(株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ -7ページ目

効果的なコーチングについて(9)

これまで、コーチングについて説明をしてきました。そして皆さんの中にはすでに気付いておられる方がいらっしゃるかも知れませんね。「な~んだ、コーチングっていってるけど、特別なものは何もないじゃないか。もっと、こうすればよくなるというような特効薬はないのか」っという声が聞こえてきそうです。


コーチングに対する誤った考え方は、まさにこの質問に集約されていると思います。コミュニケーションのスキルを使ったコーチングは、非常にパワフルですが、パワフルにしてゆくためには、普段からの信頼関係がないと、どんなに素晴らしいコーチングも受け止めてもらえません。普段からコーチングをおこなってないと、コーチングの良さは発揮できないのです。


つまり、コーチングは日々日常で起こっている業務活動に対してOJTでおこなわれて初めて効果を発揮するのです。


ところが、これに反論する方々は「OJTは日々の活動で、教えることが中心であって、コーチングは教えるのではなくて、本人のやる気と考えを引き出すのだから、OJTとコーチングとは違う」という捉え方をします。


確かにこれには同意できる部分もありますが、教えることもコーチングのひとつのあり方だとという理解をしていただきたいと思います。なぜならば、コーチングの目的は、ビジネスの結果をより向上させる事!ですから、教えることでビジネスの結果がより早く正確に達成できるのであれば、当然教えることを優先させるべきなのです。


会社でよく使われる言葉に「ベスト・プラクティス」という言葉があります。つまり、どこかの部署でおこなっている最高のやり方、ということです。こういったベストプラクティスを実施する場合には、ティーチング的なアプローチを取ることになります。なぜならば、こうすれば良い結果が出ますよ!という証明がされているからです。


それでは、なぜ多くのコーチの方々が「ティーチングではなくコーチング」というのか?その理由を考えて見ましょう。


一番大きな理由は、通常どこの会社でも、個人の育成プランが明確になっていないからです。こういうと、すぐに「この会社ではちゃんと人事評価とコンピテンシーのアセスメントもやっています」という返答が返ってきそうですが、大切なのは、ラインのマネジャーが部下のレベルとやる気を理解して、コーチングに活かしているのか?と言うことです。部下の一人ひとりのスキルレベルとやる気を考えてコーチングをおこなっているかと言うことです。


次回はもう少しこの点を具体的に掘り下げていきましょう。

効果的なコーチングについて(8)

さて、今週は人が育つダイアログ(対話)についてです。対話というのは、もちろん話し合いのことです。では人が育つ話し合いというのはどの様なものなのか?これにはいくつかの要素がありますが、その前に大きな前提条件があります。それは「育てようとする人と、育てられる人」との信頼関係です。この信頼関係がないと「人」は次の一歩にチャレンジできないのです。


私は以前、器械体操をやっていました。器械体操というのは、ゆか運動、鉄棒、跳馬など、非常に激しくまたスピードに溢れていますから、ちょっとしてミスで大怪我をしてしまいます。ましてや、新しい大技に取り組もうとするときには落下の危険性や、骨折などの危険が非常に大きいスポーツなのです。そこで必要になってくるのが補助活動です。しっかりとした補助をしてあげれば危険をともなう技にも思い切って挑むことができます。つまり、失敗しても大丈夫だ!という安心感とできない悔しさが、チャレンジに向けてのモチベイションとなるのです。


このように「育てようとする人と、育てられる人」との信頼関係があることを前提にして考えると、人が育つ対話には以下の要素が必要です。


1.最低限必要な回数(より多くの接触回数)

コーチングというのは対象となる人のレベルによって対話の回数が変わってきます。ただ、どんな場合でも人は接触回数が多いほど親近感を感じるので、1回でも多く対話をする機会を持つようにしてください。


2.何となく居心地よく話ができる(ミラーリング)

相手と同じ姿勢、話し方、言葉の繰り返しで無意識のうちに親近感が沸いてきてより積極的な態度を示します。


3.自分の話を聞いてくれる

このスキルによって、自分はこの組織に必用であるという認知に繋がります。


4.自分の意見を言える

自分の意見を思ったとおりに言っても良い環境であれば、人はより積極的になります。


5.自分の意見を取り入れてくれる

人は自分の意見が取り入れられる、あるいは何かの意思決定のプロセスに参画できることを望みます。


信頼関係を前提とした人を育てる対話をぜひコーチングに取り入れてください。

効果的なコーチングについて(7)

今週は、人が育つダイアログについて説明する予定です。ダイアログというのは「対話」ということですね。コーチングには対話が必要だということです。

実は先週、ある企業様の「評価者研修」というのをおこなってきました。対象となる人達は、その名のとおり、いわゆる「人事評価をする人達」です。コーチングのダイアログとこの評価者研修の共通点は、「納得できる話し合い」です。

今回の研修を行うにあたって参加者の方々にまず聞いたのは、評価をするときには「何が難しいですか?あるいは何が気がかりですか?」ということを聞きました。皆さんからいただいた返答は様々でしたが、概ね以下のようなものでした。

●定量的なものは測りやすいが、定性的なものは測りにくい
●評価の基準をもっと明確にしてほしい
●感情的にならないためにはどうするのか
●男と女の差をつけてはいけないが、果たしてできるか

等、いろいろと出てきました。

その中で、参加者の皆さんにお尋ねしたのは、「人が人のパフォーマンスを見て、絶対に間違いのない評価はできるのでしょうか?」ということでした。

答えは全員がNOでした。これは考えてみれば当たり前の事です。人が人を評価するのに絶対正しい方法など世の中に存在しないのです。

あるいは、全ての人が満足できるような評価の方法があるでしょうか?

これに対しても、答えはNOです。残念ながら、研修に参加した人たちが願っていた、正しい評価の方法は存在しないのです。

それでは良い評価は存在しないのでしょうか?

何を以って良いとするのかが問題ですが、私は、「納得できる評価」であると思っています。どんなに素晴らしい評価の仕組みを持っているよりも、対話の中で納得できる話ができることのほうが、はるかに大切なのです。

極端なことをいうと、個人の業績の結果を非常に科学的に出せるシステムがあったとしても、納得できる説明がなければ人のモチベイションは下がります。あるいは、個人の業績を何で判断しているかわからないような適当な評価の仕組みであったとしても、上司から納得できる説明があるほうが間違いなくモチベイションは上がります。

ということで、次週は、人が育つダイアログについて詳しく説明します。