インキュベーター社長日記 | インターウォーズ株式会社 吉井信隆のブログ -76ページ目

第88回 「新たな大陸」

1995年会社設立時、接続時間を意識しつつ、レスポンスの遅いインターネットでも、感動しながら活用していた。


その頃、日本のインターネット環境は、世界一高いコスト・規制等により、アメリカや韓国に比べ遅れること8年、インターネット後進国と言われていた。


今日では、2000年を転機に、類の無いスピードで普及し、月額2800円で使い放題(世界平準より安い)、しかも、50メガビット(スピードはアメリカの100倍)と、わずか5年で、7千億市場と言われるブロードバンドインフラを有する国となった。


10年前を思い出すと、現在のネットインフラ環境は、夢のような進化である。


その恩恵は、国の規制緩和により、ソフトバンクの孫さんや、イーアクセスの千本さん、有線ブロードネットワークスの宇野さんをはじめ、300社とも云われるベンチャースピリッツを持ったアントルプレナー達が、ブロードバンドマーケットに参加し競争を繰り広げ、今日の環境が創出されたからである。

そして、このインフラの普及により、ヤフー、楽天、価格ドットコム、DNAや最近、何かと話題の多いライブドアといった企業が次々と創出され、既存の業界にインパクトを与え、社会環境が大きく変化してきた。


さらに大きな変化が起きている。


例えば、今日の天気、スポーツの試合結果、仕事、食事、バーゲン、映画、旅行といった情報を、いつ何処にいても確認できるモバイル環境は、驚く内容となっている。


以前、米世界最大のタワーレコードが、経営危機に陥った背景に、アップルのステーブ・ジョブスが、「iPod」を売り出し、「曲を、ダウンロード」によって、顧客へのインターフェースの取り方を変えて、いっきに市場を掴んだ事が挙げられる。


モバイル市場は、インターネットを超える巨大な8兆5千億円といわれる大きなインフラといわれているが、情報のコンテンツによっては、既存のブロードバンドを打ち負かす存在が出現してくると思える。


最近、ソフトバンクの孫さんは、この大陸にターゲットを絞ってチャレンジしようとしているが、私共も昨年から、モバイルをキーワードにしたアントルプレナー達との出会いが増え、新たな事業をインキュベーションしている。


これからの起業は、2010年~2015年頃の生活や仕事がどうなっているのかを考え、そこから今日を見るという発想が必要に思える。


中には、仕組みだけに走り、いかに早く権利を取るかに固執している方がいるが、まずは、将来、生活やビジネス変化を予測し、そこにどうやって小さなモバイルの画面上で、必要な情報を狭い範囲に伝え、役立つシーンで事業を真剣に考えて取り組んで欲しく思う。


巨大なモバイル大陸への3社独占の規制が緩和された時、人の役に立つ発想で、本当に価値ある情報と1円の重みをしっかりと受け止め、愚直に現場情報を集め提供していく気力も体力も若いアントレプレナーが、次世代のヒーローになっていく。






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第87回 「目の前の山」

当社に転職相談にみえる30代で5社以上転職している方々が、増えてきている。


「何故今の会社を辞めようと思うのか?」と訊ねると、「10年~20年先が見えなく不安を感じ、自分の成長が出来ない、自分が活かされていない、今の会社と合わない」と返ってくることが多い。


将来に不安を感じる気持ちは理解できる。


激変のこれから10年先 20年先を見通せる人は何処にもいない。


先が見えないからといって、夢が持てないと不満をいって、転職活動をゴールにしても、本当に自己を成長させることに繋がらない。


1~2年で、会社を変えて見える景色よりも、今、目の前にある目標の山を登り達成すれば、今まで見えなかった多くの発見や、見逃していた事実に気づき、新たな世界が、きっと目に映るはずだ。


一つの山を登れば、広く周りを見渡せ、次の展望としての、WOOS(機会の窓)が大きく開き、ワンランクアップのステージが見えてくる。


輝きをもって、成功を納めている人達は、「今、ここの場で、愚直に、がむしゃらに努力した。」キャリアを過ごしている。


激戦の飲食業界のマーケットで、1999年にスタートした(株)クリエイトレストランツの成長発展のスピードが、著しい。


マルチブランド戦略で、様々なブランドの飲食店を創生し、年間100店開店させ、売上げを伸ばしていく体制に入った。一つのキャリアを愚直に追求した最強のチームメンバー達が、てっぺんから見た視界で開発したビジネスモデルを応用して、様々な店舗を創造してゆく成功モデルは、現在、他を圧倒している。


一つの仕事を追及し、一つの世界で成功を納めた人は、本物の実力を身につける。


そして、そういった人達は、その後、何をやっても満足の行く成功を納めている。



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第86回 「自立」

最近、「自立、雇われない生き方、起業」というキャッチを、よく目にする。


仕事柄、これまで多くの起業相談を受けてきたが、「起業するのも面白いかなと迷っています」といったスタンスの人で成功したケースを、ほとんど知らない。


万人が起業家に向くわけでなく、また、起業家には、「自分の目的が今の周辺には無く、自分でやるしかない」という明解な理由がある。


そもそも、企業の中でも、自立した生き方はいくらでもできる。


受け身でなく、会社を活用し、スキルとバリューを合わせ持つ“ビジネスパーソン”として、新規事業の立ち上げに「参加」し、経営陣に加わり、輝きのある魅力的な仕事キャリア人生を送っている人は多い。


経営参謀として、トップの理念やビジョンを具現化してゆくのを待って、新たなチャレンジをして行く人もいる。


独立しても、個人として、会社と契約してキャリアを重ねて行くことも自立としての一つの選択である。


私は、社会人としてスタートし、仕事をするようになってからこれまで、雇用されているという気持ちはほとんど無かった。


常に「さあ、商売!」といった思いで、自分がどんな立場にいても当事者意識を持って、自ら責任者としての意識で仕事に取り組んでいた。


キャリアとは本来、起業や企業社員、公務員とは関係なく、その人の個性的能力を本当に発揮できる役割、職スキル、価値、経験を重ね通したことをいう。働き方、職、役割は、多様極まりないが、キャリアは、個人を社会と結びつける基本的な媒体であり、「キャリアで成功する」という視点で考えると、相当時間の職業、本業に没頭した人が、共通してゆるぎないキャリアを形成している。


雇われない生き方を前提に考えるのではなく、企業の中で、生き生きと自立してゆく企業内起業として、例えば、アスクルの岩田さんや、ローソンの新浪さん、ヤフーの井上さんは、企業内で自ら新規事業を担当し、企業グループの一員として力強くキャリアを築いている。


無理やり自力で起業した結果、多額の借金によって生涯苦しんでいる話を聞くと、独立することが目的になってしまい、自分を見失ってしまっているように思えることがある。


どういった選択肢を選ぶにしても、受け身の“会社員”ではなく、スキルとバリューを合わせ持つ“プロのビジネスパーソン”として、「キャリアで成功してゆく」ことを理解した「自立」を目指して欲しい。





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第85回 目に見えない世界の訪れ・・

新年新心  


今年、日本人の平均年齢が、50歳時代を迎える。


歴史的にも世界の各国にもこれまでになかった平均年齢を迎えた象徴的な年といえる。


今日の環境は、生活の隅々までがデジタル化、サイバー化され、これまでの古い秩序や体系が崩壊し、社会全体が新しい社会へとますます大きく変貌してきている。


昨年、象徴的な出来事の一つとして、楽天の三木谷さんをはじめ、1995年以降誕生した新興企業の経営者達が、球団業界の古い体質に対し、外からインパクトを与えた。しがらみのない、新たに出現してきたリーダーが、素早い意志決定で、様々な業界で変革を起こし始めている。


当社に、新規事業の立ち上げに関する相談が増えてきている。


「既存の事業は利益が出ていて、今やっている事業を新たなビジネスモデルで対応すれば、既存事業を脅か、 多くの人材がいらなくなる。」といった「内なる組織の壁」が、新規の芽や苗を育てない原因になっている。


前年対比の数値を上げることに経営陣の意識が向き、既存事業を脅かさない、新たな名前を変えた事業名の組織や管理職を増やし、マーケットに向き合っていない膨張した組織に陥るケースが多い。


専門分野に特化し、新たなビジネスモデルで、急速に成長している豆腐「三代目茂蔵」の篠崎屋が上場し、業界にインパクトを与えている。


価格ドットコムが、葬儀関連の価格比較を行い、やはり、業界に大きな波紋を投げかけている。


これまでのしがらみのない起業家たちが、新たな勢力となってきている。


何でも与えられて売ってきた業界の大手企業の多くは苦戦し、新旧交代の時代にいよいよ拍車がかかってきた。


50歳平均年齢、サイバー社会、温暖化環境変化、グローバル化、、潮流の渦中に私たちは、今、位置している。


新たな世界の訪れは、横並びでない個々人の格差を生み出し、企業においては、昨年2200件M&Aが行われたように、サバイバル競争にさらされる。


2005年の、新世界での新たな「掟」を、見つけるたいものだ。





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第84回 事業の必要条件

起業を志す学生達に向けての講演会で、コムスンの創業者折口さんの話を聞く機会があった。


「センターピンは、何か!」を見抜き、徹底追求することが事業を成功させる必要条件である。


ジュリアナ成功のセンターピンは、お立ち台でもなく、音楽でもなく、内装でもなく、「月曜日から店を満員にする」為に、ただでもいいから人を集めまくった仕掛けにあると語り切った言語が、印象に残った。


変化のスピードの速い今の時代、新たな事業を立ち上げていくには、構想に対し、軸足を定め、ポジションを明確にして、徹底して攻め込んでいく事が求められる。


例えば、IT業界に例えるなら、「楽天」のようなショッピングモールを運営したいのか、その中で「幻の酒」という店を出して酒を売るのか、「価格COM」のように価格の情報比較サイトで展開したいのか、「NTT」のようにインフラを抑えたいのか。


いったいどのポジションで、利益を確保するのか、自分の目指す事業の核となるものを絞って定義し、他の追随を許さない深さを徹底追求することが、成功の必要条件となる。


特に、サイバー社会では、的を絞り、誰よりも速く、愚直にやり抜いていくことが求められる。


今年、9月9日、ジャスダック市場で、生鮮99円コンビニの99プラスが上場した。


66万の公募に対し、初日145万という高値でスタートし、最近では200万台を維持し、時価総額600億となっている。


そして現在、店舗総数は450店となり、来年は、いよいよ1千億の売上となる見通しである。


6年前、中堅スーパーの企業内新規事業としてスタートし、今や流通業界において注目を浴びる会社になった。


これまでのプロセスにおいては、グループ本体の経営が、多角化や拡大膨張によって危機を迎え、キョウデングループより支援を仰ぎ、以前の経営から切り離され、自立することによって、今日に至っている。


今日のビジネス環境は境界がなく、事業意欲旺盛な創業経営者は、ある程度の事業を育てると様々な事業意

欲が出て、チャレンジしたくなる。


しかし、現業の掘り下げが浅い状況下の基で新規事業を立ち上げて行くことは、機動性が失われ、そこには必ず競合が付け込んで、本体の経営が崩れてしまうケースが多い。


先日、上場記念パーティで、会場に集まった人達に向かって社長の深堀さんは、「今、お茶、ヨーグルト、焼きそば、トマトジュースが、一日何本売れている。


そして、これから、・・」と、現場の香りのするリアルな決意のこもった直球スピーチであった。


新事業を成功させるリーダー達は、センターに向かい、ポジションを明快にして経営に集中し、「何としてもやり抜く」気迫と、一つのことを掘り下げ、現場で姿を見せてくれる。





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