シムソン線、シュタイナー線、そしてセイミヤの定理!!!
こんにちは。パーソナル数学コーチの八田陽児です。
今回も8月9日に行われました大阪私学数学会の内容をまとめたいと思います。
難波先生のご講話より。
<テーマ>
シムソン線
シュタイナー線
清宮(せいみや)の定理
まずは有名なシムソン線の説明です。
(ご存知の方は飛ばしてください。)
1.図のように円に内接する三角形ABCを考え、外接円上に点Pを取ります。
2.点Pから三角形の辺(とその延長)上に垂線を下ろします。
この図は、点Pから辺ABの延長上に垂線を下ろし、直線ABと垂線の交点をGとしています。
3.同様に辺BC、辺CAにおいても同じように点Pから垂線をおろします。
点Pから辺AB,BC,BAにおろした垂線との交点を、それぞれの点を点G、点H、点Kとしています。
4.ここでよ~~~く点G,H,Kを見てください。何かに気づきませんか??( ゚∀゚)
そうですっ!実はこの3点は・・・
一直線上にあるのです!!
この線をシムソン線といいます。
シムソンさん、いったいどんな数学者なのか、私は知りません…。
(Wikipediaにもいません。)
もしどなたか何か情報をお持ちでしたら、ぜひ教えてくださいませ!!
では続きまして、シュタイナー線です。
1.三角形ABCの外接円上に点Pをとります。(ここまではシムソン線と同じ。)
そして点Pを直線ABにおいて線対称した点をHとします。

2.同様に直線BC、直線CAにおいて線対称となる点N,Mを取ります。
ここで点H、N、Mをよ~~く見てください。何かに気づきませんか??( ゚∀゚)
そうですっっ!!!実はこの3点は・・・
三点は同一直線状にあるのです!
この線をシュタイナー線といいます。
ちなみに、三角形ABCの垂心はこのシュタイナー線上にあることも知られています。
さてここまでのシムソン線、シュタイナー線はよく聞くお話です。
今回の難波先生のご講話でありましたのは、さらに発展した清宮(セイミヤ)さんが16歳のときに発見したといわれる定理です。
清宮(せいみや)の定理
1.シュタイナー線と同様、点Pにおいて辺AB、BC、CAにたいして線対称な点H,N,Mを取ります。
2.点Pとは別に外接円周上に点Qをとります。
3.点Qと(点Pの線対称である)点H、N,Mをそれぞれ結びます。
そして直線AB,BC、CAとの交点をとります。(水色の点)
4.この3つの点をよ~~く見てみてください。何かに気づきませんか??( ゚∀゚)
実は・・・なんと・・・
え?もう一直線上は飽きましたか??(> <)
はい、これも一直線上に並ぶのでした。
これを清宮の定理というそうです。
清宮先生が16歳のとき、別の定理を証明しているときに発見したそうです。
(きっとシュタイナー線を証明しようとされていたときでは、と思いますが。)
シムソン線とシュタイナー線の証明はこちらの記事 のニコニコ動画で見ていただくとして、ぜひ清宮の定理の証明もチャレンジしてみてくださいね!!!
<参考文献>
パソコンで学ぶ平面幾何教室
http://www.geocities.jp/osaqmath/index.html
こちらのサイト様のプログラムを使用させていただきました。
図形を書いた後、点を自由に動かせますので、どんな三角形でも一直線上になることが見てわかり、非常におもしろいです。
点を自由に動かせるサイトは他ではまだ見当たらないです。
(もしご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてくださいませ。)
シムソン線、オイラー線とその証明。とっても分かりやすい動画です。
みなさんは高校時代、幾何を数Aで学びましたか?
私は学びませんでした。(もしかしたらササっと終わってしまっただけかもしれません。)
センター試験でも選択しないし、大学時代も解析を専攻したし、必修で幾何はなかったような気がします・・・(あ、単位を落としただけかも!?)
さて、今年度から数Aで幾何が必修となり(センターでは選択になるそうですが、幾何を選ぶ人も多いでしょうね。)授業準備で必死になっています。
先日も、私学数学勉強会に参加し、大阪大学名誉教授の難波誠先生の講演を聴いてきました。
難波先生といえば、在学中に
「難波先生の講演を聴かなければここ(阪大の数学科)に来た意味なしっ!!!」
とまで言われていた偉大な先生です。
ただ(私がサボっていただけなのか)結局、大学にいる間に難波先生のご講話を聴く機会はなく、今に至りました。
ですので今回は本当にうれしかったです!
(今年でご退官されるそうです)
で、もう一度幾何を学び直そうと一から勉強しています。
しかし私は幾何が大の苦手…。
何より図形は本当に嫌いなのです。
なぜなら図が描けないから!!!
三角形の外接円、書けません。
かならずドラやきみたいな形になります。
内接円、書けません。
内接円の中心から各辺におろした線は直角になっていません。
そんな私がシムソン線にチャレンジ!
証明以前に、どうがんばっても3点が一直線上に乗りません。
ムリに同一直線上に乗せたとしても、無理にフリーハンドで書いた図形ですから、証明を試みても、何がなんだか分からなくなるのです…。
しかし!!
今は素晴らしい時代になりました。
こうやってちゃんと「こんぴゅうたぁ」で描いた図形を用いて証明をしてくれている動画があるのです!
この動画に感動しました。
そしてシムソン線の証明の美しさにまたまた感動っ!!!
ぜひ皆さまも見てみてくださいね!!!!
もう授業で教えなくても、動画を一緒に観たらいいんじゃないかとも…((;゚Д゚)
おじいさんと草原の小学校
オススメのDVDです!!
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お話は2004年ごろのケニア。
ケニア政府は2004年ごろに初等教育無償化を打ち出しました。
すなわち小学校が無料で行けるようになったのです。
私がケニアで活動をしていた頃も、まだ無償化のことを知らなくて子どもを小学校に通わせていない親もいるという話だったり、無償化になっても結局は教科書やエンピツ、ノート、制服などを買わないといけないから、お金がなく通えないなどという話を聞いていました。
この映画では、無償化になった小学校になんと84歳の老人がやってきます。
老人は「ある手紙を読むために、英語を勉強したい」というのです。
その手紙とは…。84歳の老人を動かすほど重大なことが書かれた手紙の内容とは…!??
映画の背景にはMAUMAU団というケニア政府独立に大きく関係している組織が出てきます。
MAUMAUとは
Muzung Aende Ulaya (白人は海外へ)
Mwafrika Apate Uhuru (アフリカ人に自由を!)
の頭文字だそうです。
MAUMAU団はキクユ族で構成されている武装集団で、独立のために多くの人を殺したり、また多くの人が犠牲になったりしました。
その背景は詳しくないのですが、独立運動、差別問題、植民地問題、部族差別・・・たくさんの問題を抱えた民族の話が色々と出てきます。
この物語をなぜイギリスが作成したのか。
いろいろと考えてしまいます。
さて、この映画が気にいる理由はもうひとつあります。
それはリアルなケニアを描いているということ。
映画に出てくる日常の風景、ケニア人の英語、スワヒリ語、部族語、どれもこれもケニアです!ここまでリアルに作られた作品もすごいと思います。
ここに出てくる風景は、本当にケニアでボランティアをすれば体感できる風景そのものでした。
役者さんのスワヒリ語なまりの英語も本当に懐かしい響きでした。
子役(?)のケニア人のスワヒリ語もよかったし、途中に出てくるストチルもまったくそのまんま!!
本当に現地で現地人を雇っているのじゃないかと思うくらい!!!
私からケニアの話を聞いたことがある人は、ぜひ観てください!
よりリアルにケニアを感じられますよ~~~。

ケニアで仕事をしていたときの写真( ゚∀゚)ノ
陽性検査のパラドクス(原因の確率、ベイズの定理)
こんにちは。パーソナル数学コーチの八田陽児です。
今年(2012年)の指導要領改訂で、数Cにあった「条件付き確率」の単元が数Aにやってきました。
現在、数学の先生をされている方は高校生時代には選択だったので、勉強していない人も多いのではないでしょうか??
特に原因の確率と呼ばれる内容は、教科書には複雑に書かれています。
しかしベイズの定理 と呼ばれる方法を使えば簡単に解けますよ!
今日はもう一つ有名な数学の問題「陽性検査のパラドクス」をご紹介します。
ある感染症は1万人に1人の割合で感染しているとします。
この感染症の検査は99%の精度です。
さて、Aさんがこの感染症の検査をして「陽性」と出ました。
このときAさんが「陽性」である確率はいくらくらいでしょうか?
検査の精度が99%なのだから、99%の確率で「陽性」なのでは?と思ってしまいます。
しかし実はそうではないのです。
これはまさに「原因の確率」と呼ばれる問題です。
ですからベイズの定理を用いて、解いてみましょう。
まず
[A]陽性の人で、検査も陽性が出た人の割合は・・・・
1/10000*99/100=99/1000000
[B]陰性の人で、検査は陽性が出た人の割合は・・・・
9999/10000*1/100=9999/1000000
[C]陽性の人で、検査は陰性が出た人の割合は・・・・
1/10000*1/100=1/1000000
[D]陰性の人で、検査も陰性が出た人の割合は・・・・
9999/10000*99/100=989901/1000000
の4パターンに分けられ、それぞれの割合が求まります。
今、検査で陽性が出たので[C]と[D]が消えます。
残りの[A]、[B]の割合の比は
99/1000000 : 9999/1000000 = 1 : 101
になり、これで確率1を分けると考えると、
検査で陽性が出たのに陰性の人の確率は
101/101+1=101/102≒99%
になるのです!!!
ここから言えることは、一回「陽性」が出たからといって、本当に「陽性」かどうかはわからないということです。
感染している人の割合が低い感染症ほどこういうことが起こるのですね。
この問題がパラドクスのように思えるのは、
陽性の人⇒検査で陽性
という命題が真だとするとき、この命題の逆
検査で陽性⇒陽性の人
も同じように成り立つと思ってしまうことです。
逆は必ずしも真ではありませんので、こういう違和感を感じるのですね。
Q.E.D 41巻
こんにちは。パーソナル数学コーチの八田陽児です。
ついに出ました!!新刊です!
講談社 (2012-02-17)
数学がテーマの推理マンガ「Q.E.D」の最新巻です。
今回は「論理」がテーマのマンガがありました。
ブログの左のテーマ一覧に「論理」がありますが、あまり充実していません・・・。
うそつきと正直者
はまだ読める内容かな…。
ブログ記事も読みつつ、このマンガもぜひお読みくださいね!
オススメのマンガです!!!!