(株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ -37ページ目

考えさせる研修としてのOJT

先週は「ものすごい保育園」の話をしましたが、グローバルである、ないに関わらず、人材育成を上手くおこなってゆくためには「どうすれば人は成長するのか」ということを理解しておく必要があります。それを理解したうえで必要な研修を提供して、概念的な理解をさせ、実施させ、経験し、学びを行動に落とし込む、といったことが必要になります。

このプロセスを実施するうえで重要なことが2点あります。それは

1.「自分で考える」ということを何度も経験させること
2.研修プログラムをよく理解している直属の上司が、OJTの中で経験を学びに変えてあげること

「考えることの必要性」というのは当たり前のことなのですが、最近私が研修をおこなっていて、良く感じることがあります。参加者の方々の傾向に「答えを下さい」という傾向があるように思います。

考える力はあるのですが、「何もないところから、考えて作り上げる」ということに慣れてないように思います。考えることに慣れていないと、例えば「問題解決」などの際に「なぜこうなったのか」その原因となることとは何か、というような演習をするときに「なぜ?」「なぜ?」と原因を探ってゆくときに、包括的な観点をもてないことになります。

つまり、こういう場合もある、この場合もある、といった発想がなかなか持てないので、本当の原因分析に到達しないことがあります。日本人は受験のための覚える学習は得意なのですが、自分自身で解決策を導くというのは慣れてないようですので、「考えさせる研修」を提供してゆく必要があります。

もうひとつの事も、当たり前のことですが、研修で習ってきたことをOJTで「実際に使い」「経験として学び」「意識しなくても使えるようになり」「次回への目標へとつなげる」というプロセスに落とし込む必要があります。

OJTは自分ひとりではできませんので、自分の上司との協働作業になります。上司としてOJTにあたる人は、まずコーチングのスキルをつけておく必要があります。このことを前提として、上司は部下が参加するプログラムに参加しておく必要はありませんが、少なくとも研修で教えていることが何で、どのようなことを学んでくるかを理解して、OJTにあたる必要があります。

残念ながら、OJTとは何か、OJTに必要なスキルは何か、そしてOJTをどのように進めるのかを正確に理解して実践している上司があまりにも少ないように思います。

この2点についてはもう少し先でより詳しく述べることにして、来週からは「グローバルタレント育成のための実践的研修プログラム」をご紹介してゆきます。

やる気を起こさせる4つのスイッチ

このブログもいよいよ2年目を迎えることになりました。これまではどちらかというと概念的な内容が中心でした。例えば、グローバルタレントを育成するには「世界共通の企業理念」を持つことが大切である!といったことは、おそらく多くの方の頭の中にはすでに存在していることだろうと推測します。しかし実際にはできている企業とできていない企業があります。そのできている度合いがどれほどかということは別にして、人材育成力に差ができることは紛れもない事実となって現れてきます。

人材育成力に差が出るというのは、私たちが企業で勤めているとあまり実感することはないかも知れません。特に同じ企業にずっと勤めていると自分の中に、その企業の標準ができてしまい、他の組織と比べることがありませんから、自分たちの企業の人材育成力というのが、どの程度のものなのかがわかりにくくなります。

たまたま、先日テレビで「ものすごい保育園」が鹿児島にあるという放送をしていました。そこの園児は「全員が逆立ち歩行ができる」「全員が絶対音感を持っている」「全員が集中して読書ができる」「全員が跳び箱の4段を跳べる」等々で話題になっている保育園です。

そこの園長曰く「私は教育の専門家でも何でもありません。ただ子供たちが楽しくて、やる気になるようなお手伝いをしているだけなのです」とおっしゃっておられました。園長さんは、長年子供を観察した経験から、子供たちのやる気を起こさせるには「4つのスイッチ」があると説明されていました。

1.子供たちは競争が好きなんです
2.子供はほめられるのが好きです
3.子供たちは人の真似をするんです
4.子供たちはちょっと難しいことには喜んでチャレンジするんです

たったこれだけのことで考えられないような「人材育成力」の差ができてしまうのです。子供たちは「できる人の真似をして、負けないように何度も努力をして、少し上手になると誉められて、またもう少し難しいことにチャレンジして」何でもできるようになってゆくのだそうです。

この4つの真理は大人にとっても同じだと思います。決して特別な魔術ではないので、これから連載してゆく研修の内容を実践する際にぜひ活かしてください。

異文化研修を踏まえた英語力

さて今回は英語研修のあり方について、最終回ですが、それは異文化研修と組み込んでおこなうということです。もちろんそんなことはあたりまえ!と思われるかもしれませんが、なぜこんなことをしなければいけないのか?っということを理解している人は少ないと思います。

実は英語、というより日本以外の国の人とも「人間関係」は非常に大切なんです。私は反省の意味も込めてですが、この点についてはあまり上手ではありませんでした。このような人間関係を上手く作り上げてゆくためには、相手の人たちが「心地良くなるような」対応をすることが大切なのです。

一般的にいって「人」が心地良く感じるのは「自分のペース」にあわせてくれたときです。つまり自分たちの考え方、話すペース、ジェスチャーなど、自分が心地よい方法で接してくれると親近感を持つものなんです。「郷に入っては郷に従え」という諺がありますが、異文化の人たちの考え方、話し方、を理解して行動する事ができれば、「英語力」はさらに強化されることになるのです。

例えば、「How do you do?」という挨拶は、ビジネスの世界ではまず使うことは無いでしょうし、もし使ったら相手の人はとても緊張するでしょう。How are you?で十分なのです。

また、握手にしても私たちは、例えば男性同士の場合にでも「ギュ」っと握ることはほとんどありません。しかし欧米人はこれでもかっというぐらいに「強く握ってきます」。これには理由があって、彼らは「握手の強さ」で第1印象を判断しようとしているからなのです。握手をどれだけ自身を持ってできるのか?ということから、その人の「自信」や「力強さ」を判断しているのです。遠慮する事が美徳であったり、「能ある鷹は爪を隠す」といった諺で育ってきた日本人とはスタートが違うのです。

他にもこれに良く似た事例はたくさんあります。もうひとつ例を挙げておきましょう。皆さんが本屋さんに行って、例えばビジネスの本、時間管理の本を探してみてください。日本人が書いたものでも山ほどあるはずです。

ところが、「フィードバックのやり方」とか、「業績評価の際のフィードバックの提供の仕方、受け取り方」(Giving & Receiving Feedback effectively)という本で日本人が書いた本は1冊も無いはずです。(あるかもしれませんが書店には並んでいません)日本人は阿吽の呼吸が大切なのです。「言わずとも分かり合える」というのが日本人の素晴らしい文化なのですが、外国ではこれが通用しないのです。外国では論理を明確にして、ちゃんとした理由を話さないと納得してもらえないのです。

残念ながら、今の英会話教室ではこういった背景を理解させた上で異文化を教えているところは少ないのではないでしょうか。でも本当に日本人のビジネスパーソンにとって必要なのは異文化研修を踏まえた英語力なのです。