SS 王子の主張 | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 いつもありがとうございます。一葉です。

 こちらのお話は2018年キョコ誕から2019年蓮誕までを結ぶ原作沿いSS連載の8話目です。


 言わずと知れたヤッシーside。しかも内容自体は夜の出来事です。お楽しみ頂けたら嬉しいです。


前のお話はこちら↓

お城はもちろん

お城の外で

真の目的

目的の本命

その時、ふと

深まった謎

機智なる者【前編後編】



2018年キョコ誕SS~2019年蓮誕・VDまでの8話目

■ 王子の主張 ■





 2月10日の午後22時。

 いつもならまだ仕事をしているはずの時刻。


 俺は急遽変更した予定通り、自分が担当している人気俳優の蓮と、その後輩でありやはり俺が担当しているキョーコちゃんの二人と一緒に、蓮のマンションで笑っていた。



 蓮の誕生日にまた3人でやろうと決めたトリパーティでのメイン料理は、キョーコちゃんと相談した結果、トリラーメンではなく本物のチキンに変更。

 そして蓮が所望した通り、キョーコちゃんが作ってくれたチョコレートケーキも揃っていた。



 実は、どう頑張ってもこの時間より前に蓮の仕事を終わらせることが出来なかったため、料理もケーキもキョーコちゃんが作ってきてくれたのである。



「 あーあ。俺としてはまた3人で楽しく作りたかったのに…… 」


「 仕方ないじゃないですか、社さん。だって、この時間から作ったんじゃ間違いなく敦賀さんのお誕生日過ぎちゃいますよ 」


「 ふっ。俺は別にそれでも構わなかったけど? 」


「 ええっ?敦賀さんのお誕生日パーティなのに? 」


「 や…違うよ、キョーコちゃん 」


「 へ?今日はお誕生日ですよね?敦賀さんの 」


「 そうだけどそうじゃない。このパーティは、あくまでも蓮の誕生日にかこつけた愉快なトリパーティなんだ 」


「 ぷっ!!やだ、そういうつもりだったんですか、社さん 」


「 もちろんだよ 」


「 あははははは 」


 ちなみに今、家主である蓮はキッチンで3人分のコーヒーを淹れてくれている。その間に俺とキョーコちゃんでキョーコちゃんが持ってきてくれたご馳走を皿に盛り変えつつテーブルに並べたのだ。


 アルコールではなくコーヒーなのは、パーティが終わったあと俺は車で帰宅しなければならないし、蓮はキョーコちゃんを送ることになっているし、キョーコちゃんは未成年だからなのだ。



 蓮が居ない間に俺はこっそりあのことをキョーコちゃんに教えちゃおうと思った。

 あいつが京子グッズをコンプリートしたことを暴露したら、キョーコちゃんはどんな顔をするのかもちろん興味があったから。



「 ね、キョーコちゃん 」


「 はい? 」


「 実は蓮のやつさ…… 」



 そのタイミングでキョーコちゃんの首元がキラリと光った。

 たぶんキョーコちゃんは気を遣ってわざわざ付けてきてくれたのだろうと思う。


 キョーコちゃんの誕生日であるクリスマスに、俺と蓮から…と言ってプレゼントした、キョーコちゃんのイニシャルであるKのペンダントトップが首元で誇らしげに揺れていた。



「 ……あれ? 」


 その瞬間、俺の頭であることが閃いた。


「 ????…社さん?敦賀さんがどうかしましたか? 」


「 ちょっと待て。それ、本当にキョーコちゃん? 」


「 え?え?え?私は正真正銘キョーコですけどぉぉぉ??! 」


「 ……って、いや、ごめんキョーコちゃん。そういう意味じゃないから 」


「 ええぇぇぇ???? 」


 大慌てで右手を振った俺はキョーコちゃんから顔をそらした。眼鏡をかけ直すフリをしながら生唾をゴクンと飲み込む。


 唐突に俺は蓮の核心に触れた気がした。



 いや、誰だって思うだろう。疑う余地などどこにもない。

 イニシャルKのペンダントトップなんだから、それはキョーコちゃんのKだろうと。



 けれど、もう俺は知っているのだ。

 蓮の本名が、クオン・ミスリかも知れないことを……。



「 ……ってことは 」


 あのKというのはキョーコちゃんのKじゃなく、本当はクオンのK?

 もしそうならあれは蓮なりの無言の主張ということに。



 そう考えて口元が緩んだ。それこそ俺が知っている蓮だと思った。

 社長は蓮を消極的なヤツだと思っているみたいだけど、俺の目から見た蓮は決してそういうヤツじゃないのだ。



 蓮は案外キョーコちゃんに対して素直に感情を露わにしている。



 ダークムーンの現場で不破とキョーコちゃんのキスを目の当たりにしたあと、キョーコちゃんに猛烈な圧力をかけてみたり、貴島に狼牽制をしてみたり、上手いこと言いくるめて絵文字付きのメールを要求してみたり、時にはキョーコちゃんの何気ない一言でとろけそうなほど破顔してみたり……。


 壮大なヤキモチを焼いたり、嫉妬の炎を燃やしてみたり、スポンサーすら巻き込んで屋台カーを呼んで、マネージャーの俺に頼らず自分の努力だけで京子グッズをコンプリートしてみたり…。いや、一部は頼られたけれども。



 今日だってそうだ。

 バレンタイン直前なのをいいことに、キョーコちゃんの手作りチョコレートケーキをねだってみたりと、蓮がけっこう主張の激しいヤツであることを俺はもう知っているのだ。



「 ……あのさ、キョーコちゃん 」


「 はい? 」



 だからいいだろう…と思った。

 俺が、蓮のこれぐらいをキョーコちゃんにネタバレさせたって。



「 キョーコちゃんが今してくれているそのペンダント。本当は蓮が用意したプレゼントだったんだよ 」


「 え? 」


「 なぜか俺と二人で選んだってことにしましょうって蓮が言ってきたんだけど。本当はそれ、蓮からの贈り物だからってことだけ覚えておいて?俺がバラしたって内緒ね? 」


「 …え?え?そうなんですか? 」


「 大変長らくお待たせしました!! 」


「 おー、蓮……って!!なんだよ、蓮。そのコーヒーの量は!!! 」


「 え?すみません。少なかったですか?料理とケーキを食べながら飲むなら一人4~5杯くらいかなと思って用意したんですけど… 」


「 逆だ、逆!!そんなに飲めるか!! 」


「 え?飲めませんか?まぁ、残るなら残るで俺は構いませんけど……。最上さん、はい、コーヒーとミルク 」


「 ……ありがとうございます 」



 蓮がさりげなくキョーコちゃんの隣に腰を下ろした。

 それを合図にキョーコちゃんは目を輝かせ、ハキハキとした笑顔を俺に向けた。



「 では社さん!!敦賀さんがいらした所で二人で張り切って歌いましょう! 」


「 うん? 」


「 もちろんハッピーバースデーですよ!だって今日は敦賀さんのお誕生日ですから♡ 」


「 最上さん、いいよ、そんなの 」


「 ダメですよ。今日は敦賀さんのお誕生日!!お誕生日なんですから!ね、社さん。歌いましょう!! 」


「 OK。じゃあ張り切っていこうか。さん、はいっ 」


「「 ハッピ、バースデー、ツーユー♪ 」」




 この日、キョーコちゃんと二人で蓮のために歌ったハッピーバースデーは、自分が過去に歌ったそれの何倍も楽しい笑顔に溢れていた。






     E N D


なんでもお見通しヤッシー(笑)

でもどんなに敏腕でも見抜けないこと、というのはありますよね!



ということで、こちらはおまけ↓

■ 心構えは無駄だった ■



 蓮が俺に本名を明かしてくれる日がもし来るとしたら。


 そのとき俺は驚くべきだろうか。それとも平然としているべきであろうか、と想像を巡らせた。



「 ……でも、やっぱりちょっとぐらいは驚くフリをしてやった方がいいのかね 」



 でもそのあと自分はこう言ってやるのだ。

 なーんてな、なんておどけながら、大人の余裕を振りまきつつ、蓮の背中を気さくに叩き、明るく一言。んなこととっくに知っていたさ、と。


 逆に蓮が驚くぐらい余裕たっぷりに応じてやろうじゃないかと心に決めた。




 ……はずだったのだが……


「 ええっ???!?!蓮の本名がミスリじゃなくヒズリ?!しかもクーの一人息子って本当に?! 」


 蓮の本名がクオン・ミスリではなくクオン・ヒズリで、しかもクーの一人息子であることを知らされるとき、結局、自分だけが驚くことになるのを、このときの俺はまだ知る由も無い。



 END



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※最終話「逆チョコ逆襲」 に続きます。



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