告示前日の静寂 | 清瀬市議会議員  石川秀樹のブログ

告示前日の静寂

 

 準備がはかどり、告示の前々日には、ほぼすべての作業が終わった。ポスター貼りの依頼も、選挙ビラの4000枚の証紙貼りの体制も整った。選挙はがき2000枚もあとは郵便局に持参するだけである。この日の駅頭での演説は午前で切り上げ、どうしても自分で手配りしたかった地域に政策チラシ200枚ほどをポスティングし、午後4時に帰宅すると、やることがなくなった。前々日にここまで準備が整ったのは初めてだ。

 私は選挙カーを使わず駅頭や住宅街で演説を繰り返す。住宅街で拡声器を使う迷惑は5分間が限界と考え、5分間の演説を繰り返す。告示前の政治活動としての駅頭での演説も5分ほどの内容を毎回10セットほど繰り返してきた。今回は告示前の駅頭演説は31回行ったから、約300本、ほぼ同じ内容の演説をした。当然頭の中に入っているから、そのまま告示後の選挙演説にしてもいいのだが、あえて一度リセットする。

 

 告示の前日は、じっくり考える。“おまえは何を訴えたいのか”を自問自答することにしている。その問いとは、結局のところ、自分の“志”に刃を突き付ける作業にほかならない。 この社会をどうとらえ、この街をどのような街にしていきたいのかを、言葉に置き換える。借りてきた言葉を使っても、自分の中から出てきた言葉でなければ浮付いた言葉になり、演説のリズムが狂う。とにかく「言葉を磨く」ことに集中する。こうして基本的なストーリーが午後には完成した。もちろん演説の場所によって、対象の人々によって、内容は少しずつ異なる。このあたりのアレンジは現場でおこなっていけばよい。

 

 あとは読書をして過ごした。久しぶりに田中秀征氏の「田中秀征の論跡」を引っ張り出してみた。1995年2月の発行であるから、私が最初の選挙に出る直前に出版された本である。そのときも氏の言葉を身に染みて感じたものだが、今回のような告示前日に読み返すと、まったく同様にひとつひとつの言葉が腹の底に落ちていく。こうして至福の時間を過ごし、顔をあげると、雑念は雨で流されたように消え、静かな気分が広がった。