アルベロスと相加相乗平均
こんにちは。パーソナル数学コーチの八田陽児です。
気ままに更新している数学ブログです。
さてみなさんはアルベロスをご存知でしょうか??
日本では江戸時代の和算にもよく出てくる図形です。
大円の中に半円が2つあります。それぞれ直径をa, b(a>b)とおきます。
下側には円(緑色の円)があります。
この図形の赤い部分の形をアルベロスといいます。
アルベロスは靴屋のナイフともいいます。
さて、おもしろいのはこの赤い部分と緑の部分の面積が等しいことです。
証明は数学Aで方べきの定理を学んでいれば簡単に証明できます。
大円の直径がa+bになるので、大円の半径は(a+b)/2です。
ですので赤い部分は
大円の半円から半円の面積を引くので、ゴリゴリと計算すると
abπ/4
になります。
さて、緑の円の直径を求めてみましょう。
緑の円の直径をdとすると、方べきの定理から
a×b=d×d
すなわちd=√abです。
よって半径は√ab/2ですね。
∴緑の円の面積=abπ/4=赤い部分
となるわけです。
方べきの定理を知っていれば簡単に同じことを調べられますね!!
さて、次の話です。
次の図をよ~く見てみてください。
黒い線は大円の半径です。
すなわち(a+b)/2です。
さて赤い線は上の話から緑色の円の直径でしたので、√abと求まっていました。
この赤い線は、2つの半円の位置関係を色々と動かしてみると、一番長くても大円の直径(a+b)/2にしかなりません。
すなわち・・・
いわゆる・・・・
なんと・・・・
(a+b)/2≧√ab
となっているわけですね!!( ゚∀゚)ノ
数Ⅱで学ぶ相加相乗平均がこんなところに出てきました。
図形でみると、確かになるほど成り立っていると分かりますし、a=bのときに等号が成立することも分かります。
おもしろいですね~~~(^ ^)
7の倍数判定法とその証明。
こんにちは。パーソナル数学コーチの八田陽児です。
今年度から数学Aにおいて「整数の性質」という分野が加わりました。
今まで暗黙の了解で使われてきた整数問題をわざわざ教科書に載せました、という感じです。
改めてしっかりと勉強するとおもしろいですね!
ところで、この分野の最初に倍数判定法があります。
うちで使っている教科書には、2,3,4,5,8,9の倍数判定法が載っていました。
でもここまで書かれるとやっぱり7や11の倍数判定法も教えたくなるもの。
7の倍数判定法をご紹介します。
十位以上と一位を切り離し、前者から後者の2倍を引く。それをくりかえし、2桁以下になったとき、それが7の倍数なら元の数も7の倍数である。
例を書きます。
461258→46125-2×8=46109→4610-2×9=4592→459-2×2=455→45-2×5=35
35は7の倍数なので、元の461258も7の倍数である。
【簡単な証明】
元の数をAB・・・CDと書きます。(一位がD、十位がC、・・・という数です。)
AB・・・C-2×D=7k(kは整数)・・・①
とおきます。
①を変形して、
AB・・・C=7k+2D …②
AB・・・CD=10×(AB・・・C)+D=10×(7k+2D)+D=70k+21D=7(10k+3D)
ここで10k+3Dは整数なので、AB・・・CDも7の倍数。
Q.E.D
分かりにくい書き方ですが、ぜひ紙に書いて計算して見てくださいね。
ちなみに倍数判定法を遊びで学べるアプリがあります!
【映画】天地明察をより楽しむための予備知識①
こんにちは。パーソナル数学コーチの八田陽児です。
久々に映画を観てきました。ずっと楽しみにしていた天地明察です!
(本に関しては前に記事 を書きました。)
予備知識があると更に楽しめる映画です。
オフィシャルサイトにも天地明察を楽しむための予備知識のコーナー があります。
映画「天地明察」をより楽しむための予備知識①としまして、今回は「算額」についてお話をします。
江戸時代、鎖国していた日本では日本独自で数学を発展させました。中国の数学書から日本の中で独自の進化を遂げた数学があったのです。
それを和算といいます。
当時は、和算家という数学者がたくさんいてあちこちに塾があったそうです。
それも道場破りなるものもあったりして、数学の難問を出し合って勝負をしたとか。
またお寺や神社には算額という絵馬に数学の問題を書いたものを奉納する風習まであったそうです。
算額は、
・難しい問題が解けたときに神や仏に感謝する意味を込めたもの
・解けない問題や自作の問題を、誰か解いてとお願いする意味を込めたもの
・自分の数学道場の宣伝のもの
などがあったそうです。
日本各地に算額が奉納されている神社やお寺があり、こちらのサイトで日本中の算額の場所を確認できます。(和算の館 )
長野県長野市の長野電鉄本郷駅の近くにある美和神社にあった算額です。
図形問題が多数ある算額ですが、難問だらけで現代の数学者でも悩む問題もあるそうです。
ぜひ和算に挑戦したい方はこちらの一関市博物館のサイト にチャレンジしてみてくださいね!
オイラーの定理
こんにちは。パーソナル数学コーチの八田陽児です。
今日はオイラーの定理の紹介です。
オイラーの定理とは、幾何学で非常に有名な定理で、
三角形ABCの外心をO、重心をG、垂心をHとおく。
3点O,G,Hは一直線上にあり、OG:GH=1:2となる
という非常にシンプルで美しい定理です。
さて、オイラーはきっとたくさん作図をしてこの性質に気付いたのだと思いますが、後世の数学者はこの定理にたくさんの証明を付け加えました。
一番有名な証明は、前回の記事 でも紹介したニコニコ動画にあった平行四辺形を使って、三角形の相似を使った証明です。
さてそれ以外のシンプルな証明方法を2つご紹介します。
○三角形を大きくする。
三角形ABCを、AB//A'B'、BC//B'C'、CA//C'A'、かつもとの三角形の頂点A, B, CがB'C'、C'A'、A'B'の中点になるようにとります。
すると三角形A'B'C'は、三角形ABCを重心Gに関して点対称して、2倍に大きくした三角形になります。
さて、大きい三角形の外心O'を求めます。外心は、各辺の垂直二等分線ですから、辺B'C', C'A', A'B'の垂直二等分線を引きます。
もちろん各辺の垂直二等分線は、点A, B, Cを通ります。
ということは、この垂直二等分線は、もとの三角形ABCで見てみると、垂線になっていることに気づきます。
すなわち、大きい三角形A'B'C'の外心O'は、もとの三角形ABCの垂心になっているのです。
ところで、この大きい三角形は重心Gに関して、もとの三角形を点対称して2倍にした三角形でしたね。
ですから、大きい三角形の外心O'も、もとの三角形の外心Oを重心Gに関して点対称して2倍の位置においた点なのです。
よって、O'とGからもとの三角形の外心Oを書いてみると・・・
このように、2:1の長さで、かつ一直線上にあることになります。
以上よりオイラーの定理が証明されました。 [Q. E. D]
この説明は、教科書や青チャートでは「垂心」の説明として使われることがあります。
すなわち、垂心とは大きくした三角形の外心であり、それが元の三角形の垂心であると説明しています。
○ヴェクタをつかう
さて次の証明は、ヴェクタ(ベクトル)を使います。
ちょっと数学ガールのミルカさん風に言ってみました(^ ^)
もしオイラーの定理が数学ガールで描かれたらこんなのかなぁと妄想しちゃいます。(八田が勝手に書いているだけです、結城先生、ごめんなさい!)
テトラちゃん
「一直線上にあることを示すって、なんだかよく分からないです。」
僕
「平面図形だと、角度が180°になるとか、この場合のように点対称した位置にあるとか、を示すのかなぁ。」
ミルカさん
「それよりももっと簡単な方法がある。」
テトラちゃん&僕
「??」
ミルカさん
「もうすでに我々が手にしている強力な武器があるじゃないか。同一直線状にあり、かつ何倍した大きさかが一目でわかる表し方が・・・」
僕
「・・・ベクトル??」
ミルカさん
「そう、ヴェクタだ。」
そういってミルカさんは三角形を描きはじめた。
はい、妄想終わりです!ここからはまじめに・・・(> <)
三角形ABCの内部に以下のような点Xを考えます。点Oは外心、点Hは垂心、点Gは重心です。
(以下、ベクトルABをABと書いています。本当は→を頭につけたいのですが、それができませんのでご了承ください。)
OX=OA+OB+OC
すると、
AX=OX-OA=OB+OC
BX=OA+OC
CX=OA+OB
と書けます。
ここでベクトルOB+OCは何かというと・・・
このようにOB+OCは辺BCに垂直です。
さらにOB+OCはAHに等しくなります。
以下、同様に考えると、点Xは垂心Hであることが分かります。
∴OH=OA+OB+OC
また重心Gにおいて、
OG=1/3(OA+OB+OC)
なので
OG=1/3*OH
と求まります。
よって、点O, G, Hは同一直線状にあり、かつOG:GH=1:2であることが分かります。
以上がシンプルなオイラーの定理の証明方法です。
シンプルな証明は美しいですね。
どんな幾何図形も簡単に作図できちゃうソフト!Geogebra
こんにちは。パーソナル数学コーチの八田陽児です。
平面図形を教えるとき、紙に作図してもなかなかきれいに書けない・・・。
ちゃんと作図しても、外接円が三角形の頂点を通らない・・・。
こんなことってよくありますよね!!!(え、私だけ?)
そんな皆さまにオススメのソフトです!!!
こんなソフトが欲しかった!
これさえあればもう作図で困りません!!
美しい定理も、一発で描けてしまいます!
しかも、点を動かして、どのような図形でも性質を満たしていることが一目瞭然!!!
これでアナタも幾何マニアにっ!( ゚∀゚)ノ
どのようなものかちょっとご紹介しますね。
このように、作図したいことを選ぶだけで図形が描けてしまいます。
垂線、辺の二等分、角の二等分、正n角形、3点を通る円・・・
なんでもござれです。
しかも更に素敵なのは、作図した図形を自由に動かせるということ。
例えば下の図は、
四角形の各辺の中点を結んだ図形は平行四辺形になる。
という性質を作図したものです。
この性質は、どのような四角形でも成り立ちます。
さらに、4つの辺さえあれば、四角形でなくても成り立つのです!!
それが一目瞭然です!!
このように、点Bを辺CDの右側に持っていったとしても、中点を結ぶ図形は並行四辺形になります。
このような性質が、数式だけでなくビジュアルで理解できるので、と~~っても便利です。
フリーソフトだそうですので、ぜひお試しくださいませ( ゚∀゚)ノ