「評価」
これは、文科省技術士分科会が提唱した「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」の一つです。
「技術士に求められる資質能力」にご覧になりたい方は、こちら をクリックしてください。
「評価」とは、良し悪しを判断して、価値を見極めることです。
ところで、「評価」これってどこかで見たことがありませんか?
実は、技術士法第二条で出てきます。
以下のとおりです。
計画、研究、設計、分析、試験、そして、評価をする者が技術士です。ここで、評価という言葉が出てくるわけです。
ただ、計画、研究、設計、分析、試験、評価のうち、「技術士に求められる資質能力」において提示されているのは評価だけです。
なぜ、評価が「技術士に求められる資質能力」においてクローズアップされたのでしょうか?
2つの理由が考えられます。
まず、1つ目について説明します。
技術士法は昭和32年に制定されたものです。
当時と違って、計画、設計、分析、試験、研究の方法が蓄積されいて、様々な基準や手引きが存在します。
同時に、パソコン、インターネットで公表されています。
簡単に検索して、誰でもどこでも閲覧するます。
情報化が進んだ現在において、選択肢は多く存在します。
そうなると、業務遂行に際して、過去のプラン、スタンダードなプラン、斬新なプランが存在します。
複数のプランを比較して、最適解を提案することが不可欠です。
そして、この時に必要になる作業が、「評価」です。
複数の比較条件を設定して、それぞれのプランを定量的に評価する。
各条件項目をトータルして、総合的に評価するわけです。
計画、研究、設計、分析、試験、何をするにしても、評価が必要なんです。
それから、「技術士に求められる資質能力」の一つとしてマネジメントがクローズアップされています。
マネジメントの対象は、①計画、②実行、③検証、④是正(変更)等 となっています。
3番目の検証は、言い換えれば評価です。4番目の是正をするためには、評価が必要です。
このように、評価は、計画、研究、設計、分析、試験と関連しており、マネジメントともの関連しています。
他との関連性の高さ
これが「技術士に求められる資質能力」の能力の一つとして、評価が位置付けられた理由ではないかと思います。
次に、2つ目について説明します。
ここで「技術士に求められる資質能力」に関する文書を見てみましょう。評価については以下のように説明されています。
業務遂行上の各段階における結果、最終的に得られる成果やその波及効果を評価し、次段階や別の業務の改善に資すること。
評価するのは、業務遂行の各業務と最終的な成果です。
業務遂行の各段階は、例えば、構築物の計画、設計、施工です。これら各段階の結果を評価します。
最終的な成果は、例えば、構築物です。完成物の品質とこれが生みだす効果を評価します。
そして、評価する目的ですが、以下の2つです。
❶次段階の改善
❷別の業務の改善
業務の各段階とは、例えば、計画、設計、施工です。
次段階とは、計画なら設計、設計なら施工です。
つまり、計画を評価して設計に活かし、設計を評価して施工に活かす必要があるわけです。
別業務とは、当該業務でありません。別の業務で実施する計画、設計、施工です。
つまり、当該業務を評価して、次の業務に活かす必要があるわけです。
評価は、次につなげるために行うわけです。
これが、「技術士に求められる資質能力」として、評価がクローズアップされた理由です。
技術士はコンサルタントの資格です。コンサルタントは顧客が抱える問題を解決する専門家です。
業務を遂行するにあたって、大成功する場合もあれば、失敗に終わることもあります。
大成功した業務実績があっても、他の業務は同じ条件で実施できるわけではありません。業務によって異なります。
だから、大成功した業務実績をそのまま使用することはできません。
大成功した要因を分析し、それを評価する必要があります。
良い部分を次に活かすために、評価が必要です。
一方、残念ながら失敗に終わった業務もあります。
失敗をどうとらえるかです。失敗はしんどいものですが、上手くいかない方法を確認する機会でもあります。
失敗を活かすためにはその原因を分析して、これを評価する必要があります。
それから、業務の各段階は相互に関連しているため、問題が連鎖している可能性があります。
こうした問題を解消するためには、各段階での評価が必要です。その上で改善するわけです。
以上のようなことから、
技術士として活躍し続けるためには、評価をすることができる能力が必要になりわけです。
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