インキュベーター社長日記 | インターウォーズ株式会社 吉井信隆のブログ -77ページ目

第83回 上海の情景

会社のメンバー達と「上海」に行ってきた。


東京汐留に新しくできた高層ビルを超えるようなガラスウォールのビル群が聳え立ち、数多くの工事中のインテリジェント高層ビルが目に入った。これまで中国は、世界の工場であり供給基地と云われ、ユニクロをはじめ、多くの日本企業が生産ラインをシフトしてきた。


目に映る上海は、以前にも増して、ハイセンスな衣類をまとった人達が闊歩し、新しくできた新天地では、朝までやっているディスコを始め、様々なコンセプトの店には、パワー溢れる若者達で溢れていた。


オープンした、ドレッシングのピエトロが運営している洋麺屋に、若いカップルが賑わい、楽しげに語り合っているシーンを見ていると、まるで青山や六本木のレストランにいる感覚だった。 


「消費する街上海」の姿は、日本における鉄鋼関連株の高騰しているように、日本のビジネスモデル、工作機械、原材料、ロボット等と、供給先としての「お客様上海」へとシフトしてきていると感じた。


11月現在、通貨元は1元13円となっているが、ブルーワーカーの月給が2年前には8千円だったものから1万1千円に、ホワイトカラーの月給が、2万5千円から5万円に上がっており、ホワイトカラーの人件費は、この10年間でなんと「10倍」に上がった。


ブルーとホワイトの格差が、年々大きく広がり、2重構造に拍車がかかっている。


かつて、日本が歩んだインフレ期の乱気流に、上海は、入り始めていると思えた。


人口100万都市が、160もあるといわれている中国。都市集合の国であり、一部の地方都市は、周りから栄養を取り込み成長し、暴走しているのかも知れない。


こういった状況下で、これからの中国と付き合っていくには、160都市のそれぞれ状況の違う都市の「お客様」ニーズは、異なっている。


チャイナ特需の何に手を出し、何に手を出さないかの答えは、日本の1980年の後半から、1990年の時代にある。





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第82回 「起業スタートは、覚悟から」

過日、大手企業の企業内新規事業のプレゼンテーションを受けた。 


チーム構成されたメンバー3名から、各人の役割でパワーポイントを使い「かっこいい」プレゼンを受けた。


バランスの取れた内容であったが、何故か、余韻の残るものがなかった。


一人の若きメンバーが手を震わせながら、提案してくれた事業プランは、数日たっても「先見性」に富んだ余韻を感じる内容だった。


起業には、個人で起こすケースと、企業内組織で起こすパターンがある。


両者に共通していることは、「なんとしてもやりたい!」と、強烈な思いをもった一人の「個」から、起業の第一歩がスタートする。 


ベンチャービジネスを成功させる為には、たった一人でも、24時間成功に向き合う執念と、志と欲望を満たす商品やサービス、戦略、情熱がなければ、成功はおぼつかない。


夢と覚悟をもって、「こんな世界を創りたい」といった決意が、「人」や「資金」や「情報」を集める。起業人には共通して、異能で、見えない大陸に対し、己の直観力を信じ徹底してその思いを追求し、妥協を許さないアートな人が多い。


多くのマーケットが成熟している今日の経済環境下で、9月9日上場した99プラス、価格・COM、QBハウス、ゴルフダイジェスト、楽天等、成長しつづけている企業の特徴は、シェア競争でなく、新たなバリュー(価値)を創造し業績を上げている点にある。


こういった独自のこれまでにない「商品やサービス」を提供しているビジネスモデルは、「個人」の強烈な思いから、創造される。


安に周りのメンバーに妥協しない自己主張を貫く一人の「起業人の姿」が見えてくる。


よく、ホンダには、本田宗一郎と藤沢武夫、ソニーには、井深大と盛田昭夫が、いたからといわれる。


スタート時、このコンビは存在していない。


スタートした後、出会い、成長企業を創り上げている。


当社が、インキュベーション支援のコアソリューションサービスとして、「経営チームに参加する経営人材」の紹介を行うのは、「起業」から「企業」へと成長する為に、「経営チーム」が、成功要素と考えるからだ。


起業の本質は、何人にも依存しない「俺の考え、思い」にある。


自らを「リーダーとしての起業家の道へと」決断した時、依存心を断ち切り、「皆んなでなく、日曜もなく、人生をかける」といった、覚悟が求められる。


21世紀の新規事業は、地図も型紙もない見えない世界との闘いである。起業時、個人の野生的直感力と強烈に思い込む意志力による内なるエンジンを、フル回転させることが、すべてのスタートになる。





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第81回 「リクルート創業者江副さんのDNA」

 過日、リクルート創業者の江副さんが、経営者が集う公の場で14年ぶりに「リクルートのDNA」というテーマでの講演があった。


「お~吉井君」と、会場で少し照れた様子で語りかけてきた江副さんは、 昨年三月、14年の長きに亘ったリクルート事件の公判判決が確定し安堵したせいか、ふっくらとした風貌で現れた。


 自然体で少しジョークを交えながら、語った江副さんの「リクルートの創業時から、今日の売上げ3600億、経常利益1,100億経常利益率32%を出すリクルートの経営」は、「創業者経営の哲学」だった。


わからないことはお客様に聞く! 


情報を流通させることが業界を制すると考え、コンビニに、100円の本なら販売手数料を90円払い、徹底してリクルートの情報誌を並べて貰った。


人材採用は経営の最重要要素と捉え、リクルートに優秀な人材を集めることに、徹底して力を注いだ。


数千人のアルバイトの中から社員に登用した人材は優秀であり、今でいうインターン制度を取り入れた。


女性を採用する際、必ず女性が面接し、若い人の採用は、1~3歳年上の若い人が、何度も会って選考した。


やる気やリーダーシップのある起業家精神旺盛な人を、SPIを使ってセグメントした。


外国人やヘトロジニアス(個性的)人材をできる限り採用し、多くのフリーランサーに仕事を委託し、リクルートの仕事をしていただき、外との垣根を低くした。 


自分はリーダーシップが弱いので、事業部制を取り入れ、多くのプロフィットセンターを創り、社員に経営の機会を与えた。


社員から新規事業の提案が上がる仕組みを創り、年間300件近い提案の中から2~3件選び、企業内起業によって、事業インキュベーション化した。 今日の事業は、こういった新規事業インキュベーション制度から生まれ育った。


自己申告制度を取り入れ、異動を活性化の手段と考えた。 上司とうまくいかない弊害をなくした。


相性がうまく合う様にすれば、人は生き生きと働き、大きな成果が上がる。


海外旅行や社内のキックオフのイベント・お祭りをよくやった。


社内報やビデオをはじめ、社内情報の共有化を徹底し、情報共同体組織に努めた。


社員持ち株制度を取り入れ、今では、ストックホルダーとして、社員持ち株会が筆頭株主である。


デザインは、人を魅きつける大きな力と考え、デザイナーの亀倉雄策さんを経営陣に迎え、本や、ビルのブランディングに注力した。


機械にできることは、極力機械に仕事をふった。


誰をどの仕事に配置するかの、人事を徹底した。


脅威と感じるほどの事態の中に、隠された発展の機会がある。


変化をコントロールすることはできないが、できることは先頭に立つことである。


われわれのあとに続く人は、われわれより優秀でなければならないと考え、人材採用に多くの時間とエネルギーとコストをかけてきた・・・」


リクルートは、リクルート事件により様々な社会から制裁を受け、企業基盤を揺さぶられたにもかかわらず、企業の活力を失うことなく1000億を超える収益や事業継承がこれまでスムーズに行われている。


そして、ユニークなリクルート文化の中で育ったOB達が、さまざまな分野で、才能を開花させ活躍している。


江副さんが、創業メンバー達と創り上げた、目に見えない「リクルートのDNA」は、今も輝いている。





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第80回 「挑戦者たちの言葉」

今年の5月、オーストラリアでGlowWormsといわれている、土蛍を見た!


真っ暗な洞穴の天井に、妖しく光る無数の光は、夜空に輝く満天の星を見ているように美しく、神秘的な土蛍が放つ光は、子供の頃見た虹の様にも思えた。


国際人の集まる会で「オーストラリアで見た、GlowWormsが、7色の虹の様に思えた」と話すと、面白いことに、アメリカ人は、虹は6色だと、中国人は5色、だと言ってきた。


それを聞いたベンチャーの社長が「虹は、24色ある」と、語気を強めて言い放った! 


私には、虹の色が国によって違うわけでなく、目に映る視力の問題でもなく、虹を見つめる感性や、先入観・固定概念や考えが「言葉」によって縛られているから、こういった表現となったと思えた。


「昔からこういうものだ。これが当たり前のやり方」と云う固定概念が、発想やプレゼンテーションを表層的なものにしてしまっていることがある。


以前、ソフトバンクの孫さんがナスダックジャパンの立ち上げパーティの際、会場に集った人々に語った「新興市場のもたらす未来の姿」のスピーチは、輝きに満ちていた。


今も、忘れられない名スピーチだッた。


孫さんは、よく「脳みそは筋肉であり、歴史に名を残した偉大な発明家や芸術家達は、脳がちぎれるほど考え、それを言語やアートで表現する。」と、口にする。


リードする経営者たちが、志を持って一つの事を表現する時、固定概念のない多面的な色合いを持った表現は、人の心の奥に伝わり、感動させる力が宿る。 


起業家達と芸術家達の話がおもしろいのは、まず固定概念が無い事である。


起業家は、未来のビジョンを自らの想いで新しいデザインを描き、言語や理論を加え、周囲の人たちに感動を与える。


芸術家の原動力も、無から有を生む事に、自ら感動し、あとはそれをアートとしていかに表現し伝えるかにある。


企業の変革に最も必要な事は、固定概念に囚われず、自分を信じてチャレンジしていった創業者の魂をもう一度呼び起こす事だと思う。


起業家のDNAには、必ずその基になる精神が「言葉」となって宿っている。





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第79回 「出島インキュベーション」

「前例がない。なんとなくリスクが、高いような気がする、難しいよ!」既存企業で、新事業を生み出そうとする時、提案者に対し、よく役員や責任者から、出てくる言葉だ。


オールドエコノミー企業における新規ビジネス会話は、「否定」から始まることが多い。


部門の役員が決断を下す際、責任が付きまとうから、「NO」といっていた方が無難だ。


経営陣は、可能性のある芽を潰さない為に、もっと外を歩き柔らかい目で、答えが自分の中にあるのではなく、他人(ひと)の中か、街の中にしかない判断の目を養えることに気づいて欲しい。

起業家の多くは、異能な狂人といわれる。


こういった人材はなかなか、社内では育ちにくい。


起業したことのない管理者が、新規事業の判断をするケースが多いからだ。


リスクを取りたがらなく、そういった人材を、排除する傾向にある。


当社では、こういった現状を避けるために、「出島インキュベーション」と称して、企業内起業家を当社に受け入れ、プロセスで邪魔されない独立環境を創り、マーケット向いた起業支援インキュベーションをしている。


企業内起業の第一歩は、個人が、強い意志を持って「こんなことをやりたい!!」と思うことからスタートする。


企業内で起業を試むには、まずはアイディアの種を、「誰に、何を、どのように・・」と夢を持って紙におとして見ることだ。


種を育てるには、強烈な思いを持って、行動に移すことが肝要だ。答えはマーケットにあり、ネット検索、資料をよむ、本を集める、人に会って、聞きまくり、とにかくなんでもできることはやってみる。


体で感じて見ることだ。


人に、自分の思いを、一枚の企画書にして、ぶつけてみる。


「これは、こうで無理だと・・そんなこといったってこれは、どうするの?」と、否定の連続トークが必ず出てくる。


これは、貴重な情報であり、指摘に対し「では、こうしたら・・」の発想で、企画に一つひとつ落としてゆくと、英知が取り込まれ、生命を持つ事業企画案が出来上がる。


新規事業の意志決定責任者にプレゼンテーションし、コンセンサスを取ったら、経営陣と離れた「出島」にで、起業してゆくことが成功の一歩となる。



プラスの岩田さんが、「アスクル」を、イトーヨーカ堂ので鈴木さんが、「セブンイレブン」を、富士通の稲葉さんが「ファナック」を起業し、日本を代表する素晴らしい企業を育てた。


皆さん、「出島」で起業した事実がある。





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