(株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ -48ページ目

グローバル化の6つのステップ(その12)

今回から少しモチベーションマネジメントについて話を進めたいと思います。

一言でモチベーションといっても実際のところ何をどのようにマネジメントすればよいのでしょうか?モチベーションについては過去において重要な理論が提示されています。有名なマズローの欲求段階説、マグレガーのX理論Y理論、ハーズバーグの動機付け・衛生理論(二要因理論)などがその代表的なものです。こういった理論はそれなりに価値のあるものですので、時間を見つけて一度勉強されることをお勧めしますが、ここではより実践的な、仕事をおこなう上での「モチベーション(動機付け)」について考えてみたいと思います。

非常にわかりやすい例としてマクドナルドでアルバイトとして働く高校生を考えて見ましょう。マクドナルドの時間給はその地域の最低時給に近いのが一般的です。これは決してマクドナルドのオペレーションが簡単で単純な作業だからと言うわけではありません。むしろ新製品に対応したり、新しいオペレーションの方法を覚えたりと年々難しくなっているのが現状です。

そこで疑問がわいてきます。時給が地域で最低に近いのになぜあれ程多くの高校生のアルバイトが集まってくるのでしょうか?答えはすこぶる簡単です。彼らはマクドナルドのアルバイトでモチベーションの向上を実感しているからなんです。もう少し具体的に要約すると:

・マクドナルドでは学校で教えないことを教えてくれる
・自分のスキルが向上するのがわかる
・がんばったことを認めてもらえる
・相談できる相手がいる
・たくさんの人の笑顔ある

これらの要素以外のことがあるかもしれませんが、こういったことが彼らのモチベーションを向上する要因になっているのは確かです。

こういった現象を先ほどのモチベーション理論に当てはめてみると、確かにそのとおりになっていることが多いようです。例えば、「お金」は決して継続的なモチベーションの要因になっているわけではなくて、むしろ「自分を認めてもらいたい、そして褒めてもらいたい」というのが強いドライバーになっているようです。つまり何によって「人」のモチベーションがあがるのかということを考えるときにはこのようなわかりやすい例を考えれば良いのです。

次回はマクドナルドが実際にどのようなことをアルバイトの高校生に提供しているのかをもう少し詳しく見てみましょう。

グローバル化の6つのステップ(その11)

キャリアマネジメントを考える際にキャリアディスカッションと同じく大切なのが「スキルアセスメント」です。人のキャリアはスキルを持っていて初めて広がってゆくものです。ですから自分がどのようなスキルを現在身につけていて、将来はどのようなスキルをければ良いのかを考えることは将来の自分のキャリアに大きく関係してきます。

しかしながら、私たち日本人はビジネスをおこなってゆくスキルセットというものを重要視していませんでした。もちろん日本人にスキルが無いとは言いません。そうではなくて、ビジネスを遂行してゆくには能力とスキルが必要なのですが、私たち日本人はスキルセットを良く理解していないのではないでしょうか。笑い話で、あるヘッドハンターが大手企業の部長さんに「あなたは具体的にどんなことができますか」と聞いたところ、しばらく考えた後に「部長だったらできますが・・」と方得たそうです。

明らかにこの部長さんにとってはビジネススキルという概念が欠落しています。恐らくほとんどの日本の管理職の方々は、この部長と似たような感じで受け止めておられるのではないでしょうか。しかし実際には

・「リーダーシップを上手く発揮するスキル」
・「プロジェクトを上手く進めるスキル」
・「部下や上司と上手くコミュニケーションをおこなうスキル」
・「業績評価をおこなうスキル」
・「部下を育成するスキル」

等々、多くのビジネススキルセットがあります。

こういったスキルに対する自分自身の現在のスキルレベルを判定したり、スキルそのものを持っているかどうかを確認することで、将来の自分がどのようなスキルを身につければ良いかが具体的にわかるようになりますし、本人のモチベイション向上にもつながってゆきます。スキルの具体例についてはいろんなコンサル会社で開発したものがありますから、こういうものを使ってスキルアセスメントをしてゆけば「キャリアディスカッション」がより有益なものとなり、お互いの信頼関係もできやすくなります。

但し注意することは上から下への一方的なアセスメントではなく、こういったツールを使うことによって、キャリアに対する考え方を自分ひとりではなく、上司や部下などのフィードバックを良く聴くことでスキルのレベルに対する客観的な見方を身に付けることです。

グローバル化の6つのステップ(その10)

前回、上司と部下の間でキャリアディスカッションを持つ事が、部下のモチベイションを向上することになり、結果として会社の業績向上に貢献することになるという話をしましたがもう少しこの点を「社員のEngagement (エンゲイジメント)」という観点から考えて見ましょう。

「エンゲイジメント」という言葉も少しずつ外資系の企業を中心としてひろまりつつあるようですが、そもそも「エンゲイジメント」というのは「会社に対して前向きな忠誠心を持っているだけではなく、会社が必要としている業績、またはそれ以上の結果を出している社員」の事を意味します。もちろん会社によっては異なる定義があるかもしれませんが概ねこのような解釈で問題はないと思っています。大切なことは「会社が必要としている業績」を出すためにはOJTをおこなってスキルアップを図ったりコーチングをおこなったりして指導できますが、「会社に対して前向きな忠誠心」を持ってもらうためには、それぞれの個人が何を持って満たされるのかを知る必要があります。

各個人が満たされる、あるいはHappyと感じる要素は一人一人違います。何も全ての社員が上昇志向が強くて、昇進を望んでいるわけではないのです。具体的には

・新しいことにチャレンジする事が大切な人
・地位や名誉が大切な人
・チームワークが大切であまりでしゃばりたくない人
・自分の時間が大切な人
・家族との時間が大切な人

という具合に多くの異なる価値観が存在します。部下と上司がパートナーとして、こういったことをしっかりと話し合い、そして理解しておく事が「エンゲイジメント」につながる最も効果的なステップです。