インキュベーター社長日記 | インターウォーズ株式会社 吉井信隆のブログ -78ページ目

第78回 「藤田田さん」

今年2月、「新規事業をやりたいので、これは、いける!と思える事業を、もってきてくれ!」と、日本の飲食業で最大の企業を創った日本マクドナルドの創業者、藤田さんから、相談を頂いた。そして、2ヵ月後、4月21日亡くなられた。


藤田さんとは、20年にわたり親しくさせて頂き、多くのことを学んだ。ハンバーガーが、日本のNO1外食事業として、4000億企業になったのは、「藤田田」さんがいたからに、他ならない。


 藤田さんへお別れの挨拶に伺った際、藤田さんの部屋の窓際に、望遠鏡が置かれており、
時々そこから銀座中央通りを眺めながら、「どうや左側の方が、人通りが多いだろう! 店を出すならこっち側だわな!!」と、語った藤田さんの言葉が蘇った。


「日本人とは、アメリカ人とは」を、常に口にされ、未来を見据え、強烈なカリスマ性で、即断即決によってことを進めていく様は他の追従を許さない、素晴らしいリーダーだった。


あてがいの仕組みでなく、日本人を深く読み取り「マクドナルド」という日本独自の言語をはじめ、為替から、アルバイターのモチベーションまで、オリジナリティな仕組と風土を創り上げた経営は、他国で生まれたブランド事業のインキュベーションのあり方を示してくれた。

ヨドバシカメラの藤沢社長を紹介させていただいた際、「あんたの店のポイントカード!ほら(見せながら)使っているよ!!」と、極めて現場に基づいた内容の二人の会話が、止まることなく交された。


個性豊かな二人の創業経営者の目線や意識が、「勝つことに執着した競争」であることを、強烈に示したシーンがあった。


人前で過激な発言をする方だったが、取引先に対する面倒見や社員達に対する思いやりを持った「幸せ提供」を見事に実践され、多くの人に愛された経営者でもあった。


藤田商店をベースに、日本マクドナルドはじめ、トイザラス、タイラック、クリスチャンディオール(元代理店)東京タワー蝋人形館、スポーツプール事業、その他、といった多くの企業を次々に、展開していく経営哲学は、ソフトバンクの孫さんをはじめ、多くの企業家達に、夢と勇気を与えた先駆者だった。


関西弁交じりの各論で、早口で捲くし立てて話す藤田節が聞けなくなると思うと本当に寂しい限りだ。


みごとなエピローグで人生を締めくくられた藤田さんから多くの事を学んだ。 





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第77回 「誰と共に」

「何がやりたいのですか?」と、私は転職の相談にみえる皆さんに伺う。


最初はそれなりの希望を言われる方々も、よく聴いてみると自分の求めているものが、「実は、よくわからない」という言葉が返ってくる事が多い。


そういった方々に、「これまでのキャリアで、誰しも一度や二度は、生き生きと楽しく仕事をして、輝いた時があると思います。その時、どこで、何をしていた時ですか?


そこに共通していえることは、どんなことでした?」と訊ねると、「何をやっていたか」よりも、「誰と共に働いていたか」に、輝く要素があることが多い。


自分と気の合う好きな人や、自分が共感できる価値観を語る社長や経営陣のもとで働けば、心地よく伸び伸び働ける。


やりたい仕事も大切な要素だが、この人とだったら共に働きたいと思える人を見つけることは、企業選択の大きな基準となる。


6年前にある企業にご紹介した役員と、部門部長と会食をした。


笑顔で経緯を語る彼の中に、互いに対する信頼感が感じられとても爽やかな気持ちになった。


「人の相性を大切に」という思いがあるので、その企業と役員に思いを寄せてくれた方々を次々に紹介した結果、500億の事業会社として成長し、今年いよいよ上場する。


ご紹介した方々の多くが部長職という立場に昇格され、ますます手腕を発揮している。


起業時、殆どの場合、気の合う仲間と共に、スタートする。アーリーステージの企業の優位性は、気の合う、信じあった人間達の団結力以外、何ものでもない。 


小規模の会社を選ぶ際は特に、社長とメンバーの理念や価値観の共有化は、きわめて大きな転職成功要素となる。


経営者の理念やビジョン、価値観、そして意志決定のワールドに参加するのだから、なおさらである。


人は、本質的に自分の為だけには、努力できないものである。


誰かが喜ぶ事、喜ぶ顔をみることで、力が湧く。


子供の頃、好きな友達や先生の家の手伝いは喜んでやった記憶はないだろうか! 


気の合う好きな人の為に、仕事をするということは、その人に、自分を認めて欲しいからである。


持てる力を最大限に上げて仕事をするから、成果が上がる。そして、そういった気持ちで仕事する仲間が集まった環境は何ものにも代えがたい。


「誰と共に・・」は、大きなモチベーションに繋がり、人と企業の成長の原動力となる。


 魅力的な気の会う人との出逢いは、人生を根底から変える。





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第76回 「元気をくれる人」

その人と話をすると、こちらが元気になる人がいる。


逆に、話す程に、心が重くなり力が抜け、パワーを奪われてしまう人もいる。


信頼するローソンの新浪さんや、ソフトバンクの孫さん、日本マクドナルドの創業者の藤田さん、プロサイドの椎名さん、最近お会いした福助の藤巻さんや楽天の三木谷さん達は、『元気をくれる人』だ。



彼らの会話の特徴は、必ずどんな会話でもしっかり受け止め「うん!なるほど!そうね!」で始まる。


何にでも興味を持って、ポジティブに発想し、会話がどんどん広がって行く。


こちらの話をいつも「それは・・、こんな問題がある・・」「いや・・こういうリスクが・・あってムリです。


」「うまくいえないけど・・何か変だ」という不遜な態度で、心閉ざして話を聞く人がいる。


はじめから、明解な理由で、“NO”(できない)といってくれた方が時間に無駄がなくいいのだが、“評論家”のような会話をする人は、始末が悪い。


こういった方々は、「何か問題があるのじゃないか?」とか「どのように人は、思うかなぁ」と常に自分に自信が無く、従って自ら判断できる基準も意志もなく、メンバーに時間稼ぎのサーチや意見をただ聞くばかりで、結論を出さないでいることが多い。


何度も同じテーマでの会議を行い、会議の為の会議をしてもまた、同じ議論で空回りし、意味のない時間と疲労感だけが残る。


肩書きや永年そこにいただけで、自己を表現し、人の目をいつも意識し組織のバランスだけを気にする人に、こういった人が多い。


個人だといい人なのに、会社組織にいるとゾンビと化し「私は」でなく、「内の会社」になり、保身パワーが優先してしまい、相手の自己を認めなくなってしまう。 


実態として、大きな組織を率いれば率いるほど“企業内個人”として、OK、NOをいえる人であり続けるのは難しくなってくる。


企業組織の階段を上に昇るほど、事業の流れや、関連部署を動かす事に、益々、人間としての器量が求められる。


前者の人達は、一度しかない人生を、自分を信じ、完全燃焼したいと、明日を夢みて「いま、ここ」に集中して生きている。


自己を認めているから、人を受け止めそして、認め、共に未来を語るから、触れ合うと元気になる。





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第75回 「経営者達のOFFタイム」

過日、マスコミで話題の多い経営者達と、週末の過ごし方で話が盛り上がった。プライベートでの彼らの週末スタイルは多種多様で、楽しみ方も様々であったが、いくつか考え方が共通していた。
私が、いきつけの六本木にあるライブバーや、住まいの近くのサウナ、プール、そして、本郷や谷中周辺の名所めぐりや芸大をはじめ都内の大学散歩といった気に入っているスポットやコースの私なりの楽しみ方を、経営者達に話すと、それぞれの「馴染みスポット」や、「ここが見所」を自慢げに語り始めた。 
「小金井テニスコートの土の質、上野奏楽堂のチェンバロの音色は!青山のスポーツジム、桧原の温泉、谷中朝倉彫塑館の猫がリアル、岩崎弥太郎の洋館は、朝倉天心公園から蛇道への道、江戸川の河川敷、モンテス・アルファワインの専門店、多摩湖の周辺のコース、深川の老舗のそば、原宿のマッサージ、銀座のシアター、ジャズクラブ、・・」と、あふれんばかりの情報が飛び交った。自ら創業し、上場した経営者達は、さぞかしリッチな所で時を過ごしていると思われるかもしれないが、案外、移動時間の少ないそれぞれの近隣エリアスポットを上手に探索し、出かけていた。せっかくの休日に車の渋滞に巻き込まれ、イライラしていたのでは精神的な疲れがたまり、何の為の休日なのか解らなくなってしまう事もあるが、どんな所でも楽しめる探究心と遊び心を持っているということも共通している。
それぞれの経営者は、時間パフォーマンス、移動時間ストレスのない自分にとっての質の高い至福の時空を、その時々の状況に応じ、選択できるいくつかの馴染みの「あそこ」が、人生をリ・ジェネレートしている。
OFF時間での、遊びや趣味にたけた人は、話しも面白く、幅広い視点を持っている。
以前、何度かパーティでIBMの椎名さんを中心に人が集っているシーンに出会った。
椎名さんは、遊びから宇宙まで実に話が多彩で、顔面笑顔で豪快に大声で話されるので、笑いの耐えない人の輪ができる。椎名さんといると楽しいので、人が自然と集う。そして、様々な情報が椎名さんに集まるから、発想が益々豊かになるように思う。


我々が、今いる[knowledgeSociety]知識社会は、知識の根源となる「興味」によって、様々な世界とコミュ二ケートしている。そして、自らの興味によって得たプライベート「OFF情報」が、大きな価値をもたらす。日々の人生をいつも“ときめき”ながら、過ごす「お気に入り場ブックマーク」が、いつのまにかONの世界に生かされ、いい循環になって、未来のありかへの曙光がさす要因になっていく。





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第74回 吉野家のクライシスマネージメント

企業は、環境に適応しながら生きていく生き物である。

 

外部環境の変化に適応できない企業は、やがて必ず衰退の一途をたどる。

 

最近、BSEをはじめ、鳥インフルエンザ、鯉ヘルペスといった感染病の情報で外食産業に激震が走った。

 

マクドナルドの価格破壊戦略や国内の狂牛病騒動を乗り越え、デフレ経済の勝ち組みとして、日本が誇る“ファストフードの至宝”吉野家ディー&シーにしてみれば、BSEによる原材料の輸入停止は、最大の経営危機だ。

 

吉野家の安部社長とは、親しくさせていただいているが、今回の米国狂牛病騒動は、私にとっても心ザワツク思いだが、一連の報道後の対応があまりにも早く、カレー丼をはじめとする多くの新メニュー提供や、オペレーション時間の変更等に、正直驚いた。

 

話を伺うと、前回のBSE騒動の経験から、米国でも狂牛病が発生することを想定して、「危機管理マニュアルを作成していた」とのことであった。

 

そのとき起こりうる、様々な事態を予測して、商品開発、仕入れルート開発、物流、オペレーション、人材ローテーション、IR、マネージメント体制、 etcといった様々な内容のシナリオを議論して策定しており、社員の対応も迅速で底力を感じる。

 

心配をさせまいとの配慮もあるのだと思うが、社長自身は、困難の時ほど気が入るとのことであった。 

 

しかし、米国産牛肉の輸入禁止は吉野家にとってみれば最悪のシナリオであり、経営者の手腕が問われるが、現場のアルバイターとして入社してから社長まで、異例の昇格を重ねて上りつめた『ヒーロー』として社員を始め、多くの人に親しまれている名経営者だけに、何とか危機を乗り越えて欲しい。

 

吉野家の牛丼だけに限らず、他の会社にも多くの影響を及ぼした今回のアクシデントは、一業態でしかも商品を単品に絞った量販の業態経営の、危うさを露呈することになってしまった。 

 

一つの単品を極めたからこそ、品質を極め、ここまで業績を上げてきたと思うが、今後の選択と集中企業経営のあり方を考える機会になった。