心の状態で世界が変わる

■感情と世界の感じ方

幸せなことがあったり物事が思い通りになり幸福感や自信などを感じているときに世界は、色彩を増して見え、他者の会話は、温かく好意に満ちたように聞こえ食べ物は、美味しく香り豊かに感じたりします。また悲しいことがあったり物事が思い通りにならず自己無価値感や無力感などを感じているときに世界は、モノクロに見え、他者の会話は、冷たく悪意に満ちたように聞こえ食べ物は、無味無臭のあじけないものに感じたりします。

 

このように五感からの情報が感情の状態に影響され世界の感じ方が変わることがあります。

■感じ方と反応(言動)

感情の状態により感じ方が変わると自分の反応(言動)も変化しそれを他者が見て実際に身近な世界も変化して行きます。

 

例1:会っても視線を合わせず挨拶もしない人が人間関係で悩んでいたときに雑誌でアイコンタクト挨拶の意味と重要性について書いてある記事を読むことで気付いて次の日から視線を合わせ挨拶をしようと努力しはじめたらどのような変化が起こるでしょうか?

身近な人の受け取る印象、評価、反応(言動)が変化しそれを受け本人の世界観や心の状態や反応(言動)も更に変化していく可能性があります。

 

一人の気付きによる反応の変化が他者に無意識の自動的反応(脳科学(神経科学)参照)の変化をバタフライ効果のように与える可能性があります。

■感情の状態と人格

人の感情は、刻々と変化して行き健康な状態だと短期間で中立な状態に復元しますが「小さなことから行動力を培う」で触れたように思考、感情、欲求(体)の関係がアンバランスになると一つの感情状態に長期間固定され習慣化し「潜在意識の自己像の性質」で触れた自己像が変わりその感情状態を人格として受け入れ諦めや落胆や絶望してしまうことがあります。

 

例2:例1の人間関係で悩んでいた人が自分のことを人付き合いやコミュニケーションが下手で他者から必要とされない人間だと人格として受け入れ潜在意識下の自己像が形成されていたとします。しかしこの自己像は、生まれ持ったものではなく生まれてから何れかの時期に後天的に形成されたものであり変えることができます。

 

例1では、家族や出会った人の中で誰もアイコンタクトや挨拶の意味を教えられずただ怒られたりして悩んでいたところに雑誌の記事と過去の出来事の意味に気付くことで動機が生じ行動で人格を少しずつ変えようとしています。

 

よく自分の良くない人格の癖を自分はそういう人間だしそうなるように育ったので変わることはできないと自己宣言してしまう人がいますが、これは諦めや落胆や絶望という感情を深くし希望を失ってしまいます。

 

例1のように気付きによる意味の理解と動機付けと行動で心の状態や人格をより良い方向へ少しずつ変えて行く方法があることを知ることが大切だと考えます。

 

次の記事「思考・感情・欲求(体)のバランスを回復する方法

 

小さなことから行動力を培う

 

何かを成し遂げた人の特徴の一つに力強い行動力があるのは、皆が認めることだと思います。この力強い行動力を培うには、どのような方法があるのかをテーマに考察していこうと考えます。

■人は、何に後悔するのか

「人生で最も後悔していること」を老人に聞いたところ70%の人が「挑戦や行動をしなかった」ことだと回答したアンケートの結果があります。

 

人間は、自分が選択し行動した結果がたとえ悪くても内因と考えるため受容度が上がり後悔としての印象が低くなる一方で挑戦や行動しなかった結果が外因と考えるため受容度が下がり印象が強く残るためこのようなアンケートの結果になるのかもしれません。実際に大きなリスクを伴う挑戦や行動は、事前に慎重な対応が必要であることから行動しない方が結果的に良い場合もあり一概にどちらが良いか判断ができません。

 

しかし現状をより良くする方法が分かっているリスクの低い課題や日々の小さな課題について別の欲求を優先したり、考え過ぎや慎重になり過ぎたり、怠けるための言い訳を探したり、やる気や体がついていかなかったりで先延ばしし問題が起き後悔した経験は、あると思います。少なくともリスクの低い課題や日々の小さな課題は、自分が選択し行動したほうが後で問題や後悔を回避できるので良さそうなのですがアンケート結果から実際は、行動できずに後悔することが少なくないと考えられます。

■行動できない要因

行動は、動機を原因とし動機は、知覚、感情、欲求、思考、判断を要因としその過程の中に行動できない一因が存在していることになります。

◇感情:  恐れや不安の時間的傾向

行動することまたは、行動しないことで生じるリスクを潜在意識が顕在意識に知らせ回避しようとする恐れや不安という感情は、近い未来に対して大きく感じ遠い未来に対して小さく感じる傾向があります。遠い未来には、多くの不確定要素が含まれ明確にリスクをイメージ化できないことが恐れや不安を小さく感じる一因であると考えられます。この恐れや不安の時間的傾向により行動することで変わる近い未来の新たなリスクを大きく感じ、行動しない現状維持の遠い未来のリスクを小さく感じる結果が先延ばし行動につながるのだと考えられます。現在の状態が良いか悪いかに関わらず今生存できている安定点を保存しようとする本能的な働きの影響も考えられます。

◇欲求:  利益優先

現代の企業の目的は、利益の最大化であり入社した社員も目的に沿うよう教育されるため利益の追求は、あたかも社会常識(技術革新、市場原理、利益率、合理化、効率化、生産性、品質、コストダウン、納期、ノルマ、成果など)として個人の中で受け取られることがあります。経済学者が作り出し企業が目的とし個人は、無批判に社会常識として受け入れつつあるこれらの概念の中にも有益で個人の人生に応用できるものもありますが中には、障害となるものや欠陥を含むものがあります。利益優先という概念は欲求に直結しているため特に問題を含んでいますがここでは、行動できない要因について焦点を当て考察します。個人の人生で単純に利益優先という概念を導入した場合は、利益の高い行動を優先し利益の低い行動は、後回しか行動しないという選択になります。

 

例えば、この利益をお金を儲ける仕事と仮定すると最も優先されることが仕事となりそのためには、感情的充足や体の健康維持を後回しか行動しないという選択になります。

 

このような状態だと日々の小さな課題に対する行動は先延ばしされ続けストレスと抑圧によりやがて感情と体とのバランスが崩れてしまいます。

◇思考、判断:  協調しない三者

心の機能」で触れましたが潜在意識下の感情や欲求の処理結果を基に顕在意識が意識化し思考や判断が行われるため殆どの行動が事後承認になります。但し感情や欲求を超える外圧(法律、倫理、道徳、人間関係上の強制、会社のノルマなど)や何らかの目標に対する強い意思がある場合は、思考の判断により行動が行われます。

 

小さな日々の課題は、感情的に行動しない現状維持がリスクが低いと感じ、欲求的に利益の最優先が別にある(上記例では、お金を儲ける仕事を最優先)と感じそれを意識化した思考の判断は、行動しない(できない)選択となり先延ばしになるのだと考えられます。

 

これらのことから「思考、感情、欲求が協調しなければ動機が成立せず行動ができない」のだと思われます。

■行動力を培う方法メモ

現代人は、思考、記憶、体を個別に教育・学習するさまざまな方法については、開発していますが感情や欲求を個別に教育・学習する方法については、家族や社会の中で自然に学んでいくものとしてあつかいます。そのため思考、感情、欲求のバランスをとる方法やその意味を教えられる機会がないため協調ができないのだと考えられます。そして知性偏重、情報過多、利益優先の中で顕在意識の思考と潜在意識の感情と欲求の間に不調和が生じバランスを崩すことで様々な問題が発生しているのだと考えられます。

思考、感情、欲求を協調させバランスを回復するには、いくつかの再学習と協調行動の練習が必要になります。

◆感情: 恐れや不安による抵抗感

行動することへの恐れや不安は、行動をできるだけ細かく分解することで抵抗感を小さくすることができます。

 

例えば、布団やベッドから起き上がるのがやっとという気力の人に大掃除をする行動は、不可能に近い一大事業と感じますが、移動せず手の届く範囲だけ粘着クリーナーのコロコロで掃除をするだけなら数分で終わるので抵抗感は小さく感じると思います。更に使った粘着クリーナーを剥がして捨てに行くのを分解して別の行動目標としてもいいでしょう。

 

この他人にとっては、注目するに値しない小さな掃除行動が本人にとっては、小さなスッキリ感と達成感による動機付けとなり行動を習慣化する第一歩となり次の一歩への呼び水となります。また行動の細分化は、潜在意識が変化を捕捉し安定状態へ引き戻そうとする働きを抑制する効果を期待できます。

◆欲求: 欲求の抑圧と偏向

体が求める欲求は、本来シンプルなもので食欲、睡眠欲、排泄欲(性欲)で顕在意識の思考が利益優先などを志向しているとストレスによる抑圧や偏向により別な欲求への過度の依存などで本来のシンプルな欲求に不調和が生じます。顕在意識の思考が感情と欲求が別々の方向に向かい協調しないことで生じる諸問題を認識することで圧制から解放され本来のシンプルな欲求のバランスを取り戻すことが期待できます。

◆思考、判断: 日々の小さな進歩を可視化し達成感を得る

顕在意識の思考は、外界の基準(正/負、価値/無価値、利/害、善/悪、他者など)と自己の位置を絶えず比較し評価する性質があります。この比較結果を受け感情の主体は、一喜一憂したり欲求(体)の主体は、新たな欲求を生み出したりします。この外界の対象間の差や対象と自己の差と動きが思考を生起する動力源とも考えられます。

前記感情の項で行動を細かく分解することで抵抗感を小さくすると書きましたが継続するためには、小さなものでも進歩を認識する必要がありその比較結果を受け達成感という動力源を得る必要があります。行動を細分化した結果一つの行動は、小さく短時間で完結するようになり目的を達成するまでの期間は、長くなり変化もゆるやかになりますが日々の差を認識するのが困難になるため可視化する日々の記録が必要になります。

  • 小さな進歩という変化を可視化するために普段使っているto do List(するべきこと一覧)を細かく分解し行動目標一覧とするだけでOKです。それをカレンダーに行動目標として予定の期間を書き込み予定期間に行動しなければ空白で行動したならば○を書き込み達成を管理します。
  • エクセルなどで1ヶ月日単位の行動目標表を作って達成率などを管理したりスマートフォンのカレンダーメモを使ったり本格的にプロジェクト管理アプリでWBS(Work Breakdown Structure)を管理してもOKです。

◆思考、感情、欲求の協調に必要なこと

顕在意識の思考に対して感情や欲求が強い場合、思考の理性を抑えて行動してしまったり逆に思考の理性や外圧(法律、倫理、道徳、人間関係上の強制、会社のノルマなど)が強い場合、感情や欲求を抑圧してしまった経験があると思います。思考、感情、欲求という主体の一者が継続的に強く働くとより強化され他の二者は、弱化される状態となりそれが習慣化してしまいます。筋肉を使わないとあっという間に衰えていくのは、経験上知っていると思いますが、思考、感情、欲求についても同様だと考えられます。

 

アンバランスな状態が習慣化してしまった状態を回復する練習の要件は、以下の三つに集約されると考えます。

  1. 「各主体に序列をつけない」(他の主体を抑圧や否定をしない)*1
  2. 「弱化した主体をバランスよく組み入れる」(バランスの回復)*2
  3. 「協調行動を練習する」(協調を習慣化)*3
  • *1  顕在意識の思考が主人で感情や欲求(体)は、自分の所有で隷属すべきとはとらえず大切な役割を持った協力者と考えます。

  • *2  思考、感情、欲求のそれぞれが行き過ぎず程合いよくバランスするように組み入れます。

  • *3  協調行動の練習内容は、次項に記述します。

■協調行動の練習

思考、感情、欲求(体)の協調行動を練習するには、同時にこれらを使う行動である必要があります。また気をつけなければならないことは、思考、感情、体の動作速度が異なる点と体を動かす動作は習慣化で自動化されており感覚器官からのフィードバック情報を詳細に意識化するには、思考が意図的に注意を行動に向けなければ感じ取ることができないことです。

 

これらのことから協調行動を行うには、思考は、意図的に注意を体に向け体は、感覚情報を感受できるよう緩慢な動作で感情は、体の快感や痛みや状態を十分感じ取る必要があります。

 

協調行動の練習に適しているのは、全身を使うストレッチです。またラジオ体操、太極拳、ヨガなどを緩慢な動作で行うことでも練習になります。本ブログで紹介している「心のストレッチ」でも練習できます。

 

目的は、協調行動の練習なので準備運動で得られる効果は、副産物として考えてください。

 

次の記事「心の状態で世界は変わる

 

 

■潜在意識下の自己像の性質

 

◇自己像

 

人は、自分の 容姿、 性格、能力、好き嫌い、得手不得手、人間関係、環境などの自己像を持ち、良い意味では、安定的にリスクを避け悪い意味では、可能性と限界に制約をかけて生きています。この自分がどういう人間なのかという自己像は、親、兄弟、友人、学校、会社、自己観察、経験、メディアなどの影響を受け長い年月をかけて潜在意識下に形成されていると考えられます。

 

◇自己像は、安定を好む

 

自己像により自分が何者かを定義し維持する必要があるため潜在意識が自己像に現実の言動を合わせようとするのは自然なことであると思われます。しかし何かを大きく変えようとする場合は、復元力弾性)として働き目的の障害となることがあります。

 

例えば、ダイエットリバウンドなどは、この潜在意識下の自己像に現実の言動を無意識に合わせ安定しようとする復元力(弾性)が働いていると考えられます。

 

【3つの課題と解決方法】メモ

 

1.自己像の偏り

 

 ◇ 課題

  • この例では、現在痩せているのに太っていると潜在意識下の自己像に刷り込まれ偏っていると未来の「痩せる」という目標が「痩せ過ぎ」になり偏りが増してしまいます。

 ◆ 解決方法

  • 最初に自己像から願望、理想、逃避などを外し客観的な標準的情報、測定値、健康状態の記録などで確認し偏りを補正します。

2.復元力(弾性)

 

 ◇ 課題

  • 潜在意識が自己像に現実の言動を合わせようと復元力(弾性)を行使する方法が抗し難い感情や欲求という非言語指令で顕在意識が意識化した時には、既に事後承認になることです。

 ◆解決方法

  • 潜在意識下の自己像に現実の言動を合わせようとする復元力(弾性)にも限界があり急激に大きな力を加えると復元しなくなりますが限界を見誤ると大きくリバウンドしてしまいます。この方法は潜在意識が行使する感情や欲求に対抗する強い意志力と動機が継続しなければ実現性は低くなります。一方で緩慢に小さな力を長期間かけ続けることで復元力(弾性)の限界を超え復元しないように自己像を変えることができます。この方法は、大きな動きや周囲と異なる目立つ変化が小さいため潜在意識が変化を捕捉せず復元力(弾性)を抑制する効果が期待でき弱い意志力と動機でも実現性が高くなります。

3.目的の否定

 

 ◇ 課題

  • ダイエットの開始時点で目立つ自己像「太い」に対し未来の「やせる」という目的を設定すると暗黙的に自己像が組み込まれ「太いのでやせる」という現状の否定になります。「自己ナビ」で触れましたが動くものや周囲と異なる目立つものに潜在意識は本能の反射が働き対象に心の集中が自動的にロックオン・一体化してしまい更に否定形を判断しないため目立つ「太い」が目的として設定されることが考えられます。

 ◆解決方法

  • 自己ナビ」で触れました「意識的に目的を設定する場合は、具体的かつ詳細で既に目的を達成していることを現実のように想起しなければならないとされています。」の通り未来に目的を達成することをイメージするのではなく現在既に目的を達成していることをイメージし潜在意識に伝達すれば自己像にイメージが上書きされていくと考えられます。実は、顕在意識の言語が潜在意識へ伝達されているのではなく言語にリンクしている概念、感情、欲求、イメージがコミュニケートされているのだと思われます。

次回の記事「小さなことから行動力を培う

 

■弱点と自然の摂理

 

自然界では、弱肉強食で弱者(子供、老いて動きが鈍いもの、怪我や病気で弱っているもの)は、狙われ厳しい自然の摂理として捕食対象となってしまいます。人間社会の自然の摂理は、どのように変化しているのでしょうか。人間社会では、肉食動物から捕食されることは、ほとんどなくなり弱者(子供、老いて動きが鈍いもの、怪我や病気で弱っているもの)は、法律、社会保障、道徳などである程度守られ安心して生活できるようになりました。また強者の定義も動物の世界と異なり体の大きさや身体能力だけではなく知的能力、表現力、権力、財力、情報力、人脈などを持つ者を強者とするなど人間社会では、一概に弱者や強者を定義することが難しくなりました。

 

しかし人間が別の人間と出会った時には、「見る」で触れたように対象を見る時に行う無意識的な自動的習慣である評価(価値付け)、決め付け(ラベリング)、自他との類似性探し(自己投影)を行い何らかの不満や欠乏を抱え捌け口を求めていたり、自己投影し相手の中に嫌いな自分の影を見ていたりすると攻防が始まることもあります。この攻防で肉食動物が目敏く弱者を見分けるように攻撃者はその場に居る人間の中で最も弱そうな(見た目、反応:目を合わさない、しべりかた、表情などを識別)者を選び攻撃してくる傾向があります。またこの攻撃は、動機 (無意識の習慣 、気を引く、欠乏、不満、自己投影による嫌悪、悪意、誤解など)、目的、方法も100人居れば100種類以上あり見分けるのは、困難ですが一つの指標として不快、苛々、疲れ、感情振幅の激しさなどを感じることで判断できます。外部から弱点を突きあなたの感情を動かすことで不満や欠乏を充足したり行動させたりすることで優越感を得たりするのが目的(防衛機制の置き換えなど)です。攻撃の種類を大別すると直接型、他人を介す間接型、釣り型、目立つ言動型、言葉を使わない表情やボディーランゲージ型などがあります。

 

筋力ガイドイメージ法」で触れましたが基本的に自己の感情を動かされると貴重な活動資源(時間、思考力、感情力、体力、財力等)を長期間奪われる形となるし対象の相手も何らかの充足感を得て同じ行動を繰り返す可能性もあるので対策としては、自己の弱点を知り相手の目的を早期に見抜き感情反応をしないことが重要です。

 

このように自然の摂理は、人間社会で形を変え存在していると考えられます。
ここでは、触れませんでしたが自然の摂理には、弱肉強食以外に、共生関係、寄生関係、親は子を守る、群れのリーダーは弱いものを守る、肉食動物(強者)は必要以上に捕食(資源を占有)しないなどもあり人間社会ではどのように変化しているのかを考えるのも面白いと思います。

 

次の記事「潜在意識の不思議な性質

 

良い習慣を身に着ける記事を書こうと思いましたが実績のある先達が書いた以下の良書があるので紹介します。

 

■自己ナビ

 

人間の潜在意識には、自己ナビゲーション能力があり船の操舵に例えられますがどのような仕組で実現されているのでしょうか。カーナビの音声認識で目的地設定をする機能に近い形で普段頻繁に起こる記憶の再生や無意識の反応で発している(声に出さないものを含む)言葉とイメージが目的として設定されているのだと考えられます。この潜在意識の自己ナビゲーションは、カーナビと同様に機械的なもので良い/悪い、好き/嫌い、危険/安全、適切/不適切、否定形などは判断しません。 (意識的に目的を設定する場合は、具体的かつ詳細で既に目的を達成していることを現実のように想起しなければならないとされています。)

 

五感からの情報(または記憶の再生情報)で動きがあるものや周囲と異なる目立つものに本能の反射が働き対象に心の集中が自動的にロックオン・一体化し潜在記憶プログラム(反応の習慣)が働き顕在意識の反応である思考や言動が生じることを考察してきました。(*1)
実は、潜在意識下のロックオンの自動追尾は目的(好き、嫌い、欲求、不安、恐れ、恨みなど)が解消されるまでロックオフされず残留し続けます。顕在意識では、なんとなく気になることとして一時的に意識化されますが忙しい日常生活で忘れてしまいます。潜在意識下で対象に心の集中が自動的にロックオンし続けるということは、対象への追尾と情報の選択(選別/排除)が働き対象に関連する情報(メディア、人の話、物事など)の感度が上がりそれを目印に無意識に自ら目を向け接近して行くことになります。 (*2) 顕在意識は、過去のなんとなく気になることは、時間経過で忘れていることが多いため偶然か対象に関連する情報が引き寄せられたと考え自分にとって良い情報であれば運が良いと考え悪い情報であれば運が悪いと考えます。対象への思い込みラベリング:決め付け、イドラ:偏り)があると都合の良い小さな情報を増幅し都合の悪い情報を減衰させ思い込みをより強化してしまいます。これらのことから普段の正の感情だけではなく負の感情(嫌い、不安、恐れ、恨み)を背景とする言葉とイメージと思い込みが負のスパイラルを形成しているのだと考えられます。

 

負の対象へ自ら目的地を設定し接近し自ら嫌な経験をしているとは、信じられないと思いますが潜在意識の自己ナビゲーション(自己達成予言)は、このような仕組みで実現されていると考えられます。
幸いなことは、気が付き理解し認めることで自己を変えることができることです。

 

*1  「心の機能」「筋力ガイドイメージ法
*2  「心の集中の特性

 

次の記事「弱点と自然の摂理