(株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ -18ページ目

効果的なOJTの進め方(10)

今回は、「トレーニングの内容は細分化する」ということですね。これは比較的分かりやすいと思います。要は、必要なスキルをできるだけ具体的な小さな部分に分けて教えるということです。

なぜこういう配慮が必要かというと、スキルを習得した人には簡単で当たり前の事であったとしても、これからスキルを学ぼうとする人には多くのプロセスを同時に適切に行わなければなりません。このことはスポーツに例えると理解しやすいと思います。

例えば、テニスやゴルフを始めてする人には、まず、ラケットやクラブの持ち方、構え方、スイングの仕方、ボールの打ち方、フォロースルーの仕方、など、一連の動きがつながって初めてボールを打つことができるわけです。

もちろん、いきなり「さあ~打ってみて」という教え方もあるかもしれませんが、その場合にでも、振り返りの中で、どこが良くてどこが良くなかったのか?を指摘しながら、改善するためには、まずクラブの持ち方は、「このように持つんだよ」という具合に、細分化して教えてゆくことが重要なのですね。

教える内容をトレーニーのレベルに合わせて細分化することで進捗を明確に確認することができますし、トレーニー本人にとっても、少しづつ確実に前進しますから、達成感を持ちながらスキルを身につけることができるわけです。

こういった指導をする場合には、できるだけ具体的な事例を挙げて説明するとわかりやすくなります。とりわけ、その事例が、トレーニーにとって、以前同じような事を経験している事や、今までやってきたことと関連付けられて説明されるときには理解が容易になります。

例えば先ほどの、スポーツの例ですが、もし、テニスをやったことがある人にゴルフを教える場合には、「テニスでもゴルフでも最後までボールから目を離さないことが、ボールを的確にとらえて、まっすぐに飛ばすコツだよ」という具合に説明します。

つまり、トレーニーが以前に経験したことなどと関連付けて、具体例を示して教えると、トレーニー自信が経験したことを思い浮かべることができますので、非常に理解がしやすくなるわけです。

次回からは、「強く印象付ける」ということについて説明してゆきます。

効果的なOJTの進め方(9)

さて、先週までは、どのようにトレーニングのPDCAを回せば良いのか?ということで、トレーニングサイクルについて説明しました。ではもう少し具体的に何をどのように行えば、このPDCAが上手く回るのかについて話を進めます。

このトレーニングサイクルを回す上で、実際に有効なスキルをいくつかご紹介します。これらは「トレーニングの原則」と呼ばれるものです。

原則の1番目は、「トレーニングの内容や目的を、トレーニーに事前に連絡する」ということです。

もちろんこんなことは当たり前のことだと思われるかもしれませんが、私自身の管理職時代の経験を振り返ってみると、必ずしもこうしていなかったのではないかと思います。事前にスケジュールの確認はしていたと思いますが、「何のトレーニングを行い、何の話をするのか」という具体的なことは連絡していなかったと思います。

この連絡がないと、トレーニーの方は、いったい何の話があるのだろうかという不安を持ってしまいます。しかもトレーナーである貴方が、せっかく彼/彼女のために時間を割いて育成したいと思っているポジティブな姿勢を受け止めることができないのです。しかし、もし事前に会議の目的や、トレーニングの具体的な内容を示した上で、スケジュールしたとすると、大きく2つの点でこれまでとは違った効果が期待できます。

1.トレーニーは「自分を認めてくれているんだな、トレーニングで育ててくれようとしているんだ」という理解をしますので、トレーナーである貴方との信頼関係が増すことにつながります。

2.もう1点は、「わざわざ自分のために時間をとってトレーニングをしてくれるので、何か準備をしておこうかな?」という意識が芽生えます。つまり、トレーニングというものが、予定をした時間に始まるのではなくて、トレーニングを事前通知した段階からはじまっていることになるわけです。

この事前通知を行うことの効果は理解していただけたでしょうか?私たちは普段あまり意識していないことですが、実は大切な意味を持っていることを理解していただけたのではないかと思います。

次回は原則の2番目、「トレーニングの内容は細分化する」ということと、3番目の「具体例を示す」ということを説明します。

効果的なOJTの進め方(8)

それでは、今週は「トレーニングサイクル」の3番目トライアル、つまり、実際に本人にやってもらうというステップについてです。

これがなぜ必要かという点については特に必要はないかと思います。OJTの目標は「部下にスキルを習得させて、それを習慣化させる」というのが目的ですから、当然、見本を参考にして、部下本人に実際に学んだ理論とスキルを試してもらう必要があります。このステージがトライアルですね。

ここでは上司が何をするかというと、部下のトライアルの観察をします。後で、性格に本人と話し合いができるように、上司はしっかりと教えた内容ができているかどうか観察をします。そして、上手く言ったのはどの部分なのか?どこに不安があるのか?問い雨天について本人と話し合いができるように準備することです。

そして、本人のトライアルが終了したら、本人を交えてのレビュー、つまり振り返りということになります。ここでは「お手本」を示したときのすべてのプロセスについてレビューを行います。そして、まず上手くできたことを具体的に指摘して、大いにほめて上げましょう。トライアルを行ったすぐ後であれば、本人の記憶にも新しいので、自分が行った結果、上手くいった点とそうでなかった点も比較的理解しやすいはずです。

大切なのは、上手くいかなかった点について話し合うことです。このときに注意しなければならないのは、「答えを提供しない」ということです。ならば、どうするのかというと、「答えを導き出せるように会話を誘導する」ということです。

もちろんトレーナーとしての皆さんは、答えを知っているのですが、トレーニーである部下に、「どこがうまくいかなったのかを、自分で考えて答えを導く」ように、上手く誘導してあげることです。こうすることによって、改善点を自ら発見できますし、それを改善しようとする意欲を掻き立てることにつながります。

この方法は、以前、皆さんにご紹介をした「コミュニケーションの原則」にあった、「言葉はそれを発した人にもっとも強く作用する」という原則を用いています。つまり、自分で答えを導くからこそ、改善に対する強いコミットメントが出てくるというわけですね。