(株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ -34ページ目

VSOPモデルのV(Visioning)について

さて今回はVisionについて考えてみましょう。まずリーダーシップを上手く発揮するのに何故Visionが必要なのでしょうか?答えはすこぶるシンプルです。それはリーダーシップの定義にもあったように、リーダーシップというのは他者に対する影響力のことですから、他の人たちが迷子になってはぐれないように明確な方向性を示さないといけないからです。

この方向性(目標であったり、なんとしてでもこれをやってみたいといった個人の強い思い等)がシンプルで且つ、明確であればあるほどリーダーを指示してくれる人が多くなります。もう一つ重要なのは、方向性が明確であればリーダーがいちいち指示を出さなくても、リーダーの方向性に共感して、賛同できる人達は自分で考えて行動あうることができるのです。

ここでわざわざ「シンプル」という言葉を強調しているのは、どんなに明確な方向性であったとしても、分かりにくかったり、また複雑であったりすると、リーダーが進みたい方向性に対して皆の理解が少しずつずれてきて、その結果目標には到達できなくなったりします。できるだけ複雑な事を簡単な言葉や内容に変えてビジョンを作成する事が大切です。

それでは「ビジョン」はいったいどうやって創れば良いのでしょうか?私のこれまでの経験の中で、いろんな人から質問を受けました。代表的なのは、

・良いビジョンと悪いビジョンというものがあるのでしょうか?
・ビジョンは人が持つものなのか?それとも組織が持つものなのか?
・ビジョンの中にはどういった要素が必要なのか?

残念ながら正確な答えがあるわけではありませんが、いわゆる組織(会社であったり、一部門であったり)にもビジョンは必要です。個人であろうが、組織であろうが、私が経験上感じている良いビジョンとは、

・シンプルで、しかも包括的で誰でもが口ずさむことができる
・いつか達成できる可能性があるという現実性がある
・何故、このビジョンが必要なのかという理由が明確
・できればストーリー性がある方がより共感性を高めることができる
・時間の期限はなくても良いが、仕事に関連するビジョンでは必要

それではどうやってビジョンを作成するのかについて次回は考えてみましょう。

VSOP モデルについて

VSOP モデルは、他者や組織に対して上手く影響をあたえて、結果的に優れたリーダーシップを発揮している人達に共通している能力をまとめています。

この VSOP モデルというのは Human Edge 社の経験に基づくフレームワークです。何らかの調査に基づくデータの結果ではありません。ただこれまでの経験からして、優れたリーダーシップを発揮している人達の行動や言動を検証すると、VSOP のモデルに上手く当てはまるのは間違いないところです。

VSOP モデルの全体像は以下の図で示すことができます。



このモデルそのものは非常に簡単なフレームワークなのですが問題は、どのようにして VSOP の一つ一つを実行すればよいのかということだと思います。

実は世の中には、これと似たようなリーダーシップモデルが多く存在しています。どれも内容的には似通っているものばかりですので、自分にとって覚えやすく、そして使いやすいモデルを利用すればよいと思います。

いづれにしてもこういったモデルで紹介されている「フレームワーク」の中身をいかに実行できるのか?が一番大きな課題であるはずです。

次回からは、VSOP のそれぞれを分解して、具体的に意図していること、そしてどの様な行動を取るべきなのか、ということに触れてみたいと思います。

影響力によるリーダーシップの利点

それでは具体的に「影響力によるリーダーシップ」が組織にもたらす利点とは何かを考えてみましょう。

1.社員のモチベーションが上がり組織が活性化する

まず、最初に言えることは「ポジションパワー」を持たない人たちのモチベーションが上がり、組織が活性化するということです。多くの組織では「ポジションパワー」を持たないのは若い人たちですから、組織の若い人たちが存分にリーダーシップを発揮することによって組織全体がイキイキとしてきます。

2.後継者が育ちやすくなる

最近では多くの企業で「サクセッションプラン作り」が盛んですが、「影響力によるリーダーシップ」という企業文化を持っていれば、自然と後継者は育ってくるものなのです。なぜならば、影響力のリーダーシップというのは常に上位の人たちを説得し、巻き込む必要があるからです。しかしながら、カリスマ的なリーダーシップやポジションに付随するリーダーシップに頼っていると、社員は後継者として上手く育ちません。なぜならば、すべてのことはトップダウンで上位の人に対するリーダーシップ(影響力)を発揮する必要が無いからです。

3.リモートな組織や人間関係でも社員のベクトルを合わせる事ができる

「影響力によるリーダーシップ」を発揮することは、他者から「同意性と共感性」を得ることですから、いったん社員がリーダーのやろうとしていることに共感して、同意すれば、社員は自ら考え行動します。従って、毎日同じ場所にいなくてもリーダーシップを発揮することができるのです。グローバルな企業になれば、自分の上司が海外にしかいないということは良くおこります。こういったときにも「影響力によるリーダーシップ」は非常に有効です。

4.社外のビジネスパートナーの最大限のサポートを得る事ができる

ビジネスパートナーとの関係も突き詰めると人間関係で大きく左右されます。ビジネスパートナーの方が、あなたのやろうとしていることに対して共感し、同意してくれると、単なるビジネスパートナーの関係ではなく、リーダーとサポーターの関係に変化してゆきます。単なるビジネスパートナーの立場であるならば、最低限の協力はしてくれますが、あなたの成功に関心もなければ興味もありません。しかし、サポーターとなったパートナーは最大限のサポートをしてくれますし、あなたの成功はサポーターの成功にもつながるのです。

さて、「影響力によるリーダーシップ」の利点をご理解いただけたでしょうか?
次回からはVSOPのモデルについて説明してゆきます。