(株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ -35ページ目

リーダーシップの移り変わり

前回、リーダーシップというのは「他者に対するポジティブな影響力のことであり、それはリーダーが日ごろとっている行動や、その人が発した言動によって表現される」という話をしました。

それでは、こういったリーダーシップの捉え方は昔から同じだったのでしょうか?それとも時代に合わせて変わってきたのでしょうか?

何が正解というものはないのでしょうが、学問的に検証する必要があれば、以前ここでご紹介した「経営革命大全」などを参考にしていただければ良いかなと思います。私の理解では、古典的なリーダーシップの考え方は「グループをいかに統制して、引っ張ってゆくのか?つまり、命令と統制を上手くおこなうこと」、そのために必要な能力とはどの様なものなのか?ということに焦点が当てられていたように思います。

現在の組織の中でもこのようなリーダーシップが使われていることは良くあります。例えば、警察の組織をリードしてゆくためのリーダーシップとは、いかに組織を秩序正しく導くことができるか?ということが求められているのであり、個人の同意や共感性はあまり重要視される必要は無いのです。

なぜならば、組織の求めている行動が、組織の秩序ある行動だからです。こういったリーダーシップのあり方を決して否定するわけではありませんが、現在多くの企業や組織が直面している環境というのは、以下のような環境です。

・急速に変化する環境下におけるすばやい意思決定の必要性
・会社組織のフラット化により、個人の職務と権限の拡大
・高等教育の充実による高いレベルの一般知識
・ITなどによる情報の取得が簡単におこなえる環境

つまり、個人一人ひとりが様々な場面で、組織が目標として掲げるゴールに対して共通の認識をし、状況を判断してすばやく意思決定をおこない、その場で次の行動を起こせるような組織が必要とされているのです。そのためには組織の一人ひとりが組織の目標を明確に理解し、それを達成することに共感し、同意して、強制ではなく個人自ら進んで行動する、っといったことを奨励するリーダーシップが必要になります。

残念ながら、こういった組織を動かすことができるのは「命令と統制」型のリーダーシップではなく、「影響力によるリーダーシップ」なのです。

グローバルで通用するリーダーシップの定義

前回にも書いたように、実はリーダーシップの定義というのは多種多様でどれが正しいということは内容に思います。しかしながら、ここでは、あくまでも、グローバルで通用するリーダーシップにこだわってリーダーシップを定義したいと思います。

「リーダーシップとは他者や組織に対してある方向性に向かわせようとするポジティブな影響力のことである」と定義したいと思います。ただ、これだけだと全く具体性がありませんので、何のことか良くわかりません。例を入れながらもう少し具体的な説明をしましょう。

1.リーダーシップは決してポジションに付帯するパワーではありません。

私はこれまで多くの方々に、「自分が尊敬するリーダーの特徴ある行動や言動を書き表してください」と、研修のたびに聞いてきましたが、全ての方が、「リーダーに共感したから賛同したのであり、上司だからといったり、あるいはポジションパワーによって共感したわけではない」のです。つまり、相手が誰であろうと、人が共感し、共通のビジョンに向かって行動を共にするというのは、リーダーが周りの方にポジティブな影響力を与えたからなのです

2.リーダーシップは「リーダー」の具体的な「行動」であり、その人が言っている内容のことです。

私たちは「リーダーシップ」を「リーダーシップ」という実態のない言葉ではなく、実際には「目に見える」リーダーの行動や言動として感じ取っているのです。だからこそ私たちは、リーダーシップの定義を知らなくても、「あの人にはリーダーシップが有るとか、あるいは無いとか」の議論ができるのです。以前、新橋のSL広場で、アルTV局が、以前の首相について、町の人たちに話を聞いていた中で「あの人はリーダーシップが無いからダメダメ」と言っておられた方がいましたが、私たちはまさにリーダーシップを私たちがTVを通してみた、元首相の「行動」と「言動」で判断しているのです。

3.リーダーシップというのは私たちの「行動」と「言動」です。

私たち全ての人が持っている能力で、しかも、行動の話しですから、今現在優れたリーダーシップを持っている方でも更にカイゼンが可能な能力です。優れたリーダーの行動を真似ることから始めて、自分のものにする事ができれば、誰でもリーダーシップ力は向上するのです。

グローバルで通用するリーダーシップについて

リーダーシップを語る際に避けて通れないのが、「リーダーシップというのはいったい何ぞや?」という非常にシンプルな質問です。リーダーシップとは何かという問いかけも必要ですが、リーダーとリーダーシップとは何が違うのかというような疑問も数多くあります。

ところで「1,710,000」という数字はいったい何でしょうか?この数字は2009年7月10日にヤフーで「リーダーシップの定義」と入力してヒットした数です。もちろん、この数字の意味が直接「リーダーシップの定義」の数を表しているわけではありませんが、少なくとも非常に多くの人や団体が「リーダーシップの定義」を作られて、そして発表されているだろうなということは容易に想像する事ができます。

では私たちが「リーダーシップ」という言葉を使うときに、どれが正しい定義なのかというと、恐らくどの定義も正しいのではないでしょうか?ある企業や大学の研究所などが綿密なリサーチをおこなった結果導き出された定義もあるでしょうし、ある個人の方がご自分の経験でおっしゃっているような場合もあるでしょう。その個人の方は、ご自分のやり方でなんらかの成功を収めたということからすると、それはそれで正しいリーダーシップといえるはずです。

ここで重要なことは、私たちは日ごろ「リーダーシップ」という言葉を案外とよく口に出していったり、聞いたりしていますが、本当の意味で共通の理解を持ってこの「リーダーシップ」という言葉を使っているかというと、決してそうではないということです。

恐らくなんとなく「リーダー」と呼ばれる人たちに備わっているのが「リーダーシップ」だろうなという感覚で使っているのだろうと想像します。それでは「なんとなくリーダーに備わっているんだろうな、と思うリーダーシップ」について、私たちは共通の理解も定義もないのに「なぜ、あの人はリーダーシップがある、とか、あの人はリーダーシップに欠ける」とかを言うう事ができるのでしょうか?

ここではできるだけシンプルにリーダーシップというものをとらえて、日本人の持っているリーダーシップをよりグローバルで通用するリーダーシップに「加工」していくための方法論をご紹介してゆきたいと思います。学問的な意味で「リーダーシップとは何か?」ということを勉強したいという人には、日経ビジネス人文庫から出ている「経営革命大全」(ジョセフ・ボイエット&ジミー・ボイエット著)という本がお勧めです。値段も安く、これまでのリーダーシップ論の流れが良くわかる本です。