や住宅街で演説を繰り返す。住宅街で拡声器を使う迷惑は5分間が限界と考え、5分間の演説を繰り返す。告示前の政治活動としての駅頭での演説も5分ほどの内容を毎回10セットほど繰り返してきた。今回は告示前の駅頭演説は31回行ったから、約300本、ほぼ同じ内容の演説をした。当然頭の中に入っているから、そのまま告示後の選挙演説にしてもいいのだが、あえて一度リセットする。

 

 告示の前日は、じっくり考える。“おまえは何を訴えたいのか”を自問自答することにしている。その問いとは、結局のところ、自分の“志”に刃を突き付ける作業にほかならない。 この社会をどうとらえ、この街をどのような街にしていきたいのかを、言葉に置き換える。借りてきた言葉を使っても、自分の中から出てきた言葉でなければ浮付いた言葉になり、演説のリズムが狂う。とにかく「言葉を磨く」ことに集中する。こうして基本的なストーリーが午後には完成した。もちろん演説の場所によって、対象の人々によって、内容は少しずつ異なる。このあたりのアレンジは現場でおこなっていけばよい。

 

 あとは読書をして過ごした。久しぶりに田中秀征氏の「田中秀征の論跡」を引っ張り出してみた。1995年2月の発行であるから、私が最初の選挙に出る直前に出版された本である。そのときも氏の言葉を身に染みて感じたものだが、今回のような告示前日に読み返すと、まったく同様にひとつひとつの言葉が腹の底に落ちていく。こうして至福の時間を過ごし、顔をあげると、雑念は雨で流されたように消え、静かな気分が広がった。

 

チャットGPTに選挙公約をつくらせてみた

 

 

話題のチャットGPTの実力はいかほどのものか、試しに「清瀬市議会議員選挙に立候補する際の選挙公約は?」と入力すると…、数秒で以下の「公約」が完成した。

 

私の選挙公約は以下の通りです。

  1. 健康で安心なまちづくり: 清瀬市の住民の健康を守り、安心して生活できるまちづくりを推進します。高齢者や障がい者の支援や介護施設の充実、保健医療の普及促進など、健康に関する政策を推進します。
  2. 子育て支援の充実: 清瀬市を子育てしやすいまちにするため、保育施設の増設や待機児童対策を強化します。子育て家庭を支援する制度の充実や、子育て世代のための施策を推進します。
  3. 環境保護と持続可能なまちづくり: 清瀬市の環境を守り、持続可能なまちづくりを推進します。自然環境の保護や再生可能エネルギーの導入、廃棄物の削減など、環境に配慮した政策を推進します。
  4. 交通インフラの整備: 清瀬市の交通インフラを改善し、便利で安全なまちを目指します。公共交通機関の利便性向上や交通渋滞の緩和、歩行者や自転車の利便性の向上を図ります。
  5. 地域の安全と防災対策: 地域の安全を守り、防災対策を強化します。防災訓練の実施や災害時の適切な対応、防災施設の整備を進め、住民の安全を確保します。
  6. 行政の効率化と市民参加の推進: 行政の効率化を図り、市民参加を促進します。市民の声を反映しやすい行政の運営を目指し、市民とのコミュニケーションを大切にします。

以上のような公約をもとに、市民の皆様の声を受け止め、市政の改革と発展を推進してまいります。

 

 

ふんふん、課題を網羅してうまくまとめているように見えるけど、あまりに一般論で、清瀬市特有の課題は把握できていない。この程度なら私でも10分あれば書ける(でもチャットGPTは数秒でこれを書いた。速さでは私の完敗)。

高校生の公民の課題なら合格点を得られるかもしれないが、一般論の域を出ず、実は何も語っていない。「清瀬市」の部分をほかの街の名称に換えてもそのまま通用するような通り一遍の文書だ。試しに「清瀬市」の部分を「武蔵野市」に換えてみたら次のような公約になった。

 

武蔵野市市議会議員選挙に立候補する際の選挙公約は?

 

私の選挙公約は以下の通りです。

  1. 子育て支援の充実: 武蔵野市の子育て環境をより充実させます。保育施設の増設や待機児童対策を進めるとともに、子育て家庭を支援する制度を充実させます。
  2. 環境保護と持続可能なまちづくり: 武蔵野市の自然環境を守り、持続可能なまちづくりを推進します。再生可能エネルギーの導入や廃棄物の削減、緑化の促進など、環境に配慮した政策を推進します。
  3. 交通インフラの整備: 武蔵野市の交通インフラをより便利で安全なものに改善します。公共交通機関の利便性向上や交通渋滞の緩和、自転車や徒歩の利便性の向上を図ります。
  4. 地域の安全と防災対策: 地域の安全を守り、防災対策を強化します。防災訓練の実施や災害時の適切な対応、防災施設の整備を進めます。
  5. 住みやすいまちづくり: 武蔵野市を住みやすいまちにするため、地域の魅力を活かし、文化やスポーツを推進します。公共施設の充実や地域コミュニティの支援を行い、市民の交流と交流の場を増やします。
  6. 行政の効率化と透明性の向上: 行政の効率化を図り、市民サービスの向上と行政の透明性を高めます。市民の声を反映しやすい行政の運営を目指します。

以上のような公約をもとに、市民の皆様に寄り添い、市政の改革と発展を推進してまいります。

 

清瀬の場合とほとんど変わっていない…。

AIがどんな情報を読みこんで作文するのかがポイントなのだろうが、例えば議会の議事録でも読み込めば、もう少しその街の実情を踏まえた課題を見つけ出すことができるのだろうが、いまのところこの分野のチャットGPTの実力はこの程度であろう。

とはいえ、この「選挙公約」は、選挙公報でよく見かけるような内容である。次の選挙公報が届いたら、果たしてAIが書いたものかどうか探ってみよう。

 

「鳥の目」と「虫の目」で議論を

    

 

 私も議員としてベテランと呼ばれる年齢になりました。

 そして、ある程度、「鳥の目」で市政を見ることができるようになりました。市全体の財政状況を理解し、他市に比べ清瀬市はどのような税収が少ないのか、予算の配分ではどの分野が手薄であるか、おおよその全体像を俯瞰して見ることができるようになってきたと思います。

 一方で新人議員のなかには、例えば障がい者の支援や子育て支援など、ひとつの問題に対する情熱から議員を目指す人がいます。それは良いことだと思います。国の制度が立ち遅れた分野では、それに憤る人々の声に後押しされて当選してくる議員にはエネルギーを感じます。「虫の目」から問題点を追及する議員は強い。

 ところが、その議員の関心はワンイシューであっても、議員には街全体の予算やきまりを決定する責任があります。日本の基礎自治体の守備範囲はかなり広く、福祉・教育・都市整備・産業振興など、多方面にまたがっています。農業に従事する議員であっても、介護保険の条例やごみ処理費用の予算について議決する責任があります。国会議員であれば政党の中で役割分担して、不得意な分野はほかの人にまかせることができますが、定数20の清瀬市議会レベルでは、ある程度のオールラウンドな見識が求められます。

 新人議員はここで一つの壁に直面します。ワンイシューで当選してきたのに、都市計画や高齢者医療などよくわからない条例に対して、賛成/反対をどうすればいいのか…。政党に属していて、政党が「解答」を用意してくれるならば、それに従えばいいでしょう。しかし政党は個々の地域の個々の事情まですべて把握しているわけではないので、地方のことは地方議員自らが判断することのほうが多いと思います。

 「鳥の目」と「虫の目」の視点の違いは、どちらかが正しい/間違っているという問題ではありません。老若男女と関心事でそれぞれ違った視点をもった議員がいるのは多様性の確保で良いことです。それらの議員がそれぞれの視点から議論し、妥協し、解決策を探っていくのが本来の地方議会のあり方だと思っています。

 しかし、残念ながらそうなっていないのがほとんどの地方議会です。議論はありますが、そのほとんどは「議員vs行政執行部」の議論です。議員vs議員の議論がほとんどないのが地方議会の問題点です。議員提案の議案については、議員どうしの議論はありますが、そのほとんどは政党単位でのイデオロギーの違いによる反対意見の応酬に終わり、妥協し合いながら最適解を探っていく議論とは程遠いのが現状です。

 昔ながらの地方議会では、古参の議員(多くは高齢の男性)が、議論をリードし、若手議員がしぶしぶ従う、という構図があるようです。しかし清瀬市議会ではそうした封建的な図式はとうの昔になくなり、いまあるのは国政政党の対立の図式だけです。

 「鳥の目」「虫の目」のテーマから少し外れました。私は「鳥の目」議員vs「虫の目」議員の議論は、議員を鍛え成長させるためには必要な図式ではないかと思っています。マックス・ヴェーバーは『職業としての政治』のなかで「政治家にとっては、情熱、責任感、判断力の三つの資質が特に重要であるといえよう」と述べています。私なりに解釈すれば、責任感は新人議員も古参議員も当然持ち合わせなければならない資質です。一方で情熱は、やはり新人議員のほうが熱量は高いように感じます。その一方で判断力は、「鳥の目」を持つ古参議員の方に分があると思います。繰り返し述べますが、多様な視点から議論し、妥協し、解決策を探っていくことが政治の醍醐味だと私は考えています。「虫の目」で問題点に焦点を当て、「鳥の目」で制約条件を考慮しながら最適解を探る。そんな議会にしていきたいと思います。

 

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