(株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ -40ページ目

ロールモデルとは(その2)

David P. Hannaが教えてくれる「組織論」の話は非常に単純です。

簡単に述べると「今ある組織というものは、今の結果を出すように仕組まれた組織である」ということです。つまり、例えば活気があるような組織は「活気が出るような仕組み」を組織が持っていて、活気がないような組織は「活気がなくなるような仕組み」を組織に内包しているということなのです。

従って「当然の結果として活気ガある組織、無い組織」が生まれてくるのです。では私たちは「活気のある組織」だとか「活気の無い組織」とかを何で判断しているのでしょうか?

実は私たちが感じている「活気」とか「やる気」とか、あるいは「会社の~ウェイ(Way)」というのは「個人が何気なく振舞っている行動や、考え方を表している言動」を見たり聞いたりして感じ取っているのです。このようにして見たり聞いたりしている事から感じ取っているのが「いわゆる組織文化」ということです。

「活気のある組織」は間違いなく「業績の伸びている組織」です。

David P. Hannaがここで強調しているのは「会社の中でおこなわれている全ての活動は、組織文化を通じてから結果となって現れる」ということなのです。具体的に言うと、「活気のある組織文化を形成するには、そこで働く人々の行動が、活気のある行動に変わってゆく」ことが必要なのです。

それでは、その組織文化を形成している人々の行動に影響を与えている重要な要素は何かというと、例えばそれは、組織の中での「仕事」を遂行していく上での「意思決定のプロセス」であったり、「情報の流れ」であったりするわけです。

しかしながら、組織の風土を形作っていく上で、組織のメンバーに最も影響を与える重要な役割りを果たしているのが「リーダー(達)のリーダーシップ」です。

ロールモデルが何故重要なのかという問いに対する答えはこれで明らかになったのではないでしょうか。

つまり、ロールモデルとなった人達は、新しい行動を起こします。こういった人達はもともと周りの方々に対して影響力を持っているリーダーシップを持った人たちですから、周りの人たちにも行動の変化が生じてきます。

パレートの法則に照らし合わせると、この20%の人達が「新しい行動」をおこし、周りの人たちに影響を及ぼすことで、組織文化が変わってくることになります。

ロールモデルとは

さて、今週からは「社員の Role Modelを育成し企業理念や行動を模範的に示し、企業文化の育成につなげてゆく」という課題に入っていこうと思います。

最近では、「ロールモデル」という言葉が一般的になり、どうやら市民権を得たようなのですが、そもそもRole Mode とはどういう意味なのでしょうか?


辞書などで調べると「周りの人たちのお手本になる人」という意味合いがあるようです。

言葉どおりに受け取ると確かにそのとおりなのですが、私はもっと重要な意味があると思っています。それは「企業文化(組織風土)」を築くための第1歩だと思っています。

「ロールモデル」の育成というのは非常に大切な戦略的課題なのですが、その意図するところは「企業文化を変えたいときや、統一した企業文化を構築するため」に用いられる戦略的な取り組みなのです。


ロールモデルが何故企業文化に大きな影響を与えるのか?

それについて少し「組織論」の理解をしましょう。
私たちはよく、「組織力を上げる」とか「組織力の向上」とか言ったりします。

組織力を上げるスイッチというのはどこにあるのでしょうか?
組織力を上げるためには何をどうすれば良くなるのでしょうか?

恐らくほとんどの方は明確な答えを持っていないと思います。

優秀な経営者の方々や、優れた組織リーダーの方々であれば、論理的に説明はできなくても直感的に「こうすれば良くなる」という実践で養われた経験を語ることはできます。

しかし、組織のリーダーとして「こうすれば組織力が向上して業績のアップにつながる」という仕組みを理解しておけば、リーダーの仕事がもっと効率よく、しかも楽しんでおこなえるようになるのではないでしょうか?


私がP&Gにいたときには、こういった組織力を上げるためのお手本にしたモデルがありました。

David P. Hanna という方が書いた「Designing Organizations for High Performance」という本でした。中でも企業文化の重要性と人々の行動について述べてあるのが「Organization Performance Model」と呼ばれるものです。

今のP&Gでまだこのモデルを使っているのかどうかはわかりませんが、私が人事にいたときには、人事の組織開発マネジャーだけではなく、海外のカントリーマネジャーやカテゴリーマネジャーなどが好んでこのモデルを使っていました。

つまり、組織を預かるラインのマネジャーが「人と組織」を最も真剣に考えているわけですから、その人たちが使える組織論ということで非常に実践的であったと思います。

次回はこのモデルの内容を少し具体的にご紹介し、ロールモデル、企業文化、組織力の強化ということの関連性を考えてみたいと思います。

キャリアパスグローバル化の実際

日本発のグローバル企業にとって、何故にグローバルで統一されたキャリアパスが必要なのかは理解していただけたと思います。それではどのようにすればグローバルで統一されたキャリアパスが作れるのでしょうか?

具体的には2つの方向から進めてゆく必要があります。

1.採用基準の標準化

一つにはグローバルで採用の基準を標準化することです。これは考えてみると当たりまえの事で、世界で採用する人々が、その企業の求める共通の価値観に基づいて、共通の基準で採用されると、会社の組織力は国境を越えて広がってゆきます。

グローバルで標準化された採用の基準としては、例えば、「リーダーシップ」や「問題解決能力」「グローバルマインドを持つ」といった事が上げられると思います。

ただ、これを実施する際に難しいのは、それぞれの会社で、例えば、「リーダーシップ」とはどういうことなのか?ということを明確にする必要があります。

リーダーシップという言葉を抽象的な言葉で捉えるのではなく、それぞれの企業で求めている「具体的な人の行動に落とし込んで理解する必要があります」。

つまり、リーダーシップを表している人の行動を具体的にそれぞれの企業で体系化して、日本であろうが、外国であろうが「リーダーシップという言葉」に惑わされるのではなく、人の行動として評価する方法が確立されていないと、国境を越えて標準化できないのです。

2.Job Description の統一

もう一つは、グローバルで必要な仕事については「Job Description」の基本内容を同じにしてゆく必要があります。

そのためには、現在おこなわれている仕事の内容を一度見直して、統一したフォームに落とし込む必要があります。あるいは、この仕事の「Job Description」は~であると、決めたうえで、それぞれの国でおこなわれている仕事内容を見直して、「Job Description」に仕事内容を合わせる必要があります。

こういったことは理論でわかっていたとしても実際におこなうのは非常に厄介で根気のいる作業です。しかもこういった「Job Description」の見直しには必ず給与制度の見直しも付随してきますので、話はよけい厄介なものになるのです。

こういった事が理由で、キャリアパスの統一が必要だとわかっていてもなかなか手を出せないのが現実です。

しかしながら、キャリアパスの統一はグローバル化をおこなうため

・グローバルな人材を惹きつけ国際競争力を養成する
・国を超えて人材の異動をスムーズにおこない、人と組織の強化をおこなう

という「人と組織」を強化する大事な戦略的課題ですから、面倒くさがらずに是非前向きに取り組んでいただきたいと思います。