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効果的なOJTの進め方(7)

前回はストーリーマップのトレーニングサイクルについて簡単に説明して、まず最初のステップとして、「説明をする」という事を理解してもらいました。次のステップとしては、「お手本を見せる」ということです。では誰がどのようにしてお手本を見せるかというと、理想的には上司(トレーナー)です。

なぜ、上司なのでしょうか?

理由としては、まず、上司がお手本を見せることで、上司に対する尊敬の念を持つことができるからです。私たちは、尊敬できる人に対して自然と心を開いてゆくものです。したがって、尊敬できるということは信頼関係を築くための第一歩となるのです。この他にも、身近にスキルを持った人がいるというのは安心につながりますし、いつでも聞けるというメリットがあります。

それでは上司がまだ新しく職場に移ってきたばかりで、お手本を上手く見せることができないという場合にはどうすればよいのでしょうか?

こういった場合には、スキルを持ったベテラン社員に代わりに見せてもらうという進め方をしてください。この場合には、ベテラン社員に、上手く尊敬の念を持ってお願いをすることで、本人のプライドを持ちあげることができます。

また、回りの部下たちはそういった、リーダーとしてのあなたのフェアーナ態度を見ていますので、その結果は、上司であるあなたへの尊敬と信頼関係に結びついてゆきます。

さて、お手本を見せるときにはいくつか注意することがあります。

1.相手の経験やスキルのレベルに合わせて、わかりやすいように「プロセスを細切れにする」

できることから、ステップバイステップで進めるということが大切です。また、こうすることによって、本人は成功体験をたくさん得ることになりますから、モチベーションの向上にもつながります。

2.プロセスを省略しないですべてのプロセスを順番にカバーする

これは基礎力を養うことで将来自分のスタイルやニーズに合わせて変化させる応用力を養うためです。ベテランの方になるとついつい自分のやり方に自信を持って、お手本を見せる場合でも、自分流のこなし方を教えたりします。しかし、こういったことは本人しかできないことであり、組織全体の能力アップを図るためには、自己流の進め方ではなく、すべてのプロセスをしっかり理解させる事が重要です。

しっかり、お手本を見せることができるようになったら、その次は本人にやってもらうことですね。次回はこの点について説明します。

効果的なOJTの進め方(6)

さて、今回からは「スキル」をあげることについて話を進めていきますが、スキルをあげるためには何が必要なのでしょうか。

スキルをあげるには、いわゆる練習が必要になります。英語で言うと「トレーニング」ですね。

なぜわざわざ練習という言葉を使ったかというと、スキルを身に付けてそのスキルを使えるように成るには、繰り返しておこなう練習が必要だからです。

では、スキルが身に付いた状態とはどういった状態かというと以前説明したように、意識をしなくてもスキルが使える状態のことをいいます。したがって、OJTのトレーニングで重要なのは、スキルを使えるようになった状態ではなく、スキルを意識しなくても使える状態にまで継続的にフォローを続けることが必要なんですね。

では具体的にどうやってスキルを身に付けさせるかというと、山本五十六さんの有名な格言と全く一緒なんですね。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、誉めてやらねば、人はそだたじ」

この格言を本当に山本五十六さんが言ったのかどうかは知りませんが、人材育成の本質を突いた説明だと思います。ここでは少し順番が入れ替わっていますが、「トレーニングサイクル」と読んでいます。これを説明するにはストーリーマップを見ていただくのが最も分かりやすいと思います。

(株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ-ストーリーマップ

まず、説明と書いてある部分を注目してください。赤いシャツを着ている上司が黒板を使って部下に「教えたい内容」を説明しています。

どの様な説明が必要なのでしょうか。

ここでは上司として、なぜこのスキルを修得することが部下にとって大切なのか、どの様な成果を期待しているのか、いつまでにできるようになればよいのかなど、できるだけ具体的に説明しておく必要があります。部下の方はここで十分な知識を得ることになります。トレーニングの第1ステップですね。

効果的なOJTの進め方(5)

あっという間にゴールデンウィークも過ぎ去ってしまい、またまた、日々の時間に追われる毎日になりましたね。まだ少し肌寒い日もありますが、さすがに街の中では鮮やかな新芽が目立つようになりました。

さて、前回は「OJT」ではどこまでスキルアップを狙うべきなのか、なぜOJTではそれができるのかを説明しました。OJTがいかに効果的なのかを理解してもらうために少し、私の例をご紹介したいと思います。

私が会社で何かの説明をしたりしたときに、よくほかの人から言われたことがあります。それは「斧出さんの話は本当によくまとまっていて、しかもよどみなくスラスラとつながりますね、どうすればそんな風に話せるのですか?」という事です。

私自身今のように話ができたわけではありません。ただ、P&Gという会社には多くの先生がいたのは事実です。以前ご紹介しましたが、1ページメモというコンセプトがあり、重要な事は、まず、結論から伝えるということ。次に、その問題を解決しなければならない背景を伝える。そして、解決のための具体的な方法についての明確な理由を説明する。こういったことを文書でも口頭でも伝えられるように鍛えられました。

しかも、すべて英語で書くことが義務付けられていましたから、あいまいな言葉や、回りくどい言い回しはできるだけ排除するようにしていました。ひどい時には、徹夜して書いた3ページほどのメモが上司によって、真っ赤になって、ほとんど私の文章の面影がなくなるほど訂正をされたこともありました。このころというのは「意識して行動ができる」段階だったのでしょう。もちろん、スキルにはレベルがありますから、正確に言うと、「意識してできるようにはなってきているけどまだまだ論理性や戦略性については思慮が浅い」段階であったのでしょう。

ところがこういった訓練を積み重ねてゆくと、いつのまにか、口頭で話をするときでも、頭の中に「1ページメモ」が自然と浮かんでくるようになったんですね。ですから私が何かを説明する時には、頭の中にメモがあって、そのフレームワークに従って話をしているわけです。こういった事は繰り返し繰り返しOJTの中で訓練をして出来上がってゆくもので、残念ながら、そういう機会にマグマれないとなかなか上達はしないものです。

次回からはスキルを上げるトレーニングの進め方について言及します。