晴れ時々ジャズ -21ページ目

晴れ時々ジャズ

日々の雑感とともに、フランスを中心に最新の欧州ジャズについて書いています。

外出から帰ると、2個のマツボックリが届いていました。注文してから半年かかりました(はぁ~)。

1) ■VALERIE GRASCHAIRE & PIERRE-ALAIN GOUALCH DUO / HONKY MONK WOMAN (Label EMD EMD 0001)
PIERRE-ALAIN GOUALCH (p)
VALERIE GRASCHAIRE (vo)

2) ■PIERRE-ALAIN GOUALCH - FRANCK AGULHON / TIKIT (Label EMD EMD 0401)
PIERRE-ALAIN GOUALCH (p)
FRANCK AGULHON (ds)


1) は、ピアノとヴォーカルによるデュオ。ストーンズの曲をもじったタイトルがシャレてます。お察しのとおり、THELONIOUS MONK曲集。
2) は、ピアノとドラムによるデュオ。GIANT STEPS以外は全て2人のオリジナル曲。

Label EMDのウェブサイトはこちら。

試聴は↓ココで。





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たんにLARS JANSSONのピアノが聴きたかったのか、それともドラムがALEX RIELだからなのか、どういう理由でこれを入手したんやったっけ?と、今ではすっかり忘れておりますが(笑)1月から2月にかけて一番よく聴いていたのはこれでした。2002年のリリースなので新譜とはいえませんが、聴いて良かったので書きましょう。

本作は、2000年12月2日、3日にCOPENHAGEN JAZZHOUSEにて行われたライヴを収録。全8曲のうちTHE MASQUERADE IS OVERを除く7曲がPETER VUUSTの書いたオリジナル曲で、彼の作曲は実に素晴らしいです。各人のハイレベルな演奏は無駄な部分、ダレる箇所が一切無い濃密さで、たいへん聴き応えのある内容となっており、録音も良好です。

1曲目のHOMESICKは、苦みばしったハードバップ型ワルツ曲。実は、LARS JANSSONの演奏をちゃんと聴くのは本作が初めてだったのですが、こんなにステキなピアノだったとは知りませんでした(もっと早く聴いておくんだった)。それから、やはり初めて演奏を聴くOVE INGEMARSSONのテナーソロがかっこよすぎ。この人、巧いですね。なんで誰も教えてくれなかったのー?
2曲目は、明るく爽やかなムードで演奏されるTHE MASQUERADE IS OVER。PETER VUUSTのブンブンなウォーキング・ベース、ALEX RIELの切れ味鋭い遊び心あるドラム、OVE INGEMARSSONの爽快感たっぷりのテナーサックスソロ、LARS JANSSONの唸りながら弾いてるピアノも品性があってスウィングしてる。と、この曲は聴いてて気持ちよく、めっちゃ楽しいんだな♪
お気に入りの3曲目、FOUDATION AND EARTHは、イントロとエンディングで奏でられるピアノのなんともいえず優しく可憐なメロディに心惹かれるな~と思ったら、実は力強いテーマを持つ雄大な雰囲気の曲で、そのミスマッチが面白い。おおっ!と注目してしまったのは、OVE INGEMARSSONのソプラノサックス。これだけスケールの大きいソプラノを吹けるINGEMARSSONは、まったくもって只者じゃありませんな!ちゃんと木管らしいまろやかな美しい音が出ていますし、モーダルでちょいアブストラクトなフレーズを流れるように速く繰り出すプレイがむっちゃカッコイイ!いやもう、一発で気に入りました。
4曲目のTHE BIG VIEWは、まずイントロのピアノが好き。LARS JANSSONの演奏にはアルバムの全編にわたって品性と良心を感じます。ハートがあるって言えばいいのかな~。この曲の聴きものは、まずPETER VUUSTのベースソロ。深く響く音で実によく歌ってて、アクセントやキメもばっちり。OVE INGEMARSSONの縦横無尽に吹きまくるソプラノサックスも。
一番のお気に入り、5曲目のJAPANESE CONNECTIONは、なんといってもベースラインが私好みです。何を隠そう、私はこのテの胸キュンベースラインにめっぽう弱い。アーティチョークの目ぇをハートにしたろかーと思ったならば、目の前でこういうベースラインを弾いたらよろし。そうすれば、私は一発でスレンダー(slender=ほっそりした)じゃなかった、ええっと、サレンダー(surrender=陥落)なのは確実でござるよ。それからそれから、私が思わず身を乗り出したのは、OVE INGEMARSSONのソプラノサックス!!(←!が2つでも足らんぐらい)なんという美しさと哀愁に満ちた音色、抜群のコントロール、フレージングのセンスの良さ。このベースラインにこのソプラノサックスでは痺れて当然。ああ私、もうダメ...と床に倒れこんでたら、無情にも曲はアッという間に終わってしまい、ハッと我に返ると、
すでに6曲目のNICE TRICK, DAD ! (子供に看破されて慌てる父ちゃんの様子が目に浮かぶタイトル)が始まっておりまして、テナーがイケイケだぜ、ベイブ!ウッドもブンブンだぜ、姉ちゃん!シンバルレガートのタイトさったらないぜ、兄ちゃん!ピアノもご機嫌だぜ、母ちゃん!てな具合で、だら~んと倒れてる場合ではないのでした。
7曲目のLEDA AND THE COLONELは、OVE INGEMARSSONの明るく軽快なテナー、ALEX RIELの前ノリで楽しげにドカドカしているドラム、PETER VUUSTの歌心いっぱいのベースソロ、LARS JANSSONの色彩豊かなピアノ、と、これもいちいち素晴らしいのだな(笑)
ラストのYOUNG BLUE EYES [MIKKEL'S SONG]のMIKKELって、PETER VUUSTの子供(赤ちゃん)の名前?可愛らしいメロディでゆったりスウィングするワルツは、赤ちゃんを抱っこして優しく揺らしているみたいです。MIKKEL坊やの青い目を覗き込みながら即興で子守唄をうたって寝かしつけているうちに出来てしまった曲かなぁなんて勝手に想像してまうほど、心休まるいい曲なんです。これはこの曲に限らずアルバムの全編にわたって言えることですが、ALEX RIELの好サポートぶりも光っています。

いやもう、本作の曲と演奏は全部いい!なんべん聴いても飽きないです。このアルバムに関しては、もう4人とも素晴らし過ぎるので、それをここへいちいち書いてたら日が暮れてしまいますっ!(笑) ちなみに本作が2008年度に聴いた旧譜のベスト3に入るのは確実です。これが新譜なら、間違いなく2008年度のベスト10入りしていたことでしょう。

*どうでもいいオマケ
いやはや、本作は素晴らしいの一言ですわ~。それにしても、スウェーデンにOVE INGEMARSSONというこんなに凄い人がいたとは知りませんでした~。んで、さっそく昨日リーダー作やら参加作(リーダーはピアニストのANDERS PERSSON)を注文(^_^)v
また、前々から気になって気になってしょうがなかったピアニストのLARS JANSSONは、これ聴いたのがきっかけでImogenaから出てる3作品を注文したのでした(^_^)v

*読んでためになるオマケ
それから!
ついこのあいだすずっくさんブログ (←ここも是非読んでね)で知った、第33回スカンジナビアン・コネクション、今年は関西にも来るのだ!

はっきり言って私、OVE INGEMARSSON以外の人は誰一人として知らないですが(^▽^;) 注文済みのANDERS PERSSON / OBSOLETE MUSIC (Imogena)で予習も出来るし。こいつぁーいっかい行っとかなあかんやろ!(と、鼻息だけは荒い)
ん?33thてことは、今年でもう33回目なの?と、なあ~んにも知らないアホなアーティチョークだった(;^_^A

■PETER VUUST QUARTET / HOMESICK [LIVE AT COPENHAGEN JAZZHOUSE] (Imogena /
Spice Of Life SOL IG-0011)
LARS JANSSON (p)
ALEX RIEL (ds)
OVE INGEMARSSON (ts, ss)
PETER VUUST (b)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)




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届いたマツボックリは4個でした。4) 以外は全て未聴です。

1) ■KENNY WERNER TRIO / GU-RU (TCB 94502)
2) ■DANIEL MILLE / SUR LES QUAIS (Saravah / Omagatoki OMCX 1189)
3) ■DANIEL MILLE / LE FUNAMBULE (Saravah / Omagatoki OMCX 1047)
4) ■ANTONIO FARAO / WOMAN'S PERFUME (CAM Jazz / Omagatoki OMCZ 1026)

1) は、去年初めて演奏を聴いて以来気になっていたTOM RAINEY(ds)参加作品ということで選んだ1枚。注文してからだいぶ待ってようやくゲット。
2) と 3) アコーディオン奏者DANIEL MILLEのアルバムには、私の好きなミュージシャンが多く参加しています。
4) 録音のせいか、聴いていても演奏にのめり込めず、一回聴いたきりでほったらかしになってます(^▽^;)


*オマケ
これは17日(日)に撮影した庭の写真です。
今日はいいお天気で、積もった雪がどんどんとけていますよ。








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NILS WOGRAMの新譜です。去年出たSIMON NABATOVとのデュオ盤JAZZ LIMBOは遠慮しとこーと思ったけれど、これは気になります。この顔合わせのトリオとしてはこれが2作目となるようですが、私は前作のDADDY'S BONESを聴いておりません。それにしても、NILS WOGRAMの担当楽器meldociaって何でしょう?これがmelodicaならいつも演奏してますから分かるんですけど。ミスタイプかなぁ?

■NILS WOGRAM'S NOSTALGIA / AFFINITY (Intuition INT 34142)
NILS WOGRAM (tb, meldocia)
FLORIAN ROSS (org)
DEJAN TERZIC (ds, glockenspiel)

http://www.intuition-music.com/shop/en_UK/products/show,232657.html

ここで全曲試聴できまっせ。
http://www.legalsounds.com/download-mp3/nils-wogram's-nostalgia/affinity/album_71265



フランス人ピアニストOLIVIER HUTMANの新譜は、3月3日リリース。前作のピアノトリオ作品FIVE IN GREEN (RDC Records)から5年振りのリーダー作。

■OLIVIER HUTMAN QUARTET / SUITE MANGROVE (Nocturne NTCD4503)
JACQUES SCHWARTZ-BART (ts, fl)
OLIVIER HUTMAN (p)
SALVATORE LA ROCCA (b)
HANS VAN OOSTERHOUT (ds)

ほほお~、OLIVIER HUTMANのホームページが出来ていたんですね。
http://www.olivierhutman.com/



ベーシストMICHEL BENITAの新譜は、3月3日リリース。MANU CODJIAのギターにも注目。

■MICHEL BENITA FEAT. MANU CODJIA / RAMBLIN' (Nocturne NTCD4505)
MICHEL BENITA (b)
MANU CODJIA (el-g)

http://www.nocturne.fr/produit.cfm?id_produit=8957




*オマケ(アーティチョークは怒っている!)

このあいだ偶然見つけたページ、あれは何ですか?
そのページは、1枚の「フランス盤」をジャケット写真つきで紹介しています。私が前にブログで記事にしたのと同じ作品です。その人物は、私が書いた記事と全く同じか似た表現を使い、さも自分が聴いたかのようにその「フランス盤」を紹介していますが、その人物はその「フランス盤」を実際には聴いていないし手にも取っていないことは明白です。
何故ならば、その人物は、間違ったメンバーをその「フランス盤」のメンバーとして紹介しているからです。そのページに書かれている間違ったメンバーの3人の名前は、私が前に書いた同じ「フランス盤」の記事の冒頭で紹介していた全く別のバンドのメンバーである3人の名前と一致します。私の書いたブログを読んでいなければ、メンバークレジットをあのように間違えたりするはずがありません。
これを書いた人物は、私の書いた記事の冒頭部分をいいかげんに読み、この3人がその「フランス盤」のメンバーであると早とちりしてそのまま書いてしまったのでしょうね。
思わず笑ってしまったのは、そのページの一番下に Copyright (c) since 2000 と表示してあること。人が書いた文章を少し変えただけの安易な作品紹介文を掲載し、ご丁寧に間違った情報を発信しておきながら、著作権を主張なさるのですね。

あ、そうそう、そのページ、誠に勝手ながら1枚だけプリンタで印刷させていただきました。こんなしょーもないことで訴えるようなことはいたしませんので、その点はご安心を。ただ、こういう面白いこともあるのだなということで、印刷したものは記念に持っていようと思います。



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こないだ京都で拾ってきたマツボックリ書いとくの忘れてました。

1) ■JONAS KULLHAMMAR QUARTET / SALUT (Moserobie Music Productions MMP CD 001)
2) ■FREDRIKSSON, KULLHAMMAR & ZETTERBERG / GYLDENE TIDER VOL. 1 (Moserobie Music Productions MMP CD 036)
3) ■FREDRIKSSON, KULLHAMMAR & ZETTERBERG / GYLDENE TIDER VOL. 2 (Moserobie Music Productions MMP CD 037)
4) ■FREDRIKSSON, KULLHAMMAR & ZETTERBERG / GYLDENE TIDER VOL. 3 (Moserobie Music Productions MMP CD 038)
5) ■WOLFERT BREDERODE QUARTET / CURRENTS (ECM Records ECM 2004)

1) ~4) は、JONAS KULLHAMMAR関連。
5) は、気になるクラリネット奏者CLAUDIO PUNTIN参加で拾いました。

*どうでもいいオマケ
雪が積もったので、今日もカメラを持って犬みたいに家を飛び出した私(笑)
向かった先は300メートル級(3000ではない)の山です。

雪はすでに小降りになっていましたが、登るにつれて道路の雪はどんどん深くなってきました。山ですからあたりまえです。それでもそのときは「そういえば、長靴、積んできてないなぁ」などとえらくのんきなことを考えていたんですね。そのうちに積もった雪と自動車の車体が接触し始め、「こんなとこでタイヤがスタックしたら難儀やな~」と思うと、車に積んでこなかった雪かき用の黄色いスコップの映像が頭をよぎりました。「私の車(←4駆ではない)でこのまま頂上まで登れるやろか?」とほんの少しだけ不安になりかけた頃、ボディに「○○市」と書かれた自動車が降りてくるのに出会いました。お互いに自動車を止め窓を開けてお話です。

○○市の職員:「頂上まで行かれるんですか?」(こんな雪の日に一人でいったい何しに行くんや?)
アーティチョーク:「はい、雪景色の写真を撮ろうと思いまして」(こんな雪の日に一人でいったい何しに行くんや?と思われてるやろな~)
○○市の職員:「ここから先、頂上付近はかなり積もってますよ。あとで除雪車が来ますから、それまで待たれた方がいいです」(除雪車に救助されたくないなら引き返しなさいね)
アーティチョーク:「分かりました。引き返します」(汗)

無事に下山し、夫と息子のためにヴァレンタインのチョコを買ってから、知り合いが写真展を開いている喫茶店へ寄り、作品を鑑賞して熱い紅茶で一息入れました。
もしかしたら今日のブログが、
「雪山で行き倒れのアーティチョーク、除雪車に救助される(涙)」(ちょっと大げさ?)
てな記事になってたかもしれないと思うと、「今日の私はちょっと無謀だったかな」と反省しております(;^_^A

下山の途中で撮影した雪景色に、登るはずだった山頂と展望台が写っています。頂上からの眺めは、また今度ね。








ふっふっふ(* ̄ー ̄*) VENTO AZULさんに先越されんうちに書いてしまうのだ(笑)

SEBASTIEN JARROUSSE OLIVIER ROBIN QUINTETの新譜が1月15日にリリースされます。メンバーは前作と同じで、やはりオリジナル曲中心のようです。EMIL SPANYIのピアノに注目。

■SEBASTIEN JARROUSSE OLIVIER ROBIN QUINTET / DREAM TIME (Aphrodite Records)
SEBASTIEN JARROUSSE (ts, ss)
OLIVIER BOGE (as)
EMIL SPANYI (p)
OLIVIER ROBIN (ds)
JEAN-DANIEL BOTTA (b)

ここで試聴できまっせ。




2008年2月号の表紙はSTEVE COLEMANです。STEVE COLEMANといえばM-BASE?残念ながら私はこの人のアルバムを1枚も持っていませんが、CASSANDRA WILSONのリーダー作は1枚目から連続して13枚ほど聴いているので、STEVE COLEMANの演奏やM-BASE的な演奏は嫌いではありませんよ。でも、私が知っているのはその程度です。



2月号の特集は、ジャズとスピリチュアリティ(精神性)。この「精神性」という言葉にはいろんな意味や解釈の仕方があって難しいと思いますが、音楽というものが今よりもっともっと神様や、自然の驚異や、宇宙の神秘などと密接だった太古の時代から現代に至るまで、音楽と精神性のふたつは切っても切れないもの。しかし、現代における全ての音楽に精神性があるのかどうかということになりますと、それははなはだ疑問ですけれどね。

う~む、こういう話をどんどん突き詰めてゆくと、「音楽と商業主義」とか、「記録媒体としての音楽」などという殺伐としたテーマにそって「音楽と精神性」を考えねばならず、CDで音楽を聴く行為に対して懐疑的となり、挙句の果ては「未開の地で原住民の音楽を聴かねば!」となってしまいそうで怖い(笑)
ま、あんまり難しいこと考えんと音楽を楽しみましょ(^▽^;)



「ならば、まずはオーディオだっ!」が一件落着しますと(詳しくは『ジャズ批評』2007年1月号No.135のp.166をご覧くださいませ)、必然的に「つぎは音楽鑑賞用の椅子だっ!」となりました。
オーディオを置いている部屋にはソファもテーブルもあるのですが、重すぎて簡単には移動できないサイドボードや部屋のドアの位置を考えますと、ソファのレイアウトを変えることには少々無理がありました。しかし、音のバランスが一番良く聴こえる場所で音楽を聴かなければオーディオシステムを組んだ意味がありません。そこで、しばらくのうちはそこらへんに余っていた仮の椅子で音楽を聴いていたのですが、その椅子ときたら座り心地が良くないだけでなく、可笑しな演奏で思わずズッコケたり、カッコよすぎるジャズを聴いてぶっ飛んだりするたんびにいちいち転げ落ちてしまうような椅子だったのですね。こんなんで音楽聴いてたらこっちの身が持たんわ(笑)ということで、長くてつらい椅子探しの旅が始まったのでした(ほんまかいな?)。

座り心地が良いという点の他に、私が音楽鑑賞用の椅子に求めていた最低条件は3つありました。

1.ヘッドレストが無く、座ったときに自分の耳とスピーカーのツイーターとがほぼ同じ高さになること。
2.シンプルなデザインで、部屋の雰囲気に合っていること。
3.長く使えて、修理も可能であること。

最初は簡単に見つかるだろうと思っていたのですが、いざ探してみますと、気に入った椅子ってなかなか無いものですね。ウン十万円もするような総革張りの椅子は趣味に合わないし、そんな予算もありません。あっちウロウロ、こっちウロウロと探し回って4年の歳月が過ぎ去りました。
そうして、昨年末、ついに見つけました!
注文してから待つこと1ヶ月、ようやく念願の音楽鑑賞用の椅子が我が家に届いたのでした。あー、長かったぁー(笑)でも嬉しいー!(^◇^)





この椅子には「たためる椅子」という名前がついています。あっというまに簡単にたためてペッタンコになるのでイザというときには便利ですが、今のところは仕舞っておく必要もないのでそのまま部屋に置いています。





これは、もともと八ヶ岳高原音楽堂のホールのために作られた椅子だそうで、演奏会によってステージと客席の配置を変えることができる設計となっているため、この「たためる椅子」が使用されることになったそうです。恵まれた自然環境に囲まれ、木材をふんだんに使った建物で、聴衆がゆったりと音楽を鑑賞することができるよう、座り心地の良い革張りの椅子がデザインされたとのこと。のちに一般向けに販売されるようになってからは、木部の色、シートの材質と色を自由に選んで組み合わせることができるそうです。

シンプルで、どこか人間味のあるデザインがとても気に入っています。座面の高さや背もたれの具合もちょうど良く、音楽がいつもより良い音で響いていると思うのは気のせいでしょうか。
これに座って音楽を聴いていると、つい時間を忘れてしまいそうです。

夫:「ただいまー!」
アーティチョーク:「ハッ!(;゜ロ゜) お帰りなさいませー!」
夫:「あれ?ご飯、まだ?」
アーティチョーク:「うん、ごめんね、この椅子に座ってジャズ聴いてたら、つい時間忘れてしもて(;^_^A」
夫:「椅子のせいにしたらアカン」
息子:「ただいまー!」
アーティチョーク:「お帰りー!」
息子:「あれ?ご飯、まだ?」
アーティチョーク:「うん、ごめんね、この椅子に座ってジャズ聴いてたら、つい時間忘れてしもて(;^_^A」
息子:「ジャズって、やっぱり不良の音楽やったんや!」


八ヶ岳高原音楽堂のホームページがありました。機会があればぜひ音楽を聴きに行ってみたいと思います。
http://www.yatsugatake.co.jp/

「たためる椅子」はこちらです。
本書は、1986年にフランスの国営ジャズオーケストラとして創設されたORCHESTRE NATIONAL DE JAZZ(以下ONJ)の創設20周年を記念して出版されたもので、FRANCOIS JEANNEAUが音楽監督となった第1期ONJからFRANCK TORTILLERが音楽監督となった第9期ONJまでの歩みを写真と文章でたどる内容となっています。


写真は全てモノクロームで、GUY LE QUERREC(注)によって撮影されたもの。LE QUERRECについては、LABEL BLEUよりリリースされたALDO ROMANO、LOUIS SCLAVIS、HENRI TEXIERとのコラボ「CARNE DE ROUTES」、「SUITE AFRICAINE」、「AFRICAN FLASHBACK」でご存知のかたも多いと思います。
本書では本番中の風景は意外に少ないですが、緊張感漂うリハーサル風景、舞台袖や楽屋の風景、はいチーズ!的な集合写真のほかに、移動中の車中やオフの時間に撮影されたものもあって、リラックスした表情、屈託のない笑顔、何気ない仕草といったミュージシャンの素顔を捕らえたひとコマひとコマが興味深く面白いと思いました。
また、楽屋の鏡に写るミュージシャンとその周りの風景、舞台照明によってステージ後方に映し出された人影とステージ上のミュージシャンといった、虚像と実像を巧みに組み合わせる独自の手法。あるいは、前景をピンボケになるほどぐっと手前に持ってくることによって、ダイナミックな奥行きと臨場感を表現する手法などは特に印象に残りました。
素晴らしいと思ったのは、それぞれのミュージシャンの表情がとても素直で自然なこと。GUY LE QUERRECは多くのジャズミュージシャンと交流があり、長期間にわたって彼等とともに行動し仕事を続けてきた写真家なので、信頼され、仲間として受け入れられているのでしょう。あるいは、ミュージシャンにとっては、彼が傍にいて撮影しているのがあたりまえで、いわば空気のような存在なのかもしれませんね。

ONJは1991年に来日し、東京で行われたライヴ・アンダー・ザ・スカイに出演しているんですね。そのときのライヴの模様や、地下鉄の日比谷駅入り口前での集合写真、地下鉄の車内でのひとコマなどもあって興味深いです。
見ていて可笑しかったのが、1986年にシャンゼリゼ劇場の舞台袖(?)で撮影された第1期ONJの集合写真。客演と思われるLARRY SCHNEIDER、JEAN-FRANCOIS JENNY-CLARK、MICHEL PORTAL、JOACHIM KUHNが椅子に座っていてONJのメンバーが後ろに立ったりしゃがんだりしているのは分かるのですが、不可解なのが、一番端っこでヤンキー座りしているご老体のGIL EVANSさん(笑)大先輩にヤンキー座りさせていいのかっ!と思わずツッコミたくなります。それにしても、本書でGIL EVANSのいろんなショットを見るにつけ、独特の困っているような表情といい、どこか可愛らしい雰囲気といい、なんともいえんエエ味出してはるんですよねー。GIL EVANSのような美味しいキャラクターは、写真家にとって絶好の被写体だったに違いありませんよ(笑)

巻末には、それぞれの音楽監督ごとに「活動時期」、ライヴの日時と会場名等を記した「出演暦」、ミュージシャンと担当楽器を記した「メンバー構成」、アルバム名とレーベルを記した「ディスコグラフィー」が掲載されており、付録として第1期から第9期までのONJの演奏をそれぞれ1曲ずつ収録したCDが付いていますので、簡単な資料としても役に立ちそうです。

御用とお急ぎでないかたはONJのホームページへどうぞ。
http://www.onj.org/fr/

(注)パリ在住のフランス人写真家(1941~)。1976年よりMAGNUM PHOTOS(アンリ・カルティエ=ブレッソン、ロバート・キャパらが設立した“世界最高の写真家集団”)のメンバー。
GUY LE QUERRECについて詳しくはコチラで。
http://www.magnumphotos.co.jp/ws_photographer/glq/index.html

コチラでは、GUY LE QUERRECの作品をスライドショウでご覧いただけます。
http://www.magnumphotos.com/Archive/C.aspx?VP=XSpecific_MAG.PhotographerDetail_VPage&l1=0&pid=2K7O3R13FBOY&nm=Guy%20Le%20Querrec
ALBORAN TRIOの新譜が3月28日にリリースされます。前作のMELTEMIは素晴らしかったので、新譜にも注目しています。早くニンゲンになりたぁーい!あ、まちごた。早く聴きたぁーい!

■ALBORAN TRIO / NEAR GALE (ACT Music + Vision ACT 9469-2)
PAOLO PALIAGA (p)
DINO CONTENTI (b)
GIGI BIOLCATI (ds)

そのうち、こちらのページで試聴出来るようになると思います。