『Never Rarely Sometimes Always』3.5★

部門:コンペティション(@Friedrichstadt-Palast)★銀熊賞(審査員賞)

監督:Eliza Hittman

製作国:アメリカ

https://www.berlinale.de/en/programme/programme/detail.html?film_id=202012290

 

ペンシルベニア州の田舎に住む17歳のオータムは思いがけない妊娠に直面し、中絶手術のために従姉妹のスカイラーと州境を超えてニューヨークに旅立つ。

 

相手の男や妊娠した理由は明確に明かされないまま、オータムとスカイラーのNY旅が始まる。17歳という子供とは言い切れない年齢。

オータムは口数少なく感情が見えづらく煮え切らない態度。どこか観ている者の心に”自業自得”という言葉をちらつかせる。

 

しかし手術前、若年層の中絶手術のケアをする女性から質問を受けて、初めてオータムの感情が溢れ出す。相手との性行為について次々と質問を投げかけられる。答えは4択。タイトルにある「一度もない、まれに、時々、いつも」。無数に浴びせられる質問に4択で答えながらも、途中から言葉を詰まらせる。自責の念から家族に頼ることもできずここまできたオータムの心情が痛いほど伝わった。

 

端的に言えば、若い女の子の若気の至りで片付けられるかもしれない。しかし本作では表面的には見えづらい内面にある根強い問題を繊細に丁寧に描いている。納得の銀熊・審査員賞。