(株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ -33ページ目

VSOPのS(Strategy)について

さて、今週からはVSOPモデルのS、つまりStrategy(戦略の設定)について紹介してゆきます。リーダーシップを発揮してゆくための2番目の重要な要素は、戦略を設定することです。

戦略という言葉も、ビジョンと同じで様々なとらえ方があります。でも私たちは普段あまり抵抗なく「戦略的発想」だとか「戦略的~」という言葉を使ったり、あるいはよく耳にしたり、また書物でもよく見かけます。ここでは「戦略」という言葉を「目標を達成するために、予算、リソース、時間、などを考慮した上でもっとも適切な方法を選択すること」と定義したいと思います。キーワードは「選択」です。

実は私たちは普段の生活の中でもいろいろと戦略的発想をしているのです。

例えば、「何Kg痩せる」という目標のためにおこなうダイエットの方法です。ダイエットの方法にはそれこそ何十というやり方がありますし、世の中にはダイエットで成功したたくさんの人がおられますから、その成功体験も何百はくだらないでしょう。私にとってどのダイエットの方法が最も適切なのかを選択することが戦略的アプローチなのです。

このときに考えなければいけないのが、制約条件です。例えば、予算、時間、実行可能性といった事です。

例えば、TVでよく宣伝しているダイエットゼリーが自分にとって、実行が可能で、これなら続けられそうだとします。しかし、続けるとなると月額で3万円ほどの資金が必要です。1年間続けようと思うと年間で約36万円の出費になります。もし、今の生活で毎月3万円を出費するのが問題なければ、この「ダイエットゼリーを使う」という戦略は有効な手段として存在することになります。

しかし、今の生活では3万円を出費するのは無理だという場合には、3万円を稼ぎ出すための新たなチャレンジが必要になります。もしそれでも可能な場合には、やはり「ダイエットゼリー」は有効な手段となります。しかし、それが無理な場合には「ダイエットゼリーを使う」という戦略は選択肢から除外されることになるのです。

こうやって考えてゆくと、戦略的思考という一見難しそうに思える言葉でも、実は簡単なことであるとわかっていただけると思います。ここでは「戦略」というのは「選択肢」のことだと覚えておいてください。

ビジョンは文章化し、納得するまで書き直す

先週、ビジョン作成のマップをご紹介しましたが、本当に「これだ!」という納得性の高いビジョンにたどり着くまでは何度も練り直しが必要です。そのためには、どんなビジョンでも良いですから、先ず、出来上がったビジョンを文章にする必要があります。何度も文章を読み返し、様々な状況を考えてみます。そしてどんな場面に遭遇しても、そのビジョンから説明ができるかどうかを確認してゆきます。

効果的なビジョンというのは、以前紹介したように、「シンプルで包括的なもの、そして誰でもが、口ずさむことができるようなもの」です。実際に作成したビジョンが包括的でないようなときには、一歩下がってより底辺を包み込むことができる文章を考える必要があります。つまり、本当に達成したいことは何かを何度も自問しなければならないのです。

私の具体例をご紹介しましょう。

私の今のビジョンは「私たちが好むと好まざるにかかわらず、企業活動がますますボーダーレスになる環境下にあって、グローバルで活躍できる日本人を育成する」です。

こうやって文章にまとめると極めて簡単なことなのですが、実はこの簡単なビジョンにたどり着くまでは何度も何度も書き直しているんです。それは何故かというと、本当に自分が達成したいことが何かということが、明確になっていないからです。あるいは明確になっていると思い込んでいたのに、いろんなことを考えていると「ちょっと違うな、どうもまだしっくりこない」ということが起こるからです。これは最初、思っていたビジョンが実は包括的ではなかったことを表しています。

ちなみに最初考えていたビジョンは「入社から卒業まで、人と組織に関する包括的なソルーションを提供する」でした。今のビジョンとはずいぶん違うように感じられるかもしれませんが、最初、会社を設立したときには、本当にこれが目指すべきビジョンだと思っていたのです。しかし残念ながら、ここには「何のために人材育成の仕事がしたいのか?何故人材育成の仕事を私が選んだのか?」という問いかけに対する答えは含まれていませんでした。つまり、包括的ではなかったのです。

しかし、こういった書き直しのプロセスを経ることで、本当にやりたいことが見えてきて、はじめて納得のゆくビジョンができるのです。

ビジョンはどうやって創る? ~分析からビジョンは生まれない~

ビジョンを創るといっても様々な場面が想定されます。

例えば個人的な生活に関するビジョンであったり、会社の組織、あるいは会社そのもののビジョンであったりします。いずれの場合にも原点となるのは、個人の「~したい、~すべきだ」という強い思いです。もちろん、会社のような組織のビジョンと個人の生活のビジョンでは内容の詳細などについては変わってきます。

ここでは、会社のビジョンの作り方のプロセスをご紹介します。

注意していただきたいのは、ビジョンとは所詮個人の強い思いですから、企業の環境分析、例えばSWOTなどからは決して生まれません。会社や環境の分析をいくらやっても、それらは客観的な数字や事実でしかありません。そこには考える人の「魂や熱意」が入っていないのです。

ただし、ビジョンを考えるヒントにはなりますし、考えたビジョンに現実性があり、人々の共感性に訴えることが出来るかどうか等を検証するためには非常に有効な手段だと思います。

会社組織のビジョンを創るには、以下のようなマップを描くとわかりやすいと思います。



まず、過去の出来事を覚えている限り図の中に書き入れていきます。環境の変化、競合の動き、自社の出来事(特に経営幹部から出たメッセージやリーダーの交代、そしてそのときには売り上げや利益がどうなったのか?)

次に、今後3年程度の間に、環境として変化しそうなこと、競合の動き、そして自分たちが追いかけるべきビジネスとは何なのか?を書き入れます

繰り返しになりますが、この図を眺めていても決してビジョンは生まれてきません。しかし、こういった図を描くことで、会社が目指す方向性についての気付きを与えてくれます。