『DAU. Natasha』3.5★
部門:コンペティション(@Friedrichstadt-Palast)★銀熊賞(芸術貢献賞)
監督:Ilya Khrzhanovskiy
製作国:ドイツ、ウクライナ、イギリス、ロシア
https://www.berlinale.de/en/programme/programme/detail.html?film_id=202012389
ソ連の秘密研究所の食堂で働くナターシャが、常連客である研究者と関係を持ったことで秘密警察に呼び出され状況が一転する。
研究所内のセットは忠実に再現していて、ワンシーンが長くまるで盗み撮りの様な長回し。2時間半という長尺で当時のソ連の緊張感ある日常が映し出されていた。
主演のナターシャ役は、調べる限りで本作が初出演。ロシアのベテラン俳優と思わせる風格があった。
ナターシャはスパイを疑われ秘密警察で拷問を受ける。拷問のシーンは生々しく見るに耐えないが、その衝撃の事実から目をそらさずに観終わった観客からは、エンドロール後大きな拍手が湧いた。
しかし途中何かを叫んで会場を出る人がいたり、上演後の会場外では大きな声で「拷問に拍手するとは何事だ!」と叫んでいる人がいた。いろんな人がいろんな感情を揺さぶれらた。
何より度胸が据わっているのは、こんな問題?作をコンペに選出したベルリン映画祭。受賞しても上映できる映画館があるのかと心配になるが、本来の選出基準はそこではない。