1973年作品。



映画館で見るのは、これが初めて。

昔、テレビで見たと思う。


でもまあ、忘れてた。




あまり期待もせずに、シネマート新宿に見に行きましたが…

めっちゃ楽しい、おもしろい。


刑事の捜査モノをベースにして、エンターテインメントの要素を、いろいろまぶした、その楽しさ。













(当時から見た) 未来は、すげえヒドイ世界だよとゆう…

ディストピアSFであり、その意匠がレトロフューチャー的におもしろくて、ゆかい。


未来世界。

それと同時に、多くの人間が在庫過剰みたく扱われるのが…

昔の大恐慌時代のようでもあるのは、ホンマにレトロ (風)





原作のコトは、まったく知りませんが…

未来は「ここまでヒドくなってるんだよ!」とゆう、想像や予想の、当たり外れ。


インターネット的なモノは、想像できなかったらしい。

それはそう。




ともかく、いちいち楽しくなる娯楽アクションの傑作。



フライシャー特有の、ポンポンハナシをすすめるテムポのよさ。


それでいて、アクションはキッチリ描くおもしろさ。













チャールトン・へストン。

彼と、エドワード・G・ロビンソンの、同居生活。

これも、なんだかよくわかんないけど楽しい!




人間の役割が (上から) 勝手に決められてる管理社会とゆう設定、エゲツないねえ。


上のほう、つまり…

国家や、超国家的な存在のおそろしさ!




メインのストーリーは、その上層のほうの奴らの陰謀、そこに絡むチャールトン・へストン。



ラストのチャック・コナーズとの銃撃戦もいいんですが…

暴動鎮圧のシーンの、ザックリした描写!


お前らを人間扱いは、せえへんからな、とゆうホイサッサなマシーン駆動。



ドリーム・マシーン (ちょっと違う) に、自らすすんで入る、エドワード・G・ロビンソンの哀しさ!


いやあ、おもしろい。


フライシャー最高。















2014年に亡くなった鈴木則文監督。
 

わたしは、鈴木則文が大好きなんです。


「没後10年か… 」となるんだけども、今日は見ていなかった『大いなる助走』(原作は筒井康隆) を、DVDで見ました。



佐藤浩市・主演。


脚本は、志村正浩・掛札昌裕・鈴木則文。




あのね。

筒井康隆の原作『大いなる助走』は、はるか昔に読んでいたのよ。


わたしは、筒井康隆が好きとか、そうゆうコトでもないんだけど。


じゃあ、なんで読んだのか?



忘れたけど、とにかくストーリーは知ってるから、あんまり新鮮には見れない。


そう?

いや、そうなるよね。


この映画 (1989年作品) が傑作かどうかの判断もね、うまく出来ないとゆう。

歯切れのわるさ、あるんです。



しかも、昔に読んでたのにね、それなりに小説の内容をおぼえてるの。


同人雑誌。文学ですよ。


好き者の素人が集まって、作品を発表する。

ヲタクの世界。 …ヲタクって!



文学ヲタクって言ったら、昔は怒られたと思う。

ヲタクじゃねえよって。


まあ、いいか。





内容をもっと書けば…

文学… 小説家志望の連中のハナシから始まって、ハードボイルドとゆうか…

荒唐無稽とも思える「お前ら皆殺し」に至るんですよ。


映画だと、タイトルでネタバレしてるけども。





でも、荒唐無稽って、おもしろいってコトだからさあ。


よく知らんけど、筒井康隆、そうゆうおもしろさなら得意だったと思う。




映画も、後半、佐藤浩市が東京に出てきてから。

つまり、文壇…

文学業界に片足突っ込んで、老大家の小説家たちとのやりとりが始まると、グングンおもしろさがヒートアップする。














でもね。

前半の、同人雑誌の仲間とのパートも悪くないのね。



まず、地方都市で文房具屋かなんかやってる蟹江敬三。

蟹江敬三の奥さんが、宮下順子。


この夫婦のキャスティング、いいねえ!


なんだろう、よくわかんないけど、蟹江敬三と宮下順子かあ… ってなるの。


そこへさらに、石橋蓮司や、泉じゅん、粟津號らが絡むとゆう豪華キャスティング!


わたしは、いま挙げた人たち、好きなのね。





そこへもって、山城新伍、ポール牧、由利 徹らが大暴れする…

鈴木則文の世界が炸裂!



いや、もうサイコー。













ポール牧さんはさあ、それほど喜劇的演技はしないんだけども…

めっちゃうさん臭さい役柄に、どハマりしているし。

 

「狂気を演じることが出来るのは、理性によってである」の名言でおなじみの…

山城新伍の狂気炸裂演技! …さすがである。




さらに、由利 徹がおもいっきりふざけまくっても、ビクともしない鈴木則文ワールドのフトコロの深さたるや!













DVDのジャケットに、「鈴木則文が私財を投じて」作ったとある。


則文さんが、作りたくて作った映画!


とゆうコトは、当然ながら、原作が好きだったんでしょうなあ。


鈴木則文と筒井康隆か…







ここで、10年前のハナシを書くけども。



わたし・五円 木比克が…

10年前の今ごろ、ラピュタ阿佐ヶ谷で『シルクハットの大親分』(若山富三郎・主演) とゆう鈴木則文監督作品を見たんです。


見ていて、号泣してしまったのね。


それは、死ぬとは思ってなかった人物が、映画のなかで突然死んだ悲しみゆえ。



そのあと。

家に帰ったら、鈴木則文の訃報が。



そして、わたしが号泣していたその… 2時間ぐらい前に、則文さんが亡くなったらしいのね。


偶然とはいえ、なんだこの縁は?



鈴木則文が死んだから… 号泣した、ワケじゃないのに、なんかわたしのなかでは、「鈴木則文が死んで号泣した!」みたいなコトになっています (笑)








則文さんには、いくつかの著作があってね。


わたしも、2、3冊買いました。


そのひとつ、『下品こそ、この世の花』(2014年) に


「わたしは、人生はやさしさを訪ねる旅だと思っています。」


とあるんです。



泣けるなあ!



 

性善説、性悪説、いろいろあるし、個人個人に裏も表もあるけれど。


わたしは、ごく少数の悪魔的な人たちが、多くの人を残酷な世界へと誘導しているとかんがえます (陰謀論脳)



だまされて戦争させられるとかさあ。




もう1度書くよ。「人生はやさしさを訪ねる旅だと思っています」って…



その旅は、もちろん苦しさやツラさをも味わう旅だろうね。



でも、訪ねるんだよ、やさしさを!






それはそれとして。

笑えるし、おもしろいしとゆう映画を、たくさん作った鈴木則文、偉大なり!






則文さん、ほんとにありがとうございます♥️







      鈴木則文 (1933 ~ 2014。80歳で死去)
















1992年作品。



とゆうコトは、30年ぶりの再見になるのか。


舞台が、ひとつの建物に限定されるとゆうトコロが…

シュミットの『今宵かぎりは… 』を連想させる。


とはいえ、作風はまったくちがって、こちらはエンターテインメント風ではある。

そんなコトは、見ればわかる。







そして、ど~も、シュミットの自伝的な物語らしい。

どこまでノンフィクションなのかはわからないが、ま、回想形式。



エンターテインメント風と書いたが、「おもしろおかしく作りました」でありつつ…

いや、これリアルやからね。その、本格人間ドラマとはいわんけど…

とゆう上品さ、あるいは軽さが素晴らしい。


本格ドラマの重さはナッシングだよ、と。


やろうと思えば、いくらでも重くできるのに、そうはしない。ダニエル・シュミット。




そんな傑作の冒頭で、主人公がひさしぶりに再会した女性が…

ひとり芝居をしてみせる。

ひとりで、「自分と友人の会話」をやる。


それは、もしかしたら「主人公、ふたりいるよ」とゆう宣言なのかもしれない。


そうではないのかもしれない。




現在の主人公と、子どもの頃の主人公と。













ひとつの建物に、いろいろな人たちがいる。

すると、エピソードには事欠かない。

奇妙な手品師のハナシなど、ゆかいである。


ほかにも、たくさん。


イングリット・カーフェンも、登場する。

さまざまなエピソード。

子ども、そして大人の。


そして、すべて記憶、想い出とゆう。













最後のほうで、カソリック、キリスト教のハナシがある。

ど~やら、シュミットの祖母はキリスト教を嫌っていた。


さりげなく、「あんなやつらとつきあいたくない」といったニュアンスの描写でまとめる。


あんなやつらって、どんなやつら?

と、無知な日本人のこちらは思ったりするが… まあ、偽善と抑圧の権威…

そんな感じだと認識しているので、それと無縁だったシュミットは、すくすくと変人街道を歩んだのだろうと思う。


それでいいじゃないか。








横浜シネマジャック&ベティにて鑑賞















五円 木比克です。きょうは、2024年5月11日です。




きのう、【帰って来た橋本 治展】を見てきました。

それは、港の見える丘公園にある、神奈川近代文学館とゆう場所で。






          エントランスの橋本 治パネル









わりと近所にある。


こないだも、ここで【小津安二郎展】を見た。





橋本 治は、もちろん小説家だったけども、「小津安二郎の映画の完成度」とゆうようなハナシを、それなりにしていた。

ああいう小説が書きたいと。日本人の日常みたいな。


小津リスペクト。はやいハナシがね。






小津安二郎 (1903 ~ 1963、60歳で死去) の同時代人で…

わたしが思い浮かべるのが、ご存じ久生十蘭 (1902 ~ 1957、55歳で死去)




つまり、と言っていいのか… わたしは小津安二郎の映画だったり

久生十蘭の小説だったりが大好きなんだけども。


彼らに会ったコトもないし、話したコトもない。


当たり前だろ。




それを言ったら、橋本 治 (1948 ~ 2019、70歳で死去) とだって、ハナシをしたコトなんかほぼないですよ。


サイン会などで、ファンとしてあいさつぐらいしたかも?






          志賀直哉と小津安二郎














えーっと、【橋本 治展】のハナシでしたね。


いや、近所でやってたから見たよ、とゆうコト以外…

とくになんもありませんけどね。









神奈川近代文学館 公式 えっくす から転載







家に帰ってから、『はじめての橋本治論』をパラパラめくって…

これは、さいきん出た本だけど。千木良悠子って人の書いた。

この人は誰なんだろう? よく知らないんだけども。



とにかくね、この人は、ちゃんと橋本 治論を書いたからエライよって思います。


わたしにはムリ!



それも当たり前っちゃ、当たり前だよ。


なんだけども、橋本 治好きだから、いまこうしてなんか書いてるワケです。











あのね。

また小津安二郎のハナシになるけどね、わたし・五円木比克は…

小津安二郎論のようなものなら書いているんです。


だから?



わたしは… 映画批評家気取りのただのバカだと。

それはまあ、読めばわかるでしょう。



いまさっきも、侯 孝賢 (ホウ・シャオシェン) が撮った『珈琲時光』(2003) ってゆう、小津安二郎リスペクトの映画について書いたけれどね。


それはそれとして、何が言いたいかってゆうと…


小津安二郎の映画も、久生十蘭の小説も、いまも人気があるのがすごいよって。



いや、俺は全然知らんよって人もいるけど。



つまり、教科書にのったり、国民的と評されたりはしてません。

そこまで誰もが知ってる存在ではありません。


なんだけども…

小津なんかは、いつのまにか、徐々に、黒澤 明 (1910 ~ 1998、88歳で死去) より評価があがっているように感じるし。


久生十蘭が好きだとゆう人たちの熱気、愛情も、いまだに感じるワケです。



そのエビデンスは? ってきかれても困るけども。




にしても、映画館、名画座でしょっちゅう小津安二郎の映画を上映しているし、

久生十蘭の本も、新刊として刊行されていると。


根強い人気がある。


小津安二郎のほうは、評価もちゃんとしてるとゆうか。世界的にもね。













で、橋本 治に関して、わたしの意見なんてないんだけれども。


橋本さんが死んでから出た… 保坂和志によるコメントが印象的だったのね。

そのハナシを最後にします。


ちょっと引用するけども





 私が橋本治から教わったことは、まず願望すること、願望を持つこと、願望に正直であることだった。 (自分という反-根拠)





いや、ここだけ読んでも何がなんだか…ですけどね。


もう少し引用





 橋本治は全共闘世代だったが全共闘は嫌いで ひとりの闘いをはじめた、だから橋本治に揺さぶられた若者たちはひとりの闘いをすることになった、・・・・

 いや、そういうことじゃないか? (自分という反-根拠)






保坂和志さんは、あの頃 (っていつだ? それは『革命的半ズボン主義宣言』のころのハナシだ) の橋本 治のすごさについて書いているのね。


それは、なんだったのかと。



さらに引用つづき…





 橋本治は何かを語る、訴える、そうするときに、自分以外に根拠を持たない、というすごいやり方を実行した。(自分という反-根拠)







わたしは、そうか… と思いましたね。


自分オリジナルのすごさ。





自分のコトは、自分ではわかりにくい、そう橋本 治も書いていた気がするけども。



権力や親からの、教育、あるいは洗脳につきあわないすごさがある。彼らには。


なんでそうなのかは、わたしには説明できませんよ。


でも、あ~ そうかとなったんです。


いまでゆうと、坂口恭平がそうだから。







坂口恭平って人は、1978年生まれで、いま46歳なのね。

1948年生まれの橋本 治と、30歳ちがう。




このふたりの共通点っていろいろあるんだけど、核心は【自分オリジナル】とゆうトコロ。






もちろん、小説家として橋本 治は、久生十蘭から影響をうけたり…

坂口恭平も、『お金の学校』などで、模倣の大切さを説いている。


先人に学べと。




自分オリジナル、自分を大切にとゆう思想、思考。



さらには、とゆうか…

なんでも自分で作るイズム。



橋本 治は、『ヴィヴィッドボーイのカリキュラム』で

自創性がいちばん大事だ

と書いていました (うろおぼえ、だけど。別の本だったかもしれない)










坂口恭平もね、自分でなんでも作るイズムを実践して、さらには独立国家とゆう革命を志した (現在進行形?)







さらにうろおぼえなんだけども、橋本 治発言で…


スターにはなりたくない。革命家がスターになったらおしまいだから


とゆうのがあって。


なんの革命かは知りません。全共闘とは別のハナシにはちがいないけど。


まぼろしの80年安保、とゆうのもあったなあ。





それからのちにね、あのね、橋本 治は「結局 (俺も) スターになっちゃったな」とも書いていました(笑)


まあ、しょうがないよ。





わたしは坂口恭平の本を、よく読んでいるんだけども、ちょっと前の『家族の哲学』、これは小説だからフィクションかもしれないけども、

恐怖 (不安) と自己否定が止まらない人間 (坂口恭平本人) の、鬱状態の滑稽さが、おもしろすぎるんです。


鬱じゃあないときが (たぶん) 大半だからいいけれども、いつも鬱だったとしたら救われないのよ!






小説ではない本、『躁鬱大学』もめっちゃおもしろい。

このおもしろさは、なんだ。そう思う。




いや、橋本 治も坂口恭平もすごいですよ。







          坂口恭平と養老孟司















あのね、侯 孝賢ってね、僕の印象だとね…

90年代からこっちは、あんまりおもしろくないの。



そこは、ゴダールもそうなんだけどね。

80年代までは、すごくよかったってゆう。




もちろん例外もあって。

この『珈琲時光』は、いいと思ったのよ。


小津安二郎リスペクトってコトで、日本を舞台にして、親子の関係など描く。


描くけれども、女と男の… 一青窈と浅野忠信の友情を、サラッとやる。

てゆうか、そっちがメイン。












これは、20年前の作品。


20年前の東京。

電車と、神保町と。


山手線、そして御茶ノ水… 聖橋。


あと、都電か。

このね、電車、電車で攻めまくるのがいいんです。

つまり、庶民のリアルな東京、その一面。



小津安二郎リスペクト…

これ、小津の生誕100年記念で、侯 孝賢が依頼されて作った映画だからか。

みんな、床に座るの。家でね。

畳なのかな。




小林稔侍が、床に座りながら、夕方ビールをのむ。

すると、場面は急に夜になって、でも、同ポジってゆうか

小林稔侍がいた空間に、一青窈がフレームインしてきて

余貴美子もインしてくる。


一青窈が、カメラに背を向けた位置に座り、母親の余貴美子に向かって唐突に

「妊娠してるの」とゆう。



家族。男と女。

夢と昔話。




わたしは忘れてたんだけども、一青窈のシングルマザー宣言…

「産むけど結婚はしない」とゆう、親からすると、ええっ?

となるハナシにね、親父の小林稔侍はまったく何も言えないのね。



まあ、そんなもんか。なんだけども…

小林稔侍だからさあ、こっちはね、怒るとこわいよなあって思いつつ、画面を見ているのね。


しかし、まあ、娘に対して何も意見できない、よくいる情けない親とゆう描き方。



にしても、急に夜。ほぼ同ポジ、唐突に告白とゆう流れの演出が見事なんだけど

侯 孝賢なんだから、それも当たり前ではある。





さらに、小津リスペクトで、昔風に、隣家に行って

一青窈と余貴美子が、「お酒とグラス貸してくれませんか?」とゆう。

酒をのむのは、小林稔侍。


もちろん、みんな床に座っている。


喫茶店や、浅野忠信の店とかは別として。














ともかく、僕の印象として、この『珈琲時光』は、90年代以降における

珍しくも成功した侯 孝賢作品。




僕からすると、あれもこれも…

たとえば、『憂鬱な楽園』だなんだ、「悪くはないんだけどね」なんですね。


演出の見事さとか、随所にあるワケだけども、なんかイマイチなんです。

ほんとうに、どれもこれもですよ。


つまり、リアルな現代映画をおもしろく作る難しさ。


この『珈琲時光』は、外国人として撮っているのが良かったのかなあ。




あの、なんも言わない小林稔侍。

最後まで出てこない、子どもの父親。


ダメな男たち。



一青窈は、しっかりしてるワケだけども、その隣に浅野忠信を配したのが勝因ですかね。


電車大好きな浅野忠信。


友情でええやん、ってゆう女と男の関係。

いいと思います。






神保町シアターにて鑑賞


 






















この両作品をね、早稲田松竹で見ましたがあ。

どちらも、3回目。



そして、印象として…

見れば見るほどおもしろい、となるのね。


最初の、初見のときよりも、2度目よりも、よく感じる。


そう書けば、「いや、俺も2回3回見てるけど、最初がいちばんおもしろく見れたね」と言う人もいるかもしれない。

まあ、そうゆう人もそりゃいるよ。





具体的にゆうとですねー。


『恋愛時代』の、タクシーの場面だったり…

『ヤンヤン』の、水の演出だったりですよ。

いま気づいたポイントは。


いま気づいた? …そうなのね!

なんだけども、その前にさあ、とっくに (誰もが) 気づいてるトコロのハナシをしますよ。

うーん…

たとえば、ガラスだ鏡だの反射とかありますよね。


光の反射、こちらと向こう。

とくに『ヤンヤン』で連発していました。







去年、ひさしぶりに『恋愛時代』を見てね。

ここでもそのー、いつもの、と言っていい光と影の演出すげえな… とは思いましたよ。

あっそう。



ところが、今回また『恋愛時代』を見たらね、「ほんとーにすげえな!」となったのね。

すごい演出。光と影の。


鈍い。遅い、気づくの。


なんだけども、まあ、しょうがないのよ。たしかに鈍いからね!



だからねえ、「お前に言われなくてもわかってんだよ!」ってなる人、たくさんいるだろうけども。

もう1度書く。



光と影の演出、すげえ!







得意の… 薄暗い空間におけるシルエット状態の人物をとらえるショット、これが『恋愛時代』でも、とくに後半多用されるのね。


シルエット状態だから、顔が見えない。


これ、いつもやってると思うけども。エドワード・ヤン印。



わりと前半にも、プールサイドなのかな? チチとモーリーが、薄明かりのなかでタバコを吸うシーンがありますね。









そこも素晴らしいけれども、チチとミンがタクシーに乗って…

言い争いをするシーンの、光と影の演出がまたすごい!


ここでは、ふたりの顔が見えたり見えなくなったりする。

ど~なってるんだ、照明???



いや、あのね。「そんな演出の、どこがすごいの?」って言われると…

わたしも困るのよ。


とにかくすげえ! そう感じたんだから、そう言い張りますよ!












もちろん、光と影の演出に加えて、ここではワンシーンワンショットを連発するとか。


ストーリー、さまざまな人物がくっついたりする展開の手際の見事さとかね、いろいろあるのはゆうまてもない!




エドワード・ヤンは手塚治虫が好き、そう聞いてはいたけれども。

登場人物のひとりが、日本語で「アトム大好き」と書かれたTシャツを着ているのに、初めて気づきましたな (笑)





あと、まあ、設定として…

婚約したけどまだ結婚してないカップルとか。

別居してるけど、まだ離婚してないカップルとか。

ミンの同僚と、フォンがくっつきそうになる… かに見えて、そこからいろいろあるとか。


そのー、いろいろな展開にもっていきやすい設定を多用している。



なかで、チチとミンのカップルの、うまくいかない感じ…


からの、ラストあれでしょ!


あれ、誰もがしびれるワケだけども。ほんとーにすごい!


いまさらなんだけども、そこは強調したい。





あのラストの前に、ミンの父親のハナシを据えるワケでしょ?

あそこで父親が死んでたら、ハナシが変わってくるよね? …当たり前だろ。



父親の、いまの奥さんの嗚咽。あの演出も見事なんだけど…

その隣にチチがいるのが重要、ってゆうか、「そりゃいるだろ」って設定にしてるワケですよね?



モーリーの義兄の作家が、中盤に登場して。

憂鬱になったり、元気になったりする役なんだけども…

そのそばにもチチがいる。


まあ、これもそうゆう設定を仕組んでいる。もちろん。




そして、これは珍しくも「誰も死なない」ハナシですよね。


まあ、ロマンチック・コメディ風だから?

若者たちが青春しているから?






わたしのね、日本と台湾の…

団塊の世代の映画作家を、いっしょくたにする見取り図ってあるんだけども。





あのね。

北野武と、相米慎二は… ちょうど1年差があるんだけども。生年月日が。


このふたりの、あいだに… 侯 孝賢とエドワード・ヤンが生まれている。


さらに言えば、北野武のちょうど1年前に、長谷川和彦が生まれているんです。


だからなんだよ? …ではある。



まあ、あえてゆうとですよ。


北野武も、最初は、とゆうか、最初から…

主人公が死ぬ映画をずっと撮ってましたよね?

『3-4x10月』含めてね。


しかーし。

『みんな~やってるか!』は、ともかくとして(笑)

『キッズ・リターン』は、死ななかったじゃないですか。

なんで?


まあ、そうゆうときもあるだろ、って?


それは、そう。

















『ヤンヤン』もさあ。

見れば見るほどおもしろい!






家族のね、親父の初恋アゲイン&仕事のハナシとさあ。

高校生の娘の、恋愛&友情みたいな、二本立て。


そこに、おばあちゃんと少年ヤンヤンもいる。



親父の奥さん…

つまり、娘とヤンヤンの母親は、「邪魔だから」みたいな理由で、山に籠らせる設定 (笑)














そうそう。

ヤンヤンがさあ、プールに飛び込むでしょ。


あと、風呂場で水に顔つっこんだり。


水風船もあるし、雲や波もって、なぜかここで水が強調される。



水といえば、相米慎二!(強引)



エドワード・ヤンも、早死にしましたけど… 相米慎二はもっと早く死んじゃったからね。


えっと。

エドワード・ヤンが生まれた… 2ヶ月あとに相米慎二が生まれているんです。

完全な同世代。





親父と、娘のカットバック。

デートのシーンですよ。後半の。



東京の親父と、台北の娘。

これは… まあ脚本の段階から、カットバックするコトになってたんだろうけども。

初恋アゲインと、本物の初恋を並べてみせるって。

すげえ発想だよなあ。







よくさあ、老人になると… 子どもに戻る (ボケる) ってゆうじゃな~い?


ここでの、おばあちゃんとさあ。

ちっちゃいヤンヤンの、孤独な感じの共通性がなあ。


ど~ゆう作劇なんでしょうか!



ま、おばあちゃんは昏睡状態。

ヤンヤンは、一人で暴走状態。



そして、親父の弟や、隣家のゴタゴタで… ハナシを盛り上げて。

さよなら、おばあちゃんで幕をとじる。




あのね。

もちろん家族の群像劇ですよ、これ。


なんだけども、夫婦のハナシは遠景としてしか描かれずに…

恋愛関係がメインもサブもって。



にしても、親父の弟のゴタゴタがさあ!

ようやるわ、なんだけども。


そこに加えて、隣家もゴタゴタ、親父と娘はデート (と出張) で忙しいとゆう。


あ~、おもしろい!




ど~したら、こうした群像劇が作れるのか。

結婚式ではじまり、お葬式でおわる、いわば小津安二郎風の作劇。


しかし、インタビューを読むと、エドワード・ヤンは…

「別に小津安二郎の映画は意識してないよ」なんだそうだけど。



それと、娘の部屋に、アトムの…

シールだかバッチだかを発見した。



たしかに、手塚治虫大好き、なんだろうね。





























2023年作品。




急いで言っておこう。

ビクトル・エリセ。初めて見ましたよ!


またしても、エセ・シネフィルなコトがバレてしまいますなあ。

まあ、しょうがなす。



一言でゆうと、「いいねえ!」でしたよ。

って、いまさら?


う~む。

エセ・シネフィルが、なんか言っても説得力が…



ま、いっか。




音楽の使い方もいいしさあ。あと、犬ね。それから…


これは、映画の後半のハナシだけども…

狂人の魅力が炸裂していた。


狂人じゃないだろ。あ、そうですね。





それにしても。


まず連想したのは、ジョン・カーペンター『世界の終わり』。

映画ネタをやる映画。



もちろん、カーペンターのあの作品とは、だいぶ違うけど。


そりゃそうだ。




しかし、どこか通じるモノがある気がする。

作品の冒頭から、これね、映画ネタですよと、宣言する感じが。












映画とは…

記録だったり、過去だったり、ではあるけれど。

現実そのもの、ではない点で、まぼろしと言えた。





そして、わたしのかんがえだと…

現実も、まぼろしなのだった。




もちろん、一見そうは思えないとゆうのか… 巧妙に出来ているけれども…

確固たる世界、なのに。まぼろしのように、現れては消えていく。


現実も、まぼろしである。



「だからなんなんだよ」と言われると、わたしも困る。


とにかく、カーペンターの場合は… すべて、まぼろし、とゆう作風であり。


エリセの場合は、そのー、映画は映画、現実は現実、区別はハッキリしているといえた。














どちらがよいのか、わからない。


もちろん、エリセとカーペンター、どちらか選べとは誰も言ってない。





それにしても。

記憶喪失の男が登場する映画は、たくさんあるけれども。

そのひとつ、黒沢 清『CURE』をリスペクトするような…

画面、演出にビビった!









横浜シネマジャック&ベティにて鑑賞











4月16日


♪無気力な時代。そんな歌があった…

ロンドンタイムスの曲だ。




無気力。

いまのわたしは、(痛風のせいで) かなーり無気力。


いや、痛風は関係ないのか?

そのあたり、微妙なのだが、とにかく無気力。

まるでダメ。




それは、でも前からだとも思える。

たいていのコトに「なんか、めんどくせ~な」となるのだ。


部屋のそうじとか、もそうだし…

映画を見に行くとかも、そう。


ただし、よっぽど見たい映画は別。


はあ?
















イタリーノとゆう洋食屋さんで、ハンバーグのチンラ。¥990だったか?

このお店があるエリアは、なんと言ったっけ。 …福富町?


わたしにとっては、前からおなじみの町。

なんだけども。イタリーノに入ったのは今日が初めて。


狭い店内の、カウンター席で… 調理の作業など見つつ…

キャベツにかかっているドレッシングがンマイと思った。





4月17日


もう無気力なんだ。

もう、って?

いや、あい変わらずの無気力と言いたいだけ。



苦しくはない。

精神的な苦しみ… 鬱みたいな、そうゆうのともちょっと違う。

なんとなく調子がね、よくない。


だったら、もう少し行動しろよ。


そう、自分に言いたいけども、言われるほうの自分は…

「うるせーよ。ヲレはね、コンプレックスとかね、そうゆうのでダメダメなのよ」

と吐き捨てて、ふて寝している。




なぜ… コンプレックスでダメになるのだろうか?


自分で自分に、ダメだと言っている。


だからダメだ~、と落ち込んでいる。


そりゃ、ふて寝したくもなりますな。



1日中寝ているのもなんなんで、軽く散歩したりするけども。


散歩って。

いや、痛風も治りつつあるのね。


それでも、まだ。

無気力な毎日。





4月18日


コンビニで、『実話BUNKAタブー』を購入。

斉木しげるインタビューを読む。

インタビュアーは、吉田 豪。


よくわからない人である、斉木しげるさんのコトは、やっぱりよくわからなかった。

謎の男。


あっさりしているのか、しつこいのか。

どっちとも言える。そこが謎。





4月19日


いい天気の町を、ふらふらと歩く。


チンラを、渋谷の兆楽にて。

五目焼きそばセット。¥1050。
















春を感じる、気持ちよい日だった。



新宿駅から、横浜方面の湘南新宿ラインにのった。15時すぎたころ。


電車にのって、いきなり目に入ったのは…

山森 JEFF 正之さんだった。


「えええ~っ!!!!!!」と心の叫びが炸裂。



ジェフさんは、10年前から… ザ・コレクターズでベースを弾いている。

さらに、自身が率いるバンドである、オレンジズや…

瞳みのるさんのバンドでも活躍中。


この日は、横浜でジューシィ・フルーツのライブでベースを弾く、ジェフさん。


にしても、感激しましたね。わたしは。

ザ・コレクターズが、だいすきゆえ!

ジューシィ・フルーツのライブは…

スルーしましたが(泣)





4月20日


散髪したい、そう思うものの。

床屋にいくのが、めんどくせ~、となり…

髪はどんどん伸びつづけるのであった。


しかし、そろそろ限界か。

伸びすぎである。




無気力ゆえに、映画やDVDなど見る気がしない。

あっそう。


音楽なら、気楽に聴けるので、Spotifyをひたすら聴いている。



趣味のプレイリスト作りを、あい変わらずやっているが…

なかなか難しいと感じる。


何が?


そう簡単に、素晴らしいと思えるものは作れない。


選曲を、入れ替えたり、足したり引いたりって…

でも、テーマがないとさあ、なにを入れてもいいワケだし、そうなると…

なんでもありだ。


それも、なんかなあ… とゆう感じ。





4月21日


まあね、わたしもね。

無気力だったり、突然ご機嫌になったりするけれども。


仕事でミスして怒られてね… そして落ち込んでいるとですよ。

思いもよらぬ出来事で、突如ハッピーになったりもする。


なんだかわからない。


でも、あるでしょう。そうゆうの。


なんか、少し調子がよくなると。

無気力ではいられない、そう思ったりもする。

やりたいコトやるぜ、と。


あとは、めんどくささとの闘い。


とりあえずプレイリストを作るのだった。


明日は、ひさしぶりに映画を見ようかな。


















※ コレクターズのライブレポだけ読みたい方は

赤字のトコロを飛ばして、下へスクロールしてください







五円木比克の日記



4月13日

明日の野音ライブが楽しみすぎて、前日の今日も…

日比谷公園に来てしまった!


天気は、いい。

明日もこんな感じならサイコーなんだが。



日比谷公園から歩いて、新橋の喫茶店 北欧にイン。

グリルサンドウィッチのチンラ。そして、コーヒータイム。

土曜の昼下がり。



東京を、東西南北に… 電車で移動。


新橋 ⇒ 経堂。 実家に顔をだす。年老いた両親と、テレビで野球など見る。

ドジャース大谷の試合は、先発が山本だった。オリックスからドジャースへ行った山本である。

それと、西武-ソフトバンクも見る。














実家を夕方ごろ出て、友人の うたかさん邸に向かう。


18時ちょい前から、宴会スタート。


しかし、痛風治療中のわたしはノンアルコールである。

なのだが、とくに酒をのみたい気分でもないので、無問題だった。

酒の飲みすぎで痛風になったのだが、なんつうか。

もう酒はいいよ。なのか?

ま、そのうちまた飲むに決まってるけどねえ。



うたかさんが次々にかける曲が、どれもサイコーでゴキゲンナイト。

ファンク。ジャズ。ボサノバ。ロック。

YouTubeで映像も見る。

JBのダンスにシビれて、キース・ムーンのクレイジードラムスにニッコリ!


深夜2時をまわったあたりで、寝ましょうか…

となった。





4月14日

うたかさん邸をあとにして、町をうろうろ。

松屋にインして、カレーライスのチンラ。



あんまり早く行ってもヒマなだけなのだが、日比谷公園に向かう。

途中で電車を乗りかえる際、逆方向に乗ってしまう失態。

急いでいるときならヤバかった。



内幸町駅のコインロッカーに重い荷物を入れて、日比谷公園を散歩する。



天気がいいので、Tシャツ1枚とゆう軽装。

開演時間まで、90分ぐらいあるので、のーんびり春を満喫。

気持ちがいい。春。













ここからライブレポ。



日比谷野音。


コレクターズの単独ライブを、ここで見るのは…

6回目?


イベントでも何度か見ているが…

今回の野音。驚くコトにいままでで一番の良席。


Aブロック、6列目。

これだけでもスーパーナイスだが、さらに通路側席で、スペースに余裕ありあり!

気持ちよく踊れる (泣)



ステージを見れば、目の前にコータローさんのアンプがある。

つまりコータローさんサイド。

ハァ~…

これ以上ない良席に感激である。





          JEFFさんの撮った画像






ライブスタートしたのは、16時30分。


西陽がさす、サンデーアフタヌーン。



1曲目、♪ロックンロールバンド人生。

2007年のアルバム収録曲。


17年前ではあるが、感覚としては最近…

とゆうか、そんな感じ。


ゼロ年代、2010年代はねえ、ホントに、最近なんですよ。


あっそう。



もちろん、もっと最近の曲や… 初期の曲もやるワケでして…


さらに、当然やる定番の曲の合間に、そうでもない曲を織りまぜる。


そして、ノリノリの曲と、バラード、スローなナンバーを、さらに織りまぜるとゆう。




5曲目が、最新アルバムからの…

♪パレードを追いかけて だったけどもね、この曲がまた良くてですね!

そりゃそうだろ。ですよね!


僕的には、ここで前半のピークきたよ… って感じだったんですけど、そのあとの曲が

♪たよれる男、で。

グーっとあがると… 。 で、次は♪セントラルステーション を加藤ひさしが熱唱して、聴かせるとゆう。


その次も♪ジュリエッタ、でアガル!

♪フライング・チャーチ、で「おっと、浮遊するねえ」みたいな!

フライング・ロックの楽園。

意味わからんけど、そんなフィーリングですよ!




えーっと。

この♪フライング・チャーチは… 1995年リリースのアルバム収録曲か。

約30年前。


さすがに、30年前はねえ、最近とは感じませんな。


 …当たり前だろ。



加藤ひさしは、最初から、昔から…

いまも、いい曲書きつづけてますからねえ。

そして、見た目も若いし。

63歳。


すごいですよ。 …何が?




いや、そうだ…

衣装はね、この日、黒いモッズスーツで…

コータローさんとJEFFさんが決めてまして。


コージくんも、フレッドペリーの黒いシャツで。


で、リーダーは、なんてゆうのか… 黄金色とでもゆうのか…

ともかくカッチョイイ新調のスーツとゆう。


むろん、お着替えもしてました。2回も!





さっきも書いたけどね。

スペースに余裕ありありな通路側席で…

歌ったり踊ったりとゆう、ちょー楽しいライブがさあ。たまらないですよ。

ステージは近いしさあ。春の野外で気持ちいいわ、とゆう… 至福。




ライブのクライマックスは、♪NICK!NICK!NICK! で、祭りは最高潮の盛り上がり。


からの、本編ラストは、♪あてのない船。



アンコール。

コレクターズの2大名曲の連発。


♪世界を止めて。♪僕はコレクター。


からの…

ダブル・アンコールに、♪僕の時間機械、で だめ押しフィニッシュ!



終演後には、いつもかけるインストナンバー♪A TASTE OF YOUTH を聴いて、サヨウナラでした。



ザ・コレクターズって、ホントにサイコーですね!















2023年、11月刊の本書。


図書館から借りて、読んでみたものの…

脚本家であり、監督もやっていた、橋本 忍 (1918 ~ 2018。100歳で死去) とは、いったい何者だったのか。


その辺、よくわからないのね。





橋本 忍。

いや~、好きですよ。『八つ墓村』とか… 直撃世代ゆえ。




まあ、わたしの場合…

『八甲田山』や、『日本のいちばん長い日』など、見てない作品が多いせいもあるのね。


橋本 忍の作家性とは?
って。

よくわからない。




「見てない作品が多い? それじゃあ、お前にわかるワケないだろう」と思うでしょ?


甘い!


見ても、わからなかったりするワケ!(泣)













『砂の器』は、1974年の作品なんだけれど。

わたしは、たぶん、それから数年後のテレビ放映で見たと思う。


小学生でしたけどね。



これが、いわすもがなとゆうか、見ればわかるけども…

強烈だった!


そして、ハッタリに限りなく近い… ドラマの盛り上げ方。

人間ドラマでありつつ、強烈におもしろい。

娯楽に寄せている。


寄せているんだけども、芯はまじめな悲劇。



だから、よくわかんないのね。

「この人、娯楽の人なの? まじめな人間ドラマの人なの?」って。





フランキー堺・主演の、『私は貝になりたい』(1959) ってあるんですけど。


まあ、これもわたしは見てませんが…

この頃、関係者の人は「橋本 忍は共産党」だと思い込んでいたらしいのね。


そう思わせる映画が多かったと。これ以外にも。




なんだけども…

橋本 忍は、「俺は共産党員しゃないよ」って。



ようするに、橋本 忍は娯楽の職人だと。


まあ、そうハッキリとは春日太一さんも書いてないですけど…


あきらかに、娯楽の人だと。













しかし。


橋本 忍の作品の多くは、残酷な悲劇であり…

ハッピーエンドのものは、ほとんどないと。



娯楽としての、悲劇。

安易といえば、安易。お涙ちょーだい。



まあ、『八つ墓村』(1977) なんかは、お涙ちょーだいではなく…

オカルト・ミステリーの、怪談話。



あのね。


ここまでくると… ってゆうのは、『八つ墓村』のハナシなんだけども。


石井輝男の映画と、あんまり変わらなくなってくるのね。


もちろん、石井輝男は…

娯楽に徹した職人ですから、どこからど~見ても娯楽映画なんです。

すべての作品が。



江戸川乱歩が好きだった (たぶん) 石井輝男は… 松本清張の映画化もしているけれども。


『砂の器』なような、華麗なる【まくり】は出来なかった。


つまり、人間ドラマと娯楽性のマリアージュですよ。



橋本 忍は、『砂の器』の犯人の父子関係に、すごく思い入れがあった。

つまり、人間くさいのね。


そのうえで、娯楽を、おもしろさを作りだすコトが出来たんだと。


石井輝男は、人間らしさ、みたいなものにまるで興味ないからね!


まあ、晩年の『地獄』は、人間ドラマと娯楽性のマリアージュ…

といえるかもしれんけど!




いや、思い出した!

『恐怖奇形人間』のラストは、人間ドラマ➕娯楽性だったかも!







            橋本 忍






石井輝男のハナシは、まあいいとして。




『幻の湖』や、黒澤 明作品などについても、コメント…

したいトコロですけど、もう余裕がないよ。


『生きる』とか、見てないし (泣)




まあ、まず『八甲田山』を見たいし…


『八つ墓村』も見直したいと思っていますよ。