R3技術士予想問題の解答例 [Q4 BCP] | 新見一郎

新見一郎

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

Q4 事故災害対策 600字

BCPを策定する際、発災後に活用できるリソースをあらかじめ把握しておくために実施するべき事柄を複数挙げ、その内容を説明せよ。

 

 

【解答例】

 水道事業者は、自然災害により被災した場合でも給水を継続するため、BCPを策定する必要がある。

 BCPを策定するにあたっては、事業影響度分析を行い、発災時でも優先的に継続するべき重要業務を抽出するとともに、目標復旧レベルや目標復旧時間を検討する。その上で、重要業務を遂行するために必要なリソースを明確にする。さらに、発災後に活用できるリソースを把握するため、以下の(1)から(4)に関する被害想定を行い、代替措置を確保する。

(1)災害対応拠点等の施設

災害対応拠点は、施設の耐震性、耐水性等を調査し、地震、洪水浸水、土砂災害等における被害状況を把握する。その上で代替拠点を用意する。

(2)職員

 災害等の被害想定を踏まえ、非常時において参集できる人員を見極め、重要業務を遂行するための体制を確保する。重要な役割を担う者が参集できなかった場合に備え、代行者を決定した上で、権限委譲の準備や訓練を実施する。

(3)重要情報

 火災等により施設図面、配管図、給水台帳等の台帳情報が喪失した事態を想定する。紙媒体から電子媒体への移行を進め、バックアップを確保する。

(4)ライフライン

 災害対応拠点は、施設で停電等が発生した事態を想定する。その上で自家用発電設備等を整備する。

 

●出題者のコメント

BCPに関する問題は出題されたことがありません。

しかし、令和2年度は、リスクマネジメントが出題されましたが、これはこれまでに出題されていないテーマです。

自然災害や公共施設の事故の発生を踏まえ、危機管理に注目が集まっています。

そう考えると、BCPについては、新水道ビジョンにおいても言及されているので、そろそろ出題されてもいい頃だと思います。

BCPについては、維持管理指針にも掲載があります。

ただし、内容がリスクマネジメントと重複しており、総論的なものだったので、問題文に加工しにくいです。

そこで、「下水道BCP策定マニュアル」から、問題を作ってみました。

リソースとは、施設、職員、情報、ライフラインの4つです。

これらの活用に制約があるわけですから、代替措置を講じることがBCPのポイントになります。

自分で言うのもなんですが、なかなかいい問題です。

この問題は1枚物(600字)ですが、策定の手順等を入れて2枚物の問題でも良かったかもしれません。

令和3年度の予想問題ですが、Q2はNBCテロ、Q3は自家発電設備、Q4はBCPに関する問題にしました。

災害事故対策は、とても重要なので、毎年、出題されてもおかしくないテーマです。

勉強しておくべきですね。

 

※  令和3年度の予想問題を見たい人は、 こちら をどうぞ。

 

●技術士の勉強法

※ テキストを見たい方は、 こちら をどうぞ。

 

●二次試験の予想問題

※ 令和2年度の予想問題と解答例を見たい方は こちら をどうぞ。

※ 令和元年度の予想問題と解答例を見たい方は こちら をどうぞ。

 

●過去問と解答例

※ 令和2年度の試験問題(上水道及び工業用水道)と解答例を見たい人は、こちら をクリックしてください。

※ 令和元年度の試験問題(上水道及び工業用水道)と解答例を見たい人は、こちら をクリックしてください。

※ 平成30年度の試験問題(上水道及び工業用水道)と解答例を見たい人は、こちら をクリックしてください。