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チキン番外編①

チキン番外編②

チキン番外編③

チキン番外編④

チキン番外編⑤
チキン番外編⑥

チキン番外編⑦




絵美は俺の手を引き、辺りを見渡しながら、何かを探すように歩いた。




「どした?」




「ないなぁ」




「何が?」




「なんでもええやん」




あまり遠くに行く時間もない。




「ここで、いいんじゃない?」




俺はそう言って、人が行きかう道の真ん中で立ち止まった。




「キスできる場所探してるんでしょ?」




「なは」




絵美は少し舌を出しておどけて見せた。そして言葉を続けた。





「みんな見てる前で出来るわけないやん」





「したくないの?」





「つんつんは?」





「つんつんは、えみえみと、したい」





「えみえみも、したい。なんちゃって。でも、ここじゃいや」




もどかしい時間が過ぎていく。





「えみえみ、今日はありがとう。楽しかったよ」




「つんつん、なんや、さみしいわ」




「また、会えるよ」




「そうやなぁ…」




絵美は諦めたような顔をした。




「もう少し時間あるし、戻りながら場所探そっか」




「…」




俺達は入り口に向かって歩き始めた。




しかし平日といっても物凄い人の多さだ。




とてもじゃないが、なかなか人目を避けられる場所がない。




最悪の場合、人前だろうがキスをしようと思いながら歩いた。




しばらく歩いて、キーホルダーを買ったお店の近くまで来た。




「そろそろ、時間やね」




焦った。




そして、寂しい気持ちになっていた。





俺は絵美の手を引いて、キーホルダーの店の並びにあるおみやげ物店の脇に向かった。




そこはまばらに植木があって、多少は人目を避けられる場所だった。




俺は人が行きかう道に背を向け、絵美が周りから見えないように立った。




絵美は俺が手を引くままに動いた。




キスをするという事で気持ちが固まっているのだろう。




知り合って間もないのに、まるで以前から遠距離恋愛をしていて、久しぶりにデートをしたが、また離れ離れになる時のような、なんとも言えない気持ちだった。




絵美は少し照れた顔をしながら、微笑んでいる。




「かわいい…」




「ん?」




あまりの可愛さに、思わず言葉が出た。




「えみえみ、かわいい」




「つんつん、それ、よく言われる」




俺は絵美の両肩に手を置いた。




そして、少し顔を近づけ始めたら、絵美は目を閉じた。




その時だった。




「テメェコラ!」




~つづく~



井口達也




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