■潜在意識下の自己像の性質

 

◇自己像

 

人は、自分の 容姿、 性格、能力、好き嫌い、得手不得手、人間関係、環境などの自己像を持ち、良い意味では、安定的にリスクを避け悪い意味では、可能性と限界に制約をかけて生きています。この自分がどういう人間なのかという自己像は、親、兄弟、友人、学校、会社、自己観察、経験、メディアなどの影響を受け長い年月をかけて潜在意識下に形成されていると考えられます。

 

◇自己像は、安定を好む

 

自己像により自分が何者かを定義し維持する必要があるため潜在意識が自己像に現実の言動を合わせようとするのは自然なことであると思われます。しかし何かを大きく変えようとする場合は、復元力弾性)として働き目的の障害となることがあります。

 

例えば、ダイエットリバウンドなどは、この潜在意識下の自己像に現実の言動を無意識に合わせ安定しようとする復元力(弾性)が働いていると考えられます。

 

【3つの課題と解決方法】メモ

 

1.自己像の偏り

 

 ◇ 課題

  • この例では、現在痩せているのに太っていると潜在意識下の自己像に刷り込まれ偏っていると未来の「痩せる」という目標が「痩せ過ぎ」になり偏りが増してしまいます。

 ◆ 解決方法

  • 最初に自己像から願望、理想、逃避などを外し客観的な標準的情報、測定値、健康状態の記録などで確認し偏りを補正します。

2.復元力(弾性)

 

 ◇ 課題

  • 潜在意識が自己像に現実の言動を合わせようと復元力(弾性)を行使する方法が抗し難い感情や欲求という非言語指令で顕在意識が意識化した時には、既に事後承認になることです。

 ◆解決方法

  • 潜在意識下の自己像に現実の言動を合わせようとする復元力(弾性)にも限界があり急激に大きな力を加えると復元しなくなりますが限界を見誤ると大きくリバウンドしてしまいます。この方法は潜在意識が行使する感情や欲求に対抗する強い意志力と動機が継続しなければ実現性は低くなります。一方で緩慢に小さな力を長期間かけ続けることで復元力(弾性)の限界を超え復元しないように自己像を変えることができます。この方法は、大きな動きや周囲と異なる目立つ変化が小さいため潜在意識が変化を捕捉せず復元力(弾性)を抑制する効果が期待でき弱い意志力と動機でも実現性が高くなります。

3.目的の否定

 

 ◇ 課題

  • ダイエットの開始時点で目立つ自己像「太い」に対し未来の「やせる」という目的を設定すると暗黙的に自己像が組み込まれ「太いのでやせる」という現状の否定になります。「自己ナビ」で触れましたが動くものや周囲と異なる目立つものに潜在意識は本能の反射が働き対象に心の集中が自動的にロックオン・一体化してしまい更に否定形を判断しないため目立つ「太い」が目的として設定されることが考えられます。

 ◆解決方法

  • 自己ナビ」で触れました「意識的に目的を設定する場合は、具体的かつ詳細で既に目的を達成していることを現実のように想起しなければならないとされています。」の通り未来に目的を達成することをイメージするのではなく現在既に目的を達成していることをイメージし潜在意識に伝達すれば自己像にイメージが上書きされていくと考えられます。実は、顕在意識の言語が潜在意識へ伝達されているのではなく言語にリンクしている概念、感情、欲求、イメージがコミュニケートされているのだと思われます。

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