こんにちはーこんばんはー、イッケメンでぇーっす!!
今日2月8日はねー、なんと! イケメンが初めてマーダーミステリーした日なのですよー!
今日はね、やっとこ一年経ちましたって事でね、一年間振り返りつつ、イケメンが何をしようとして、何を始めて、今も何をしようとしているのか、ここぞとばかりに自分語りしちゃうよ!! イケメンファンの子猫ちゃんたちだけ読んでくれればいいからね! 書き始めてみたら自分でも引くくらい長くなっちゃったから! 初にして過去最長のチラ裏だからね! あらかじめ言ったからね! ね!! しらないよ!!
長いかんね!!!!!!!
ファーストコンタクト
僕が「マーダーミステリー」というゲームの存在を知ったのは、記録によると昨2020年の1月の話。例のパンデミックもまだ認識される前で、WHOの緊急事態宣言すら出ていなかった頃だった。
月に一度、歌舞伎町のバーの営業前の時間帯を使ってアナログゲーム会を開催できていたのも、まだそういった時制だったためだ。だいたい15人前後集まって、持ち寄った軽めのゲームを別れて遊び、人が揃ったら人狼を何戦かやる。その会に来てくれた人から教えてもらったのが、「今めちゃくちゃアツい」というマーダーミステリーだった。
「なんすかそれ、めちゃめちゃ面白そうじゃないすか!」と即座に食い付いた。
「なんすかそれ、貴族の遊びじゃないすか!w」が、一度しか出来ないゲームのシナリオコストを聞いた時の感想でもある。まあ、「だからお店に行ってやるものなんすよ」という誘導だったと思うが。
聞いてすぐに思い付いたのは、自分で遊ぶことよりまず、いつも仕事している劇団でのイベント公演の一形態だった。普段から役者以外に地上/地下アイドルやスポーツ選手をブッキングすることの多い、真面目にお芝居と言うよりはやんちゃなエンタメ集団といった劇団なんだが、ここのメンバーに実際に舞台上でマーダーミステリーをさせる。観客は基本的に誰かのファンであるので、パンフレット代わりに同じハンドアウトをどれか一部だけ配布する(勿論ほかと見せ合っちゃいけない)。で実際に投票、結末までやったら、観客も交えて感想戦だ。ファンとしても共通の話題があるので盛り上がる、お酒も進む。アフターイベントありきの形態。キャパは大きくなくていいけど、劇場じゃなくライヴハウス的な箱でのイベントだな。チケット代よりもドリンクバックで売上は賄える。これ、絶対どこかがやろうとしてるから、早いうちに実現しなくては。小回りとスピードなら任せろ!
…てな具合に、まず考えたのは仕事へのフィードバックである。そのためにはまず、自分が遊んでどんなものか調べなくては。恐らくシナリオに対して支払う使用料次第で経費が大幅に変わるから、そのへんも探りつつ、あわよくばシナリオ権利持ってる人と仲良くならなくては。
劇団のボスにまず連絡を入れ、その日の夜にはマーダーミステリーについて調べ始めた。というか、その日のうちに新宿のイエサブに行ってパッケージをひとつ購入した。どれがベーシックなのか分からなかったので、『王府百年』と『Daath Weres White』とを手に取り、値段と箱のサイズで『Death~』を購入。今にして思えば冴えたチョイスではある。なお、買ってから9人用であることに気付きw、「メンバーどうすりゃいいんだこれ」と絶望したのを覚えている。何なら、未だにやっていないw
まずTRPG時代の友人に連絡を入れた。世界にインターネットはまだ無くて、かわりにソビエト連邦が存在した頃からの付き合いの友人らである。実はその頃の友人を前年に立て続けに二人亡くしており、「会えるやつには会えるうちに会っとかないと後悔する」年齢であることを認識したため、たまに集まって飲んだりしていた。ちょうどそのうち一人の一周忌が近付いており、集まって飲もうという事になっていたのだ。
メンバーに「マーダーミステリーってのがあるらしいんだけどさ」「人狼とTRPGのアイノコみたいな」「集まるついでに試しにやってみない?」と声をかけた。要は、僕がマーダーミステリーと出会えたのは、死んだ末次のおかげという事になる。ありがとね、スエツグ。
横浜ハマボウル跡地ビルのパセラで、ボドゲプランを6人予約。なかなかのラインナップのボドゲが貸し出し棚に揃っていた。
TRPG時代から、「新ゲームを誘うなら持ち込んだやつがGM」は鉄則である。まずは試しに無料のやつやってみようぜ、と『探偵シド・アップダイク Case.00 超能力研究所』を用意した。用意といっても当時はGMのありようなんて分かっちゃいなかったので、あらかじめ全員のHOに目を通し、進行手順を覚えたくらいである。その場でキャラクターを決定してもらい、LINEでHOのURLを送る。これが僕の初マーダーミステリーで、初GMになった。
存外好評だったので安心し、当日朝に横浜のイエサブ(移転しててびっくりした)で買った『約束の場所へ』を開封。これなら6人GMレスで出来るということで、ほぼ選択の余地はなかった。が、実際には「進行役はこのキャラクターで」と指定されており、あまり参加したという気分になれなかったのを覚えているw それと、初心者には判別できない部分でルールが説明されていない部分があり、ゲームの結果を左右する部分だったので、まあ少々もにょった。初日にしてGMレスの洗礼を浴びたというわけである。尤も、これはGMの必要性というものを学ぶ良い機会になった。
その後は更に居酒屋に移動し、合流したメンバーも含め、箸袋とコースターを使って即席人狼を楽しみ、バーに移動してLove LetterやLovecraftLetterを遊び倒し、さんざ飲み歩いて解散となった。また集まってやろうぜ、が一年経った今でも実現できていないのは寂しい。
オンセの参加の仕方がわからない
自分でも(ちゃんと)プレイヤーやってみたーい! 欲が高まったので、ラビットホールなどの各店舗で予約を入れようと試みる。が、予約がいっぱいで入れないか、人数の少ないところに入れても立卓せずが続く。こうなったらもうオンラインしかないやろ! というのはかなり早くから感じていたが、前述の友人たちはなにせソビエト時代の面々であるため、オンラインセッションという文明自体にあまり乗り気ではない。検索して「オンライン用シナリオ」というのが、しかも比較的少人数で遊べるものが売っているのは知っていた。
また、この時点で既に「オンラインでマーダーミステリーやるならDiscordだろう」という確信はしていた。GMが入れば一人にしか見れないチャンネルにHOを送ればいいし、密談もVCチャンネルを増設するだけで出来る。うまいbotが見付かれば更に楽になるだろう。このへんはDiscordで人狼をやっていた経験があったので、あんな感じで行けるはずだ、だからきっとオンセはDiscordでやってるはずだ、と思っていた。
だが、Twitterで検索しても、自分が乗っかって良いものかどうか分からないものしか引っかからない。そもそも募集が終わっているのか埋まっているのかもよく分からなかったし、「FF内のみで」という文言も多いので、そう書いてなくてもそれが当たり前なのかもしれない。「メンバー集まってから日程調整」というものも多く、更に乗っていいものか悩ましい。だいたい、シナリオ名だけ見ても、それがオンラインなのかオフラインなのかすらよく分からないのだ。Twitter外で検索しても、紹介記事のようなものか店舗のサイトしか出てこないので、専門のblogやnoteみたいな物も見当たらなかった。どうやら仲間内で遊ぶものらしいが、その仲間をどうやって作るのかもよく分からない。TRPGだったらコンベンションとかのオープンセッションの場があって、サークルに入ったり顔見知りが出来ていったりするものだが。まだそこまでのパイが無いのだろうか?
だがこうしてシナリオが売っている以上、絶対にオンラインで遊んでいる層はいるはずだ! それもツールは恐らくDiscordだ! と思いDiscordサーバーを探してみる。見付からない。ご承知かどうかはわからないが、Discord本体のサーバー検索に引っかかるのは、登録メンバー数10000人以上(現在は軽減して7000人)の巨大サーバーだけである。だからDisboardやDiscordちゃんねる(β)などの外部サイトに頼ることになるが、やはりマーダーミステリーで検索しても引っかからないのだ。
遠い昔から、新しいゲームを買ってきた奴がGMもインストも担当、が我々の鉄則だった。
簡単なマーダーミステリーの説明用画像を作成し、Twitterの本垢で「やってみたい人募集!」と告知してみる。…見事に反応がない!w 参考までに本垢の方のフォロワー数は4200前後である。日を変え、時間帯を変え、何度も告知してみても、興味すら持たれなかった。辛かった。
こうなりゃ仕方がねえ! と、直接声をかけることにする。もともとスマホゲームのクラン(血盟)で、連絡やVCのためにDiscordを使っており、そのメンバー内の有志で不定期に人狼をやっていた。上で言及したDiscord人狼だ。その人狼仲間に声をかけ、更に歌舞伎町のイベントメンバーから一人を引っ掛け、なんとか四人を調達。実際にプレイしてみたのが忘れもしない2/24、シナリオはセカンドステラ『亡霊島殺人事件』である。この時のサーバーは捨て難く、上限に近付いた今でもそのままにしてある。
この時のGMとしての出来栄えだとか、シナリオその物の評価なんて、出来るわけがない。ただただ「マーダーミステリーって面白いね!」という感想が引き出せたことに安堵し、またDiscordで問題なくプレイ環境が整えられるという事がわかって満足した。
問題は、参加のハードルが高い事だ。サーバーはシナリオごとに作成するのがベーシックな形であると認識できたため、募集専門の別サーバーでメンバーを集め、プレイサーバーに誘導するという導線が必要だ。その日のうちに募集サーバーの作成を始め、翌25日には公開した。また併せて、Twitterのもともと捨て垢だったスマホゲー垢をマーダーミステリー用に変更。これが現在でも使っているイケメン垢である。
オンセ鯖、はじまる
当時、マーダーミステリー専門のプレイヤー募集サイトは存在していなかった。最も近いものはTRPGの募集サイト、オンセンSNSなどくらい。実はこの状況は今でも変わっていないと認識している。
そこで作ったのがマーダーミステリーオンラインセッション募集用サーバーだ。この時から「おそらく300人規模以上のサーバーにはなるだろう」と予測していた。ただ、この時点ではまだ「恐らく一年以内には」と思っていたw
はじめはまずサーバー内の整備から。マーダーミステリーの説明、Discordの説明、オンラインセッションの参加の仕方やサーバーの作り方の説明…などをチャンネルに書いていく。が、すぐにDiscord内のテキストで説明がしきれるものではないという事に気付いた。サーバー内のルールもその頃に決めていたものと変わりはない。こういうのはMMOでまとめ側に回った経験が生きるなあと感じた。シナリオ体験ロールやシナリオ体験リストの共有などもこの頃には既にあった。
知り合いや知り合いの知り合い以外にも、DiscordのサーバーやTwitterでマーダーミステリーを検索して来てくれる人もぽつぽつ現れだした。3月半ばには登録メンバーは50人といったところだった。
一方でその頃、新型コロナウィルスの感染拡大は留まる所を知らず、遂に国会で特措法が成立した。イベント関係の本職は殆どが飛び、僕は極めて無職に近い状況になった。が、一向に暇にはならなかった。何故なら、サーバーにGMがほぼ僕しかいなかったのである。
3月半ばは振り返ってみると、無職なのに異常に忙しかった。
毎晩のように卓を立て、GMをする。何やかやで、この頃になると人が集まらずに流卓することは少なかったように思う。GMが終わると、次の卓のための準備を始める。少しこなれてきたので、きちんとレジュメを用意するようになった。解説の重要さを味わい始めたのもこの頃、『J・モリアーティの暗躍』を初めて回した後だ。
もともと夜行性なので、朝まで準備をして眠る。昼頃起き出して、この頃解説したblogを書き始めた。勿論いま読んでくれているここの事だ。
GMをするたびに説明をしている部分を、ある程度アウトソースしておくという目的が一つ。
オンセ募集鯖への誘導が一つ。
そしてもちろん、マーダーミステリーというジャンルその物の普及が、最大の目的だ。僕だって誰かに「オンラインでも出来るよ!」と言ってほしかったし、「ここに来れば遊べるよ!」って言ってほしかった。
マーダーミステリーって何? という説明から始まり、セッションへの参加方法、参加が決まった後に予めしておくと良い準備、Discord上のニックネームの変更の仕方、などなど。自分が始めた頃はとかく情報が無かったし、教えてくれる友達もいなかった。店舗でのセッションに潜り込めればいつかは出来ていたんだろうが、少なくともオンラインセッションについての情報は皆無に近かったはずだ。
昼起きて、夕方までblogを書いてアップし、スーパーに買物に行って、夕食を作り、夕食後は復習してからGM。セッション後は次のセッションの準備をし、既に回しているシナリオなら準備を見直し、余裕があればblogも書き溜めておく、そんな毎日だった。
これらは説明の際に引用してくれるGMさんも多いようで、やはり説明用の記事はPVが安定している。利用してもらえているのはありがたい話だ。
サーバーのルールでもこのblogの内容でもそうだが、とにかく後になって全然言うことが変わるような事だけは無いよう留意している。…とは言え、Discordのバージョンについては現行のものにそろそろ差し替える作業を始めたほうがいいかもしれない。
『バード将軍の死』の改訂版に着手したのもこの頃だった。我ながらホント良くやったなあと思うw
最初にGMをした時、プレイヤーとともに「これ面白いんだけど、惜しいなあ!」が正直な感想だった。導線が切れている、というか存在していない。そのため納得力が生じない。元の面白さを活かす形で、より楽しみやすくする方向で弄り始めた。それまで、というか現在もだが、GMとしてシナリオの魅力を引き出すためにいくらかの改変を加えたことはあった。いずれも必要な処置だったと思っている。が、カードやハンドアウトの内容に触れるのはさすがに躊躇われた。これはもう、『改訂版』と銘打って、オリジナルとは違うんだよ、だから納得行かなかったらワイらが悪いんやで、というスタンスを通すことにして作業に取り掛かった。その時のプレイヤーの一人なまうに氏が世界観やストーリー面に厚みを持たせ、僕はゲーム性自体を根本的に見直す作業を行っている。二人でだいぶやり合った。テストプレイのGMは僕が担当している。「テストプレイって言うとこんなに正直に不満をぶつけに来るものなんだー」が素直な感想だった。テストプレイのあり方、意味、意見の拾い方、不満点の潰し方、いずれにも役に立った経験だ。
「もうこれでオッケー! 完成! これ以上いじらない!」という所まで持って行って脱稿、他のメンバーにもGMをしてもらって様子を見た。こうなると世間様に提示してみたくなるってもので、僕は一面識もない翻訳者の水谷氏に、改訂版配布のお伺いメールを出してみた。blog記載のアドレスだったので見てないかもなって思って、TwitterでDMも送ってみた。まああまりに無礼な話である。
数日後、返事を頂いた。その初めてのメールの段階で、水谷氏は中国の原作者の風風氏にまで確認を取ってくれた上で、改訂版の配布を快く、本当に快諾して下さった。界隈で初めて「恩人」と呼ぶべき存在が出来たと感じた。まだ直接お礼が言えたことはないが、落ち着いたら名古屋にマーダーミステリーしに行きたいなあ。
ちなみに、今年の1月になって、マーダーミステリーアプリUZUに改訂版が収録されるに当たり、なまうにがオープニング読み合わせ部分を、僕が解説を書き下ろさせて頂いた。真相導線の究明と解説はGMに委ねるべき部分だと考えていたのだが、やはり初心者用に親切にという所で考えも変わっていたし、一度完成させたと思っている物に手をつける良い機会にもなったので、何重にも感謝している。
3月は本当に、我ながらどこにそんな時間があったんだと思うくらいに色々やっている。実は初めてマーダーミステリーにプレイヤーとして参加できたのもこの頃だった。
ラビットホール新宿店にて念願の予約が取れ、『2049年からの行き先』に参加。正直に言って、度肝を抜かれた。店舗セッションって凄い!! たしかにこれはオフラインじゃないと味わえない贅沢さ!! そうか、お店でプレイすると毎回こうなんだ!! …と、シナリオ独特の仕掛けの部分で大いなる誤解をしたのも良い思い出だw この時やはり事前説明で「マーダーミステリー初めての人は?」と聞かれ、何と答えて良いものか分からず(説明を要するかの質問であることは分かってたんだが)、半分だけ手を挙げた。「GMは何度もしているんですが、プレイヤーは初めてで…」とカミングアウトした時、何を言ってるんだコイツはみたいな表情をされたことが忘れがたいw それくらい、当時はまだ「お店で遊ぶもの」という感覚が主流だったのだ。ぶっちゃけまだこの頃は、Twitterなどで「お店で遊ぶのが本当のマーダーミステリーだよ」「オンラインなんて子供の遊びみたいなもんだよ」みたいな事を言われ続けてた。忘れてない。
「イケメンさんGMばっかりしてるから」と、僕をプレイヤーに招いて卓を立ててもらったのもこれと前後していて、『感染拡大!マーダーミステリー!』を遊ばせてもらった。ものすごく頑張って準備を整えてくれていたのを覚えている。この二作にはやっぱり特別な思い入れがある。
世の中がきな臭くなってきた。と同時に、オンラインセッションの需要が爆上がりしていくことも予測できていた。となると、この時の状況には大きな問題があった。
どう考えても卓が足りない。需要に追いつかない。何故なら、GMが足りていないのだ。
専用bot『I done it.』の開発
GMが足りない理由は明白で、シンプルに言って準備が面倒なのである。
プレイヤー参加をしてみて改めて感じたが、GMとプレイヤーとの間では必要な労力に開きがあり過ぎる。割に合わないと感じても無理はない。GM用カテゴリを作り、サーバーの立て方や準備の仕方を解説してみたが、書けば書くほど面倒に見える。まあ、慣れたとは言え、実際に面倒くさい。なおこの当時はPC所持者の率も決して高くなかったので、ユドナリウムが必要なシナリオは僕が直接カード操作を請け負っていた。引いたカード、こっそり見せたカードをそれぞれの個人チャンネルに画像で送り、譲渡をしたら渡した側から消す、といった処理を手動で行っていた。我ながらホントどうかと思う。閑話休題。
また、タイマーのbotが無いのも問題だった。カウントダウンタイマーその物が既存のbotの機能に存在しないのだ。だからこの頃はGMが「残り5分です」「残り1分です」などと声をかけて時間管理をしていた。タイマー動画や時計その物を画面共有することも考えたが、当時のDiscordはスマホで共有画面を見ることさえ出来なかった。
GMを増やそうと思うなら、少しでもその手間を減らして、ハードルを下げる必要がある。
「こんなタイマーbotがほしいんだけど」とサーバーで声をかけてみた。こんなジャンルのゲームに集まってくる人間が50人からいるのだから、ひとりやふたりプログラマが紛れているはず、という偏見もあったw
果たして協力者は現れず、まず僕はこの歳でプログラムの勉強を始めることにした。イチからだ。今からせっかくやるならやはりPythonだろう(当時は読み方も知らなかったが)。
オンライン講習を少しづつクリアしながら、Discord bot制作者サーバーにも登録してみた。Python講座で躓いたところから相談に乗ってもらえた。りんごといちごの値段を計算するプログラムを書き上げ、おお喜びする幼児をあやすように教えてくれた先生らは、聞けばまだ高校生だという。凄い。未来は明るい。
制作者サーバーでヒントを受け、「こういうふうにすれば(sleepが一回1秒であることを利用すれば)」という話が出た頃、突然tsuka神が現れて「書いてみましたよー」と手直ししてくれた。しめた、がまっ先に脳裏に浮かんだ感想だったw
もともとコードを書くのが大好きなtsuka氏、一度書き始めてしまえばこちらのものwで、「こういう機能付けられないかな」「こういうライブラリないかな」みたいに投げるごとにブラッシュアップしてくれる。制作者サーバーの先生の「人間がDiscordを使って手動で出来ることは、すべてbotで代替できますよ」というカッチョイイ一言が、更にチャンネルやロールの設定機能を追加する推進力となった。
こうしてtsuka氏が書き上げてくれたマーダーミステリーGM支援botが、ご存知「I done it.(アイダニット)」である。オンラインセッション経験者の中で、もう見たことがない人はほとんどいないのではないだろうか、というくらいに普及していると思う。いまやGMを始めるのに必要なのは、「Discord上でのチャンネルやロールごとの権限の設定」の説明ではなく、「I done it.の使い方」である。
その後、botを公認化して登録可能サーバー数を拡充したり、支援サイトを立ち上げて有料サーバーにお引越ししたり、ぜんぶtsuka氏が面倒を見ている。僕は機能の注文をして、名前とアイコンを作っただけだ。だが最も重要な仕事は、tsuka氏のケツを叩いて動かすことである。これには適任がもっといるはずなので、自覚のある面々は頑張ってほしいw
I done it.を使わずにサーバーを準備したことのあるGMは、I done it.の有難みは身に染みていることと思う。そんな人は是非、月300円のおこづかいをI done it.ちゃんにあげて欲しい。
ステイホーム、ゴールデンウィーク、激増
このペースで12ヶ月分やるの? と引いている貴方。僕も引いているが安心して欲しい。3月がクソ忙しすぎただけだ。
だが、この時期に忙しくしておいて良かった、と心から思える時期がすぐに訪れた。
4/7には7都府県に、追って16日には全国に、政府から緊急事態宣言が発令された。本邦ではロックダウンは事実上不可能なため、最大の措置であると言える。イベントは無くなり、僕は完全に無職になって収入は断たれた。世の中のたくさんの人がリモートワークという環境に置かれ、オンラインミーティング需要も激増し、僕らが普段サーバーでやっているような事は世間でも当たり前になってきた。(その割にDiscordの知名度は増えなかった。今のところゲーマーと投資家だけの物のように思える。) マーダーミステリーの専門店も開店休業を余儀なくされた。よくも諦めないで続けてくれたものだと感謝に耐えない。
そんな中訪れるのが大型連休、ゴールデンウィークである。
結論から言って、マーダーミステリーのオンライン人口はこの時期に激増した。
3月中旬に50人、末に100人ほどだったサーバー登録者は、4月末で300人を超え、開設からたった二ヶ月で当初の目論見を超えた事になる。連休明けには400人、緊急事態宣言が解除される頃には600人を数える増え方だ。二ヶ月半で実に12倍である。
実際、卓前にプレイヤーさんたちに自己紹介をしてもらう時、マーダーミステリーの経験について聞くと、やはり「ゴールデンウィーク頃から~」と言う人は今でも少なくない。
人が急増すると、起こるのは良いことばかりではない。言葉を選ばずに言えば、人が増えた分だけ馬鹿も増える。人の増え方が急激なら、馬鹿の増え方も急激になるのだ。そして、いつだって馬鹿の対処に裂くリソースは少なくはない。
ずっと言っている事だが、マーダーミステリーというジャンルはその性質上、非常に脆弱である。
非常に少人数の悪意によって、ジャンル自体を壊滅させる事が出来てしまう。
例えば分かりやすい所で言うとネタバレだ。現状では例えばTwitterでネタバレツイートが現れると、すぐに注意喚起のツイートが周り、見ないよう注意を促したり、投稿者に説明して発言を削除してもらったりの自浄作用が追い付いている。
しかし、今後「急激に」マーダーミステリーがメジャーになると、そんな自助も自浄も追い付かなくなる。有名になるということはつまり、馬鹿に発見されるということなのだ。
ためしにGoogleなどで、マーダーミステリーの有名タイトルを検索してみて欲しい。サジェストの上位に現れるのは「ネタバレ」である。人々が――無責任な外部が――知りたいのは、「真相」ではなく「ネタバレ」なのだ。現状ですらこうなのだ。
上記のリンク先の記事にも書いたが、3月末(これも3月か!)有名YouTuberが大阪のある店舗でマーダーミステリーのセッションを無許可で生実況するという事件があった。完全なネタバレ案件、状況から言ってGMも共犯である。当然(我々からすればだが)大炎上し、同動画は削除され、配信者の所属会社は謝罪。権利者側も表向きは深追いせず、謝罪を容れて終わった。
この事件の教訓は、その動画が公開されていたページにある。YouTubeの動画ページのコメント欄は、「犯人は●●」という書き込みで埋まっていたそうだ(未通過なので直接見てはいない)。ゲームを遊ぶどころか、これから動画を見ようという人間にすらネタバレをせずにはいられない馬鹿が、世の中には実在するのである。それも少なからずだ。
想定される悪い事態はそれだけではない。「他が全員結末を知らないのだから、一人だけ知っている状態なら無双できる!」と考える馬鹿は必ず現れる。そんなまさかと思われるかも知れないが、馬鹿というのは本当に、予断を許さない愚行をやるものなのである。
そして、この種類の馬鹿を弾く機構は、マーダーミステリーの仕組み上、存在しない。結末を知らないことを証明する手段など無いのだから。実際に、プレイ前に怪しめていれば、プレイ済みでないとわからない改変などを仕込んで炙り出すことは出来るだろう。だが、そんな事をやった所で他プレイヤーのプレイを奪ってしまう事にしかならないし、それを避けるためにプレイ前に判別することは難しいだろう。
いつか馬鹿が急激に流入してきても、馬鹿を弾き出せるだけの体力をマーダーミステリーというジャンル自体が持てていなくてはいけない。そのために必要なのは、民度の向上しか無い。「お客様」を相手にし、常に相手を満足させなければならないプロには、馬鹿に対して馬鹿を自覚させることは難しい。これは草の根レベルでやっていくしか無いことだ。これはプロには難しいからこそ、アマチュアがやらなくてはいけないことだ。だが、これがまた新しい問題を孕むのである。
ニッチなジャンルが少しづつでも範囲を広げていくためには、やはりファン層が排他的であってはいけない。上記と矛盾するようだが、しかしこれは絶対にである。仮に馬鹿が入ってきても、馬鹿に「お前馬鹿だからあっち行け」と言っても、誰も得をしない。周囲は引くし、傷付かなくていいはずの人間だけが傷付く(もしかしたら私も迷惑かけてるのかも…とか思えてしまうような人は大概迷惑をかけていないものだ)し、場は閉鎖的になるし、何より、言われた馬鹿は納得しないので、居座る。しかも、言ってる方も大概馬鹿なのである。救いがない。
啓蒙、と言ってしまうと言葉が偉そうだが、水商売の世界で言うところの「客を育てる」という感覚が無いと、これらは成功できない。間違った行いをした人間がいた場合、間違いを指摘するのは重要なことだ。だが、それによって排斥しようとしてはいけない。要は、馬鹿が馬鹿じゃなくなれば良いのである。
このために必要なことは、間違いに間違いであるとはっきり指摘できること。その判断基準がマイルールではないこと。そして、それを指摘できる人間が増えていくこと、の3つだ。
オンセ募集鯖のルールは最低限だが、そのために存在している。僕は、このサーバーがあることで、オンラインセッションの「場」を用意するだけでなく、「来たるべき日」に備え一人でも多くの民度を高め、ジャンルの崩壊を防ぎたいと、設立当初から本気で考えているのだ。
あのサーバーを「イケメン鯖」と呼ばれることを僕が嫌う理由もここにある。いつか僕が排斥されたり、引退したり、休止したりすることがあっても、「場」は残しておきたい。あの場は僕の私物ではないんだ。…名称がクソ長いことに関しては、どうか勘弁して頂きたいが。
ちっぽけなコミュニティに過ぎないサーバー内でも、まあ、わりといろいろ起こった時期だった。その後のいろいろの方がインパクトが有って忘れかけてはいたが。そう言えば第一回GMMM杯が行われたのもこの時期だった。サーバー内イベントとかがあって、そこそこ盛り上がったりすると、やっぱり嬉しい。のでこれも不定期的に続けている。個人としても、blogで最低限必要なエントリは書き上げ、バード将軍の死の改訂も終わり、一息つけた時期だったんじゃないだろうか。『マーダーミステリープレイヤー勝利の五箇条』を書いたのもGW前だ。もう少し「何を偉そうに」とか言われると思っていたが、間接的にもあまり言われてないねそう言えば。有料記事だからかな。書き上げてだいぶ経つけど、内容に直さなきゃいけない点が一切ないのは、我ながらえらいと思う。
発言力、シナリオ自作、夏
さて。一面的な意見を業界全体の風潮と捉えられたくないので、ちょいちょいTwitterでも異議を発している僕だ。特に藁人形論法みたいに対立を煽るような、レッテリングを伴う言説は大嫌いである。幸いサーバー内では表立ってそういう事が起きる機会は少ないが、小学生の学級会みたいな吊し上げに巻き込まれることも、正直無くはない。こういう事を言うから過激派だとか言われて嫌われるのは承知の上だし、別に全員に好かれようとも思っていない。
ただ、GWが終わってサーバー人数が激増しても、相変わらずオンラインセッションを一段低く見るような言説は少なくなりはしなかった。客が好き嫌いでしかないお気持ち表明をしているのならまだしも、店舗の看板を背負う経営者や、プロGMや、シナリオ制作者からもそういった言説は続いていた。言われた方は忘れてはいない。
とは言え、発言の影響力はそういった「プロ」にだけ集中していた。僕らが何を言っても話題にはならないが、僕らが言っていた事と同じ事をプロの看板持ちが数ヶ月遅れで呟くだけで広まっていく。僕らが何を言っても世界は変わらないんじゃないか、というような厨二的無力感に苛まれていた。とても狭い世界の更に狭いサーバーの中から、僕らの存在を誰かに届けるには、影響力が絶対的に足りていなかった。(これは振り返って言ってるから誤解させてしまうかも知れないが、今でも別に影響力は持っていない)
せめてなにか看板でも背負わないとね、という事と、自分が本当にやりたいシナリオって自分で作るしか無いよね、という話から、わりあい早い時期からシナリオ制作には着手していた。
サーバーで雑談をしながら、アイディアを出し合ったり、プロットを見せ合ったり。プロットだけはかなりある、が面白くなりそうな感触を持てるものは無い。これは色んな人が同様の経験をしているんじゃないだろうか。
僕にとって幸運だったことは、そういった雑談に付き合ってくれる人間がいた事だ。そもそもGMには二種類の人間がいる。「面白いシナリオなら体験してからGMしたい」と考えるタイプと、「面白いシナリオなら自害してでも自分でGMしたい」と考えるタイプ。そして、後者の友人を持てたことが、僕の最大の幸運だった。この時で言えば、玖珂真氏と、その後自身でもシナリオを発表することになるひきみや氏だ。
プロットを書いた時点で捨てていたアイディアについて、「面白くなりそうな気がしないんだよねー」と話していた時だった。プロットを書いた後、マーダーミステリー界にとあるパラダイムシフトが起こっていた事を失念していたのだ。「アレ? これこうすりゃ成立すんじゃね?」「むむむ、となると問題はここだ」「この時のプレイヤー導線、何したら作れると思う?」……こんな雑談をした後一気に書き直し、書き上げたのが『蠱毒死病棟』のプロットだった。現在僕の唯一のオリジナル作品である。
もともと僕は調整型の人間で、アイディアを出す側の才能の持ち主ではないと自負している。だから自作についても常に減点法で考える。ここを削るべき、ここは盛るべきという判断はできると思うが、肝心の盛り方がうまくない。この時もかなり具体的に「ここからここへの関係性、こういうニュアンスで示したいんだけど、ぶっちゃけ思い付かねえ!」ぐらい具体的な相談をしてた。これが5月末頃からの出来事だ。
だいぶ焦ってもいた。ご存じの方もいるかも知れないし、そもそも公開している情報だが、『蠱毒死病棟』は夏休みの大学生が肝試しに行くというストーリーだ。そう、夏休み、肝試しである。だから、夏前には発表していないと、絶対に! 回らない!!! のである!!!!
タイムリミットは6月末。テストプレイ期間とその修正を考えると、許される時間は二週間程度。しかも、初テストプレイ時点で、演出面まで「完成」まで持っていく必要がある。ハンドアウトだけとりあえず書き上げて、というわけにはいかないのだ。なにせマーダーミステリー"風"ホラーシナリオ、ホラーでなければ、怖くなければ意味がない。そして、普通にやっても怖くないのは、捨てた時には分かっていたのだ!
進捗が出るたびに前述の友人たちに褒めることを強要しw、必死の思いで完成させて初テストプレイに臨んだのが6/17。やはりライヴが決まらないとスタジオには入らないし、テストプレイが決まらないとシナリオは上がらねえのである。
とは言え、自分が考える通り面白くなるのか自信はなかった。だから初回テストプレイには甘やかしてくれそうな人だけを集めw、二回目ではクソミソ言ってくれそうな人を入れて実施した。結果、直すところはほぼ無かった。そして、細かい部分の修正については、初回甘やかせ組の指摘だけで事足りた。以降テストプレイを繰り返したが、「おれやっぱりてんさいなのでは?」という感触しか抱かなかった。テストプレイをしながら説明していたこと、開設で話したことをGMガイドにまとめ、最終的にひきみや氏にGMをしてもらって完成とし、予定通り6月末日に発表。何なら一日余ったので繰り上げ作業をしていた。えらい。
作っている間から既に、GMレスには「出来るけどしない(レスでやっても意味がない)」方向性でいたし、かつ「こんなんGMできるか!」と言われることも自覚していた。というか、これを回すのはプロでも難しいと思っている(何ならオンラインでやってるプロGMでここの部分を重要視している人を現状知らない)。そこで、本体を無料で公開した後、「これを使えば貴方もかんたんにGMできますよ!」と言うための拡張セットを作成し、有償で販売することにした。酷い話である!
具体的に言うと、恐らく業界初の音声ハンドアウトを製作した。サーバーのなかよし達に協力してもらい、Discord越しに声を録音させてもらって、加工して編集してBGMつけてSEつけて、ファイルをDiscordにドラッグ&ドロップするだけで「あの部分」の読み上げが完結する! これでもう回せないとは言わせないぞと意気込んだ。まあ、甘い目論見ではあった。この作業を一週間で終え、七夕の日に拡張セット発売。同時に拡張セット購入者優先の作者卓を乱立、夏の間はホントに回しまくった。作者が自ら回しすぎるとGMが増えないという現象はさんざん見てきたので、夏が終わったら回さないよと公言もしていた。
だが、夏が終わったらやっぱり回っていなかった。季節ものだから当然である。あんなGMが大変なシナリオを自発的に回してくれている人は数えるほどしかいない。足を向けては寝られない思いだ。
こと「ホラー」というジャンルにおいて、現状できることはやり切ったと思っている。そのためだいぶニッチで尖った出来にはなったが、自分がやりたい事を真正面からぶち込んだので悔いはない。
問題は、発言力云々の話が完全にどこかに行っていた事くらいである。やりきった、満足した。ずっと部屋にいたけれど、良い夏を過ごしたと思う。
ヤノハのフタリ、マダミ談義
そんな蠱毒死病棟を発表した頃、Twitterで『ヤノハのフタリ』の募集を見かけた。1/25にマーダーミステリーの存在を教えてもらった時にもオススメとして挙げられていた、国産シナリオ黎明期の名作である。まだ拡張セットの作業中だったが、一も二もなく申し込み、立卓を強く強く祈った。
凄かった。一言で言うと、凄かった。
これをマーダーミステリーのスタンダードと言ってしまうと少し違うのかも知れないけれど、でもマーダーミステリーのプレイ体験に要求される全てがここにあった。帰り道も、帰ってからも、繰り返し繰り返し思い出して、反芻した。自分があのキャラクターだったらどうしていただろう、あのキャラならあそこで何と言っただろう。決して少なくはないカードの情報を丹念に思い出し、シナリオを脳内でプロット分解した。「これを裏付ける情報はあったっけ?」と考えれば、情報の在り処が思い出せる。今まで味わったことのない完成度だった。文句の付け所が思い当たらなかった。
その時強く思っていたことはふたつ。
「これ、オンラインいけるやん!」ということと、
「このシナリオGMしたい!!!!」だった。
けれど、その両方が実現できるなんて、この時はまだ想像もしていなかった。
そんな思いもともすれば忘れそうだった夏の終り、突然TwitterにDMが届いた。その『ヤノハのフタリ』の久保よしや(きつね)氏からだった。
何でも、翌月末に『マダミ談義~マーダーミステリーの闇と光~』というイベントが有り、時勢柄オンラインで開催するのだとか。それ自体は告知されていて知っていたし、何ならチケットを買おうとしてるぐらいのタイミングだった。きつね氏曰く、オンラインでの開催にあたってDiscordを併用しようとしている、ただDiscordがよくわかっていない、Discordのことを聞くならイケメンさんだろう、という事だった。一も二もなく飛び付いた。
有り体に言って、非常に驚いていた。どこの馬の骨とも知れない僕に、いわゆるプロ側の人間から接触してきたのは、人狼HOUSEのクマ氏に続いてまだ二人目だったからだ。
(少し脱線するが、いち早くオンラインセッションを事業化しよう、それをDiscordで実現しようと動いていたのはクマ氏だった。5月には既に連絡をもらい、非常に気持ちよく「オンセ募集鯖、作りが凄いのでパクっていっすか!!」と聞かれたので「いっすよ!!!」と即答した。どうも後でよくよく聞くと、この辺の黒幕もきつね氏だったっぽい。閑話休題)
きつね氏自身、かなり早い時期から募集鯖に登録だけはしていたのは知っていたが、ぶっちゃけ見ているとは思っていなかった。こう言うと自己評価が低く聞こえるかも知れないが、素直に「アンテナ凄いなあこの人」と感心させられたものだ。
LINEで打ち合わせ、きつね氏のやりたい事を汲み取り、それに見合う交流会サーバーをセッティング。ゲスト含む来場者の殆どがDiscordに初めて触れるという念頭で、可能な限り面倒が無く、見た目シンプルに、ゲストとの交流ルームを行き来できるようにがんばった。carl-botのリアクションロール機能を使いチャンネルへのアクセス権限を管理、なるべく「へぇ~Discordすごいやん」と思ってもらう。これは僕にとっては、マーダーミステリー界に対するDiscordのプレゼンの機会を得た、という認識でいた。
というのも、その少し前にラビットホールのオンラインセッション『ループ探偵の憂鬱』に参加していたからだ。これがまためちゃくちゃ楽しかったし、面白かった。RP面でも、それまでの全ての言動が伏線だったと扱えるような一言をブッ込めたため、結果はともかく満足度は非常に高い。これがしかし、ひとつだけ、というには余りに大きすぎる不満点があった。それが、通話ツールがLINEだったことなのだ。
Discordに慣れた身には、副アカウント作成が難しく概ね本名(みんな仕事でも使うからね!)での参加となり、個別にボリューム調整ができず(実はこの点こそがDiscordの最も優れた点である)、また情報カードもLINEのアルバム機能を使わなければならない、というのはかなりのストレスだった。このアルバムがまた曲者で、スマホで見ていると一覧が随時更新されるのだが、PCクライアントではいちいち閉じて開き直さなければ更新が反映されない。ご丁寧にウィンドウサイズまで戻されてしまうというオマケ付きである(このへんの挙動については把握されていないんじゃなかろうか?)。Discordに慣れた同行メンバーも「普及度が違うのは分かるが、せめて選択肢にDiscordを入れてくれ」と口々に同じ不満を漏らしていた。
また脱線するが、Discordの普及はこの先も進むと考えている。既にスマホゲームのコミュニケーションツールとしては普及しているし、投資家などの間でもDiscord上で情報交換が盛んに行われている(と聞く)。現在のclubhouse勢も、少なくない数がいずれDiscordに流れてくるのでは? とも思っている。
さて、当日を迎え、僕は登壇するわけでもないので完全にファン代表という気持でイベントを見ていた。最前列かぶりつきである。そういえばTwitterで顔晒したのも、こっちのアカウントではこの時が最初だったかな。その時のエントリでも書いたけど、officeKUMOKANAのだーしゅ氏、狂気山脈のダバ氏の話はめーちゃめちゃ刺激になったし、なんとかこの人らとは仲良くなれないものだろうか、とも思った。自分が大ファンであるイバラユーギ氏には、ファン過ぎてほとんど話しかけられなかったw
打ち上げの席にも紛れ込ませてもらえたので、ここぞとばかりにお話したい人がいっぱい。仲良くなりたいお二人は勿論なんだが、それ以前に僕にはやらなければいけないことがふたつあった。終電までそう時間もない事だし。
ひとつはラビットホールのボス、酒井りゅうのすけ氏に、オンラインセッションにDiscord使わせて! と直訴することだ。いやまじで。酒井氏、きちんと正面から話を受け止めてくれた上で、「そっち(既存オンセ民)の方向いてない」と明快にバッサリ。しかし、オンセ民は既にビジネス的に切り捨てられない暗数になっていること、Discordの現状の普及度と将来性、LINEで出来る事でDiscordに出来ない事はないという事、等を熱弁し、「少なくとも現存のシナリオで対応しないが、今後のオンライン新作では両対応を視野に入れる」という言質まで引き出しました。えらかった! 言った方は忘れているかも知れないが、聞いた方は忘れないものなのである。…その後ラビットホールで新作オンラインセッションの話は聞いていないが。
そしてふたつめは、きつね氏に『ヤノハのフタリ』オンライン化のプレゼンをする事だ。多人数シナリオのオンライン化の向き不向き、オンラインでもオフラインと同等の体験を演出可能であること、同作のオンライン化におけるストロングポイント、等を説明したところ、驚くほどすんなりと話を受け容れてもらえた。実は既にオンライン化の話は持ち上がった事もあり、しかしユドナリウムデータ上での再現が難しいと、頓挫していた経緯があったそうだ。すかさずココフォリアなら再現可能なことをアピール、一週間貰えればオンライン用の盤面を作るのでそれを見て判断してほしいと重ねて主張した。
日を改めてTwitter上でのやり取りを経て、元データを受け取り、ココフォリアで『ヤノハのフタリ』盤面を作成した。カードもすべてオンライン用にデータを作り直したが、完成までは3日だったようだ。引かれるほど入れ込んでいることが当時のやり取りから分かるw そこからオンライン用ハンドアウトの作成まで一気に行ったが、GMでガイドの作成が本当に本当にやばかった。文字数が狂気の沙汰だ。「使用ツールに対する知識のない人が、使用ツールについての知識のない人に対し、説明とフォローを行えるようにする」前提で書いたのだから、当然と言えば当然だが…。手に取ったらドン引きすること請け合いである。
10月中旬にオンライン版テストプレイ、というか先行体験会を行なって見てもらい、オンライン版の正式リリースが決定。念願のヤノハのフタリGMができたのであった。えらかった、がんばった!
僕もそれまでの主張を翻し、ヤノハのためならプロも辞さねえぜ! とライセンスを取得、現在では公認GMとして、オンラインでもオフラインでも『ヤノハのフタリ』GMを承っておりますです。お気軽に声かけて! そしてヤノハのGMさせて!!!
ずいぶん時期がすっ飛んでしまったが、5月末に600人だったオンセ募集鯖の参加メンバー数は、8月頭で1000人を超え、この10月末時点で1500人を超えていた。増え始めたら早いとは思っていたが、まだこれだけオンセ民がいたのだなあとしみじみ思った次第だ。
ヤノハオンライン製作中にstudioOZONの内覧会にもお邪魔させてもらった。マダミ談義の時以上に色んな人と話ができて嬉しかった。クインズワルツの江波氏とは喫煙者仲間になり、真っ先に息継ぎ場所を探したのを覚えている。同時に、ナチュラルに失敬でカジュアルに喧嘩売るような言動の人物も複数いたw 自覚なく失敬なだけだと思いたいね!
冬が来て、そして一年
その後は正直、あまり特筆することがない。blogの更新頻度を見て頂いてもお察しである。年末年始にかけてあった事と言えば、バード将軍の死の改訂版がUZUに収録されたり、それにあわせて書き下ろしをしたり、あとは新しくライセンス取得のための準備をしたり(ごめんなさい進捗だめです)。
blogのPVについては、全く更新しなくても比較的安定したままだ。つまらん事でも更新して固定読者を掴むべき、なんてCA社のblog担当が言いそうな事は全く重視してない。必要な事があれば書くスタンスで今後も行くと思う。今回のエントリは完全に一切まったく全然必要なことではないが。
ただ、Googleの検索順位はもう少し上げたいなあ。そういう意味ではアメブロよりもnoteだったんだろうなあ。始めた当初はよく「長過ぎる」「PVを上げたいなら2~3エントリに分割して、その分画像とかを入れるべき内容」ともっともなアドバイスも貰ったけど、必要なことは1エントリ内にまとめたいんだよなあ。
そうそう、新作も進捗だめです。本気で「マーダーミステリーの普及用シナリオ」を考えてたんだけど、今出すにはタイミングが激悪すぎる。というのもオフライン前提シナリオだったからなのよね。オフラインじゃないと意味がないやつ。
寒くなったら感染が増えるのは予想してたけど、年末年始でここまで増えるとは予想してなかった。どんなに楽観的に考えても、事態収束は今年中には無理じゃないかな。無理じゃないといいけど。
なので新作については別の考えてます。こちらは今勉強中の段階。
マーダーミステリーオンラインセッション募集用サーバー略してオンセ鯖(非公式の略称)の登録メンバーは、1月末には2000人を超え、現時点で2100人に到達している。
始めた当初からは信じられないくらいGMをしてくれる人も増え、毎日毎日卓が立ってはいるとは言え、それでも参加希望者の数には追い付かず。逆に卓を立てる方は流卓の心配がめったに無く、当日の突発卓でも気軽に立てられて、それがぼこぼこ埋まってる。
実は今そういう過渡期だと思ってるんだけど。マーダーミステリーのプレイ体験は、やっぱり同卓者次第でどうとでも変わる。だから、身内や知った仲だけで遊んでいられるなら、それが一番安全なのは確かだ。複数シナリオをひとつで扱う、いわゆる個人サーバーの数もだいぶ増えて来ていると思う。なので、GMが出来る人が、募集鯖で募集をかけなくなってきているという側面はある。無論、それを否定する気はないし、むしろそうあるべきだとも思ってる。それこそ募集鯖から巣立って、一人のGMがシナリオを回すための個人鯖が大きくなったり、そこで出会ったグループがたくさん生まれていくのは、僕にとって嬉しいことだ。
だけど、これからも新しく飛び込んでくる人はいるし、今後その増え方も徐々に大きくなっていくと思う。それに、小さなコミュニティの人間関係に人々が疲れ始める時期も、遠からずやって来ると思っている。そんな人が帰ってくる場でもあり続けたいし、人間関係に新風を入れる新メンバーを探しに来る場としても、またあり続けたいと思ってるよ。
サーバーは自由に、べんりに使ってほしい。僕のことも含めて。
どこまで大きくなったって、あのサーバーは草の根活動で、草の根活動を通してマーダーミステリーっていうジャンルの拡大に助力していきたい。
つまりまあ、ドチャクソ楽しんでこうぜってこと。
だから26日のただの飲み会もよろしくね!!
もしも
ここまで全部読んでくれた人がいたとしたら、「ありがとう!」よりも「おつかれさま!」の気持ちが勝るよ! でもお付き合いありがとう子猫ちゃん、さすがに疲れたのでいつものなーし!! だって2万字超えてるよさすがに馬鹿か!! こんだけ長くて画像もなきゃ誰も読まないだろうと思って、いろんな人の悪口書きなぐったけども大丈夫だったかな? みんな読んでないよね、ね!?w
そんなわけでいつもの場所でまたあそぼうね子猫ちゃん! はいレッツマーダー!! 写真はいつもどおりphoto-ac様でーす! おわりー!!