前回は、甲状腺機能低下によって起こることを見ていきました。
一方で、亢進症というものがあるということをご存知の方も多いと思います。
甲状腺機能亢進症も甲状腺機能低下症の一部
甲状腺機能亢進症は、何らかの要因で甲状腺分泌機能が過剰に高まること。
とされています。
病気としては、バセドウ病や甲状腺腫、甲状腺炎があります。
血液中の甲状腺ホルモンが過剰になることで診断されます。
しかし、甲状腺機能亢進症は、ある視点から見ると甲状腺機能低下症とも言えます。
血液中の甲状腺ホルモン過剰ということは、分泌過剰とイコールではありません。
それはなぜか、血中の甲状腺ホルモンが細胞に入れないということも考えられるからです。
実はこの時、血中の遊離脂肪酸濃度が高いことが知られています。
しかもコルチゾールやアドレナリンといったストレスホルモンも増加しています。[1]
これは、遊離脂肪酸が甲状腺ホルモンの取り込みを阻害するためです。[2][3]
ランドルサイクルにみられる糖と同じですね。
これらのストレスホルモンは、体脂肪を切り崩して、
中性脂肪から脂肪酸を取り出すため、血中へ遊離脂肪酸が増えます。
甲状腺機能亢進症で見られる代表的な症状に、
- 甲状腺が腫れる
- 眼球突出
- 疲れやすくなる
- 怒りやすくなる
- 食べてもやせてしまう
- 頻脈
- 動悸
- 不眠
- 生理不順
- 筋力低下
- 骨粗しょう症
といったものがあります。
コルチゾールやアドレナリンも、同様の作用を起こします。
ストレスホルモンと呼ばれる所以ですね。
つまり、亢進症に見られる症状は、ストレスホルモンの上昇でも見られるということです。
こうして細胞に入れなくなった血中の甲状腺ホルモン増加が、
あたかも甲状腺機能が高まりすぎているように
見えたという誤認ともいえるわけです。
亢進症では抗体が甲状腺を攻撃し、破壊すると言われていますが、
未だに仮説の域を出ていません。
『抗体ができる』ということ自体がエネルギー代謝が低下している状態なので、
その点から見ても、やはり亢進症は甲状腺機能低下症なのです。
(エネルギー代謝が高ければ、抗体ができずに速やかにゴミ処理が行われる)
【関連記事】
【参考文献】
[1]Effects of thyroid hormones on adenyl cyclase in adipose tissue and on free fatty acid mobilization.
Proc Natl Acad Sci U S A. 1968 Mar; 59(3): 884–889.
[2]Skeletal muscle mitochondrial free-fatty-acid content and membrane potential sensitivity in different thyroid states: involvement of uncoupling protein-3 and adenine nucleotide translocase
FEBS Lett . 2002 Dec 4;532(1-2):12-6.
[3] Plasma Free Fatty Acids, Inhibitor of Extrathyroidal Conversion of T4 to T3 and Thyroid Hormone Binding Inhibitor in Patients with Various Nonthyroidal Illnesses
Endocrinol Jpn . 1992 Oct;39(5):445-53.
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