我が家好みの「茶籠」
茶道具の世界では「好み」と言うと、家元クラスの茶人が、考案、デザインして、出入りの職方(工芸家)に作らせたもの。器に花押を入れる場合も多く、数も「七つの内」などと言って、複数作る。やがて、それを模した「〇〇斎好み写し」という商品が茶道具屋に現れ、人気が出て、広く流通するタイプは、本歌、写しの別なく、〇〇好みで通用します。 つまり、家元とか、それに準じる茶人、あるいは大数寄者の行うもので、普通に「好み」なんてしたら、立場によっては叱られるかもしれませんが、我が家は、束縛のない街の茶家ですから、自分の家で考案、制作した品とか、専門家に発注した品とか、天下これ一品と思う品には、「自分好み(ごのみ)」という意味も含めて、戯れに「我が家好み」と呼んで、箱書きの真似事をしたりして遊んでいます。 さて、夏前に、妻が納戸の隅から、古い手提げ籠を見つけ出して来ました。母が持っていたもので、こういうものがあったとは何となく覚えていましたが、さて、母が何に使っていたのか、記憶にありません。多分、裁縫道具などの小物を入れていたのじゃないかと思うのですが。妻は、これを「我が家好みの茶籠」にしたい、というのです。籠はご覧のように三段で、作者は勿論、産地も分かりませんが、組み方のデザインが、表と内や、段の表面ごとに違い、なかなかいい仕事をしているように思います。(写真、紐は、妻が付け替えたもので、オリジナルは粗末なものでした) 夏休み中に仕上げたいというので、急遽、家にある品で、納まりそうなものを選び、避暑先に、工具と共に持って行くことにしました。 結果がどうなったかは次回に。 萍亭主