(株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ -25ページ目

ストーリーテリング1

これまで、「他者を共通の目標に巻き込む」スキルについて一つずつまとめてきましたが、もう一度整理しておきましょう。

素晴らしいビジョンと戦略があってもなかなか「人」は行動を起こせるものではありません。「人」が行動を起こしてリーダーであるあなたのサポーターになるためには、何らかの形でコミュニケーションが取れる事が重要です。そのために、

1.ネットワーキング
2.質問力
3.積極的傾聴
4.ストーリーテリング
5.エレベータートーク
5.ステイクホルダーマネジメント

といったスキルが必要になります。これまで、3の積極的傾聴まで説明しましたので、今回からは「ストーリーテリング」について話を進めます。

「ストーリーテリング」というスキルは最近になって良く言及されるスキルです。その原因はアメリカのオバマ大統領の演説が素晴らしいというところから来ているようです。もちろん、オバマ大統領の演説は素晴らしいですが、「ストーリーテリング」というのは、もっと単純なことで、「物語を話す」ということです。物語には、

■主人公がいる(自分の話でも、他人の話でも良い)
■起承転結がある
■できれば困難に立ち向かって成功した話の方が感動を与えることができる

といった事が含まれていることです。ここでもう一度ストーリーを話す利点をまとめておきましょう。ストーリーを話すことで

■話の内容が良く理解できる
■物語なので忘れにくい
■感情に訴えるので、聞いている人の共感を得られやすい

といった利点があります。

皆さんにも、ストーリーであるがゆえに覚えている話が多くあると思います。逆に、ストーリーがないために、素晴らしい事を言ってくれていたとしても、心に残らないこともたくさんあるのではないでしょうか。

以前、私はP&Gという会社で採用の責任者をしていました。当時P&Gは世界では有名な会社でしたが、日本ではまだ知名度も高くなく、あまり知られている会社ではなかったのです。ですから、私は、P&Gがどれほどグローバルなのか、どれほどすごい会社なのか、ということを一生懸命説明していたのです。

もちろん、こういったことは学生には知識としては必要だったわけですが、決して、学生たちの気持ちを動かす要因にはなりませんでした。彼らにとって、私たち会社の人から聞きたいことは、どれほどすごい会社かではなくて、自分が入りたい会社かどうかだったのです。そのためにはストーリーが必要だったのです。

説得的傾聴5

■言葉を繰り返して、理解していることを示す
■相手の話を要約して、自分の言葉で言い換える

今回はこの2つのスキルについてです。

「言葉を繰り返して、理解していることを示す」というのは、以前に紹介した、コミュニケーションの原則である「自分にとってポジティブな言葉を繰り返す」ということと同じことです。

自分にとって好ましい方向へ話題をリードしたいときには、単に言葉を繰り返して、自分が理解していることを示すだけではなく、自分にとってポジティブな言葉を繰り返すことで、その言葉が強調され、知らず知らずのうちに、話の内容が、自分の好ましい方向へ導かれるようにしましょう。

「相手の話を要約して、自分の言葉で言い換える」、このスキルはお互いのミスコミュニケーションを防ぐためには最も重要なスキルです。

普段私たちの様々な行動というのは、コミュニケーションの結果から生じていますが、他の人との間で、本当に十分な理解をお互いに得られた状態で行動していることは非常に少ないのではないでしょうか?理解が不十分であったために、期待していることとは別の結果が出たり、あの時こう言った、いや言わない、といったずれが生じているのではないでしょうか?

なぜこんな事が起きるかといえば理由はすこぶる単純です。お互いに話した内容を確認していないからです。あるいは確認したとしても、お互いの理解にずれがあることに気づかずに了解してしまったような場合ですね。

キーワードは「自分の言葉で言い換える」ということです。言葉というものについては、人それぞれの理解が違う場合があります。従って、言葉を理解することも大切ですが、相手の意図していることを理解することはもっと大切です。相手の意図している事を自分の言葉で繰り返して、理解できれば言葉自体が少々ずれていても、何をやらなければならないか?ということは明確になるのです。

私は、講演や研修で質問を受けたときには、できるだけ自分の言葉で言い換えてから応えるようにしています。理由は2つあります。

1.質問の意図が自分の理解で間違いがないかを確認する
2.他の人たちにも質問の意図が何であるのかをわかりやすく伝えるため

こうすることで、講演や研修そのものの運営がスムーズにおこなえますし、何よりも講師と参加者の信頼関係を育成することになり、研修への理解度や真剣度が向上することにつながります。

積極的傾聴4

■誘導または、継続のスキル

今回は誘導または継続のスキルについてです。相手の方に、話を続けてもらうためのスキルです。

なぜ、相手の方に話を続けてもらうことが重要なのでしょうか?

これはコミュニケーションの原則で説明したように、人は自分の話を聞いてくれた人の話は聞こうとするものなのです。私たちにとっては、普通こういったスキルを使うのは、何か目的があって話をすることが多いですね。しかし、ここで言及している、誘導もしくは、継続のスキルでは、特に話の落としどころを考えているわけではありません。ただ、ひたすら相手の話を聞いてゆくことを意味しています。

ただ話を聞いているだけなのですが、相手の方のモチベイションは自然と向上し、話をしているだけで、自分が何をしたいのかということがより鮮明に理解できるといったことにつながります。つまり、相手の方は話をしながら自分自身で勝手に気分が高揚したりしながら、満足感に浸ることができるわけです。

したがって、ひとしきり、自分の話をして満足感に浸った後には、あなたにも私と同じように満足してもらいたいという気分になりますから、今度は相手の方が、より積極的に私の話を聞いてくれるというわけです。

具体的なテクニックとしては非常にシンプルです。

会話をとぎらせないように、相手の話に合わせて、

「ああ、そうですか」
「なるほど、そういうことですか」
「へ~すばらしいですね」
「それで?」

という具合に、特に意味のない接続詞を使うことです。

話が途切れそうになったり、もっと自分の興味のある話ができないかな、と思ったときは「なるほど、ほかにはどんなことがあったんですか?」とか「ほかに何かないですか」という言葉を使います。

こういう質問を投げかけるとほとんどの話しての方は、しばらく考えてから、「実は~ということもあったんだよ」という話をしてくれます。そうすると、聞き手としての私たちは、「ああ、そうなんですか・・・」と、前と同じような返答をすればよいわけです。こういったことの繰り返しで、話というのは途切れなく続くものなのです。

このスキルは、立場の強い人が、弱い人に使うと非常に効果的で、信頼関係を築いてゆくのに貢献します。たとえば、学校の先生と生徒、会社の上司と部下、そして、親と子供のような関係ですね。

練習すれば誰でもうまくなりますから、早速練習をしてください。