Effacer l’historique (Berlinale 12)
『Effacer l’historique 』4★英題:『Delete History』部門:コンペティション(@Friedrichstadt-Palast)★第70回ベルリナーレ監督: Benoît Delépine, Gustave Kervern製作国:フランス、ベルギーhttps://www.berlinale.de/en/programme/programme/detail.html?film_id=202010890フランス郊外に住む3人の住民が、ソーシャルメディアに傾倒し、依存し、翻弄される様を描いた社会派コメディ。マリーはセックステープ流出に怯え、バートランランドはインターネットを利用するたびに広告に惑わされ、Uberドライバーのクリスティーンは顧客の評価の低さに思い悩むNetflix依存症。他にもネットいじめ、クラウドデータセンター、フリマアプリなどネット現代のソーシャルメディアの実態がすべて詰まっている。文明が進歩すればするほど新たな問題に直面し苦しむ。人間は賢い生き物なのに、永遠に同じことを繰り返す。描き方によっては真っ向シリアスな社会派ドラマにも仕上げられる。しかし本作はコメディ仕立て。にも関わらず、単に笑えない、とかく胸に刺さる。笑いあり刹那あり。ラストシーンにはモーリシャス島の絶滅した飛べない鳥ドードーが登場。人間のエゴによって絶滅に追い込まれた彼らは月で生存していた。人間の悩みはいつの時代もくだらないもの、月から見ればちっぽけなもの。