技術士に求められる資質能力(④評価) | 新見一郎

新見一郎

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

「評価」

 

これは、文科省技術士分科会が提唱した「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」の一つです。

「技術士に求められる資質能力」にご覧になりたい方は、こちら をクリックしてください。


 

「評価」とは、良し悪しを判断して、価値を見極めることです。

 

ところで、「評価」これってどこかで見たことがありませんか?

 

実は、技術士法第二条で出てきます

以下のとおりです。

 

第二条  この法律において「技術士」とは、第三十二条第一項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)を行う者をいう。

 

計画、研究、設計、分析、試験、そして、評価をする者が技術士です。ここで、評価という言葉が出てくるわけです。

 

ただ、計画、研究、設計、分析、試験、評価のうち、「技術士に求められる資質能力」において提示されているのは評価だけです。

 

なぜ、評価が「技術士に求められる資質能力」においてクローズアップされたのでしょうか?

 

2つの理由が考えられます。

まず、1つ目について説明します。

 

技術士法は昭和32年に制定されたものです。

当時と違って、計画、設計、分析、試験、研究の方法が蓄積されいて、様々な基準や手引きが存在します。

同時に、パソコン、インターネットで公表されています。

簡単に検索して、誰でもどこでも閲覧するます。

 

情報化が進んだ現在において、選択肢は多く存在します。

そうなると、業務遂行に際して、過去のプラン、スタンダードなプラン、斬新なプランが存在します。

複数のプランを比較して、最適解を提案することが不可欠です。

 

そして、この時に必要になる作業が、「評価」です。

複数の比較条件を設定して、それぞれのプランを定量的に評価する。

各条件項目をトータルして、総合的に評価するわけです。

計画、研究、設計、分析、試験、何をするにしても、評価が必要なんです。

 

それから、「技術士に求められる資質能力」の一つとしてマネジメントがクローズアップされています。

マネジメントの対象は①計画、②実行、③検証、④是正(変更)等 となっています。

3番目の検証は、言い換えれば評価です。4番目の是正をするためには、評価が必要です。

 

このように、評価は、計画、研究、設計、分析、試験と関連しており、マネジメントともの関連しています。

 

他との関連性の高さ

これが「技術士に求められる資質能力」の能力の一つとして、評価が位置付けられた理由ではないかと思います。

 

 次に、2つ目について説明します。

ここで「技術士に求められる資質能力」に関する文書を見てみましょう。評価については以下のように説明されています。

 

業務遂行上の各段階における結果、最終的に得られる成果やその波及効果を評価し、次段階や別の業務の改善に資すること。

 

評価するのは、業務遂行の各業務と最終的な成果です。

業務遂行の各段階は、例えば、構築物の計画、設計、施工です。これら各段階の結果を評価します。

最終的な成果は、例えば、構築物です。完成物の品質とこれが生みだす効果を評価します。

 

そして、評価する目的ですが、以下の2つです。

❶次段階の改善

❷別の業務の改善

 

業務の各段階とは、例えば、計画、設計、施工です。

次段階とは、計画なら設計、設計なら施工です。

つまり、計画を評価して設計に活かし、設計を評価して施工に活かす必要があるわけです。

別業務とは、当該業務でありません。別の業務で実施する計画、設計、施工です。

つまり、当該業務を評価して、次の業務に活かす必要があるわけです。

 

評価は、次につなげるために行うわけです。

 

これが、「技術士に求められる資質能力」として、評価がクローズアップされた理由です。

 

技術士はコンサルタントの資格です。コンサルタントは顧客が抱える問題を解決する専門家です。

業務を遂行するにあたって、大成功する場合もあれば、失敗に終わることもあります。

 

大成功した業務実績があっても、他の業務は同じ条件で実施できるわけではありません。業務によって異なります。

だから、大成功した業務実績をそのまま使用することはできません。

大成功した要因を分析し、それを評価する必要があります。

良い部分を次に活かすために、評価が必要です。

 

一方、残念ながら失敗に終わった業務もあります。

失敗をどうとらえるかです。失敗はしんどいものですが、上手くいかない方法を確認する機会でもあります。

失敗を活かすためにはその原因を分析して、これを評価する必要があります。

それから、業務の各段階は相互に関連しているため、問題が連鎖している可能性があります。

こうした問題を解消するためには、各段階での評価が必要です。その上で改善するわけです。

 

以上のようなことから、

技術士として活躍し続けるためには、評価をすることができる能力が必要になりわけです。

 

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