■自己ナビ
人間の潜在意識には、自己ナビゲーション能力があり船の操舵に例えられますがどのような仕組で実現されているのでしょうか。カーナビの音声認識で目的地設定をする機能に近い形で普段頻繁に起こる記憶の再生や無意識の反応で発している(声に出さないものを含む)言葉とイメージが目的として設定されているのだと考えられます。この潜在意識の自己ナビゲーションは、カーナビと同様に機械的なもので良い/悪い、好き/嫌い、危険/安全、適切/不適切、否定形などは判断しません。 (意識的に目的を設定する場合は、具体的かつ詳細で既に目的を達成していることを現実のように想起しなければならないとされています。)
五感からの情報(または記憶の再生情報)で動きがあるものや周囲と異なる目立つものに本能の反射が働き対象に心の集中が自動的にロックオン・一体化し潜在記憶プログラム(反応の習慣)が働き顕在意識の反応である思考や言動が生じることを考察してきました。(*1)
実は、潜在意識下のロックオンの自動追尾は目的(好き、嫌い、欲求、不安、恐れ、恨みなど)が解消されるまでロックオフされず残留し続けます。顕在意識では、なんとなく気になることとして一時的に意識化されますが忙しい日常生活で忘れてしまいます。潜在意識下で対象に心の集中が自動的にロックオンし続けるということは、対象への追尾と情報の選択(選別/排除)が働き対象に関連する情報(メディア、人の話、物事など)の感度が上がりそれを目印に無意識に自ら目を向け接近して行くことになります。 (*2) 顕在意識は、過去のなんとなく気になることは、時間経過で忘れていることが多いため偶然か対象に関連する情報が引き寄せられたと考え自分にとって良い情報であれば運が良いと考え悪い情報であれば運が悪いと考えます。対象への思い込み(ラベリング:決め付け、イドラ:偏り)があると都合の良い小さな情報を増幅し都合の悪い情報を減衰させ思い込みをより強化してしまいます。これらのことから普段の正の感情だけではなく負の感情(嫌い、不安、恐れ、恨み)を背景とする言葉とイメージと思い込みが負のスパイラルを形成しているのだと考えられます。
負の対象へ自ら目的地を設定し接近し自ら嫌な経験をしているとは、信じられないと思いますが潜在意識の自己ナビゲーション(自己達成予言)は、このような仕組みで実現されていると考えられます。
幸いなことは、気が付き理解し認めることで自己を変えることができることです。
*1 「心の機能」「筋力ガイドイメージ法」
*2 「心の集中の特性」
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